521 / 692
-第六章-ウィンタースノー連邦-スノーピース~霊峰ウルフハウリング・前編-
-第六章二十九節 騒がしい城内道中と魔王を叩く駆け出しと狼の女王-
しおりを挟む後方の様子に気が付かずハティビィエールの動向が気になるマサツグ…そして
シロもマサツグに甘えて今は気にして居ない様子で付いて居ると、一方では
何か嫉妬する様な様子を…静かに燃やしては不穏な空気を見せて居た!…さて
そこからその忘れ去られたマサツグ達の後方はと言うと…フィロがマサツグ達が
先行している事に気が付くと、次には慌てた様子でそのモツやアヤ達に急ぐよう
声を掛け!…
「……あっ!!…お主達!!…いつまでその様な事を気にして居るのじゃ!!…
マサツグと白いのはもう先に行ってしまったぞ、わっち達も後を追わねば!!…
本来の目的を忘れるで無い!!!…先に進むぞ!!!」
__ピョイン、ガシッ!!…ッ!?…
「さぁさぁ!!…早く早く!!…」
__ズルズル…ズルズル…
その不思議な城内の技術や仕様に夢中なモツとアヤの二人に飛び付くと、その二人の
手を掴み!…と、突如フィロに手を掴まれた事で当然困惑!…声を上げる間もなく
フィロが急かす様に言葉を口にして行くと、次には遠慮なしに引っ張って見せる!…
となるとモツとアヤも戸惑いっぱなしの様子で中腰状態なって行くと、次には歩き
難そうに連れて行かれ!…この時その様子を見ていたリーナ達も苦笑い!…とにかく
そのフィロの後を追う様に若干駆け足気味に場内を進んで行くと、その後を追う
フィロの方からは…
「わっとっと!!…え?…ちょ!…ちょっと待ってくれ!?」
「…あぁちょっと!!…もう!!…
もう少し位見物して行っても良いじゃない!!」
「えぇ~い!!…行くったら行くのじゃ!!!…
…はぁ~……まるで手の掛かる子供を持ったようじゃ!!…」
「……二人とも…ある意味似た者同士だな…」
モツは如何にも無理やり連行されて居る事で脚元が覚束ない様子!…しかしフィロが
急ぐ理由についても理解した反応を見せて行くと、一旦は待った!を掛けるのだが…
と、同じく連行されて居るアヤも戸惑い驚きの様子を露わに!…この時もう少し見て
居たかった様子でフィロに文句を口に!…だが逆にフィロからそんな時間はない!と
ばかりに文句を言われると、やはり強制連行される!…その際フィロも手の掛かる!
と言った呆れ様を露わにすると、二人の事など御構い無しにズンズン進み!…
となるとそんな三人の様子にこれまたリーナ達は苦笑い!…思わずアレが自分達で
無かった事に安堵すると、マサキとくまさんはクククッと笑いを堪え!…オリハは
もはや我関せずを貫いて居た!…そうして先行するマサツグを追ってフィロ達が
急いで居ると、程無くしてマサツグ達と合流!…その際ハティビィエールを先頭に…
一際大きい扉の前に立って居ると、次には息を切らして言葉を零す!…
__タッタッタッタッタッ…
「はぁ!…はぁ!……ッ!…や、やっと追い着いたのじゃ!!…」
「…ッ!……あれ?……何で息を切らして?…てかこの状況は?…」
「…はぁ!…はぁ!…この…ボン達が…他に…興味を…持ち…っぱなしで…
一向に…前に…進まん…から…無理やり…引っ張って…来たのじゃ!!……」
「ッ!…そ、そいつぁご苦労なこって…」
フィロがやっと追い付けた事に安堵するよう息を切らしながら言葉を零すと、その
フィロの言葉に反応してかマサツグも振り返って疑問を口に…と、言うのもここで
漸く後ろが付いて来て居なかった事に気が付き出し…そして何やら慌ただしい様子
を見せて居る事からこれは何?と更に質問を重ねて行くと、フィロもありのままに
合った事を口に!…息を切らしながらに説明をする!…その際途切れ途切れながら
モツ達の事をボンと言うと、苦労した様子で引っ張って来た!と…となるといつも
以上に疲れている具合からマサツグもご苦労!と声を掛け!…マサツグ自身も
そんなフィロの様子に戸惑った反応を見せて居ると、ドナドナされてきた二人も
言葉を…フィロに対してツッコミを入れる!…
「……ボンって…いつ俺達はフィロの息子になったんだ?…」
「……そうよね?…
それにこの状況だと子供に振り回される親…って、あっ…」
__カアァ~~!!……むすぅ~…
モツがフィロの言いように対して息子になった覚えがない!と口にすると、
アヤも同意するよう言葉を零し!…と、何なら身長的にフィロが子供!と…その際
逆に自分達が親で子供に振り回されて居る図の様と話して行くと、次には二人
揃ってハッ!と何かに気が付いた様子で反応をする!…この時モツとアヤが互いに
そっぽを向く様なそんな素振りを見せて行くと、次には恥ずかしい!とばかりに
軽く頬を染め!…となるとフィロとしては何か自分を出しに使われた様な…何とも
納得のいかないモヤモヤとした気分を覚えて行くと、それは表情に現れ!…珍しく
膨れっ面になって見せる!…そしてあからさまに不機嫌!言った様子でムスッと
すると、次にはマサツグにある事を!…
「……のうマサツグや?…今の状況に対して一言言って構わぬか?…」
「ッ!…え?…お、おぅ…」
「…すぅ~……」
徐に言いたい事が出来た様で…フィロがその事を口に出して言いたい!とマサツグに
許可を取ると、マサツグも思わず戸惑いながらに許可を…モツとアヤも何?とばかり
に首を傾げる!…その際二人はまだフィロに掴まったままの状態で頬を染め、今だに
顔を合わす事が出来ない様子を見せて居り!…と、その一方で全く気にして居ない
様子でフィロが息を…目を閉じ大きく息を吸い込み始めると、次には吸い込み切った
所で目をカッ!と…怒った様に目を見開いて行くと、天高く吠えて見せる!…
__……カッ!!…りあ充は爆ぜてしまえ~~~~い!!!…
「ッ!?…ッ~~~~!!!…」
__ビクウゥゥゥ!!!…バッ!!…
まるで憤りを発散する様にフィロは今の感情が篭った叫びを口に!…それは城内に
響き渡ると、辺りの者達を驚かせ!…何ならシロとハティビィエールも思わず
ビクッと!…近くに居たマサツグの影に隠れるようその身を隠す事態になって
しまうと、暫くの間城内でフィロの叫びが反響する!…その際魔王の本気の叫びに
驚いた二人は何方も尻尾をピンッ!と逆立てると、耳も真っ直ぐ天井を差し!…
と、そんなフィロの叫びにマサツグも更に戸惑い!…と言いたい所なのだが…
シロがくっ付いて来た!…と、同時にハティビィエールもくっ付いて来た事自体に
戸惑って見せると、フィロよりハティビィエール…意外と冷静になれてしまう!…
そして叫び終えたフィロの様子からは哀愁が感じられると、マサツグも思わず声を…
「………フィロさん?…すっきりした?…」
「うん!…すっきりなのじゃ!!」
フィロが叫び終えてから約数秒…フィロの感情を理解した上でマサツグが呆れた
具合に声を掛けると、フィロは満面の笑みで返事!…スッキリした!と答えて
見せる!…その際発信源近くに居たモツとアヤもそのフィロの叫びを諸に受けた
様子で固まって見せると、自身の耳を押さえては効いた!とばかりの表情を
浮かべ!…と言うのも恐らく事の発端はモツとアヤの二人に有り…自分達で言った
言葉にモジモジと…何か二人でラブコメの波長を出した事がきっかけでフィロは
発火した考えられると、マサツグも何か同情をする!…と言うのもこの様子は度々
見られ、フィロとしてもそれを見る度にイライラして居たのか?…と、とにかく
そうしてフィロがスッキリとした様子!…されど騒ぎは大きくなり!…その声を
聞き付けて更に急いで来たであろうリーナ達が現場に着くと、慌てた具合に何事!?
と言う!…
__ダッダッダッダッダッダッ!!…
「何だ!?…何が有ったのだ!?」
「今怨念を有りっ丈込めて吠えた声が聞こえたと思ったのだが!?」
「とにかく皆無事か!?…」
「ッ!?…え?…えぇ~っと……あ、あはははははは…」
勿論何か事件!?と誤解した様子で現場に急行!…そして辿り着くなりマサツグ達の
心配を!…何なら怨念めいたモノを感じた!と言い…その怨念の元凶を探す様に
辺りを見回すがそれっぽいモノが見当たらない!…更に悩んだ様子を見せて行く!…
この時リーナとパルシィは辺りに警戒!…しかしオリハ・マサキ・くまさんの三人は
何と無く分かって居る様子で…と、その一方では漸く動ける様になったのか?…
至近弾を喰らった二人が言葉を!…まるでバインドボイスを喰らった様に現状から
復帰をして見せると、若干のフラ付き様を見せて行く!…
「あ…あぁ……」
「み、耳が…耳がキィ~ンってする!…」
「ッ!!…だ、大丈夫か二人とも!?…一体何が!?…」
「だ、大丈夫…ただ耳がヤバイ!…真っ直ぐ立てそうに無い!…」
さすがにダメージにまでは至って居ない様であるが、それでもTPは消耗した!と…
二人揃って耳を抑え!…中々に音が真面に聞こえない様なそんな反応を見せて居る
と、リーナがハッ!とした様子で二人に駆け寄り!…そして心配の声を口にする!…
何ならフラ付く二人に肩を貸す様なそんな素振りも見せて行くと、モツはまだ
自力で何とか出来るのか大丈夫!と…と、モツとアヤがそれぞれ難聴に襲われて
居る中…フィロもやり過ぎた!と自覚が有るのか?…ふと疑問を持った様子で
マサツグへ振り返ると、疑問をそのまま口にする!…
「…そう言えばマサツグ?…お主何故無事なのじゃ?…
耳を塞いだ様子も無い上モツ達とは違い距離が有った様には見えん…
なのに何故その様に平気そうな顔を見せて居るのじゃ?…」
「ッ!…え?…いや、そう言われても説明出来ないと言うか何と言うか…
…ッ!…それより良いのか?…今自分で叫んだって事を言って?…
フィロの後ろでくまさんがニッコニコなんだが?…」
「ッ!…ふぇ?……ッ!?…あっ……」
と言うのもそのフィロの疑問と言うのは先程のバインドボイスの件について!…
モツとアヤはともかく、マサツグもある程度近くに居た事から被害を受けて居る筈!
とフィロは不思議そうに尋ねるのだが、その肝心のマサツグも分かって居ない様子…
何なら自分でも若干戸惑っている様子で有り!…その事をフィロに隠さず話して行く
と、次にはピクッと反応!…そのフィロの後ろに注目する!…そしてフィロに対して
後ろに仕置き人が居る様に話しをすると、次にはフィロもピクッと反応しては
振り返り…と、そこにはマサツグの言う通りにニッコニコの笑顔のくまさんが!…
しかし笑顔とは裏腹に背後は笑って居らず!…まるで怒りに燃えるよう炎を背負って
居る様に見せて行くと、フィロは徐々に青褪め始める!…
__ゴゴゴゴゴゴゴ!!!…サアアアァァァァ!!!…
「お、お義母様!…」
「フィ~ロォ~ちゃ~ん?…どうしてあんなおっきい声を出したのかなぁ~?…」
「ッ!?…え、えっと…その…あの…」
当然くまさんが怒って居る原因と言うのは叫んだ事にあり、モツとアヤの状態
異常についても言及を!…何なら人様の家で叫ぶ無作法振りにもカチン!と
来たのであろうか!…くまさんは表情そのままに元凶であるフィロの顔にへと
自身の顔を近付けて行くと、思いっきり圧を露わにする!…するとフィロも
そんなくまさんに対して引け腰になると、何とか言い訳を口にしようとする
のだが!…もはやくまさんの圧は魔王以上なのかそれを許さず!…ただフィロが
何も言えず口籠りに籠ってしまうと、問答無用の刑が施行される!…その際
くまさんはまずフィロの事を捕まえて行くと、叫ばせない様に口を押さえては
フィロの尻を大振りで叩き!…
__パアァァァン!!…パアァァァン!!…
「…一体何を考えたらこんな大騒ぎになるのかなぁ~?…
フィ~ロォ~ちゃ~ん?…」
「ンきゅ!!…んむぅぅぅぅぅぅ!!!…」
{……この人間さん達…おかしいのです!…
あれだけの怖い声に驚いてもいないですし…あのくまさんも怖い声を出した人を
お尻ぺんぺんしてるです!…普通じゃないのです!……}
もはやそれは慣れた様子でスナップを利かすと、あの魔王であるフィロネウスを
涙目に!…何ならくまさんはまだ駆け出しと言ってもいいレベルであり!…なのに
あのフィロネウスを圧倒する!…これにはハティビィエールにパルシィも度肝を
抜かれた反応を露わにすると、ただただその様子に呆然とする!…その際フィロは
涙目になりながら尻を何度も叩かれると、手を伸ばしては誰かに助けを求める
始末に!…となるとハティビィエールも心の中で動揺して見せ!…改めてマサツグ達
一行は何なのか!?と考えてしまうと、平常な考えが纏まらないで居た!…さて
そうしてマサツグの足に掴まりその様子を見詰めて居ると、次にはマサツグも
いつもの癖が出て来た様で…
__ポン!…なでなで…なでなで…
「ッ!…え?…」
__ニコッ!…ッ!……なでなで…なでなで…
もはや無意識にやって居るのか?…スッと手を降ろしハティビィエールの頭に手を
置いて行くと、次にはその頭を撫で始める!…となると突如頭を撫でられた事で
ハティビィエールも戸惑った様子でピクッとすると、マサツグの顔を見上げ!…
と、マサツグもこの時撫でて居るのはシロと思って居たのか?…次には視線を
落としてニコッと笑い!…そこで撫でて居るのがハティビィエールである事に
気が付いて行くと、あれ?と言った反応を露わにする…そして撫でた手前で慌てて
手を退けるのも如何か?と思うと、そのまま誤魔化す様にして頭を撫でに撫で続け…
するとハティビィエールも最初こそは警戒した様子を露わにして見せるのだが、
マサツグのスキル及び今までの経験からか!…徐々にハティビィエールもとろん…
とした表情を浮かべて見せ!…遂には甘える様なそんな素振りを見せて行くと、
マサツグの手に落ち始めてしまう!…
「……ッ!!……ッ!……ん♪…んん♪…」
「…ッ!…さすが兄さん…
もうその子を攻略…もとい、手を出しちゃったの?…」
「…オリハ君?…人聞きの悪い事を言うんじゃない!……」
