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24.しばらくいてやるよ
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「これ、おいしーーーーい!!」
そう言って、小さな竜は、僕が取ってきたキノコを、魔法の炎で焼いては口に入れている。
宰相様に渡す分だけかき集めたから、あまり渡したくはなかったけど、砦に帰って来てからも、よほど食べたいらしく、じーーっと見て来るから、少しあげることにしたんだ。
竜はそれがよほど気に入ったみたい。
砦の中の窓の大きい部屋で、夜になってきた空を見上げながら、新しいカゴに盛られた、かなり細かく刻まれたキノコのかけらを尻尾で飛ばして口に入れている。
「これ、いいね。僕、気に入った!! 僕の住んでるところにはなかったなー。こんなきのこ!!」
「竜さんは、このあたりに住む竜ではないんですか?」
「うん。僕、隣の国から友達に会いに来たんだ!!」
「友達……? じゃあ、ここにいていいんですか? 心配してるんじゃ……」
「大丈夫大丈夫! 遊びに行って来るって、ちゃんと話して来たから! 楽しんでこいって言ってた!」
「……よければ、その方のところまで使い魔で連絡しますが……」
「本当!?」
「場所がわからないので、使い魔だけ作って渡します。飛ばすことはできますか?」
「うん!! もちろん!! ありがとーー!!」
「じゃあ……これから魔力を抑えてみるので、抑えすぎだったり、気に入らなかったら、すぐに言ってください」
僕は、部屋にあった細い杖の形をした魔法の道具を持って来た。それを使いながら結界を張れば、魔力の暴走を抑えることができる。
杖が僕の魔力を受けて輝き出すと、竜も、頷いていた。
「……うん。暴れてた魔力が落ち着いていくみたい! 僕が欲しかったものとは違うけど、いい感じだよ!」
「そうですか……」
よかった……うまくいって。
ホッとしていると、竜は、ソファの上に、砦のどこかの部屋から持って来たクッションをたくさん集めてのゴロゴロしだす。
「ここ、居心地いいねー。いっぱい魔法で修復したあとがあるけど、お前がしたの?」
「はい……まだ途中ですが……」
「ふーーん……このあたり、小さな魔物が多いのにー。お前は街には住まないの?」
「この砦の管理を任されているので……」
「じゃあ、魔力を抑えるのがうまくいったら、僕がここにいて手伝ってあげる!」
「え……でも、せっかく友達に会いに来たのに……」
「大丈夫大丈夫ー」
竜はそう言って、近くにあった、ずっと消えたままの魔法のランタンに魔力をこめる。すると、それはゆっくりと光りだした。僕だと魔力が少なくて明かりがつかなかったのに……
「あ……ありがとうございます……」
あれ、魔物を遠ざけたり攻撃に使えたりと、かなり便利な機能もあるランタンみたいだから、助かる。
竜もどこか得意げだ。
「僕、こう見えてすごい竜なんだよ! 物凄く強いんだから!! 王国の魔法使いがみんな集まったって、僕にはぜーーったいっ敵わないよっっ!!」
そう言って胸を張る姿はなんだか子供っぽく見えるけど……竜の年齢は見た目では分からないし、王国の魔法使いと喧嘩をされたら困るなぁ……
僕は、部屋の隅に置かれた大きな箱を開ける。この中に、砦にあった魔法の道具を入れてあるんだ。
その中の一つを取り出して、魔力を込めた。細くて薄い生地のリボンのようなものに、いくつか宝石みたいなものを嵌め込んである、装飾品にも見えるものだ。
魔力を込めても、僕じゃなかなか動かないけど……
「君は魔力があんまりないの? 貸してみなよ」
そう言って、竜がほんの少し魔力を込めたら、それはすぐに美しく光出す。
すごい……さすがだ……僕ではこうはいかない。
魔力を得て起動されたそれは、元は髪飾りのようにして頭につけておくものだけど、竜を連れ帰ってから、首にも巻けるように少し改良してみた。
「起動の時に、大きな魔力がいるんです。首に巻いておけば、この砦を離れても、暴走する魔力を抑えてくれますから……安心してください」
それを竜の首の辺りにそっと巻くと、竜は嬉しそうに笑ってくれた。
