9 / 51
9.もう少し手加減してください!
しおりを挟むどうしたんだろう……ウィンルゼンド様……今日はなんだかおかしい……
拘束から逃れようとしても、鎖は外れない。壁に磔にされて、なぜか触れられて、ビクビク震える俺に、ウィンルゼンド様はますます近づいてきた。
「んっ…………!!」
俺に触れる彼の手が、微かに俺の体を押す。だけど拘束された俺の体は動かないから、ウィンルゼンド様の手が、俺の体に食い込んできて……なんだか、ウィンルゼンド様の手の感触がどんどん強くなっていく。
それに、それ以上そばに来ると、俺とウィンルゼンド様の体までくっついちゃいますがっ……!??
拘束されている俺より、ウィンルゼンド様の方が背が高い。
だけど見上げようとしても、壁に後頭部が当たって、うまく頭すら動かせない。だって力が抜ける。
それに、こんな顔見せられないだろっ……!
なんか、目の当たり熱いっ……それなのに頬をくすぐったっいものが落ちていく。なんだこれっ……なんで俺泣いてるんだ!? それに、なんでこんなに息が上がってるんだ……
だって、くすぐったいのに耐えるだけで精一杯だ。
ウィンルゼンド様はやめてくれって訴えても全然やめてくれないし、むしろ、やめてって言うたびに、ますますわざわざ肌の上を掠めていくような手つきで俺の体を撫で回してる。しかも、いちいちその指が弄ぶみたいに乳首の上を轢いていくから……
「…………ぅっ……っ! ……っっ!!」
「……本当に敏感…………こういうの、されたことある?」
「ぁっ…………あっ……や、やめっ、てっ……」
「答えて」
だったら答えるからっ……そっちは触れるのやめてくれっっ……!!
そう言いたいのに、ウィンルゼンド様の手は、意地悪く俺の体を撫で回す。
なんで、俺……こんなことされてるんだ…………
「は、初めてっ…………です……」
「……え……?」
「ウィンルゼンド様が…………はっ……初めてっ……ですっ…………! …………あっ…………あなた以外にっ……こんなことさせませんっ……!!」
相手がウィンルゼンド様じゃなかったら、俺は自分の腕を捻じ切ってでも逃げている。
だけど……俺のすぐそばにいるのがウィンルゼンド様で、ずっと憧れ続けた人に触れられてるんだって思うとっ……!
「……ぁあっっ……!」
なんだこれ……
ウィンルゼンド様の手が俺の体を滑るたびに声が出て、ねだってるみたいじゃないか。
触れられるの……だんだん気持ち良くなってるっ……!?
こんなのっ……おかしいだろっ…………何考えてんだ、俺……
「……ウィンルゼンド……さまぁ……」
身体が火照ってきた。尊敬する人の名前を呼んでるのに、口から物欲しげに涎が垂れてる。
こんなみっともない顔、見られたくないのに、全身に力が入らなくて、抗えない。拘束されてなかったら、とっくに立てなくなって、へたり込んでいたかも……
もっとされたい……
だけど、見上げたウィンルゼンド様は、手を止めてしまう。
「……ウィンルゼンド様?」
「…………俺が、初めてなんだ……?」
「えっ……!?」
あ……俺がさっき、そう言ったんだ……
だけど、改めて言われるとっ……急に恥ずかしいっ……! い、いやらしく聞こえてしまうじゃないかっ……!
なのにウィンルゼンド様の方はどこか冷静で、じっと俺のことを睨んでる。
「そういうこと…………本当に無自覚で言うよね……」
「え……?」
「フィリレジレクは、ずっとそうだった。俺が好きって言っても全然聞いてないし、そっけない感じだし…………それでいて、そういうこと、何も考えずに当たり前みたいに言う。俺が泊まっていってよって言っても無邪気に喜ぶくせに断るし……」
「……そ、それはっ…………お、俺……領主様の城に帰らなきゃ…………ああぁっ……!!」
いたっ……乳首、つままれた!??
さっきまで優しく撫でてくれてたのに、強くされて、ズキズキする。手を離されても疼痛は治らず、鼓動が速くなってきた。
それなのに、ウィンルゼンド様は痛む俺のそこを何度も潰して、爪を立ててしまう。
「いっっ……ウィンルゼンドさまっ……い、いたっ…………っ!! 痛いっ……許してっ……くださいっ……!」
なんで……こんなこと……
見上げたら、ウィンルゼンド様は、見たことがないような、恐ろしい顔をしていた。
「領主? もう、剣士の部隊はやめたんだろ?」
「は、はい……」
「だったら、もうそんな奴のこと、忘れていいよね?」
「……え……えっと…………はい……」
……領主様を、そんな奴呼ばわりはまずくないですか?
な、なんだか、今日のウィンルゼンド様、怖い……ウィンルゼンド様、そんなに領主様と仲悪かったかな…………??
「……部隊を辞めさせられたの…………不本意だった?」
「……え? あ……す、少しは……でっ……でも、いいんですっ……! 王都に行けば、俺でも魔法は学べそうだし……嬉しいんです…………」
「…………俺以外に教わりたくなったわけじゃ」
「絶対にないです!!」
遮って叫んだ声が、部屋中に響いた。
俺だって、ウィンルゼンド様に教えてもらいたい。
だけど、俺が王都に行くことは決まっているし、そうなったらもう、ウィンルゼンド様には教えてもらえない。
それでも俺は、もっと魔法を使えるようになりたいんだ。
すると、ウィンルゼンド様は微笑んで言った。
「…………だったら、これからもフィリレジレクには、俺が教えてあげる」
「でもっ……」
「俺も、王都に行くよ」
「え…………だ、ダメですっ! そんなのっ……!」
「……ダメ? なんで?」
「だ、だって…………ウィンルゼンド様っ……王都から帰ってきたばかりじゃないですか!! せっかく帰ってきたのに……お、俺に魔法を教えるために、また王都に行くなんて……そんなのっ……ダメです……」
「いいんだよ」
「え…………?」
「だって、フィリレジレクに会うために戻ってきたんだから」
「…………」
俺に……会うために??
え……な、なんだそれ! そんなの初めて聞いた……俺に……会うために? そのために王都からわざわざ帰ってきたのか!?
……なんだそれ、聞いてないぞっ……嬉しいっっ……
そんなに、俺に会いたいと思ってくれたのか?
だったら早く言ってくれ!! こんな……すぐそばで逃げられない時に言わなくてもっ……
「……あ……あのっ……ウィンルゼンド様…………」
せめてもう少し手加減しながら言ってくれないかな……そういうの……
217
あなたにおすすめの小説
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。
叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。
幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。
大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。
幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。
他サイト様にも投稿しております。
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる