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2.平穏な日常
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お姉ちゃんの失踪から約3年が経過し、わたしは15歳。中学三年生になっていた。
受験生なので、志望校合格に向けて邁進しなきゃいけない時期でもあるんだけど、クラスの女子たちは恋の話に花を咲かせている。
彼氏とエッチしたって話もよく聞く。仲のいい友達もみんな彼氏をつくって幸せそうにしているし、青春真っ盛りって感じ。でもわたしはあいもかわらず平凡で目立ったところのないフツーの女子中学生だ。
親友の祐佳のように美少女じゃないし、大人っぽくもない。梓のように明朗快活なスポーツ少女でもないし、優里奈のようにおっとりした癒し系でもない。かわいいねとかキレイだねとかいわれないし、もちろん男の子にも告白されたりしない。目立った取り柄もないし当たり前だよね。でもわたしは恋愛にぜんぜん興味がないからそれでいいって思ってる。親に心配をかけないように日々まじめに過ごし、立派な大人になることのほうが、今のわたしにとって大事なのだから。
通学路を歩きながら、ぼんやりと考えごとをしていると、後ろから男の子の声がする。
「美咲ちゃん。おはよう」
いつも通りの優しい声音とさわやかな笑顔。
「あ、おはよー。翔流くん」
わたしは彼のほうを振り返り、いつもどおりの挨拶をする。
「今日もいい天気だね。そういえば昨日の数学の宿題、結構難しかったけど大丈夫だった?」
「んー。とりあえず問題は解いてきたんだけどね。あんまり自信ないかな」
「そっかー。よかったら、あとで教えてあげようか?」
「うん。いつもありがとね」
「じゃ。またね」
彼は手を振り、学校のほうに走っていく。
そのまま一緒に登校してもいいのかもしれないけど、わたしたちはただのクラスメイトなのだ。
だから並んで登校するってのはおかしいと思うし、彼もそう思っているのかも。通学路で遭遇しても、ちょっと言葉をかわすくらいですぐに走って行ってしまうから。翔流くんも好きな女の子がいるはずなんだ。わたしと変な噂を立てられたらかわいそうだよね。
ふわっとした柔らかそうな髪の毛と二重まぶたのパッチリとした目が印象的な日向 翔流くんは、同じ学校のクラスメイトだ。
フツーの女子中学生のわたしは、男子と親しく話すことはあまりない。でも翔流くんとはよく話す。小学校のときから同じクラスの彼とはおさななじみのような感じで、長い付き合いであるがゆえの安心感があるんだと思う。
男子なんだけど同性の友達のような安心感。でも同性の友達とは違う。ちゃんと男の子らしいところがあるってこともよく知っている。女の子とは違うのだ。
でも女子の中には、男子にしては背が低くて中性的な顔立ちの彼のことを「可愛い系男子」と呼んでいる子もいるみたい。それってちょっとおかしいんじゃないかなって思う。どこか翔流くんをバカにしているような響きが感じられてあんまり好きじゃないんだ。
翔流くんが走っていったあと、わたしはいつもどおりマイペースに登校していたけど、校門の前にいる祐佳と梓を見つけ、小走りで彼女たちのほうへ向かう。
「おはよー。祐佳、梓」
わたしの声に気づいた祐佳は後ろを振り返り、つややかな黒髪のロングヘアーをかきあげる。同じ学年とは思えないくらい大人っぽい仕草だ。
「おはよう。今日はいつもより遅いんじゃない?」
「おっはよー。美咲」
ポニーテールに束ねた髪がトレードマークの梓が明るく挨拶を返し、わたしの肩をポンと叩く。
「今日も元気だね。梓は」
「まあね。元気で明るいのがあたしの取り柄だからねー」
そう言ってケラケラと笑う。彼女が笑うとわたしも楽しい気分になる。
3人で並んで靴箱が立ち並ぶ生徒玄関のほうに歩を進めていると、
「おーい。みんなー。おはようー」
のんびりした口調で、優里奈が校門付近から呼びかけてくる。
小走りで近づいてくるけど、ちょっとふくよかな体型をしている彼女は走るのがあんまり速くない。ようやくわたしたちのところに到着し、はぁはぁと息を切らしながらも、にこやかに微笑む。笑うとできるえくぼ。細められる目。まるで観音様のような包容力を感じさせる。
わたしは優里奈の笑顔が好きだった。優しく包み込んでくれるような雰囲気がお姉ちゃんを思い出させるからなのかもしれない。
