性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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60.どこへ行く?

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 一度頬にキスされて、びくって、僕の体が震えた。

 それだけでも、くすぐったくてたまらないのに、何度もたくさん繰り返されて、耳元でちゅって、何度も音がする。

 怖いくらいに気持ちよくて、つい、腰が引けそうになるのに、ヴァトズフィウズ様は僕を離してくれなくて、微かにでも離れようとしたら、ますます強く抱き寄せられた。

「う、ヴァトズフィウズさまっ…………」

 彼の腕の中で、弱々しく抵抗を繰り返す。
 すると、ヴァトズフィウズ様は簡単に僕を押さえ込んで、勝ち誇ったように笑った。

「これからどこに行くか、決めたのか?」
「え? あ……え、えっと……と、隣町……列車に乗ってっ……んっ!!」

 ち、ちょっと……え!?? 

 胸元のボタンを数個外されて、そこに彼の唇が触れた。ちゅって何度も音がする。耳がくすぐったくて、ゾクゾクする。

「ひっ…………! や、やだっ…………」

 なんだこれ……く、くすぐったいよっ……!

 なんで……そんなところにキスされてるんだ。震えて逃げようとしたって、簡単に押さえつけられて、何度も胸元にキスされて、焦るばかりだ。

「ひっ…………あ、あっ……!!」
「俺の気持ちは話しただろう?」
「き、きもち!?? ……えっ……は、はい…………」

 それなら、聞いた。だって、それが嬉しくて、僕はここにいるんだ。

 抱き寄せられて、ちゅって音がずっとしてる。胸元を舌の先で弄られるたびに、背筋がゾクゾクする。

 気持ちいい……けど、どんどん力が抜けていく。

「あ、あのっ……ん、あっ……!! あ……」
「……俺は、諦めるつもりはないからな。部隊も、リュイウェリレクも」
「で、でも……僕、部隊は…………」

 そうじゃなくて、ヴァトズフィウズといたいって言いたいのにっ……!

 それなのに、ヴァトズフィウズ様は僕を抱き寄せて、胸元にキスして微笑んだ。

「必ず、連れて行く」
「やっ……ま、まって! ぼ、僕っ…………そうじゃなくてっ……!」

 強く言って、ヴァトズフィウズ様の体を押し返す。
 すると彼は、手を止めて僕を見下ろした。

「リュイウェリレク?」
「ぶ、部隊じゃなくてっ…………僕はヴァトズフィウズ様といたいって言いたかったのに!! 僕はっ……あの時の告白の返事をっ……!」
「告白の返事? それならいつでもいいんだぞ?」
「い、いつでもって……ヴァトズフィウズ様は、それじゃ嫌じゃないんですか?」
「全く嫌じゃない! どんな返事でも、俺はリュイウェリレクといるからな!」
「…………」

 そう言って、ヴァトズフィウズ様は僕を見下ろしている。しかも、まるでうまそうなものでも見るような目をしていた。

 腕の力、強い。少し動いただけで、ますます強く抱き寄せられて、思い知らされる。

 本気で諦める気、全くないんだ……
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