「すごい!! なんだか、体に溜まっていた余計な魔力がスッキリ整えられた気分だよ!!」
よ……余計な魔力………………
魔力が怖いくらい潤沢にある彼ならではのセリフだろう。
いいなぁ……
僕みたいに、全然魔力がない奴からしたら、羨ましくてたまらないよ。
だけど、このままだとすぐにほどけてしまいそう。確かに魔力は抑えられているけど、まだ改良がいる。
僕が修理したものだからな……
「一応、僕があなたの魔力を抑えるために使ってるってことになっているので、しばらくはここにいて欲しいのですが……」
「うん。いいよーー」
「じゃあ、その間に、もう少し使いやすいように調整してみます」
「明日でいいよーー。僕、お腹空いて来たー」
竜は、ソファでゴロゴロ転がりだす。すっかりくつろいじゃっているみたいだ。ついさっき、僕らを襲って来た竜だなんて思えない。
「僕もここが気に入ったし、魔力が安定するのも楽でいい。ご飯も美味しいし……しばらくいてあげる!」
「……あ、ありがとうございます……」
態度の大きな竜だなあ……
だけど、魔力を貸してくれるのはありがたい。砦や他のものの修復にも力を貸してくれないかな……
彼の魔力で、ランタンにも魔法の明かりが灯ったから、夜でも明るく外を照らせそうだ。
そこに、レオトウェルラレット様が入って来た。
「そっちは終わったかー?」
「はい。まだ調整が必要ですが、これでしばらくは竜さんも大丈夫だと思います!」
「すげーな……ここにあるものはガラクタばっかりかと思ってたが……そんなこともできるのか……」
「幽閉が決まってから、よく夜に一人で壊れたものをいじっていたんです。結構楽しくて……直ると嬉しいし、生活するのにも必要だったから……そんなものが役に立って、本当に良かったです!」
「そうか…………」
そこに、オフィセイール様も入って来る。
「王都の方に、報告のための使い魔を送ったが、まだ返事がない……何かあったのか…………?」
「また会議が長引いてるんじゃね? 最近、貴族たちの保身のせいで、なかなか話が進まないんだよ……」
呆れたように言って、レオトウェルラレット様はあくびをしていた。
そう言って、小さな竜は、僕が取ってきたキノコを、魔法の炎で焼いては口に入れている。
宰相様に渡す分だけかき集めたから、あまり渡したくはなかったけど、砦に帰って来てからも、よほど食べたいらしく、じーーっと見て来るから、少しあげることにしたんだ。
竜はそれがよほど気に入ったみたい。
砦の中の窓の大きい部屋で、夜になってきた空を見上げながら、新しいカゴに盛られた、かなり細かく刻まれたキノコのかけらを尻尾で飛ばして口に入れている。
「これ、いいね。僕、気に入った!! 僕の住んでるところにはなかったなー。こんなきのこ!!」
「竜さんは、このあたりに住む竜ではないんですか?」
「うん。僕、隣の国から友達に会いに来たんだ!!」
「友達……? じゃあ、ここにいていいんですか? 心配してるんじゃ……」
「大丈夫大丈夫! 遊びに行って来るって、ちゃんと話して来たから! 楽しんでこいって言ってた!」
「……よければ、その方のところまで使い魔で連絡しますが……」
「本当!?」
「場所がわからないので、使い魔だけ作って渡します。飛ばすことはできますか?」
「うん!! もちろん!! ありがとーー!!」
「じゃあ……これから魔力を抑えてみるので、抑えすぎだったり、気に入らなかったら、すぐに言ってください」
僕は、部屋にあった細い杖の形をした魔法の道具を持って来た。それを使いながら結界を張れば、魔力の暴走を抑えることができる。
杖が僕の魔力を受けて輝き出すと、竜も、頷いていた。
「……うん。暴れてた魔力が落ち着いていくみたい! 僕が欲しかったものとは違うけど、いい感じだよ!」
「そうですか……」
よかった……うまくいって。
ホッとしていると、竜は、ソファの上に、砦のどこかの部屋から持って来たクッションをたくさん集めてのゴロゴロしだす。
「ここ、居心地いいねー。いっぱい魔法で修復したあとがあるけど、お前がしたの?」
「はい……まだ途中ですが……」
「ふーーん……このあたり、小さな魔物が多いのにー。お前は街には住まないの?」
「この砦の管理を任されているので……」
「じゃあ、魔力を抑えるのがうまくいったら、僕がここにいて手伝ってあげる!」
「え……でも、せっかく友達に会いに来たのに……」
「大丈夫大丈夫ー」
竜はそう言って、近くにあった、ずっと消えたままの魔法のランタンに魔力をこめる。すると、それはゆっくりと光りだした。僕だと魔力が少なくて明かりがつかなかったのに……
「あ……ありがとうございます……」
あれ、魔物を遠ざけたり攻撃に使えたりと、かなり便利な機能もあるランタンみたいだから、助かる。
竜もどこか得意げだ。
「僕、こう見えてすごい竜なんだよ! 物凄く強いんだから!! 王国の魔法使いがみんな集まったって、僕にはぜーーったいっ敵わないよっっ!!」
そう言って胸を張る姿はなんだか子供っぽく見えるけど……竜の年齢は見た目では分からないし、王国の魔法使いと喧嘩をされたら困るなぁ……
僕は、部屋の隅に置かれた大きな箱を開ける。この中に、砦にあった魔法の道具を入れてあるんだ。
その中の一つを取り出して、魔力を込めた。細くて薄い生地のリボンのようなものに、いくつか宝石みたいなものを嵌め込んである、装飾品にも見えるものだ。
魔力を込めても、僕じゃなかなか動かないけど……
「君は魔力があんまりないの? 貸してみなよ」
そう言って、竜がほんの少し魔力を込めたら、それはすぐに美しく光出す。
すごい……さすがだ……僕ではこうはいかない。
魔力を得て起動されたそれは、元は髪飾りのようにして頭につけておくものだけど、竜を連れ帰ってから、首にも巻けるように少し改良してみた。
「起動の時に、大きな魔力がいるんです。首に巻いておけば、この砦を離れても、暴走する魔力を抑えてくれますから……安心してください」
それを竜の首の辺りにそっと巻くと、竜は嬉しそうに笑ってくれた。
「すごい!! なんだか、体に溜まっていた余計な魔力がスッキリ整えられた気分だよ!!」
よ……余計な魔力………………
魔力が怖いくらい潤沢にある彼ならではのセリフだろう。
いいなぁ……
僕みたいに、全然魔力がない奴からしたら、羨ましくてたまらないよ。
だけど、このままだとすぐにほどけてしまいそう。確かに魔力は抑えられているけど、まだ改良がいる。
僕が修理したものだからな……
「一応、僕があなたの魔力を抑えるために使ってるってことになっているので、しばらくはここにいて欲しいのですが……」
「うん。いいよーー」
「じゃあ、その間に、もう少し使いやすいように調整してみます」
「明日でいいよーー。僕、お腹空いて来たー」
竜は、ソファでゴロゴロ転がりだす。すっかりくつろいじゃっているみたいだ。ついさっき、僕らを襲って来た竜だなんて思えない。
「僕もここが気に入ったし、魔力が安定するのも楽でいい。ご飯も美味しいし……しばらくいてあげる!」
「……あ、ありがとうございます……」
態度の大きな竜だなあ……
だけど、魔力を貸してくれるのはありがたい。砦や他のものの修復にも力を貸してくれないかな……
彼の魔力で、ランタンにも魔法の明かりが灯ったから、夜でも明るく外を照らせそうだ。
そこに、レオトウェルラレット様が入って来た。
「そっちは終わったかー?」
「はい。まだ調整が必要ですが、これでしばらくは竜さんも大丈夫だと思います!」
「すげーな……ここにあるものはガラクタばっかりかと思ってたが……そんなこともできるのか……」
「幽閉が決まってから、よく夜に一人で壊れたものをいじっていたんです。結構楽しくて……直ると嬉しいし、生活するのにも必要だったから……そんなものが役に立って、本当に良かったです!」
「そうか…………」
そこに、オフィセイール様も入って来る。
「王都の方に、報告のための使い魔を送ったが、まだ返事がない……何かあったのか…………?」
「また会議が長引いてるんじゃね? 最近、貴族たちの保身のせいで、なかなか話が進まないんだよ……」
呆れたように言って、レオトウェルラレット様はあくびをしていた。
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