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13*ロステウィス視点*ただでは置かない
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王城に戻るまでは、しばらくかかった。陣営に残ったものを回収し、魔法の道具がもう暴走しないように注意を払わなければならない。
あの暴走に関わった奴らは拘束し、傷ついた部隊を魔法で回復して、王都に増援を要請し、次の日の昼には、王城に到着することができた。
それからすぐに、俺は一族を集めることにした。
何しろ、俺の留守中に、部隊を見捨てるような真似がされたのだ。それは、任務についた隊員たちを危険に晒すような行為だ。そんなことを許してはおけない。
俺が王城に入ると、一族の男で、この国で魔法の管理をしている大臣のヴィクトウェトルが俺を出迎える。エメラルドのような緑色の長髪の美しい男で、この辺りではまず手に入らない魔法の紋章がなされたローブを着ている。いつも握っている杖は今日は彼の手にないが、精霊の国で宝と呼ばれるものらしい。その魔法で国の魔法の植物が死に絶えそうになった時に、それを救った褒美らしい。いつもこちらを威嚇するような顔をしているが、機嫌が悪いわけではなく、作戦を練っているとそういう顔になると話していた。たまに辛辣なことも言うが、切れ者でさまざまな魔法を操る頼りになる男だ。
「ロステウィス。今回の遠征は最悪だったそうですね。あなたともあろうものが、どうしたのです?」
「……俺を謀った奴がいる」
「は?」
謀った、と言われて、彼は眉をひそめた。
「謀る? どういうことです?」
「フィルロファルのことだ。あの幽閉先で、ろくに食事も与えられず、枷も外されていない」
「まさか……向こうへ着いたら、枷は必要ないはずですし、外すことになっているはずですが……」
「本当だ! あいつは、ろくな装備もなく破れた服を着て、山で集めた物を食べていたんだ!」
「…………そんなことが行われていたとは……」
「幽閉の手続きは俺がした。物資も届けていたはずだっ……!」
「知っていますよ。あなたが、公爵家ですると言い出したのですから。公爵家のことを思えば、それが正しいとは言えないと何度も忠告したのに」
「婚約している間、何もできずに、彼を助けることもできなかったんだ。それくらいはする」
「最後の義理ということですか? そもそも、もう婚約の話はなかったことになっています。公爵家の中でも、彼が公爵家を害そうと企んだ可能性も捨てきれないと言われていたことを、あなたも知っていたはずです」
「それは分かっている。だが、今回のことは許しておけない! 公爵家が行った手続きはどこかで揉み消され、彼に送ったものはどこかで消えたんだ! どこへ消えたと思う? 誰かが奪っていったんだ! こんなことを、俺たちが黙認すれば、横領を認めたことになる。馬鹿にしやがってっ…………!」
苛立ちのあまり、壁を殴りつける。
彼の拘束の手続きは、俺がした。彼を反逆者と信じて疑わない連中が、彼を有罪に追い込もうという動きもあったからだ。必要以上に彼は傷つけられないように配慮した。それなのに……
フィルロファルは、婚約の話が持ち上がった時から、口数は少なく、俺の隣で俺を見上げているような奴だった。公爵家が婚約の話は見送ると決定した時も、何も言わなかった。ただ、分かっていると言わんばかりに「はい」と言っただけだった。
拒絶されているのかと思っていたが、俺の立場のことを考えて、それしか言わなかったんだ。そんなことをすれば、自分がどうなるか、知っていたはずなのに。
ふざけた真似をして、俺たちを蔑ろにした奴がいる。こんなことが許せるか。
「公爵家が侮辱されたんだ。ただでは置かないぞ……」
「落ち着いてください……」
「お前は何を落ち着いているんだ? ふざけていたでは済まされない事態だぞ」
「……分かっています。しかし……本当にそうだとすると、彼は、公爵家が婚姻を結ぼうとしていた男です。その彼が嵌められたのなら、必ず、なんらかの意図があったと見て間違いないでしょう。例えば、この婚約を潰したい、とか……」
「なに……?」
「そんなことを考える輩からすれば、婚約が正式に決定し、その発表がされる前に、片をつけてしまいたかったはずです」
「……正式発表がされる前に、彼を潰しておきたかった……そういうことか?」
「はい。あなたとの婚約など、実際にする者からしたら、これからの将来が台無しになる悪夢ですが、その一族にとっては、利益の大きい夢のような話ですからね。婚約というか、生贄か犠牲と言った方が正しいのかもしれませんが」
「黙れ。何が台無しだ」
「なっているではありませんか。実際に。今」
「…………」
彼の言うとおりだ……もしもそうだとすれば、フィルロファルは策略の犠牲になったのか……
くそ……
あの陣営で別れた彼のことを思い出す。あの時も、彼は俺と公爵家のことを案じていた。そんな奴を、俺はあの砦に放置していたんだ。俺は、なんてことを……
……ふざけた真似をしやがって…………
「…………絶対に許さない……」
あの暴走に関わった奴らは拘束し、傷ついた部隊を魔法で回復して、王都に増援を要請し、次の日の昼には、王城に到着することができた。
それからすぐに、俺は一族を集めることにした。
何しろ、俺の留守中に、部隊を見捨てるような真似がされたのだ。それは、任務についた隊員たちを危険に晒すような行為だ。そんなことを許してはおけない。
俺が王城に入ると、一族の男で、この国で魔法の管理をしている大臣のヴィクトウェトルが俺を出迎える。エメラルドのような緑色の長髪の美しい男で、この辺りではまず手に入らない魔法の紋章がなされたローブを着ている。いつも握っている杖は今日は彼の手にないが、精霊の国で宝と呼ばれるものらしい。その魔法で国の魔法の植物が死に絶えそうになった時に、それを救った褒美らしい。いつもこちらを威嚇するような顔をしているが、機嫌が悪いわけではなく、作戦を練っているとそういう顔になると話していた。たまに辛辣なことも言うが、切れ者でさまざまな魔法を操る頼りになる男だ。
「ロステウィス。今回の遠征は最悪だったそうですね。あなたともあろうものが、どうしたのです?」
「……俺を謀った奴がいる」
「は?」
謀った、と言われて、彼は眉をひそめた。
「謀る? どういうことです?」
「フィルロファルのことだ。あの幽閉先で、ろくに食事も与えられず、枷も外されていない」
「まさか……向こうへ着いたら、枷は必要ないはずですし、外すことになっているはずですが……」
「本当だ! あいつは、ろくな装備もなく破れた服を着て、山で集めた物を食べていたんだ!」
「…………そんなことが行われていたとは……」
「幽閉の手続きは俺がした。物資も届けていたはずだっ……!」
「知っていますよ。あなたが、公爵家ですると言い出したのですから。公爵家のことを思えば、それが正しいとは言えないと何度も忠告したのに」
「婚約している間、何もできずに、彼を助けることもできなかったんだ。それくらいはする」
「最後の義理ということですか? そもそも、もう婚約の話はなかったことになっています。公爵家の中でも、彼が公爵家を害そうと企んだ可能性も捨てきれないと言われていたことを、あなたも知っていたはずです」
「それは分かっている。だが、今回のことは許しておけない! 公爵家が行った手続きはどこかで揉み消され、彼に送ったものはどこかで消えたんだ! どこへ消えたと思う? 誰かが奪っていったんだ! こんなことを、俺たちが黙認すれば、横領を認めたことになる。馬鹿にしやがってっ…………!」
苛立ちのあまり、壁を殴りつける。
彼の拘束の手続きは、俺がした。彼を反逆者と信じて疑わない連中が、彼を有罪に追い込もうという動きもあったからだ。必要以上に彼は傷つけられないように配慮した。それなのに……
フィルロファルは、婚約の話が持ち上がった時から、口数は少なく、俺の隣で俺を見上げているような奴だった。公爵家が婚約の話は見送ると決定した時も、何も言わなかった。ただ、分かっていると言わんばかりに「はい」と言っただけだった。
拒絶されているのかと思っていたが、俺の立場のことを考えて、それしか言わなかったんだ。そんなことをすれば、自分がどうなるか、知っていたはずなのに。
ふざけた真似をして、俺たちを蔑ろにした奴がいる。こんなことが許せるか。
「公爵家が侮辱されたんだ。ただでは置かないぞ……」
「落ち着いてください……」
「お前は何を落ち着いているんだ? ふざけていたでは済まされない事態だぞ」
「……分かっています。しかし……本当にそうだとすると、彼は、公爵家が婚姻を結ぼうとしていた男です。その彼が嵌められたのなら、必ず、なんらかの意図があったと見て間違いないでしょう。例えば、この婚約を潰したい、とか……」
「なに……?」
「そんなことを考える輩からすれば、婚約が正式に決定し、その発表がされる前に、片をつけてしまいたかったはずです」
「……正式発表がされる前に、彼を潰しておきたかった……そういうことか?」
「はい。あなたとの婚約など、実際にする者からしたら、これからの将来が台無しになる悪夢ですが、その一族にとっては、利益の大きい夢のような話ですからね。婚約というか、生贄か犠牲と言った方が正しいのかもしれませんが」
「黙れ。何が台無しだ」
「なっているではありませんか。実際に。今」
「…………」
彼の言うとおりだ……もしもそうだとすれば、フィルロファルは策略の犠牲になったのか……
くそ……
あの陣営で別れた彼のことを思い出す。あの時も、彼は俺と公爵家のことを案じていた。そんな奴を、俺はあの砦に放置していたんだ。俺は、なんてことを……
……ふざけた真似をしやがって…………
「…………絶対に許さない……」
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