僕を振った奴がストーカー気味に口説いてきて面倒臭いので早く追い返したい。執着されても城に戻りたくなんてないんです!

迷路を跳ぶ狐

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45*ロステウィス視点*あの時は、いつでも答えてくれたのに

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 俺のことは放っておいて欲しいのに、うるさいヴィクトウェトルは、監視するかのように、ずっとついてくる。

「しつこいな……俺はただ、朝の挨拶をしにいくだけ。おはようと、それくらい言ってもいいだろう……報告書の件も聞いておきたい」

 すると、ついにヴィクトウェトルの方がため息をついて折れる。

「……だったら、早く終わらせてください。それと、彼にこれ以上迷惑をかけないように」
「迷惑かけにいくつもりはないよ」

 彼の手が空いている時なら、会いに行っても構わないだろ。彼だって、今日は忙しい。俺たちが会って昨日のようにゆっくり話せる時間は少ないはずだ。だから、手が空いていそうな時間を選んだんだ。彼と約束した、たくさん肉を詰めたお弁当も持って来れなかったし……

 もやもやと、彼とのことを思い出しながら進むと、やっと彼の部屋の前まできた。

 しかし、部屋から何か出てくる。

 まるで子猫のような大きさの竜だが、あれは、王都を滅ぼそうと目論んだ凶悪な竜、ヴァルウィトフェルじゃないか!

 あいつ……フィルロファルの部屋で、何をしているんだ!?

「ヴァルウィトフェル……そこで何をしている?」

 俺が声をかけると、竜はゆっくりと、俺に振り向いた。俺が離れたところから近づいていることも、分かっていたのだろう。それなのに、からかうようにニヤリと笑って言う。

「なんだ、お前か。何ー? 怖い顔して。僕が何をしていても、お前に関係ないだろ?」
「関係ないことはない。お前……まさか彼に何かしたんじゃないだろうな? フィルロファルっ……!」

 すぐにドアを開けて、部屋に入る。しかし、そこには誰もいない。荒らされた形跡もない。部屋は綺麗に整えられ、彼の杖や、昨日身につけていた装備はなく、魔物や、許可していない使い魔などが入り込んだことを感知する結界が張られていた。

 出かけた後だ……

 ホッとした。

 だが、少し寂しい。

 王城にいて、婚約の話をしていた頃なら、俺が話があると言えば、フィルロファルも、「はい」と言って、必ず俺を迎えてくれた。

 俺が会いに行くのは、報告書を取りに行くとか、夜会で身につけるものを渡すとか、そんな用事ばかりだったが……「お待ちしておりました。ロステウィス様」と言って、彼はドアを開けてくれた。

 だけど……そんな風にゆっくり話せるはずの時間があったのに、俺は、淡々と用だけ告げていた……あの時なら、もっと話せたはずなのに。

 あの時なら、俺が報告書を受け取り「ありがとう」と言ったら、彼は微笑んでいたのに。今は……部屋に彼はいない。

 ……別に、約束したわけじゃない。会えるはずだと、俺が勝手に思ってきただけだ。落ち込むようなことじゃない……

 そんなことより、今は彼の部屋から勝手に出てきたこの竜だ。

「残念だったね! フィルロファルはいないよ!」
「……彼がいないなら、お前はここで、何をしていた? ここは、フィルロファルの部屋だ」

 言って竜を睨みつけるが、竜はまるで勝ち誇ったかのように笑う。

「僕はいつもここにいるもん。今は目が覚めたから出てきただけ」
「目が覚めた? 彼の部屋で?」
「そうだよ? だって僕、フィルロファルのベッドの横で寝てるもん」
「は!!??」

 こんなっ……王都の殲滅を企んだ危険な竜が、フィルロファルのそばで寝ている!??

 悪ふざけで山を破壊しようとして、その上、砦を一撃で消滅させることができるような魔力を持った竜がか!?

 そこまで手懐けているのか……そんなこと、可能なのか?
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