4人そろったわたしたちは、おしゃべりをしながら教室に向かう。これが平穏な朝の日常だ。こういう日々がいつまでも続けばいいのにって心から思う。
受験生なので、志望校合格に向けて邁進しなきゃいけない時期でもあるんだけど、クラスの女子たちは恋の話に花を咲かせている。
彼氏とエッチしたって話もよく聞く。仲のいい友達もみんな彼氏をつくって幸せそうにしているし、青春真っ盛りって感じ。でもわたしはあいもかわらず平凡で目立ったところのないフツーの女子中学生だ。
親友の祐佳のように美少女じゃないし、大人っぽくもない。梓のように明朗快活なスポーツ少女でもないし、優里奈のようにおっとりした癒し系でもない。かわいいねとかキレイだねとかいわれないし、もちろん男の子にも告白されたりしない。目立った取り柄もないし当たり前だよね。でもわたしは恋愛にぜんぜん興味がないからそれでいいって思ってる。親に心配をかけないように日々まじめに過ごし、立派な大人になることのほうが、今のわたしにとって大事なのだから。
通学路を歩きながら、ぼんやりと考えごとをしていると、後ろから男の子の声がする。
「美咲ちゃん。おはよう」
いつも通りの優しい声音とさわやかな笑顔。
「あ、おはよー。翔流くん」
わたしは彼のほうを振り返り、いつもどおりの挨拶をする。
「今日もいい天気だね。そういえば昨日の数学の宿題、結構難しかったけど大丈夫だった?」
「んー。とりあえず問題は解いてきたんだけどね。あんまり自信ないかな」
「そっかー。よかったら、あとで教えてあげようか?」
「うん。いつもありがとね」
「じゃ。またね」
彼は手を振り、学校のほうに走っていく。
そのまま一緒に登校してもいいのかもしれないけど、わたしたちはただのクラスメイトなのだ。
だから並んで登校するってのはおかしいと思うし、彼もそう思っているのかも。通学路で遭遇しても、ちょっと言葉をかわすくらいですぐに走って行ってしまうから。翔流くんも好きな女の子がいるはずなんだ。わたしと変な噂を立てられたらかわいそうだよね。
ふわっとした柔らかそうな髪の毛と二重まぶたのパッチリとした目が印象的な日向 翔流くんは、同じ学校のクラスメイトだ。
フツーの女子中学生のわたしは、男子と親しく話すことはあまりない。でも翔流くんとはよく話す。小学校のときから同じクラスの彼とはおさななじみのような感じで、長い付き合いであるがゆえの安心感があるんだと思う。
男子なんだけど同性の友達のような安心感。でも同性の友達とは違う。ちゃんと男の子らしいところがあるってこともよく知っている。女の子とは違うのだ。
でも女子の中には、男子にしては背が低くて中性的な顔立ちの彼のことを「可愛い系男子」と呼んでいる子もいるみたい。それってちょっとおかしいんじゃないかなって思う。どこか翔流くんをバカにしているような響きが感じられてあんまり好きじゃないんだ。
翔流くんが走っていったあと、わたしはいつもどおりマイペースに登校していたけど、校門の前にいる祐佳と梓を見つけ、小走りで彼女たちのほうへ向かう。
「おはよー。祐佳、梓」
わたしの声に気づいた祐佳は後ろを振り返り、つややかな黒髪のロングヘアーをかきあげる。同じ学年とは思えないくらい大人っぽい仕草だ。
「おはよう。今日はいつもより遅いんじゃない?」
「おっはよー。美咲」
ポニーテールに束ねた髪がトレードマークの梓が明るく挨拶を返し、わたしの肩をポンと叩く。
「今日も元気だね。梓は」
「まあね。元気で明るいのがあたしの取り柄だからねー」
そう言ってケラケラと笑う。彼女が笑うとわたしも楽しい気分になる。
3人で並んで靴箱が立ち並ぶ生徒玄関のほうに歩を進めていると、
「おーい。みんなー。おはようー」
のんびりした口調で、優里奈が校門付近から呼びかけてくる。
小走りで近づいてくるけど、ちょっとふくよかな体型をしている彼女は走るのがあんまり速くない。ようやくわたしたちのところに到着し、はぁはぁと息を切らしながらも、にこやかに微笑む。笑うとできるえくぼ。細められる目。まるで観音様のような包容力を感じさせる。
わたしは優里奈の笑顔が好きだった。優しく包み込んでくれるような雰囲気がお姉ちゃんを思い出させるからなのかもしれない。
4人そろったわたしたちは、おしゃべりをしながら教室に向かう。これが平穏な朝の日常だ。こういう日々がいつまでも続けばいいのにって心から思う。
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