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-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-

-第六章十八節 中立の人狼達とシルビィーナの昔話と鬼教官!…-

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マサツグが自身の根拠について一連の説明をした後…シルビィーナの名前も出て

来た事で少なくともモツやアヤ…気になった者達がシルビィーナの方へ視線を

向ける。すると次にはシルビィーナもそれを察し様子で槍を両手に握って見せる

と、構える事無く澄ました様子でお辞儀をして見せ!…そしてそのマサツグの

話に続くようシルビィーナも話しに参加をし始め!…そのマサツグの言う根拠に

ついて補足をする様に語って行くと、ある事を口にする!…


__ッ!…スッ…ペコッ…


「事のあらましはマサツグ様の仰った通り…

動き出すにしては遅いので御座います…

もしこの者達が本当に襲って来るならば三合目…

それもあの山小屋付近で身を隠し、強襲の機を伺います…

ですが、三号目に付いた時点でその気配は感じられなかった…

ここで出会ったのは恐らく私がスコルティナ…ッ!…

いえ、シロ様を連れて戻って来たと勘違いをしたからでしょう…」


「ッ!……まぁ大体の話は分かったけど…

それでも可笑しい事には変わらんだろ?…

だってそれが理由でこいつ等がここに居るのだとしたら…

結局俺達がここに来る事も分かって居た筈!…

人狼達にとって必要なのはシルビィーナとシロだけだから…

やっぱ俺達の事を排除しようとても可笑しくない筈!…

それに関しては?…」


シルビィーナはマサツグの説明を復唱する様に話しをすると、その人狼達の

手の内を知って居る様子で淡々と冷静に言葉を口に…その際やはり奇襲を

仕掛けて来るにしても遅過ぎる!と…その理由に自身とシロが関係している

具合に話しを続けると、その話にモツが疑問を持つ!…と言うのも一応は

その話に理解をした様子を見せるのだが、やはり理解した上で可笑しい!と

語り!…何でも必要なのは二人だけ!と…自分達が邪魔者である事1…言わば

招かれざる客人である事を話して行くと、それに関してもシルビィーナは

慌てる事無く…ただ簡単にこう返事をする!…


「ッ!…それに付きましても簡単です…

…恐らく鹿は私とシロ様が戻って来た事の方に気を取られ…

マサツグ様やモツ様の気配に気が付いていなかったからです…」


「ッ!…え?…」


__どよぉ!?…ザワザワ!…ザワザワ!…


「ちょ!…馬鹿ってのは酷いではないですか!!…

…確かにアレクシア隊長とスコルティナ様の

気配を感じて浮かれていたのは認めますけど…」


シルビィーナは澄ました態度ままでモツの方へ振り返ると、そのモツの疑問に

返事をし…その際その現隊長?と思われる人狼を指差し…言葉を濁す事無く

真正面から[馬鹿]と辛辣な言葉を掛けて行くと、そのシルビィーナの答え様に

モツも困惑!…更に他の人狼達も思わず戸惑う!…この時その馬鹿と言われた

人狼も思わずビクッとして見せると、たじろいだ反応を露わにし!…と、次には

慌てて文句を少し!…突っ掛かりはしなくとも意見がある様子で声を掛けると、

更にシルビィーナが畳み掛ける!…


「…はあぁ~……貴方は相変わらずですね?…

この分だと部下の皆様まで苦労していそうな…」


__ッ!……ッ~はあぁ~~…


「ッ!?…ちょ、酷い!!…」


その文句を言って来る人狼に対してチラッと視線を向けて行くと、次には呆れた

様子で溜息を…と言うのもその人狼が浮かれて居た事を素直に白状した事で!…

それを聞いたシルビィーナとしても情けない!と言った具合に頭に手を持って行く

と、も一つ辛辣な言葉を!…その人狼の部下と思われる者達の事を同情する!…

するとそのシルビィーナの言葉を受けて何故か部下達もピクッと反応をして見せる

と、次にはうな垂れ溜め息を吐き!…となるとそんな様子に更に人狼がショックを

受け!…遂にはガクッと折れるそんな反応を露わにすると、一方でマサツグが

まとめに!…とにかく大丈夫!と言って見せる。


「…とにかく!…

昨日の晩襲って来たのはこいつ等じゃないのは確かだな?…

恐らく別の奴だ!…」


「…じゃあ、昨日の晩襲って来たのは誰の差し金なの?…」


何故かマサツグが人狼達の無実を勝ち取る事に…だがその一方で精神的ダメージは

大きく!…と、その一方でこの珍事に一同勿論の如く困惑して見せ!…これは何?

と言った様子で付いて行けない反応を見せて居ると、ここでくまさんが動きを!…

話しを元に戻して行く!…その際まだ終わって居ない事を口にするよう!…結局

誰の命令で襲って来たのかを言及し出し!…が、そんな話も遮る様に突如風が吹き

始め!…それに合わせてシルビィーナとそのショックを受けていた人狼がピクッと

反応をして見せると、途端に移動を薦め始める!…


__ビュウゥゥ!……ゴウッ!!…


「ッ!!……ッ!!…急に風が吹き始めたな…

…隊長、一旦ここは話を中断してあの休憩場所に戻りましょう!…

話は歩いてでも、それからでも…」


「…そうですね……マサツグ様?…

ここは彼等に着いて行き、休憩に致しましょう!…

この後恐らく…吹雪が来ます!…」


やはり霊峰の事は良く知って居る様子で途端に警戒!…落ち込んでいる場合では

無い!と…すると次には休む所があるのか人狼はシルビィーナに提案を口に!…

となるとそれを受けてシルビィーナも同意をするよう返事をして見せ!…更に

マサツグへ移動を勧めるよう言葉を口にして行くと、天候が荒れる事も続けて

話す!…その際マサツグもそれを聞いてピクッと慌てた反応を見せると、次には

シロに退くよう言葉を…


「ッ!!…わはっは!…ひろ?…分かった!…シロ?…

いほうふふはらははれてふれ?…移動するから離れてくれ?…


__…ガッシ、クルン!!…ザッ!…ザッ!…ッ!?…どよぉ!?…


「ッ!…え、何?…何かどよめく様な事あった?…」


この時シロに頭突きを喰らいながら両脇に手を!…そこからまるでシロをセカンド

バッグの様に抱えて人攫いスタイルになって見せると、人狼達は驚愕!…思わず

慌てた反応を露わにする!…だがその一方で二人は既に慣れている様子であり、

二人揃って不思議そうに首を傾げ!…と、この時マサツグは気の抜けた感じで

言葉を漏らし!…そんなマサツグの言葉にモツ達も呆れた様子で苦笑いをすると、

とにかく移動を目指し始める!…その際マサツグ達を繋いでいた筈の命綱は先頭の

シルビィーナだけを切り離しており、いつの間にかマサツグが先頭に!…が、

変わらずシルビィーナはマサツグの前に!…自身で縄を斬った事を忘れた様子!…

それでも尚自分が道案内をする様に歩いて行くと、その道中…面々は戸惑った

反応を見せて居た!…と言うのも…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…まさか戦う事になるだろう人狼達に案内をされるとは…

思わなかったな?…それもこんな集団で?…」


「…そうだな?……

おまけに守って貰う様に陣形まで組んで貰ってるし…」


「ッ!…フフフ!……」


戸惑う出来事と言うのもその隊列!…マサツグ達は依然として縄に繋がったまま

一列に並んで居るのだが、それを囲む様にして人狼達が陣形を組み!…何なら

マサツグ達を護衛するよう辺りを警戒!…敵として戦う筈であったろう人狼達に…

これは予想外!と言った様子で各々が言葉を漏らして居ると、そんなマサツグ達の

様子にシルビィーナがフフッ!と…思わず楽しそうに笑って見せる!…すると

その様子に気が付いた隊長の人狼が反応をすると、次にはシルビィーナに声を

掛け!…


「ッ!……珍しい!…隊長が笑う所なんて何年ぶりだろうか?…」


__ッ!!…チラッ?…


「ッ!…え?…そんなに珍しいのか?…」


「えぇそれはもう!!…

なにせ隊長がまだ近衛隊長を勤めている時は!…

その表情の変わらなさに氷の…」


この時シルビィーナとしても恐らく無自覚に笑ってしまったのであろう!…

その人狼の言葉を聞いてシルビィーナはハッとして見せ!…と、次にはその人狼に

対して余計な事を言うな!とばかりに視線を送り!…だが一方で人狼は気が付いて

居ない様子で笑っており!…その際マサツグからの問い掛けに対してまさにその

余計な事を話そうとすると、これにはシルビィーナも若干苛立ちを覚えた様子!…

次には眉間にしわを寄せ!…そしてその人狼に尻に向かってシルビィーナがキレの

有る良いキックを放って見せると、人狼の事を一閃する!…


__ッ!!…スゥ…スパアァァァァァァンン!!!…


「ッ!!!!…」


「ッ!?!?!?……」


その際シルビィーナの放ったキックが見事にその人狼の尻を四つに割らんばかりに

綺麗に入ると、当然人狼は前のめりに吹き飛び!…何なら辺り一帯にその凄まじい

音が木霊して行き!…蹴られた方は勿論吃驚!…そしてその様子を見ていた

マサツグ達も呆気に取られた様子で思わず足を止めてしまうと、これまた周りの

人狼達も驚愕!…とにかく一斉に固まってしまう!…何ならその時の光景と言う

のはまさに某・笑ったらケツバットの番組に出て来るムエタイ選手を彷彿とさせ!…

そして蹴られた人狼の末路が目の前に…


「ギャアアアァァァァァァァ!!!!…」


「…余計な事を話さなくても良いのです!……先を急ぎますよ?…」


「ッ!!…お言葉ですが…隊長!?…

その様子だとまだ隊長の過去をお話になっていない様子!…

これを気に話すと言うのも良い機会かと!!…」


「……黙りなさい!……もう一発行きますよ?…」


「ヒィ!!…」


さながら某・番組以下略…とにかく食らった様子はそのタレント達を彷彿とさせ、

繰り出したシルビィーナもその人狼に対して怒りを露わにして見せると、余計な

事を言うな!と一喝!…そして置き去りにしようとして見せる!…だがその人狼も

まだ懲りて居ない様子で復帰すると、尻を抱えながら意見!…と言うのも何かを

悟った様子で話し出し!…これをきっかけにもっと仲良く!と言葉を口にすると、

シルビィーナは更に激昂!…足を少し上げて人狼の事を威嚇する!…するとそんな

シルビィーナの様子に人狼恐怖!…まだまだ現役だ!とばかりに怯え!…と、

そんな二人の様子にマサツグもハッ!と…我に返った様なそんな反応を露わに

すると、二人の仲裁に入って行く!…


「ッ!!…ま、まぁまぁちょっと待った!!…

確かに気持ちは分かるけど…教えてくれないか?…」


「ッ!……え?…」


「実は言うと俺もシルビィーナの事もう少し知りたいと思っていたんだ!…

俺達が知っているのはバルディアナのペットとして対峙した時のシルビィーナで…

勿論過去の事なんて全く知らない!!…だからその人狼?…の言う通りに!…

これを機に色々と話してくれると有難いんだ!…

…勿論話したくない部分も有るだろうから強制はしない!……駄目か?…」


「ッ!………。」


マサツグが慌てて二人の間に割って入るよう止めに掛かると、次にはその人狼の事も

分かる様子で言葉を口に!…と言うのもシルビィーナの事をもっと知りたい!と

話して行き!…そのマサツグの言葉にシルビィーナもピクッと戸惑った反応を見せて

行くと、更にマサツグが畳み掛ける!…この時勿論シルビィーナにも触れて欲しく

無い過去がある事を口にすると、無理強いはしない!とシルビィーナに話し!…と、

その言葉にシルビィーナも小さく反応して見せ!…少し困った様なそんな反応を露わ

にすると、次には静かに頷き…そして少し自分の事を語り始める…


「……わかりました…では御話出来る部分まで御話致します…」


「ッ!…あぁ、頼む!…」


「ではまず…私がここで近衛隊長をしていたのは…

この馬鹿が既に言ってしまったのでその説明は割愛とさせて頂きます…」


__ッ!?…


シルビィーナはスッと澄ました顔を見せて行くと、了承をした様子で言葉を…すると

そんなシルビィーナの反応にマサツグも頼む!と返事をして行き!…何とかその場を

治める事に成功すると、内心ホッとして見せる!…と言ってもただ喧嘩を仲裁する為

だけにあの様な事を言ったとかでは勿論なく、シルビィーナの話も聞きたかった!と

言うのも当然本音で有り!…と、そんなマサツグの心の内など如何でも良く!…

シルビィーナがまず初めに自身が近衛隊長であった事を口にすると、その説明を

省略!…何をして居たのか?を話し出すと同時にその人狼を馬鹿にする!…その際

その人狼はショックを受けた様な反応を露わにするのだが、当然の如くスルーし…


「…私は近衛の役職の通り、女王様の側近!…

そしてその身の安全を護る守護者として動いておりました…

勿論女王様に近づく下賤な者を取り押さえ、場合によってはその者の命を奪う…

…その様な仕事を当たり前の様に淡々と熟し…そしていつしか気が付くと…

周りからは[氷の牙]と呼ばれて恐れられる様になって居ました…」


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…ッ!…ザッザッザッザ!!…


「…その際その名前が付いたのには他にも理由が有りまして…

…まず私は他人に対して一切笑顔を見せた事が無い…

所謂[鉄面皮]と呼ばれる者でありまして……そしてその者の命を奪う際…

何の躊躇いも無く槍でその命を刈り取って居た為…

私が知らぬ間にその二つ名が付く理由となったのでしょう…」


シルビィーナが話し出したのは一体何をやって居たか?で…当時の自身がいかに

冷酷な者だったかを話し出すと、更に二つ名も付いて居た事を口にする。その際

話しながらでも先を急ぐ事は出来ると言った様子で歩き出すと、面々もハッと

した様子で追い掛け!…その間シルビィーナは淡々と自分の事を暗く話し!…

遂には何故その二つ名が付いたのかまで話し出すと、更に先を急ぎ続ける!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「まぁ…主に女王様の命を狙う者は名声目当て…

或いは賞金目当ての下賤な者達ばかりで…

私の良心が痛む事は決して有りませんでしたが…

…ある日女王様が私にある命令を出したのです…

…それは突然でした…その日女王様からお呼び出しが掛かり…

女王様の元に行くと女王様は私を新兵教育の教官にと…

任命をされたのです…」


徐々に雲行きも怪しくなってくる中、更にシルビィーナの一人語りは続きを

見せる!…その際次に話し出したのは自身のやって居る事に対して罪悪感など

微塵も感じて居ないと言う…やはり暗い話から始まって行き!…しかし次には

ある種シルビィーナの人生におけるターニングポイント的な話にも入って行くと、

ここでシロの母親と思われる女王様の話を!…何なら周りに居る人狼達との

関わりの始まりについても口にする!…と言うのも事の発端はシルビィーナの

戦闘の腕を買われての話らしく、新兵教育の教官としての話に入り…


「…勿論私も戸惑いました…感情が無いと呼ばれ…

暗殺者の様な二つ名が付いた私に教官が勤まるのか?と…

ですが、女王様はそんな私に微笑みながらこう仰ってくださったのです…


[この任は貴方にしか出来ない!…

これは新兵だけで無く、貴方にも糧となる良い機会!…

だからしっかりと励みなさい!…]


…まるで実の母親に励まされた様な気持ちになりました…私が周りから恐れられ…

他人と関わりを持つ事を苦手として居るのが分かっていた様な仰り様に私は驚き…

思わず不服の表情を女王様に見せてしまったのです…

ですが女王様は私の表情を見ても尚微笑んでいらっしゃって…

私を叱咤すると言った事をしなかったのです…

…その事にも私は驚いたですが…それよりも驚いたのはその女王様の目で…

…やさしく私の事を見て下さっていたのです…他の者達は畏怖の目で見る中…

女王様だけはまるで私を狂人…或いは道具として見るのではなく…

一人の人として見て居る様な…温かい目を送って下さったのです!…

それはまるで私の事を実の娘の様に見て下さって居て…その目を見て以来…

私はこの方に答えなければ!…と、その生涯を尽くす事を心に決めたのです!…」


この話を持ち掛けられた際シルビィーナも思わず戸惑った様で、その時の事を

さも思い出す様に淡々と話し…何なら女王様から掛けられた言葉を覚えている

様子でまんま台詞を…その際シルビィーナもそんな女王様に優しさを感じ!…

話す度に徐々にその表情も自然と柔らかい物へと変わって行くと、マサツグ達も

黙って話を…歩きながらにシルビィーナへ対してニヤニヤする!…勿論この時

何か厭らしい事を考えて居る訳では当然無く!…それだけシルビィーナが女王

様の事を慕って居るのが良く分かって笑みが零れ!…と、同時に女王様が優しい

者?…だと言うのが良く分かり!…内心ホッとした様子でまだまだシルビィーナの

話を聞いて居ると、途端にスッと冷静な表情に戻り…


「…それ以降は私は近衛の任と教官の任を両立していたのですが…

その時の弟子がまさかのこの馬鹿で……」


「…ッ!!…ちょ、ちょっと待ってくださいよ隊長!!…

そこまで私の事を馬鹿と呼ばなくても良いではないですか!!…

これでも今は隊長の後を引き継いで!…教官の任も務めているのですよ!?」


と言うのも次に話し出したのはシルビィーナがその教官を務め出した時の話で有り…

先程からよく絡んで居る人狼の事をチラッと見ると、冷めた様子でこれまた淡々と

話しをし!…何ならその人狼の事をコテンパンに!…先程からずっと言って居る

馬鹿のオンパレードで罵りに罵り倒して居ると、当然その言葉に人狼も不服を!…

文句がある様子でツッコミを入れる!…その際今では自身がシルビィーナの代りを

務めている事を口にすると、それを聞いたシルビィーナはピクッと反応するなり

鼻で笑い!…


「ッ!……貴方が教官?…フッ!…笑わせてくれますね?…

確か貴方…女性の着替えを覗こうとしてその女性達にボコボコに…」


「ッ!?…わああああぁぁぁぁぁぁ!!!

すいませんでした!!!…私は馬鹿でした!!!!」


まるで話にならない!と言った様子でやはり馬鹿に!…その際その人狼が馬鹿で

ある事を証明する様にある暴露話をポロッと漏らすと、途端にその人狼は青褪め

慌てて自身が馬鹿である事を認め!…するとその様子に周りの人狼達もはぁ~…

っと呆れ!…さも分かって居た様子で何か肩を落とす様なそんな素振りを見せて

居ると、一行は三合目から歩き始めて数時間後…何だかんだ言いながら四合目に

辿り着こうとしていた。


「…ッ!…ヤブ?」


「ん?…どった?」


「四合目の看板がチラッとだけだけど見える…」


「え?……あれ?…ほんとだ…まだ登り始めて数時間だよな?…

もうここまで登って来たのか?…かなり速い様な?…」


それに気が付いたのは突然の事で!…モツがふと気が付いた様子で徐にマサツグの

事を呼んで行くと、マサツグは気の抜けた返事を口に…しかしモツはそんな事など

一切気にせず!…ただある方向を指差しながら四合目の目印である看板を見つけた

事を話して行くと、若干驚いた反応を露わにする!…と言うのも霊峰は宇宙一歩

手前まである高さの山で、その四合目まで辿り着くのにまだ時間が掛かると思って

居た様で!…だが結果として予想より圧倒的に速く!…マサツグも驚いた様子で

まさか?と言った具合に言葉を漏らして見せて居ると、次にはシルビィーナが歩き

ながらにクルッと!…その理由をマサツグ達に話し始める!…


「それは簡単です…私達が今通っている道は言わば近道です…

獣道で歩き難い分…普通の道より短時間で目的の場所に辿り着く事が出来ます…

…でないと侵入者が現れた時…迎撃出来ませんから……」


「……な~る…」×2


「……ん?…となるとこの道は言わば人狼達専用の道って事だよな?…」


「はい…」


「じゃあ…この先って俺達人間も通れる様になっているのか?…」


「………。」


シルビィーナが言うには今通って居る道は近道らしく、普通の登山道より早く

上に行けると…と、それを聞いてマサツグとモツの二人も揃って頷き納得する

一方…逆にその話を聞いてふとある事が気になったのか…マサツグが再確認を

する様にシルビィーナへ言葉を掛けて行くと、シルビィーナはそれに対して

簡単に返事…さもを露わにする…しかし次にマサツグが

聞いたのはその道中の険しさについてであって、人狼専用と言う事は自分たち

人間は行けるのか?と…まるで某・錬金術師の漫画のある場面の様に静かに

質問を口にして行き!…その質問に対してシルビィーナもピクッと動揺する

様なそんな反応を見せて行くと、次にはこう言葉を零す!…


「……貴方の様な勘の良いお方に出会えてシルビィーナは嬉しゅうございます!…

…御明察!…訓練と称してマサツグ様達をこの者達の背に!…

そして一気に五合目まで駆け上がりましょう!…」


__ッ!?…え!?……×17


「い、いやぁ!…それはさすがにこっちが申し訳無いと言うか…

ってかそもそもくまさんは如何するつもりだ?…

一人でさすがに背負えるレベルではないぞ?…」


「ッ!!…まぁ~ちゃ~ん~♪…それって如何いう意味?…」


シルビィーナはマサツグの事を褒める様に言葉を口にすると、クスッと妖しい

笑みを浮かべ!…と、次には鬼の様な事を話し出し!…一気に五合目まで駆け

上がる算段を続けて話すと、人狼達一同!…並びにマサツグ達一同を困惑させる!…

となるとこの斜面を駆け上がるのか!?と思い一度確認をして行くと、やはり

その道のりはかなり険しく!…そうなるとさすがに不憫…と言うか無茶を言う

シルビィーナにマサツグが待った!を…何ならくまさんの事を引き合いに出して

止めるよう言葉を口にするが!…その言葉にくまさん激怒!…ニコッと笑っては

圧を掛ける!…しかしそれを聞いても尚シルビィーナはやらせようと考えて居る

らしく、寧ろ心配ない!とばかりに言葉を!…


「…大丈夫です……

寧ろこれ位出来なくて何が女王様を守る栄光有る兵士達でしょうか!…

これが出来なくては基礎からみっちりやり直しです!…」


__ッ!?…ヒィィィ!!!…


全く持って撤回する気ゼロのシルビィーナはやらせる!と…鬼教官振りが戻って

来た様子で更に怪しくニヤッと笑うと、その人狼達を震え上がらせ!…何なら

これが出来て当然!とばかりに言葉を口に!…寧ろ出来なければ私が許さない!

とばかりに圧を全面に放って行くと、もはや人狼達に逃げ場はない!…隊長らしい

人狼も白目を剥く!…それはまるで昔の訓練を思い出して居るかの様に固まって

おり、もはや何も語らず!…その一方でマサツグもこれは駄目だ!と諦め始め…

何を言っても無駄である事を悟って行くと、シルビィーナは更に言葉を…

とんでもない鬼を垣間見せる!…


「それに言ったではないですか?…」


「ッ!…へ?…」


「これはチャンス…と?…」


「ッ!?!?……」


シルビィーナは笑みを浮かべたまま意味深な言葉を!…となるとそんなの言葉に

マサツグも戸惑い!…何なら気の抜けた感じで返事を口に…一体何の事?と

ばかりに固まって居ると、シルビィーナはチャンスと…最初に人狼達と邂逅した

時の言葉を口にする!…すると次にはマサツグとモツもハッと理解した様子で

途端にその表情を青褪めさせると、思わずシルビィーナにビビってしまい!…

と、その一方でシルビィーナは笑みを絶やさずニコニコして居り!…チラチラと

陣を組んで居る人狼達の方に視線を向けると、何か組み分けるそんな素振りを

見せて居た!…そしてマサツグもそんなシルビィーナに声を掛けると、あの時の

言葉の意味について質問を!…


「え!?…ちょ!…まさか最初のチャンスってもしかして!?…」


「…ッ!……さすがマサツグ様!…その通りで御座います!…

この霊峰を登る際の!…と言う意味に御座います!…」


「…ッ!?!?!?!?……」


伏線を見つけた事で更にマサツグが青褪め出し!…その質問にシルビィーナも

笑みを浮かべて返事をすると、さも嬉しそうに話しを続ける!…それはマサツグを

称える様に言葉を口にして行くと、本当の意味についても説明をし!…と言うのも

シルビィーナは最初から人狼達の事を足としか見て居なかった様子であり!…

それを堂々と言い切る辺りシルビィーナの鬼畜っぷりが更に浮き彫りになって行く

と、これまたマサツグ達は驚き戸惑う!…そしてつくづくマサツグのペットで

良かった…と一同がホッと安堵する一方!…シルビィーナの力説は更に続き!…


「…私は今やマサツグ様の従魔…この険しい山道をお登りになる際…

如何にか負担を減らす方法はないかと考え…思いついた方法がこれに御座います…

これならば負担が軽減される上に時間も短縮出来て!…

この者達の鍛錬にもなります!…そう!…これは完璧なトレーニ!…ッ!…

…コホンッ!…失礼いたしました…移動方法に御座います!…」


「鬼過ぎる教官!?!?…」


もはや本性を隠し切れない位に熱烈プレゼン!…マサツグ達の事を思いながらも

トレーニングも出来る!と…我ながらいい訓練を思い付いた!とばかりに笑みを

零して見せて行くと、それにはもはや狂気すら感じられ!…とにかくマサツグ達も

黙ってしまい!…シルビィーナも途中本音を漏らす場面をチラッと見せると、

咳払いをして言い直し…改めてマサツグにプレゼンする!…となるとそんな話を

聞いてもモツもシルビィーナに対してツッコミを入れると、マサツグが再度慌てて

止めるよう言葉を掛けるのだが!…


「…き…気持ちはありがたく受け取っておくよ!…

でも…自分の足で登らないと意味が……」


「そんな事は有りません我が君!!…」


「ッ!?…我が君に戻った!?…」


「これは彼等にとってもまたと無い成長の機会!!…

ここはマサツグ様達もご協力を頂いて…」


「もはやお前はどっち側の立ち位置なんだ!?…」


やはりシルビィーナは暴走しており!…マサツグの事を何か久しぶり?…に

我が君!と呼んで見せると、逆に説得を仕掛けて行く!…となるとそんな

シルビィーナの我が君呼びにマサツグも戸惑った反応を見せて行くと、もはや

それは従魔なのか鬼教官なのかどちらか分からなくなって行き!…が、そんな

マサツグを余所にシルビィーナはイキイキとしており!…その一方で人狼達も

何かマサツグが圧し勝つ事を願う様に祈り出すと、何とかその鬼の訓練から

逃れようとする!…しかしそれは天が認めなかった様子で天気は一転!…

徐々に吹雪が起き始めると論争どころでは無くなり!…結果としてはやはり

人狼達にお世話になる!…


「さぁ!…早くしないと吹雪が来るぞ!!…

五合目の休憩所まで止まらずに走れ!!!…

…もし脚を止める様な事が有ったらその時は…

…貴様達全員!…分かって居るだろうなぁ?…」


__ゾクウウゥゥッ!?!?!?……


「では!…スタートオォォ!!!!…」


__ッ!?!?…バババッ!!…


さて結果として人狼達の背にマサツグ達が掴まって行くと、シルビィーナはそんな

人狼達に急げ!と命令!…何なら鬼教官に戻ったよう言葉を口に!…その際休んだ

場合のペナルティも勿論ある様子で圧を掛けると、人狼達を戦慄させる!…そして

そんな人狼達に掴まって居るマサツグ達としても罪悪感をが凄い物で!…当然その

人狼達に謝り!…だがこの時シロとフィロとパルシディアナはそんな事など御構い

無し!…子供の様にキャッキャと童心に返る様子を見せて行くと、一部は役得!と…

安堵する者達も居るのであった!…そしてシルビィーナの号令の下一斉にスタート

すると、本当に五合目まで一気に登り!…その際問題となったくまさんは騎馬戦

状態で運搬!…一番最後に到着する事となって行き…この時その様子を見た

プレイヤー一同はまるで何処かの森の長が来た様に見えてしまうと、何故か合掌を…

思わず神々しい何かに見えてしまうのであった!…

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