それこそ魔の手に抗えない様で!…ハティビィエールはマサツグに安心した様子で
若干控えめながらに頭を摺り寄せ甘えて見せると、その様子に気が付いたオリハが
言葉を…何ならマサツグを捕まえると節操無し!とばかりに!…態々言い直して
ハティビィエールの事を差して行くと、茶化す言葉を口にする!…となると当然
マサツグもその言葉を聞いてピクッと反応をして見せると、オリハに対して文句を
口に!…が、その一方でハティビィエールの頭を撫で続けて行き!…ハティビィ
エールもただ黙ってマサツグに甘えて見せると、その様子にシロもヒョコッと顔を
覗かせると…
__ヒョコッ!…ッ!……
「えへへ♪…ご主人様のお手て!…気持ち良いですよね?…」
「ッ!…ッ……あいです…」
と言うのもまるで同意を求める様に言葉を口に!…その際ヤキモチを妬く事は無く…
笑顔でハティビィエールに接して見せると、ハティビィエールもハッとした様子!…
が、それには同意するのか若干恥ずかし気にコクンと頷き!…俯きながらに頬をポッ
と染めても見せて行くと、次には小声で返事をする!…するとそんなハティビィ
エールの返事にシロもフッと笑って行くと、この時だけは和気藹々として見せ!…
と、その一方でお仕置きも漸く終わりを迎え!…くまさんの懲罰からフィロが解放
された様子で転がって見せると、最後にくまさんが注意をする!…
「……はい、おしまい!!…
…また何かやったらこれだから覚えておく様に~!!…」
「ヒィ~~!……痛いのじゃ…
あまり痛さに一周回ってクセになりそうなのじゃ…」
まるで行き倒れの様にゴロンと行くと、全く持ってピクリともせず…と、その一方で
くまさんは淡々と注意を続けて行き!…再発防止の為に!と脅しの言葉も口にする
と、ここ漸くフィロの様子に動きが…と言うのもこの時フィロはスッと自身の両手を
自身の尻に、そこからまるで労わる様に摩り始め…それは傍から見て居るととても
シュール!…フィロ自身も堪えた!と零し!…逆に何か目覚めそうである事も同時に
零すと、ハティビィエールは我に返る!…
__ッ!!……サササ!!…
「あっ!…」
「さ、さぁ…皆が漸くお母様の待つ所の前に集まったので門を開けます…
ここまで長い廊下を歩いて頂きありがとう御座いました…
…本当ならもっと早くに着いていた筈ですが……少々お待ちください…」
それは自分の役目を思い出した様に突如ハッとして見せると、慌ててマサツグから
離れて行き!…と、これにはマサツグも思わず寂しさを覚え…しかしハティビィ
エールはそれ所ではない位に慌てて居り!…気を取り直す様にして元のキャラに
戻って行くと、次には気難しく言葉を使う!…それは若干無理して畏まった様に
聞こえて来ると、最後には文句も口に!…まるで調子が狂う!と言った様に
マサツグ達に聞こえ!…そのハティビィエールの言葉に少なからず分かる!と言った
反応をリーナやアヤが見せて居ると、一方ではそんな事御構い無し!…シロが
マサツグの手を握って行くと、今度は自分の番!とばかりに甘え始める!…
__ギュッ!!…
「ッ!…」
「…えへへ♪…ご主人様♪」
__ガガガガガガガ!!…ッ!……ッ!?……
シロはハティビィエールと違って遠慮無し!…マサツグの腕にしがみ付いて行くと、
自らの頭を差し出し!…となると次にはグリグリと擦り付けてマーキング!…更に
甘える様にしてボソボソと言葉を零して行くと、その甘々ぶりを発揮する!…さて
そうしてシロがマサツグに甘えて居ると、ハティビィエールもその謁見の間へと続く
扉を開け出し!…扉はこの先が謁見の間と直ぐ分かる装飾がされて威圧感を放って
居る様であり!…さながらボス戦前の最後の扉の様にも見えて来ると、マサツグ達
は思わず緊張!…さも某・ダークファンタジーの霧を潜り抜ける様な気分になって
しまう!…そしてハティビィエールが門を開きマサツグ達をその中へと誘って行く
と、その謁見の間の最奥にはとても綺麗な狼が一頭!…何ならその手前中央の通路を
挟んで近衛兵達が整列しており、その近衛兵達もラグナスが連れて居た者達とは
別人!…全員が女性達である事を確認出来ると、次にはフェンリルの女王が動きを
見せる!…
__ッ!?……ッ!?!?…
「……ようこそ…お越し下さいました…
我が娘を育ててくれた心優しき冒険者様とそのお仲間様方…
私がこのウルフハウリングを統治しております…
フェンリルの[アングレイシア・ラグナクロス・フェンリル]と申します…」
さてこの大きな謁見の間…その奥行きは軽く見ても100m位はゆうに有り、
部屋の横幅も同じ位!…そんな大きな謁見の間にも関わらず!…部屋の一番
端に居るマサツグ達から見てもその女王がとても大きい!と…ハッキリと
その大きさが視認出来て驚いて居ると、その周りに居る近衛兵達はまるで
その狼の玩具の様に!…とにかく予想外!とばかりに絶句する!…因みに
その女王の大きさは体感にして某・美○さんの声が聞こえて来そうな山犬
位は有るだろうか、こちらをジッと見詰めて目を輝かせ!…そしてご丁寧に
自己紹介を口にし出し、その荘厳たる様子にマサツグ達が度肝を抜かれた
様に固まってしまうと、次にある心配をし始める!…
「……俺…戦う事は無いと踏んでいたんだが?…」
「…一応…相手もその気は無い様だぞ?……
こちらに話し掛けてから一歩も動いていないし…
…うん…座ったままだ……しかし……」
__……ッ?……ッ?…
この時マサツグが心配した事と言うのもその部屋の様子からのモノであり!…
あれ、ボス戦?…と本気で戸惑い!…と、そのマサツグの言葉にモツも慌てて
確認をば!…だが向こうは相も変わらずどっしりと構えたままで有り!…何なら
敵意を見せて居ない事から一応は大丈夫な筈!と話して行くと、それでも部屋に
入れず仕舞いで硬直する!…するとその一方で一向に足を踏み入れて来ない
マサツグ達に戸惑いを持つと、女王も女王で何か不安を覚え始め!…と、そんな
様子に気が付いてかハティビィエールが行動!…その女王に向かって走り始め!…
目の前でポン!と子狼の姿に変わって見せると、同時に質問も口にする!…
「……お母様?…お姉様と人間さん達をお連れしました…
ハティは如何したら良いですか?…」
__…スゥ……ポンッ!…タッタタ!…タタッ!…タタッ!…
{ッ!…ハティビィエールが子狼の姿に!…
…って、まぁシロもなれるから可笑しくはない……って、あれ?…
そういや最後にシロのオオカミの姿を見たのって…あの最初の頃だけだっけ?…
…じゃあ今は?…}
この時女王に次に何をしたら良いのか?と口にする一方、その口調はまるで褒めて
欲しそうな感じにも聞こえ!…しかし何かやはり抑えるモノが有るのかハティビィ
エールは控え気味!…そんなハティビィエールに対して女王もまるで微笑む様に
目を細めると、駆けて来るハティビィエールを迎え入れる!…そしてハティビィ
エールもその格好のままで女王の前までやって来ると、隣に座る様子にして落ち
着き…と、その一連の様子を見てマサツグもふと…最後にシロが狼の姿になった
のはいつか?と考え出すと、その一方で女王はシロを見詰める!…
__……ッ!……ッ…スッ…
「ッ!……ッ…」
それはまるで確認をする様に視線を向ける一方!…既にここまで来た時点でもう
分かって居るのかその目を潤ませ!…が、そんな女王の視線に対してシロは若干
戸惑いを露わに!…と言うのもいきなりこの人が母親!と言われても反応出来ず!…
初めて会う者?…狼?…に対して珍しく人見知りをする様なそんな反応を見せて
行くと、マサツグの後ろに隠れてしまう!…それは緊張も感じられる一方!…
戸惑いと恐怖と言った物も同時に感じ!…シロ自身もこの感情は一体何?と…
表情から露わにしてオドオドとした態度を見せて行くと、そんなシロの様子に
シュンと…女王も悲しそうな反応を露わにする!…するとそんな二人の様子に
ハティビィエールが何か思った様子でピクッとすると、同時に何も考えて居ない
男が言葉を!…
「…なぁ、シロ?……
シロはもうあんな風に狼の姿に戻る事って出来ないのか?…」
「ッ!…え?…」
「え?…」×7
全く持って空気を読まずにシロを呼ぶと、次には自身が疑問に思った事を口に!…
それは単純な興味を持った様子で尋ねて行き!…当然そんな質問をされた事で
シロもへ?っとばかりに戸惑って見せると、周りに居た各々も言葉を!…シロに
釣られて漏らして見せる!…そして当然何でこのタイミングで?とばかりに視線を
向けると、ここでマサツグもシロと女王の様子に気が付いた様子で…が、それで
態度が変わる事は決してなく!…シロからの返事を待つ様にジッとシロの事を
見詰めて居ると、モツが慌ててツッコミを入れる!…
「…お、おいヤブ!!…今それって重要な事か!?…
今明らかに一瞬でも気を抜けば全滅なんて事も考えられるのに!!…
今それって重要な事か!?!?…」
「……大事な事なので二回言いました?…」
「ッ!?…おい!!!…」
当然今じゃない!と言った様子で注意をすると、改めてマサツグにも理解出来る
様に状況を説明!…それは身振り手振りも交えて戸惑って見せる様子で有り!…
再度マサツグに言い聞かせるよう同じ言葉を口にして行くと、マサツグは恍ける
様に返事を!…それこそ同じ事を二回言った事に対してすっ呆ける!…すると
勿論モツもこれにはマサツグへ詰め寄って見せて行くと、次には文句の言葉を
口に!…となるとそんな突然の内輪揉めの様子に女王もポカンと…一体何が如何
なって居るのか?と理解出来ない様子で戸惑って居ると、更に二人は揉めて
見せる!…
「ッ!?…分かった、分かったからそんな詰め寄らないでくれ!!…
とにかく俺の話を聞いてくれ!!…」
「…はあぁ~…」
__…コッ…コッ……ッ!…チラァ?……ヒソヒソ…ヒソヒソ……ッ?…
マサツグがモツに対して両掌を見せる様に慌てて見せると、同時に落ち着いて
離れる様に呼び掛け!…と、そんなマサツグの言葉にモツは怒った表情ながらも
落ち着きを取り戻し!…一応話を聞く姿勢を見せて行くと、渋々マサツグから
離れて見せる!…その際モツがチラッと近衛兵達の方に視線をやると、何故か
近衛兵達はソワソワとした様子を見せて居り!…それはこちらの様子をチラチラ
と伺う様に細かく監視!…と言うよりは密談だろうか?…何やら頬を染めて居る
様にも見えて行くと、当然モツが疑問を持つ!…さてそうして奇妙な様子を
見せる近衛兵達の反応にも戸惑う中!…マサツグは思った事を口にし出し!…
「…はあぁ~……とにかく!…
モツの言う襲って来るって言う心配は無い!!…
あの目は人を襲う気の無い目だ!…安心して大丈夫!!…
…いや、ある意味では襲ってくる?…」
「…ッ!!……結局どっちなんだ!!!…」
「ッ~~!!…まぁ待てって!!…話す、話すからぁ!!…」
マサツグがモツの心配に対して説明をし始めたと思えば、まさかの曖昧な答えで!…
となるとモツもこれまたツッコミを入れ出し!…マサツグに対していい加減にしろ!
とばかりにまた詰め寄ると、何故か近衛兵達の方からは静かな黄色い歓声が!…
何かに期待した様子で聞こえて来る!…だが当然そんな近衛兵達の事を気にしている
場合では勿論無く、モツは続けてマサツグに文句を!…が、マサツグもマサツグで
再度モツに制止を促し!…もう一度説明をする姿勢を見せて行くと、何故大丈夫!と
言えるのかを説明!…マサツグ独自の持論を展開するのであった!…
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
540
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる