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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章三十一節 不帰の森とシロの弱点?…と第一住人発見!-

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居た堪れない空気になりつつもアルスが連れて来た門番達によって斥候の

彼女達は保護される…だがやはり一人は心身的にダメージを負った様子で

目に光りは宿っておらず、ただオーディックが切り出した革のマントに

包まっており…もう一人は己の無力さに打ちのめされているのか…俯いた

まま一緒に保護されると、自分の足でユグドラドへ戻って行く。この時

その彼女達の背中からは恨みにも似た無念さが感じられ、マサツグ達も

遣る瀬無く感じ!…ただ回復を祈ると同時に今回の騒動について疑問を感じ…

ついでにアルスの身勝手さについて若干の怒りを覚えると、先を急ぎ始める

のであった。


「……これで彼女達も安心だ!…

…さぁ!…ダークエルフ共の所に行くぞ!…」


「……あぁ…」


「…ん?…何か有ったのか?」


「……いや?…別に……さてシロ?…スマンがどの方向から匂いがする?…」


__……スッ…


門番達に身柄を引き渡してスッキリとした様子を見せ…そんなアルスの様子に

マサツグ達も無言の怒りを覚えると、ただ簡単に返事をする…この時アルスに

説教の一つでもしようか?とマサツグ達は考えるのだが、アルスの性格上

無駄だと…悟ったかのよう諦めては前を見据え、そんなマサツグ達の様子に

アルスも不思議そうに質問をすると、何でも無いとマサツグが返事をする。

そして続け様にマサツグはシロにその行くべき道について尋ねるのだが…

この時シロはと言うとマサツグの顔に張り付いて居り!…無言の怒りを

シロなりに体現して見せ!…その匂いのする方向を無言でスッと指差すと、

マサツグはやはり見えないのか…レイヴンに行先について質問をする。


「……レイヴン?…シロはどっちの方向を指差してる?…」


「マサツグから見て若干右に真っ直ぐ…近くの森を指差してる…

…因みに俺の記憶が正しければ…」


「ッ!?…正気だか!?…この先って確か!!…」


「……!…」


やはり前は見えて居ない様で…だがマサツグ自身慣れた様子でレイヴンに

質問をすると、レイヴンもマサツグの状態に慣れて来たのか…ただそれでも

若干呆れており、質問に対して素直にシロの指差して居る方向について

マサツグの感覚で説明をすると、何か意味深な言葉を口にしようとする!…

それと同時にオーディックもシロの指差して居る方向に覚えが有るのか、

その方向に視線を向けては戸惑い出し!…アルスもそのシロの指差した

方向に驚いた様子で…レイヴンが言おうとして居た…更にオーディックが

戸惑っている原因について説明するようその名称を口にすると、その名称を

聞いたマサツグはすかさず質問をする。


「ッ!…その不帰の森かえらずのもりって?…」


「言葉通りに意味だ!…

…その森に足を踏み入れたら最後二度と森から出る事が出来ない!…

返って来た者は今まで一人として居ないって話だ……あくまでも噂なんだが…」


「それでも火の無い所に何とやらだ!…気を付けるに越した事は無い!…」


「…はあぁ~…さすがのオラも少し不安だで…

オラ生きて帰れっかな?…」


不帰の森…そう聞いたマサツグはその意味を聞く様に知って居る者達に質問を

すると、アルスが言葉の意味通りと答える!…その際アルスも緊張した様子で

顔を強張らせると、その不帰の森のある方向を見詰め!…自分が知って居る

限りの情報を簡単に!…あくまでも噂程度でしか聞いた事が無いと言った様子で

説明をすると、レイヴンが肯定するよう言葉を口にする!…その際全員に注意

喚起をするよう声を掛ける一方で、珍しくオーディックが弱気になっており…

その様子にマサツグやレイヴンも驚き!…思わずその理由について質問をすると、

オーディックから気になる話しが飛び出して来る!…


「ッ!…オ、オーディックが!?……因みに不安な点とは?…」


「…オラのジッ様から聞いた話なんだでどもな?…

何でもこの森では過去に恐ろしい虐殺があったとかで…

過去の大戦で敗走した者達!…

それを根絶やしにする為に森に火が放たれたとかで!…

当然森は焦土となって、森に隠れて居た敗走者達も焼き死に…

その灰はまた森を復活させる肥料となったでだが…

当然そんな死に方をしただで…報われねぇ形で魂だけは残留!…

森ん中彷徨っては出会った奴に襲い掛かる!…

今でも恨み晴らさんと蠢いとる!って、話を聞いた事が有るだで!…

…それも戒めみてぇに語っとったモンだから誰一人として

その森に近付こうとは考えん!…だから余計に不気味染みてな?…」


「……なるほど?…昔話みたいなもんね?…

…にしても惨いな!…」


マサツグの問い掛けでオーディックが話し出したのは、その不帰の森と

呼ばれる様になった昔話で!…オーディックが言うには過去の大戦が

きっかけであり、その際大勢の人が亡くなりその遺恨が森に宿って居ると!…

そんな話をジッ様から聞いたと話してはそれ以降皆が怖がる様になったと

話し!…何なら自分もその一人と言った様子で説明をすると、その話を聞いた

マサツグとレイヴンも納得した様子で頷く!…その際話にあった焼き討ちに

惨いと感じては森の方へ振り向くのだが、マサツグにはその森は見えず…

とにかく立ち話も何なので、警戒するようその森のある方に向かって歩き

出すと、一行は再度花の匂いを追ってダークエルフ達の捜索を続ける!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「……シロさん?…そろそろお許しが欲しいのですが?…」


__ツゥ~ン!!……


「……森の中でこれは色々と危ないので放して貰いたいのですが?…」


その不帰の森に向かって歩いて行く道中…マサツグは何度かシロに視界を返して

貰うよう交渉をするのだが、中々返して貰えず…幾ら呼び掛けようともシロは

そっぽを向いては聞こえない振りをし!…マサツグも困った様子で何度か交渉を

続けるも、遂には森の前まで辿り着いてしまう!…何事も無く森の入口まで

辿り着けたのは良いのだが、やはりシロはマサツグを許さず!…ここから先は

さすがに視界不良は危険で!…マサツグも何とか聞いて貰おうとするが、シロは

頑固なのか一向に離れようとしない!…


「……はあぁ~!…ったく!…こうなると梃子でも動こうとしないな?…

無理に引き剥がそうとすると皮膚まで持ってかれそうだし……うぅ~ん…」


「……マサツグさん?…まだですかぁ~?」


「こんな所でマゴマゴしている暇なのないのだが!?」


「オ、オラはもう少し時間を掛けてくれても良いだでよ?…」


もはや鉄壁に近いシロのフェイ〇ハガーに悪戦苦闘し!…オマケにきっかけは

自分が悪いので強く怒るに怒れず!…森の前で一行が立ち往生してはしばしの

休憩タイムに入り…レイヴンがチャチャを入れる様にマサツグに声を掛けると、

その一方で不服そうにアルスも茶々を入れる!…そしてそんな二人に対して

小さくなるよう座り込むと、オーディックは一人助かるとばかりに言葉を漏らし…

マサツグはマサツグで如何やってこの状態を脱するかで色々と考え事をして

居ると、ふとある事を思い付く!…それは…


__……スウゥゥゥゥゥ!!!……ッ!…


「ッ!……息を吸い出した?…」


マサツグが思い付いた起死回生の奇策!…それは目の前のシロのお腹に向かって

息を吹き掛ける事で、丁度マサツグの視界にはシロのお腹が映っており!…そして

これまたお誂え向きにフィアナのお下がりかシロのおへそがチラリとして居て!…

偶然それを見たマサツグが昔自身の親からやられて居た事を思い出すと、シロにも

効くのでは?…と早速行動に出る!…まず大きく息を吸い始めると、限界まで肺に

空気を溜め!…その様子は傍から見て居るレイヴン達の目にも映り、一体何をして

居る?と言った様子で見守って居ると、マサツグも限界なのか息を止める!…

この時シロもマサツグが息を吸い出して居る事に気が付くのだが、それでも放そう

とはせず!…依然としてマサツグの顔にくっ付いたままで居ると、次の瞬間

マサツグから反撃を受ける!…


__……ッ!!…グッ!…プウウウゥゥゥゥゥゥ!!!


「ッ!?…きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「ッ~~~!!…だはぁ!!…如何でい!!…」


マサツグは逃げられない様にシロを捕まえると、自身の顔の方へ抱き寄せ!…

そして自身の口をシロのへそへ!…勿論息を吹き掛けるだけなので強くは

押し付けず!…射程を整えた所で溜めていた息を思いっきり吐き出すと、

まるでガスが漏れるかの様な音を立てては途端にシロが慌て出す!…その際

シロも初めて喰らったとばかりに思わずマサツグから手を放すと、マサツグは

その隙を突く様にシロを引き剥がし!…息を吹き終えた所でシロをすかさず

お腹の方へ移動させ!…してやったり!とばかりにシロへ声を掛けると、

シロは今だ驚いた様子で目をパチパチとさせて居た。


__パチッ…パチパチッ…パチパチッ…


「…ふぅ~!…さて、おまっとさん!!…行こうか?…」


「…あ、あぁ…」×2


「ッ!?…も、もう少し心の準備が欲しかったで…」


「あはははは……悪いな?…先頭は俺が立つから…な?…」


ただマサツグの顔を見上げては何が起きたのか分かって居ない様子で…その際

怒って居た事も忘れた表情で見詰めると、何度も目をパチパチとさせる!…

その一方でマサツグも満足したのか、シロをお腹に抱えるとレイヴン達に声を

掛け!…レイヴンとアルスもそのマサツグの行動に驚いた様子で!…ただ返事に

戸惑った様子で言葉を漏らすと、その傍らでは怯えた様子でオーディックが零す…

余程そのジッ様からの話が効いているのか、目に見えて震えており!…そんな

様子にマサツグも苦笑いしつつ…混乱しているシロを抱えながら先頭に立つと、

マサツグ達はその不帰の森へと足を進め出す!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……


  ------------------------------------------------------------------------

              「不帰の森」

  サマーオーシャン大陸・ユグドラド王国より北西部に有る熱帯雨林

  地帯…通称・不帰の森には幾つもの逸話がある…しかしその逸話は

  どれも気味の悪い話ばかりで、それが功を奏してか誰も寄り付かず…

  ほぼ原始の状態で森が形成されては迷路と化している。因みに一度

  過去の大戦によって戦火に見舞われ!…燃え尽きる運命を辿る事に

  なったのだが、その後幾つもの年月を費やして復活を遂げ!…前より

  鬱蒼とした状態で影を作り出すと、更に不気味さを漂わせるように

  なった!…オマケにこの森に生える樹はどれも奇形で育ち、ちゃんと

  真っ直ぐに育った物は一本として無く!…これは過去の大戦で

  亡くなった怨念のせいでは?と囁かれ…今日に至るまで呪われた森と

  して近隣諸国より恐れられている!…

  
  ------------------------------------------------------------------------


「……いつも通りの案内なんだが…

…何と言うか…あれだな?…意外と普通の森だな?…」


「ッ!?…ど、何処がだ!?…見ろあの木の幹を!!…

まるで苦悶して居る人の顔のようでは無いか!!!…」


曰く付きの不帰の森に足を踏み入れ数分後…いつもの様に観光案内の様な

名所説明が出て来ると、マサツグ達は一通り目を通し…辺りを見渡す様に

視線を動かし状態を確認すると、余裕と言った様子で言葉を口にする。

その際レイヴンも平気な顔をしてマサツグ後を付いて来るのだが、アルスと

オーディックが如何にも可笑しく…森に入るまでは平気だったアルスは

不気味がり!…オーディックはオーディックでやたらと警戒した様子で

歩を進めると、ビクビクとした反応を見せて居た。この時マサツグの言葉に

対してアルスはツッコミを入れるよう文句を言うと、近くに生えて居た

木を指差し!…まるで苦しんで居る様に見えると!…マサツグが平気な

顔をして居るのが許せない!と言った様子で更に文句を言うが、マサツグは

全く効かないと言った様子で返事をする。


「んん~?……

…そうか?…ただ珍しい位にうろが有る様にしか見えんが?…」


「なっ!?…」


「…そういやこう言う樹の穴の中に確かクワガタとかカブトムシとか

居る場合が有んだよなぁ……全く持って興味はなかったが…」


「じゃあ今何でそれを口にした?…」


アルスの指差す樹には確かに絶望する表情の様な絵文字の形で、洞が三つ開いて

居るのだが…マサツグからすればただ穴が開いて居る様にしか見えず…珍しいの

言葉で片付けてしまうと、そのマサツグの言葉にアルスは困惑する!…まるで

こんな事あり得ない!と言った様子で話して居たのだが、余りにもバッサリと!…

とにかく目を見開いてはマサツグを見詰め!…マサツグも洞繋がりで昆虫の話を

し始めると、さも懐かしいと言った様子で話すのだが…最後に興味無いの一言で

終わらせると、レイヴンからツッコミを受ける!…この時レイヴンも大した事は

無いと言った様子で流しており…二人揃って笑いながら先の道を行くと、

アルス達は自分達が可笑しいのか?と悩み出す…


{…な、何なのだこいつ等!?…何も感じて居ないのか!?…

この森に入った時から異様な空気を感じて居ると言うのに!…

もしやこの不気味な雰囲気は私達だけしか感じて居ないのか!?…

それとも我々がただ怯えて居るだけだと言うのか!?…

……いや!…そんな筈は!!…

わ、私は栄えあるエルヴンナイツの副隊長!!…}


__ガサガサッ!…ビクッ!?……


怯えた様子を見せない所かドンドンとマサツグとレイヴンは進んで行き!…

自分だけが怯えて居る事に信じられない!と言った様子でアルスは考えると、

強がる様に思考を持って行こうとする!…だが実際の所近くの草むらが少し

揺れただけで直ぐに動揺すると、如何にも集中する事が出来ず!…草むらが

揺れた事に対してアルスが驚いて居ると、オーディックはその正体が分かって

いる様子で話す。


「…あ、安心するだでよ!…に、匂いからして野兎だで…」


__ガサッ!…ぴょん!…テテテテ……ほっ…


「…それよりも気になるのはこの背筋が冷たく感じる風の方だ!…

…オラこんな風一度として感じた事が無いだで!?…」


「ッ!…オ、オーディック殿も感じるのか!?…この不気味さを!…

…だとするなら余計に何なのだ!?…あいつ等は!?…

これが…冒険者!?…」


草むらが揺れた正体をオーディックはウサギと答え…その答え合わせをする様に

本当に揺れた草むらからウサギが姿を現すと、怯えて居たアルスはホッとする…

そして改めてまたその森の独特の不気味さに二人揃って襲われ始めた所で、

オーディックは背筋に寒さを感じ!…その正体に風と答えては不気味とばかりに

怯え続け!…それに同意するようアルスも零すと、改めてマサツグ達の事を

可笑しいと言う!…ただ何も感じる事無く談話をしながら歩くマサツグ達の

後ろ姿に、これが冒険者!?…と驚く一方で!…マサツグ達はマサツグ達で!…

自分達なりに不帰の森の不気味さを感じては、互いに問い掛け合うよう話を

していた。


「……で、実際の所如何?…

確かに森から奇妙な気配は感じるんだが…

然程気になるレベルじゃ?…」


「…そうか?……と言うよりアレだし…

この森…多分デバフ負荷付きのフィールドだからそう感じるだけかも…

現にほら…恐慌状態の出てるし…」


先程から自分達の後ろで怯えて居るアルスにオーディック…そんな二人の様子を

見てやはり何か有るのか?…と感じると、レイヴンに話し掛けるのだが…

レイヴンもマサツグと同じ様に大して何も感じて居ないらしく、平気な反応を

見せて二人の怯えている理由について話し出すと、自身がその症状に掛かって

居るとばかりに簡単に説明をする。レイヴンが言うにはこの森にはデバフ負荷

設定されて有るらしく、そのデバフ負荷を[恐慌]と…恐慌状態と言うのは全ての

事柄において怯えると言う事で、一時的に攻撃出来ないと言った行動制限の

他に…FFフレンドリーファイアー等倍・敵味方の識別不可と言った疑心暗鬼状態にも陥る

恐ろしい状態の事を指す。とにかく手当たり次第に怯えてはそれに対して抵抗!…

例えそれが仲間であっても本当に仲間なのか?と疑ってはもはや正常な判断が

出来ず!…一人塞ぎ込むと言った症状に陥るのがこの恐慌状態なのであるが!…


「へ?……いや、俺は出てないな?…何か無効かスキルあったっけ?…」


「おいおい!…自分のスキル構成くらい把握しとけ?…

…因みに俺はアンデッドだから感情系のバッドステータスは無効化だし?…

正直この森は普通の森と大して変わらないんだが…」


それを説明された所でマサツグは自覚が無いのか戸惑い…改めて自身のステータス

画面を確認するが、何処にもそれらしきアイコンが見当たらない…恐らく何か

スキルで無効化しているに違いないと言った様子で戸惑いながら漏らすと、当然

レイヴンがマサツグにツッコミ!…レイヴンはレイヴンで影響がない理由に、

既に死んでいるからそう言う感情が無い事を告げると、今の現状について

大した事は無いと話すのであった。さて、そうなって来ると一番にヤバいのは

アルスとオーディック…そしてシロなのだが!…シロは今だマサツグのお腹に

くっ付いて居り、マサツグもその説明を聞いてシロは大丈夫なのか?と考えると、

徐にシロへ声を掛ける。


「……ッ!…そう言えば…シロ?…お前は大丈…夫?…」


__パチパチッ…パチパチパチパチッ…


「……あぁ~っと…まだ混乱中?…」


シロは影響を受けて居るのか居ないのか?…とにかく以前としてマサツグの顔を

見上げては反応に困った様子で、目を何度もパチパチとさせてはジィ~っと

見詰めており…影響を受けて居るのか判断し辛い様子をマサツグに見せて居ると、

マサツグもマサツグで苦笑いをしてはシロをそのままにする…その際戸惑った

様子で言葉を漏らすと、シロはハッとした様子で意識を取り戻し…マサツグの

顔を見るなり怒った様な忘れた様な?…とにかく混乱している様子を見せては

ひたすらにマサツグのお腹にくっ付いて居た。


「……ッ!!…あっ…ッ~~!!……ッ?……ッ??…」


「…とにかく落ち着けぇ?…俺も悪かったから…」


__ぽふっ…なでなで……ッ!…パタタタタタッ!…


「今は先を急ぐ事だけを考えてくれぇ?…

…で、シロさん?…道はこっちで合ってるのかい?…」


「ふぇ?……ッ!?…あ、ハイ!…こっちからします!…」


ただひたすらに混乱しているシロにマサツグが落ち着くよう声を掛けると、徐に

頭を撫で出し!…頭を撫でられた事でシロも反射的に尻尾を振って返事をし!…

そんな反応を見てマサツグもシロは大丈夫と確信すると、シロに進むべき道に

ついて質問をする。するとシロは突如質問をされた事でまた戸惑った反応を

見せるのだが、直ぐに我に返った反応で返事をし…その際追って居る匂いのする

方向を同時に指差し…マサツグもそれに従うようシロを抱えて歩いて居ると、

シロから奇妙な質問を受ける。


「……ご主人様?…先程から誰かが付いて来てるのですが…誰ですか?…」


「ッ!…え?…」


__クルッ?……ッ?……ヨジヨジ…


「…ご主人様の後ろに列が出来る様に人が並んでいて…

みんなボロボロなのですが?…」


シロは気になった様子でマサツグを呼ぶと、徐に後ろに居るのは誰かと尋ね出し…

当然そんな質問をされた事でマサツグが戸惑った様子で返事をすると、後ろを

振り返って確認をする…だが後ろを振り返った所で居るのはレイヴンとアルスと

オーディックだけで…他に誰も居ないと言った様子で若干困惑をして居ると、

シロは徐にマサツグの体を少し攀じ登る…そしてマサツグの肩から顔を覗かせる

よう後ろを見ると、シロには何か見えて居るのかマサツグの後ろに行列が出来て

居ると話し…その際更にその行列を作って居る者達はボロボロと…まるで何か

見えちゃいけない物を見て居るかの様な言葉にマサツグもハッとすると、慌てて

シロを回収する!…


「ッ!?……あっはっはっはっは……シロちゃん?…

気にしちゃ駄目!…それ多分見えちゃ駄目な奴だわ!…」


「……ッ?…」


この時理解した様子で若干青褪めつつも苦笑いをして誤魔化すと、シロに見ちゃ

いけない!と注意をし!…そして改めてシロを護る様に抱え込み!…シロはシロで

そのマサツグの言葉を素直に聞いた様子でお腹にくっ付き直すと、甘える様に

摺り付く…だがそれでもやはり気になるのか、不思議そうな表情を浮かべると、

首を傾げ…因みにレイヴンからの視点だとその様子はハッキリと見えて居た

らしく、面白かったから放置して居たと後日マサツグの話すのであった。さて

それから不帰の森に入ってからどれ位の距離を歩いただろうか?…乱雑に生える

木々を掻き分け、川を越え!…まるでジ〇リ作品の中に居る様な感覚を覚えつつ

ただひたすらに森の中を歩いて居ると、シロがまたもや反応する!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……


「……ッ!…ご主人様!…ストップです!!」


「ッ!?…うおぉ!?…な、何だ!?…」


__ぴょいん!…クンクン!…クンクン!……


森の中を歩き続けて体感的に約二時間と言った所か…突如シロが耳をピクっと

反応させると、マサツグに止まるよう言い!…マサツグもそのシロの言葉を

受けて驚いた様子で足を止めると、戸惑いの言葉を漏らす!…当然マサツグが

止まると後続のレイヴンにアルスにオーディックと足を止め、一体何事か?と

言った具合で前の様子を覗き込んで居ると、シロはマサツグから離れ!…

マサツグ達の前に立っては徐に臭いを嗅ぎ出し、何かに気が付いた様子で目を

ハッ!と見開くと、次の瞬間シロはマサツグ達に警告をする!…


「……ッ!?…ご主人様!!…避けて!!!」


「え!?…よ、避ける!?…ッ!!」


__キキキィ!!…バササササ!!!…


敵の攻撃を感じ取ったかのようシロは即座にマサツグ達の方へ振り返ると、

慌てて避ける様に指示を出し!…突然避けるよう指示を出された事で!…

マサツグ達が戸惑った反応を見せて居ると、何処からともなく何かの羽音が

突如として聞こえて来る!…そしてその羽音に気が付いたマサツグ達は直ぐに

理解した様子でシロの指示に従い、しゃがみ出すと回避の体勢を取り!…

すると暫くしてマサツグ達の頭上を大群の蝙蝠達が飛行し!…そのまま通り

過ぎるよう後方へと流れて行くと、マサツグは改めて戸惑いの言葉を漏らす!…


「ッ~~~!!!……い、今のは!?…」


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「ッ!?…何者!?…ッ!!…」


その際通り過ぎて行った蝙蝠達を見送るよう立ち上がると、今度は何かが

近付いて来る様な足音が聞こえ!…それに反応してマサツグ達も慌てて

振り返り!…その足音の正体は何なのか!と確認すると、そこには女性が

一人…ダークエルフのお姉様らしき人物が笛を片手に樹の上から姿を現して

居るのを見つけるのであった。そしてそのダークエルフは不機嫌なのか、

手にしている笛をまるで扇子の様に扱い…片手で握ってはもう片方の手に

何度も打ち付け、見下すようマサツグ達に視線を向けると、徐に声を

掛け出す!…


「……はあぁ~…全く!…

そのまま蝙蝠達の餌になれば良かったのに!…

面倒臭い!…」


「ッ!…貴様ぁ!…ダークだな!?…」


「そう言うアンタはでしょ?…全く!…

人の事を見た目でしか語れないとか…低俗の極みね?…」


「ッ!?…何ぃ!!…」


そのダークエルフは面倒臭そうに溜息を吐くと、蝙蝠を差し向けた様に

話し出し!…アルスはアルスでダークエルフへ機敏に反応し!…

さも戦闘を始めん勢いでダークエルフに食って掛かて行くと、相手の

ダークエルフはアルスを馬鹿にする。その際ダークエルフ達は普通の

エルフ達の事をホワイトと呼んで居る様で、アルスを低俗と罵り!…

アルスはその言葉を受けて更にプッツンし!…今にも剣を抜かん勢いで

怒りを燃やして居ると、マサツグがレイヴン達に指示を出す!…


「ッ!…シロ!…レイヴン!…オーディック!!…アルスを抑えて!!」


__ッ!?…ババッ!!…ガシイイィィン!!…


「ングゥッ!?…な、何をする!!…放せ!!…」


「俺達は戦いに気なんじゃないだろ!?…

こんな所で剣を抜こうとするな!…」


今にも斬り掛からん勢いにマサツグが慌ててレイヴン達へ抑えるよう指示を

出すと、レイヴンはアルスを抑える様に前へ立ち!…オーディックはアルスを

羽交い絞めして拘束し!…シロはシロでアルスに顔に向かい飛び付くと、

フ〇イスハガーを繰り出しては視界を奪う!…そうして完全拘束された所で

アルスも戸惑った様子で反応すると、藻掻いては脱出を試みるのだが…怪力の

オーディックにダメ押しのレイヴン!…そして視界を奪うシロに拘束されては

やはり思う様に動けず!…ただただスタミナだけを消費するよう暴れては

放すよう文句を口にする!…だが当然放せと言って放す馬鹿は居らず、マサツグが

落ち着くよう声を掛けると、その際争う気は無いと公言し…そのマサツグの

言葉を聞いて相手側のダークエルフも…ピクッと反応して一応話を聞く様な

態度を見せると、スッと同じ位置に降りるよう樹から飛び降りる。


__………スッ……ストッ…


「ッ!…」


「…へぇ~…争う気は無い…ねぇ?…そんなに殺気立って?…」


「ッ!…あはははは…コイツの悪い癖でな?…あぁスマン!…

で、アンタ達のに話があるんだが?…」


樹から飛び降りると華麗に着地!…その後ゆっくりマサツグの方に向かい歩いて

来ると、何故かモデルウォークで腰をくねらす…その様子に摩擦うも戸惑いつつ

ダークエルフを見て居ると、マサツグに興味を持った様子で話し掛け…その際

やはりアルスを馬鹿にした様子で、マサツグに顔を近付け誘惑するよう話し

掛けると、マサツグはタジタジになる!…だがここで退く訳には行かないので

体勢を立て直し!…改めてそのダークエルフに用件を話し出すと、そのマサツグの

言うと言う言葉に引っ掛かったのか、何やらダークエルフは途端に奇妙な

表情を見せるのであった。

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