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21*ロステウィス視点*後始末と解明のために
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王城から少し離れたところにある、小さな屋敷の暗い廊下の奥。そこにある、古ぼけたドアの前に、俺と俺の一族の魔法使い、ヴィクトウェトルと、俺の部隊の面々、部隊に連行されて来たデペンフィトが立っている。
「ここか?」
俺がたずねると、デペンフィトは真っ青な顔で、慌てた様子で言った。
「た、多分……あのっ……ロステウィス様!! ち、違うんですっ……!! 私たちはただ、し、指示を受けてしていただけで……」
「その指示を出していた連中を拘束するためだ。ドアを開けろ」
「……でも……」
往生際の悪い男の前で剣を抜く。もうこの男の言い訳には付き合っていられない。
俺の剣を見て、デペンフィトは震え上がると、ドアに鍵を差し込んだ。魔法の鍵だ。こいつと、こいつに指示を出した貴族しか開けられないようになっているらしい。
この屋敷を包囲させた部隊からは、屋敷から誰かが逃亡したと言う連絡はない。気づかれてはいないようだ。
俺は、連れてきた部隊に目で合図を送り、頷く。
そして、鍵の開いた部屋のドアを勢いよく開いた。
中にいた者たちが、怯えた目で振り向く。
ここは、研究の名目で、デペンフィトが使っていた屋敷だ。しかし、デペンフィトと彼の一族が研究のためだと言って王家に届け出ていた施設は、盗んだものを保管するための場所になっていて、彼らは、よりにもよって、王家のための魔法の道具の管理だと言っては人を集め、こうして働かせていたようだ。
この部屋の中にも、ずらっと棚が並び、魔法の道具が並んでいる。
そして、そこに取り残されていた数人が、俺たちに振り向いた。
全員、ひどく怯えた顔をしている。ボロボロのローブの下から出ている手足はひどく痩せていて、傷跡が見えた。彼らは皆、平民や貴族の家から、金と引き換えにつれてこられた者たちだ。休むことも許されず、ここで魔法の道具を管理するために働かされていたらしい。
そのうちの一人が前に出て、俺の前に跪いた。
「宰相様……ようこそ、いらっしゃいました」
「……俺がなぜここに来たのか、分かるのか?」
「はい……」
言って、その男は顔を上げる。
「ここで行われたことは、僕がすべて、指示を出しました……僕が全部……僕が全て指示して、みんなにさせていたのです」
「……」
震えることもなく、どこか、諦めたような口調だった。誰かにそう言うことを強要されていることは明らかだ。その男の首には絞められたような跡があり、手は傷だらけ、頬は腫れていた。
彼らを拷問して、言いなりなるよう強制してきたことは、ここに来る前にデペンフィトから聞き出している。
俺は、跪く男の前にしゃがみ込んで、彼に手を伸ばした。
「立ってくれ」
「…………え……」
「俺は、君たちを拘束しに来たんじゃない。保護しに来たんだ」
「え……保護?」
「君たちが、ここで全てを強制されていたことはわかっている。もう、そんなふうに怯えることはない」
「え……で、で、も…………ほ、本当に、僕がっ……あのっ……」
彼はまだ、戸惑っているようだった。自分の身に起こっていることが信じられないのだろう。それに、俺の背後には拘束されたデペンフィトがいるのだから、そいつのことが怖くて何も言えないらしい。彼のその様子だけで、ここで彼らが脅されていたことは明白だ。
俺は立ち上がり、部隊の魔法使いたちに振り向いた。
「全員保護しろ。置いてある魔法の道具も回収するんだ」
俺の指示を聞いて、すぐに部隊が倉庫に入って行く。
背後では、青い顔をしたデペンフィトが震えていた。
「こ、これで、俺も全て話しました! お、俺も命じられていて……その……逆らえなくて…………」
この国の有力貴族の名を上げて、その男は、ひどく汗をかきながら、言い訳を並べ立てていた。
この男の取り巻きたちから、この男とこの男の一族が、横領して得た金で豪遊した上に、ここにいるような魔法使いたちを暴力で言いなりにしてきたことは、調べがついている。それでも今更そんな言い訳が通用すると思っているらしい。
「黙れ」
「しっ、しかしっ…………ロステウィスさまっ……!!」
「黙れと言っただろう。また殴られたいのか?」
「…………っっ!!」
怯えたのか、その男はやっと黙る。
感情的になるなとは言われているが、最後まで冷静でいるのは難しそうだ。そして、俺を止める奴も、誰もいない。
俺は、ヴィクトウェトルに振り向いた。
「これで最後か?」
「はい……そうですね……」
そう答えるヴィクトウェトルも、いつもとは様子が違い、随分苛立っているようだった。彼も、今回の事態を目の当たりにして、怒りを禁じ得ないようだ。
彼は、この国の魔法を管理する大臣で、今回の事件を解決する責任者のうちの一人に指名されている。
魔法の道具や武器を管理していた大臣はいるが、彼らは今回の事件に関与した可能性があるため、謹慎になった。
「ここか?」
俺がたずねると、デペンフィトは真っ青な顔で、慌てた様子で言った。
「た、多分……あのっ……ロステウィス様!! ち、違うんですっ……!! 私たちはただ、し、指示を受けてしていただけで……」
「その指示を出していた連中を拘束するためだ。ドアを開けろ」
「……でも……」
往生際の悪い男の前で剣を抜く。もうこの男の言い訳には付き合っていられない。
俺の剣を見て、デペンフィトは震え上がると、ドアに鍵を差し込んだ。魔法の鍵だ。こいつと、こいつに指示を出した貴族しか開けられないようになっているらしい。
この屋敷を包囲させた部隊からは、屋敷から誰かが逃亡したと言う連絡はない。気づかれてはいないようだ。
俺は、連れてきた部隊に目で合図を送り、頷く。
そして、鍵の開いた部屋のドアを勢いよく開いた。
中にいた者たちが、怯えた目で振り向く。
ここは、研究の名目で、デペンフィトが使っていた屋敷だ。しかし、デペンフィトと彼の一族が研究のためだと言って王家に届け出ていた施設は、盗んだものを保管するための場所になっていて、彼らは、よりにもよって、王家のための魔法の道具の管理だと言っては人を集め、こうして働かせていたようだ。
この部屋の中にも、ずらっと棚が並び、魔法の道具が並んでいる。
そして、そこに取り残されていた数人が、俺たちに振り向いた。
全員、ひどく怯えた顔をしている。ボロボロのローブの下から出ている手足はひどく痩せていて、傷跡が見えた。彼らは皆、平民や貴族の家から、金と引き換えにつれてこられた者たちだ。休むことも許されず、ここで魔法の道具を管理するために働かされていたらしい。
そのうちの一人が前に出て、俺の前に跪いた。
「宰相様……ようこそ、いらっしゃいました」
「……俺がなぜここに来たのか、分かるのか?」
「はい……」
言って、その男は顔を上げる。
「ここで行われたことは、僕がすべて、指示を出しました……僕が全部……僕が全て指示して、みんなにさせていたのです」
「……」
震えることもなく、どこか、諦めたような口調だった。誰かにそう言うことを強要されていることは明らかだ。その男の首には絞められたような跡があり、手は傷だらけ、頬は腫れていた。
彼らを拷問して、言いなりなるよう強制してきたことは、ここに来る前にデペンフィトから聞き出している。
俺は、跪く男の前にしゃがみ込んで、彼に手を伸ばした。
「立ってくれ」
「…………え……」
「俺は、君たちを拘束しに来たんじゃない。保護しに来たんだ」
「え……保護?」
「君たちが、ここで全てを強制されていたことはわかっている。もう、そんなふうに怯えることはない」
「え……で、で、も…………ほ、本当に、僕がっ……あのっ……」
彼はまだ、戸惑っているようだった。自分の身に起こっていることが信じられないのだろう。それに、俺の背後には拘束されたデペンフィトがいるのだから、そいつのことが怖くて何も言えないらしい。彼のその様子だけで、ここで彼らが脅されていたことは明白だ。
俺は立ち上がり、部隊の魔法使いたちに振り向いた。
「全員保護しろ。置いてある魔法の道具も回収するんだ」
俺の指示を聞いて、すぐに部隊が倉庫に入って行く。
背後では、青い顔をしたデペンフィトが震えていた。
「こ、これで、俺も全て話しました! お、俺も命じられていて……その……逆らえなくて…………」
この国の有力貴族の名を上げて、その男は、ひどく汗をかきながら、言い訳を並べ立てていた。
この男の取り巻きたちから、この男とこの男の一族が、横領して得た金で豪遊した上に、ここにいるような魔法使いたちを暴力で言いなりにしてきたことは、調べがついている。それでも今更そんな言い訳が通用すると思っているらしい。
「黙れ」
「しっ、しかしっ…………ロステウィスさまっ……!!」
「黙れと言っただろう。また殴られたいのか?」
「…………っっ!!」
怯えたのか、その男はやっと黙る。
感情的になるなとは言われているが、最後まで冷静でいるのは難しそうだ。そして、俺を止める奴も、誰もいない。
俺は、ヴィクトウェトルに振り向いた。
「これで最後か?」
「はい……そうですね……」
そう答えるヴィクトウェトルも、いつもとは様子が違い、随分苛立っているようだった。彼も、今回の事態を目の当たりにして、怒りを禁じ得ないようだ。
彼は、この国の魔法を管理する大臣で、今回の事件を解決する責任者のうちの一人に指名されている。
魔法の道具や武器を管理していた大臣はいるが、彼らは今回の事件に関与した可能性があるため、謹慎になった。
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