僕を振った奴がストーカー気味に口説いてきて面倒臭いので早く追い返したい。執着されても城に戻りたくなんてないんです!

迷路を跳ぶ狐

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26.必要なことだから

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 僕らは、砦の外に出て夕飯の用意を始めた。

 もうだいぶ暗い。だけど、竜がさっき灯してくれたランタンを置いているから、焚き火の周辺は明るいし、これだけで魔物も近づけないようにすることができる。

 ここには普段僕ら以外に数人がいてくれて、結界の維持や魔物からの防衛なんかを手伝ってもらったり、砦の修復や維持を手伝ってもらっている。彼らの夕飯も用意するため、大きな鍋を火にかけて、レオトウェルラレット様がスープを作ってくれているから、火のそばにいるだけで、すごくいい匂いがする。

 お腹が空きそう……

 僕は、焚き火で暖まりながら、そばに椅子を置いて、結界の魔法の道具に、修復の魔法をかけていた。

 これで、みんなでのんびり食事ができるはず!

 ここの管理と、周辺を安全に保つことも、僕が言いつけられていることだけど、最近は魔物も少なくて、今日はみんなにのんびり食事をして欲しい。

 僕の魔法で、壊れていた道具はゆっくりと形を取り戻していく。

 すると、すぐそばの椅子の上で丸くなっていた竜が、頭を持ち上げた。

「すごいね……」
「え? えっと……ここには、砦を守るための便利な結界の道具がたくさんあるので……」
「違うよ。結界の魔法の道具じゃなくて、さっきの修復の魔法」
「……修復の魔法……ですか? こんなの、竜さんの魔法に比べたら、全然……すごくなんてないですよ?」

 だって、山の中で対峙した時、本当に死ぬかと思ったんだから。僕の魔法で抑えられたのも、レオトウェルラレット様が僕を助けてくれて、竜の方も、僕が相手で油断していたんだ。

 だけど竜は、僕が修復したものをじっと見つめている。

「何と比べてるのか分からないけど、攻撃の魔法と修復の魔法は別物だよ? 比べるものじゃない。魔力の使い方もちがう。その魔力で、ここまでできるなんて……」
「あ、ありがとうございます…………」

 褒められたのかな……??

 僕は魔力あんまりないから、なんとかそれでできる魔法を使っていただけなんだけど……

「もしかして、僕の魔力をおさえたのも、その修復の魔法?」
「はい……制御しきれずに暴れている魔力を、正常な状態になるまで収めていく感じです……あまり魔力がなくても、なんとか使えるので、調法してるんです。竜さんの魔力を抑えた時も、これを使いました」
「ふーん……そんな使い方、初めてみた」
「僕の魔法がなくても、その魔法の道具があれば、魔力の暴走は抑えられると思います……許可が出るまで、お渡しすることはできませんが……今、王城に連絡を取っているので、もう少しここで待っていてください」
「え? なんで?」
「へ? だめですか?」
「もう少しじゃなくて、僕がお前のそばにいれば、また暴走した時に抑えてくれるってことだろ?」

 言って、竜は、僕が弄り回していた古いランタンに魔法をかける。すると、それは周りを優しく照らしてくれた。

「僕がいれば、お前が直したものも、ちゃんと使えるようになるんだから!! 僕、ここが気に入った!」

 言って、竜は楽しそうに笑っている。確かに竜さんがいれば、魔力を貸してもらえて、僕だって嬉しいけど……

「竜さんをここに迎えるにも許可がいるんです……手続きをしなくてはならないので、よく考えて……」
「なんでそんなに許可がいるの!? 僕がここに住むだけなのに!! お前、この砦の主だろーー!!」
「僕、そんなんじゃないです……と、とにかく、許可は必要なんです。ここも、僕の砦ってわけじゃなくて、ここを守るために僕が使ってるだけだし……あんまり勝手なことできないんです」
「ふーん……じゃあ、僕が王城まで飛んで、許可もらってくる!」
「それはやめてください……」
「なんで!? ダメだって言ったら全部ぶっ壊してこようと思ったのに!」

 竜は、椅子から飛び上がって、羽を大きく広げている。さっき僕を襲った時の大きな姿だったら震え上がったかもしれないけど、今はなんだか可愛い。だけど、王国にそんなことを言われるのは困る……竜が咎められたら気の毒だ。

「…………えーっと……もう少し待ってください……魔力の暴走を抑えることは、このあたりの地を守ることにもなるので……多分、許可してもらえると思います……」
「えー……僕と王城に行かない?」
「それはできません……ここで与えられた役目もあるし、砦の管理もあります。僕はここで警備隊の依頼を受けたり山を見回るのも、大事なことだと思ってるので……」
「……ふーん…………」

 話していると、オフィセイール様がこの辺りの地図を持って来てくれる。

「他にも魔力の暴走がないか、明日調べたい。お前が一人で山を見回っていた時の情報も合わせて教えてくれるか?」
「あ、はい……もちろんです!」
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