26 / 106
26.必要なことだから
しおりを挟む
僕らは、砦の外に出て夕飯の用意を始めた。
もうだいぶ暗い。だけど、竜がさっき灯してくれたランタンを置いているから、焚き火の周辺は明るいし、これだけで魔物も近づけないようにすることができる。
ここには普段僕ら以外に数人がいてくれて、結界の維持や魔物からの防衛なんかを手伝ってもらったり、砦の修復や維持を手伝ってもらっている。彼らの夕飯も用意するため、大きな鍋を火にかけて、レオトウェルラレット様がスープを作ってくれているから、火のそばにいるだけで、すごくいい匂いがする。
お腹が空きそう……
僕は、焚き火で暖まりながら、そばに椅子を置いて、結界の魔法の道具に、修復の魔法をかけていた。
これで、みんなでのんびり食事ができるはず!
ここの管理と、周辺を安全に保つことも、僕が言いつけられていることだけど、最近は魔物も少なくて、今日はみんなにのんびり食事をして欲しい。
僕の魔法で、壊れていた道具はゆっくりと形を取り戻していく。
すると、すぐそばの椅子の上で丸くなっていた竜が、頭を持ち上げた。
「すごいね……」
「え? えっと……ここには、砦を守るための便利な結界の道具がたくさんあるので……」
「違うよ。結界の魔法の道具じゃなくて、さっきの修復の魔法」
「……修復の魔法……ですか? こんなの、竜さんの魔法に比べたら、全然……すごくなんてないですよ?」
だって、山の中で対峙した時、本当に死ぬかと思ったんだから。僕の魔法で抑えられたのも、レオトウェルラレット様が僕を助けてくれて、竜の方も、僕が相手で油断していたんだ。
だけど竜は、僕が修復したものをじっと見つめている。
「何と比べてるのか分からないけど、攻撃の魔法と修復の魔法は別物だよ? 比べるものじゃない。魔力の使い方もちがう。その魔力で、ここまでできるなんて……」
「あ、ありがとうございます…………」
褒められたのかな……??
僕は魔力あんまりないから、なんとかそれでできる魔法を使っていただけなんだけど……
「もしかして、僕の魔力をおさえたのも、その修復の魔法?」
「はい……制御しきれずに暴れている魔力を、正常な状態になるまで収めていく感じです……あまり魔力がなくても、なんとか使えるので、調法してるんです。竜さんの魔力を抑えた時も、これを使いました」
「ふーん……そんな使い方、初めてみた」
「僕の魔法がなくても、その魔法の道具があれば、魔力の暴走は抑えられると思います……許可が出るまで、お渡しすることはできませんが……今、王城に連絡を取っているので、もう少しここで待っていてください」
「え? なんで?」
「へ? だめですか?」
「もう少しじゃなくて、僕がお前のそばにいれば、また暴走した時に抑えてくれるってことだろ?」
言って、竜は、僕が弄り回していた古いランタンに魔法をかける。すると、それは周りを優しく照らしてくれた。
「僕がいれば、お前が直したものも、ちゃんと使えるようになるんだから!! 僕、ここが気に入った!」
言って、竜は楽しそうに笑っている。確かに竜さんがいれば、魔力を貸してもらえて、僕だって嬉しいけど……
「竜さんをここに迎えるにも許可がいるんです……手続きをしなくてはならないので、よく考えて……」
「なんでそんなに許可がいるの!? 僕がここに住むだけなのに!! お前、この砦の主だろーー!!」
「僕、そんなんじゃないです……と、とにかく、許可は必要なんです。ここも、僕の砦ってわけじゃなくて、ここを守るために僕が使ってるだけだし……あんまり勝手なことできないんです」
「ふーん……じゃあ、僕が王城まで飛んで、許可もらってくる!」
「それはやめてください……」
「なんで!? ダメだって言ったら全部ぶっ壊してこようと思ったのに!」
竜は、椅子から飛び上がって、羽を大きく広げている。さっき僕を襲った時の大きな姿だったら震え上がったかもしれないけど、今はなんだか可愛い。だけど、王国にそんなことを言われるのは困る……竜が咎められたら気の毒だ。
「…………えーっと……もう少し待ってください……魔力の暴走を抑えることは、このあたりの地を守ることにもなるので……多分、許可してもらえると思います……」
「えー……僕と王城に行かない?」
「それはできません……ここで与えられた役目もあるし、砦の管理もあります。僕はここで警備隊の依頼を受けたり山を見回るのも、大事なことだと思ってるので……」
「……ふーん…………」
話していると、オフィセイール様がこの辺りの地図を持って来てくれる。
「他にも魔力の暴走がないか、明日調べたい。お前が一人で山を見回っていた時の情報も合わせて教えてくれるか?」
「あ、はい……もちろんです!」
もうだいぶ暗い。だけど、竜がさっき灯してくれたランタンを置いているから、焚き火の周辺は明るいし、これだけで魔物も近づけないようにすることができる。
ここには普段僕ら以外に数人がいてくれて、結界の維持や魔物からの防衛なんかを手伝ってもらったり、砦の修復や維持を手伝ってもらっている。彼らの夕飯も用意するため、大きな鍋を火にかけて、レオトウェルラレット様がスープを作ってくれているから、火のそばにいるだけで、すごくいい匂いがする。
お腹が空きそう……
僕は、焚き火で暖まりながら、そばに椅子を置いて、結界の魔法の道具に、修復の魔法をかけていた。
これで、みんなでのんびり食事ができるはず!
ここの管理と、周辺を安全に保つことも、僕が言いつけられていることだけど、最近は魔物も少なくて、今日はみんなにのんびり食事をして欲しい。
僕の魔法で、壊れていた道具はゆっくりと形を取り戻していく。
すると、すぐそばの椅子の上で丸くなっていた竜が、頭を持ち上げた。
「すごいね……」
「え? えっと……ここには、砦を守るための便利な結界の道具がたくさんあるので……」
「違うよ。結界の魔法の道具じゃなくて、さっきの修復の魔法」
「……修復の魔法……ですか? こんなの、竜さんの魔法に比べたら、全然……すごくなんてないですよ?」
だって、山の中で対峙した時、本当に死ぬかと思ったんだから。僕の魔法で抑えられたのも、レオトウェルラレット様が僕を助けてくれて、竜の方も、僕が相手で油断していたんだ。
だけど竜は、僕が修復したものをじっと見つめている。
「何と比べてるのか分からないけど、攻撃の魔法と修復の魔法は別物だよ? 比べるものじゃない。魔力の使い方もちがう。その魔力で、ここまでできるなんて……」
「あ、ありがとうございます…………」
褒められたのかな……??
僕は魔力あんまりないから、なんとかそれでできる魔法を使っていただけなんだけど……
「もしかして、僕の魔力をおさえたのも、その修復の魔法?」
「はい……制御しきれずに暴れている魔力を、正常な状態になるまで収めていく感じです……あまり魔力がなくても、なんとか使えるので、調法してるんです。竜さんの魔力を抑えた時も、これを使いました」
「ふーん……そんな使い方、初めてみた」
「僕の魔法がなくても、その魔法の道具があれば、魔力の暴走は抑えられると思います……許可が出るまで、お渡しすることはできませんが……今、王城に連絡を取っているので、もう少しここで待っていてください」
「え? なんで?」
「へ? だめですか?」
「もう少しじゃなくて、僕がお前のそばにいれば、また暴走した時に抑えてくれるってことだろ?」
言って、竜は、僕が弄り回していた古いランタンに魔法をかける。すると、それは周りを優しく照らしてくれた。
「僕がいれば、お前が直したものも、ちゃんと使えるようになるんだから!! 僕、ここが気に入った!」
言って、竜は楽しそうに笑っている。確かに竜さんがいれば、魔力を貸してもらえて、僕だって嬉しいけど……
「竜さんをここに迎えるにも許可がいるんです……手続きをしなくてはならないので、よく考えて……」
「なんでそんなに許可がいるの!? 僕がここに住むだけなのに!! お前、この砦の主だろーー!!」
「僕、そんなんじゃないです……と、とにかく、許可は必要なんです。ここも、僕の砦ってわけじゃなくて、ここを守るために僕が使ってるだけだし……あんまり勝手なことできないんです」
「ふーん……じゃあ、僕が王城まで飛んで、許可もらってくる!」
「それはやめてください……」
「なんで!? ダメだって言ったら全部ぶっ壊してこようと思ったのに!」
竜は、椅子から飛び上がって、羽を大きく広げている。さっき僕を襲った時の大きな姿だったら震え上がったかもしれないけど、今はなんだか可愛い。だけど、王国にそんなことを言われるのは困る……竜が咎められたら気の毒だ。
「…………えーっと……もう少し待ってください……魔力の暴走を抑えることは、このあたりの地を守ることにもなるので……多分、許可してもらえると思います……」
「えー……僕と王城に行かない?」
「それはできません……ここで与えられた役目もあるし、砦の管理もあります。僕はここで警備隊の依頼を受けたり山を見回るのも、大事なことだと思ってるので……」
「……ふーん…………」
話していると、オフィセイール様がこの辺りの地図を持って来てくれる。
「他にも魔力の暴走がないか、明日調べたい。お前が一人で山を見回っていた時の情報も合わせて教えてくれるか?」
「あ、はい……もちろんです!」
510
あなたにおすすめの小説
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※短編です。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4800文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
転生モブは穏やかに過ごしたい
ゆき
BL
火事に巻き込まれそうになった瞬間、エヴァンは前世の記憶を思い出した。
前世で火事によって命を落としたこと、そして自分がBLゲームのモブキャラクターに転生していることを――。
せっかくの第二の人生。しかも物語に関わらないはずのモブ。それならば今世こそ穏やかに過ごしたい。
そう考えていたエヴァンだったが、なぜか登場人物たちが放っておいてくれない……?!
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる