従者になりたい犬と犬に悪戯したい魔法使い様

迷路を跳ぶ狐

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第六章

62.溢れた

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 フィーレアの愛撫は、デスフーイとは違い、まるでくすぐるような感触だった。

 そして、何度も、首元を甘噛みされる。


「ぁっ……あ…………ぁ……ふぃ……れあ……さまぁ……っ!!」


 すでに痛めつけられた首元は、敏感になりすぎている。
 何度も優しい刺激を受けて、そこはどんどん感じやすくなっていくようだ。
 同じ力で軽く噛まれただけなのに、びくんと全身が痙攣した。


 足に力が入らない。背後のデスフーイに抱き留められていなければ、倒れていたかもしれない。

 体が微かに動くたびに、下半身から、抗い難いものが湧いてくる。

 もう、動きたくない。

 それなのに、首元に触れたフィーレアの執拗な愛撫は終わらない。
 何度もくすぐられて、しゃぶられて、今度は腰が跳ね上がる。


「あっ……ぁっ……っっ!!」


 かすかに、下半身と、着ているものが擦れる。
 それは、いつもなら何ら気にしない程度のものでしかないのに、今は十分な刺激になる。


「ぁっ……っ! ……も、もうっ……っ!!」


 やめて、そう言おうとしたはずなのに。
 首元を、さっきまでよりずっと強くしゃぶられて、漏れたのは喘ぐ声だけ。

 濡れた肌と唇が擦れる音が、耳元をくすぐる。それだけで、体を締め付けられるようだ。

 もう、動いてはならない。かすかな刺激だけでも、中心は昂ってしまう。二人の前で、勃たせているところなど、見せられるはずもない。

 それなのに、口からは拒絶の言葉を発することができない。


(このままじゃ…………止めなきゃいけないのに……気持ちいい……)


 何度喘いでも、二人とも、チイルを離してはくれなかった。

 こすれた中心が苦しい。かすかな刺激すら、そこを膨らませるには十分だった。

 膨らんだそこを、二人が見逃してくれるはずもなく。

 背後からチイルを捕まえていたデスフーイの手が、チイルの中心に触れた。


「やっ……ぃやっ…………デスフーイさまっっ!!」


 もう、布がこすれる刺激だけでイキそうになっているチイルには、それはあまりにも残酷すぎる刺激だった。
 すでに限界まで耐えていた体は、一気に欲望を溜めて、はちきれそうだ。


「ぃやっ……! だ、だめっ……!! デスフーイさまっ!!」
「だって、そのままじゃ、辛いだろ?」


 囁くような声。慰めるように優しいのに、彼の手は、チイルの一番敏感なところをさらに刺激する。


 溢れでた快楽が力を奪っていく。もう、自分で立つことなど、できなくなっていた。

 足に力が入らない。
 快楽で体が痺れる。

 背後から伸びたデスフーイの手は、容赦なくチイルの体に快楽を押し込んでくる。


「……っ! やっ……やぁっ…………ですふーい……さまぁ……やめっ……んっ!!」


 ちゅうっと、吸う音がして、かすかに首元が傷む。

 それを最後に、フィーレアの唇が離れていく。
 たっぷり嬲られたそこにも、大きな赤い跡ができていた。

 背後のデスフーイに、体を押さえ込まれているせいで、どうしてもフィーレアと目があってしまう。
 一番弱いところを嬲られて、それでも逃げられずに、首には赤い跡をつけて、少しでも快楽から逃れようと体をくねらせる姿を、フィーレアはじっと見下ろしていた。


「やだ…………み、見ないでください…………」


 せめて、視線から逃れたかった。
 快楽に溺れる姿など、大切な主である二人に見られたくない。
 けれど、背後のデスフーイに強く押さえ込まれていて、少しも動けない。
 無理矢理に視線の支配下に置かれ、チイルは恥ずかしさのあまり、泣き出してしまいそうだった。


 それなのに、デスフーイの手は、フィーレアの目の前で、身悶えるチイルを追い詰めていく。


「ぁっ……やだっ…………! で、ですふーいさまっ……! もうっ……許してくださいっ……あぅっ!!」


 快楽と熱が、一気に溢れた。


 フィーレアの手までもが、すでに限界に達していたチイルの中心を弄び始めたのだ。

 もう、先から漏れていきそうなのに。

 耐えていても、じわっと、先が濡れてくる。
 漏れた先走りが、足を汚していくのが分かった。


「い、いやっ……フィーレアさま!! デスフーイさまぁっ……! も、もぅっ……許してくださいっ……! 出ちゃうっ……!!」


 涙ながらに懇願した。
 このままでは、二人の前で漏らしてしまう。それだけは、嫌だった。二人の前で、無様に射精するなんて。

 しかも、デスフーイとフィーレアは、暴れるチイルの体が擦れるほどそばにいて、チイルを挟んでいる。こんなところで出せば、二人を汚してしまうかもしれない。


 それなのに、フィーレアは、チイルに、耳元で囁く。


「出しなさい」
「え……ぁっ?」


 信じられない命令の後に、再び、一番弱いところを揉まれた。
 すでにチイルの体は、二人からもたらされた快感に沈んでいる。
 溢れていきそうなものを、かすかな理性だけで止めても、二人とも、張り詰めたものを、まるでからかうように撫でてくる。


「チイル……出せよ……」


 命じるような、デスフーイの声。それがチイルにとって、どれだけ恐ろしい命令か、分かっていないようだ。


「ゃっ……!! いやっ……だ、ダメっ……! お、お二人の……手がっ……汚れちゃいますっ!!」
「いいからっ……出せって……」
「んっ……!」


 二人が、示し合わせたように、力を強めてくる。

 もう、抗うことなどできるはずもなく、先から、白濁が溢れていく。

 それと一緒に、全身の力まで抜けていくようだ。
 足の感覚がない。それどころか、下半身が蕩けて、言うことを聞かない。


 パタパタと畳に、チイルが漏らしたものが落ちていく音が聞こえた。


 全身が焼けてしまうほどに恥ずかしい。
 抵抗して、体がこすれて、汗ばんだ体は紅潮していた。


 二人の前でだらしなく畳を汚してしまい、チイルはもう泣き出してしまうだ。


「ぅっ……や……ぁっ……」


 ぎゅうっと、泣いている体が抱きしめられた。

 デスフーイだ。

 彼の体に包まれて、正面のフィーレアまでもが、チイルを囲むように抱きしめる。


「チイル……あなたが嫌なら、これ以上はしません……」
「え……?」


 二人とも、チイルを抱きしめてその体に顔を埋めるように俯いていたから、顔を見合わせることはできない。

 けれど、チイルの答えは、決まっていた。
 それを告げようと、口をひらく。


 しかしその時、突然、障子が開いた。


「フィーレア、デスフーイ。チイルが…………」


 部屋に入ってきたレアデウは、二人に抱きしめられ惚けるチイルを見て、顔色を変える。


「あ……いや…………すまん……その……」


 彼は目をそらすが、チイルはもう真っ赤だった。


 二人を振り払い、部屋を飛び出してしまう。
 背後から呼び止められた気がしたが、止まれなかった。
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