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15.絶望の淵を照らす光は……
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あれからぼくは熱が出て寝込んでいた。3日前、いろいろショックなことがあった。だからぼくの脆弱な精神が悲鳴を上げてしまったんだと思う。でもぼくは心は脆弱だけど、体は頑強だった。2日ほど休んだら熱も下がったし、体調もほとんど戻っていた。今日は大事をとって学校を休まされたけど、頭はスッキリとさえている。精神的にも落ち着いてきたぼくは自室のベッドに横たわりながら、ぼんやりとあの日のことを思い出していた。
あの日、ぼくは3人の女の子となりゆきにまかせてセックスをした。みんなとてもキレイな体をしていたし、体も柔らかくて気持ちもよかった。だから全然好きじゃない彼女たちの前でぼくは勃起した。そのまま3人と続けざまにセックスをしたんだけど、行為を続けるうちに自分の体から心が離れていくような気がしていた。
体はつながっているはずなのに、泣きたくなるような、孤独感を感じる。心がどんどん冷えていった。真冬の川に身を流されているような気分だった。そんなとき美咲ちゃんの顔がなんとなく脳裏に浮かんだ。彼女は大粒の涙をとめどなく流し、号泣しているようだった。胸がズキンと痛む。それから胸の鼓動が激しくなり、息も苦しくなってきた。
そしていつの間にかぼくは勃たなくなっていた。そんなぼくを見て女の子たちは顔を見合わせて悲しそうな顔をしていた。なにか後ろめたそうな感じ。長谷川さんは大人っぽくていつも自信満々そうなのに、目を潤ませてちょっと泣きそうだった。気まずくなったぼくは慌てて服を着てその場から逃げ出した。
長谷川さんたちの悲しそうな顔を見たとき、ぼくは気づいてしまったから。彼女たちがぼくを性欲を満たすための玩具にしたんじゃなかったってことを。
なんでぼくは長谷川さんたちとセックスしてしまったんだろう。たぶん、そのちょっと前に美咲ちゃんの真実を聞かされたからだ。ぼくはそれを知ったとき、突然、足元が崩れるような気がして軽いめまいがした。そして、「もうどうでもいいや」って投げやりな気分になったんだ。
なんでぼくはそんな気分になったんだろう。美咲ちゃんはぼくにとって友達ってだけで、毎日挨拶を交わしたり、ときどき学校で数学を教えてあげたりするって程度の関係だったはずだ。
彼氏がいたってどうでもいいじゃないか。彼氏とセックスしてたって全然……。
そのとき胸がギュッと締め付けられる。そしてお姉ちゃんの顔が脳裏に浮かんでくる。ぼくはお姉ちゃんが大好きだった。でもお姉ちゃんにとってぼくは性欲を満たすための玩具に過ぎなかったんだ。
ぼくは裏切られ、弄ばれたんだ。お姉ちゃんを思い出すと苦しくて、悲しくて、痛かった。苦しいのは嫌だ。悲しいのは嫌だ。痛いのは嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。もう嫌なんだ。もう考えたくない。考えたくない。考えたくない……。そうやってぼくは自分の心に蓋をし、お姉ちゃんが好きだった過去の自分と一緒に、「大切な気持ち」も封印してしまったんだ。
不意に美咲ちゃんの顔が頭の中に浮かんでくる。
不良たちに連れて行かれそうになって困惑する美咲ちゃん。お姉ちゃんのこと話す美咲ちゃん。怒ったように頬をふくらませる美咲ちゃん。ぼくを心配そうな目で見つめる美咲ちゃん。真剣な表情でぼくを諭す美咲ちゃん。毎朝「おはよー」って微笑んでくれる彼女の顔も浮かんだけど、脳裏に浮かんでくるのはメガネをかけていない美咲ちゃんばかりだった。
メガネをかけていない美咲ちゃんは、ありのままの感情をぶつけてくる。ぼくはそのたびに心の蓋をグラグラと揺らされるんだ。そのグラグラは次第に大きくなり、もうぼくの心の蓋は外れかけていたんだと思う。蓋の隙間からは「大切な気持ち」がどんどん漏れ出して、臆病なぼくを少しずつ変えていったんだ。
そして、美咲ちゃんを悲しませたくないって強く思ったあの日、ぼくはたぶん彼女を大好きだって自覚したんだと思う。それでもぼくは彼女を普通の友達だって思おうとした。女の子を本気で好きになるのが怖かったから。
お姉ちゃんはぼくが好きになった初めての女の人だ。でも彼女はぼくの体しか求めていなかった。
ぼくはお姉ちゃんに喜んでもらいたくて、「大好き」って言ってもらいたくて、体でつながりつづけたけど、彼女の心はどんどん離れていった。
お姉ちゃん以外で初めて好きになった美咲ちゃん。ぼくは彼女となら心でつながることができるって信じていたんだと思う。でも長谷川さんたちは美咲ちゃんがセックスの気持ちよさに溺れる女の子のように言っていた。だからぼくは絶望したんだ。美咲ちゃんもお姉ちゃんと同じだったのかって。
でもぼくは自分の心の中にいる美咲ちゃんを信じたかった。彼女はそんな子じゃない。そう思いたかった。ぼくは本当の美咲ちゃんを知らないのかもしれない。だけど、自分から踏み込まないと一生知ることなんてできないんだ。
もうすべてが遅いのかも知れないけど、ぼくは美咲ちゃんに会いたかった。そして一歩踏み出すために自分の気持ちを伝えなければって思ったんだ。
あの日、ぼくは3人の女の子となりゆきにまかせてセックスをした。みんなとてもキレイな体をしていたし、体も柔らかくて気持ちもよかった。だから全然好きじゃない彼女たちの前でぼくは勃起した。そのまま3人と続けざまにセックスをしたんだけど、行為を続けるうちに自分の体から心が離れていくような気がしていた。
体はつながっているはずなのに、泣きたくなるような、孤独感を感じる。心がどんどん冷えていった。真冬の川に身を流されているような気分だった。そんなとき美咲ちゃんの顔がなんとなく脳裏に浮かんだ。彼女は大粒の涙をとめどなく流し、号泣しているようだった。胸がズキンと痛む。それから胸の鼓動が激しくなり、息も苦しくなってきた。
そしていつの間にかぼくは勃たなくなっていた。そんなぼくを見て女の子たちは顔を見合わせて悲しそうな顔をしていた。なにか後ろめたそうな感じ。長谷川さんは大人っぽくていつも自信満々そうなのに、目を潤ませてちょっと泣きそうだった。気まずくなったぼくは慌てて服を着てその場から逃げ出した。
長谷川さんたちの悲しそうな顔を見たとき、ぼくは気づいてしまったから。彼女たちがぼくを性欲を満たすための玩具にしたんじゃなかったってことを。
なんでぼくは長谷川さんたちとセックスしてしまったんだろう。たぶん、そのちょっと前に美咲ちゃんの真実を聞かされたからだ。ぼくはそれを知ったとき、突然、足元が崩れるような気がして軽いめまいがした。そして、「もうどうでもいいや」って投げやりな気分になったんだ。
なんでぼくはそんな気分になったんだろう。美咲ちゃんはぼくにとって友達ってだけで、毎日挨拶を交わしたり、ときどき学校で数学を教えてあげたりするって程度の関係だったはずだ。
彼氏がいたってどうでもいいじゃないか。彼氏とセックスしてたって全然……。
そのとき胸がギュッと締め付けられる。そしてお姉ちゃんの顔が脳裏に浮かんでくる。ぼくはお姉ちゃんが大好きだった。でもお姉ちゃんにとってぼくは性欲を満たすための玩具に過ぎなかったんだ。
ぼくは裏切られ、弄ばれたんだ。お姉ちゃんを思い出すと苦しくて、悲しくて、痛かった。苦しいのは嫌だ。悲しいのは嫌だ。痛いのは嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。もう嫌なんだ。もう考えたくない。考えたくない。考えたくない……。そうやってぼくは自分の心に蓋をし、お姉ちゃんが好きだった過去の自分と一緒に、「大切な気持ち」も封印してしまったんだ。
不意に美咲ちゃんの顔が頭の中に浮かんでくる。
不良たちに連れて行かれそうになって困惑する美咲ちゃん。お姉ちゃんのこと話す美咲ちゃん。怒ったように頬をふくらませる美咲ちゃん。ぼくを心配そうな目で見つめる美咲ちゃん。真剣な表情でぼくを諭す美咲ちゃん。毎朝「おはよー」って微笑んでくれる彼女の顔も浮かんだけど、脳裏に浮かんでくるのはメガネをかけていない美咲ちゃんばかりだった。
メガネをかけていない美咲ちゃんは、ありのままの感情をぶつけてくる。ぼくはそのたびに心の蓋をグラグラと揺らされるんだ。そのグラグラは次第に大きくなり、もうぼくの心の蓋は外れかけていたんだと思う。蓋の隙間からは「大切な気持ち」がどんどん漏れ出して、臆病なぼくを少しずつ変えていったんだ。
そして、美咲ちゃんを悲しませたくないって強く思ったあの日、ぼくはたぶん彼女を大好きだって自覚したんだと思う。それでもぼくは彼女を普通の友達だって思おうとした。女の子を本気で好きになるのが怖かったから。
お姉ちゃんはぼくが好きになった初めての女の人だ。でも彼女はぼくの体しか求めていなかった。
ぼくはお姉ちゃんに喜んでもらいたくて、「大好き」って言ってもらいたくて、体でつながりつづけたけど、彼女の心はどんどん離れていった。
お姉ちゃん以外で初めて好きになった美咲ちゃん。ぼくは彼女となら心でつながることができるって信じていたんだと思う。でも長谷川さんたちは美咲ちゃんがセックスの気持ちよさに溺れる女の子のように言っていた。だからぼくは絶望したんだ。美咲ちゃんもお姉ちゃんと同じだったのかって。
でもぼくは自分の心の中にいる美咲ちゃんを信じたかった。彼女はそんな子じゃない。そう思いたかった。ぼくは本当の美咲ちゃんを知らないのかもしれない。だけど、自分から踏み込まないと一生知ることなんてできないんだ。
もうすべてが遅いのかも知れないけど、ぼくは美咲ちゃんに会いたかった。そして一歩踏み出すために自分の気持ちを伝えなければって思ったんだ。
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