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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

-第七章三十九節 外への好奇心と伝説の大狼と双娘の旅立ち!…-

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グレイスのハティを連れて行って欲しい!と言う願いに今だ困惑!…理解出来無い

者は何度も瞬き、そして口をポカ~ンと開け!…そして今までの話を忘れたのか!?

とばかりにマサツグも今だ困惑して見せ!…そのグレイスの真意が分からない!…

一体何を思ってこんな事!?とばかりにグレイスを見詰めると、グレイスもそんな

マサツグの視線に気が付いた様子でハッ!とする…するとマサツグにその訳を話し

始める!…


「…ティナが私に嬉々として外の事を話していた時…

ハティもその話を聞いて目を輝かせていたのです!…」


「ッ!…え?…」


グレイスは簡単に何か思い出し笑いをする様なそんな表情を浮かべて行くと、

シロと一緒に寝た時の話だろうか?…シロが外の世界の話をしていた時の事を

語り始め!…その際その話にハティが興味を持った事をここで明かし!…

何なら目をキラキラとさせながらその話を聞いて居た事を更に語り!…続けて

グレイスもハティの気持ちを理解してしまった!と…ハティの気持ちを理解した

上で同時に若干悲しげな表情も浮かべて見せると、その話を聞かされたマサツグ

も戸惑った具合に言葉を零す!…そしてそんな素振りは見られなかった事に

驚いて見せる!…するとその話はこれでまだ終わらず、更にグレイスの真意は

続き!…


「今までハティは私と一緒で外に出た事が無く…

ティナが話した外の事はまるで絵物語の様に聞こえたのだと思います!…

…外に憧れる気持ちは私も同じく持っていますし…この子達に外の風景を!…

これを丁度良い機会として見聞を広める機会を与えようと!…」


この時今度はグレイスから見たハティの様子が語られて行く!…それは本当に

楽しかったのであろうか?…ハティの嬉々とする様子が見られた!と話し、やはり

ずっと城の中に居るのは暇で仕方が無かったのだろう!とグレイスは続け!…

因みに別にハティは引きこもりと言う訳では無いのだが!…やはり何かしら

外に出れなかった理由があった様で!…と言うのもマサツグ達と出会う前の

グレイスの様子を見ればそれも分かり!…とにかくそんな外に憧れる娘を見て!…

そして信頼出来る者達もこうして居ると言う事でグレイスも一大決心!…見聞を

広めると言う意味でハティに旅をさせようと思い立った事をマサツグに話すと、

一方でマサツグはその話を聞いても尚戸惑う!…それでも改めて正気かどうかを

尋ねて行く!…


「ッ!?…い、いやいやいやいやいやいやいやいや!!!!…

え!?…ちょ!?…ほ、本当に本気ですか!?…」


それこそその話を聞いて確かに娘を思えば良い機会なのかもしれないが!…次に

向かう場所の事を考えると、それはとても早計の様に感じられ!…何故なら次に

マサツグ達が向かう場所は戦地で有り!…故にシロとその事で昨日色々と衝突を

したばかり!…グレイスに覚えていないのか!?と…それらを含めてグレイスに

本気かどうかを尋ねて行くと、グレイスはグッと真剣な表情を浮かべては返事!…

本気である事を答えて行く!…


「…えぇ!…本気も本気!!…大真面目です!!!…

…本当はと言うと私も娘が離れて行くのは寂しいのですが…

…永遠の別れと言う訳ではありません!…

戻って来ようと思えばいつでも戻って来られる筈です!!…

…ハティもその事を重々承知し!!…もう覚悟を決めて居ると思います!!…」


「ッ!?…え?…えぇ!?…」


その際マサツグの問い掛けに対してグレイスも若干本音を漏らす!…だが次には

いつぞやのマサツグみたく!…これが今生の別れで無い事を口にすると、グレイスも

覚悟を決めて居る!と…何ならあの服を受け取ったハティも同じ気持ちである事を

口にする!…そしてそれ程までに二人の覚悟が本物である事をその言葉や眼差しで

確認をすると、勿論その話を受けたマサツグは更に戸惑い!…すると一方でハティは

その件の服に着替え終えて来たのか、次には戻って来る足音を!…と、その足音を

聞いてマサツグとグレイスもふと気が付いた様子!…そのハティが戻って来たで

あろう方向を振り向いて行くと、そこには…


__コッ…コッ…コッ…コッ…ッ!…チラッ?…


「ッ!…おぉう!…これは随分とまたぁ!…」


「…お待たせしました!…」


そこに居たのはあの皇女らしい派手め?な格好から打って変わり、動き易そうな

冒険者向けの格好に変わったハティの姿で!…更に分かり易く言うと今のシロの

格好とあまり変わらず!…いやそれを模して造られた様な?…とにかくシロと

瓜二つ!…違う点があるとするならその髪型と瞳の色位で!…余りにも似ている

様子からマサツグも驚いた様子で戸惑った言葉を零して行くと、ハティも着替えて

来た!とばかりに返事を!…そしてシロもそれに気が付いた様子でチラッと見る!…


__ッ!……チラッ?…ッ!!!…


「ッ!…お、お姉様!…ど、如何でしょうか?…」


「ッ!?…ご!…ご主人様は渡さないのです!!!…」


「ッ!…え?…」


それは何故か気になってしまった様子で振り返り!…するとそこには当然自分と

同じ格好をしているハティの姿がある訳で!…となるとシロはデジャヴか!と

言った具合で途端に機敏に反応をして見せ!…一方でシロと同じ格好になれた

事でハティが照れ臭そうに!…シロに似合っているかどうかを尋ねて頬を染める

そんな可愛らしい反応を見せるのだが、一方でシロはヒステリックに!…ハティに

異様なまでの警戒心を露わにする!…その際マサツグの頭を更に抱き抱えて怯えた

表情も露わにすると、ハティもハティでそんなシロの反応に思ったのと違う?と

ばかりに戸惑い!…と、二人がそうして何故か微妙な空気になってしまう一方!…

グレイスもグレイスで話しを進める!…改めてマサツグにお願いをするよう!…

その場の空気を何か異質なモノにして行くと、自身の誠意を露わにする!…


「…ハティ…よく似合っているわ!……ッ…

…マサツグ様達が次に赴く場所は激戦地!…

それは重々承知していますが…何卒私のお願い…いえ…」


__ヒュオオオォォォ!!……ッ!?……ゴオオオオオオ!!!!…


この時グレイスはまずハティの格好が似合っている事を笑顔で喜びながら口にする

と、次にはスッと真剣な様子に戻り!…と、数秒目を閉じてはマサツグの方へ向き

直し!…改めて次に何処へ向かうのかも分かってる様子で更に言葉を続けて行くと、

グレイスの足元から突如謎の風圧が!…それはグレイスの体を包む様に発生する!…

となると突然のその謎の風圧にマサツグ達も戸惑った様子で怯んでしまうと、当然

何事か!?と慌て始め!…と、その一方で近くに居た近衛兵達は何かを察した様子で

後ろに下がる!…それは慌てる様子は無いのだが、それでも足早に壁側の方へと

駆け足気味で素早く下がって行くと、更にグレイスが言葉を続ける!…その謎の

風圧も強めて行く!…


「スコルティナとハティビィエールのお願いを聞いて下さいませ!…

この子達二人ならきっと!…貴方様のお力になれると思います!!…

この子達に外の世界を!…この箱庭の様な世界では無く!…本当の世界を!…

見せて上げて下さいませ!!…}


__ガタガタガタガタガタ!!!…ビシィ!!!…バゴォォン!!!…


「ッ!?…な!?…ななな!?…何が何だか突然すぎてもう訳分から!…」


二人のお願いが自身のお願いである様に言葉を続け!…そして遂にはその謎の風圧が

グレイスを隠す様にして竜巻にへとその姿を変えて行くと、更にグレイスの言葉は

その竜巻の中から響く様にして聞こえて来る!…仕舞いにはその謁見の間内にある

窓ガラス全て粉砕する!…と言ってもあくまでも壊れたのはその窓のガラスだけで

後は無害!…しかしその衝撃音と風圧は凄まじく!…そして未だ竜巻の中に居るで

あろうグレイスの事を心配しつつ!…とにかく風が治まるのを必死に耐えながら

待って居ると、次にはマサツグ達の目の前にトンデモナイ大物が姿を現し!…


__ブワアアァァァァ!!!…バシュウウゥゥゥンン!!!……ッ…


「ッ~~~!!!…ふぅ…きゅ、急に如何したって!?…

って言っても見えねぇんだった…シロォ~?…

ちょっと後ろに回って?…って、ンン!?…」


最後に一際強烈な風圧を感じて行くと、次には何も感じなくなり!…そして辺りは

静寂に包まれ行き!…マサツグ達も漸く風圧が治まった事で何事!?と…戸惑った

具合に言葉を零して行くのだが、未だシロが邪魔で何も見えない!…となると一度

シロに言い聞かせる様にしてクルッとその体を回して行く!…それこそ離れない

シロをそのままに無理やり剥がすのではなく肩車に直させる様に抱え直すと、次には

その目の前はまるで某・心を折られる事で有名なダークファンタジーゲームと化した

様な!…


「…デッカァ!…」


「…おかあさまおかあさん!…」×2


と言うのも目の前にはあの主人の墓を守る大狼クラスに巨大な狼が鎮座しており!…

しかしその口にはあの巨大な剣も無ければ近くに墓と言ったモノも当然無く!…

ただ礼儀正しく謁見の間内で伏せをしており!…ギチギチに詰まった状態で如何にも

お尻が気になるのか!…何かモジモジとするそんな素振りも見せて行くと、

とにかくその巨大な狼の姿に一同は戸惑う!…何ならモツも思わずデカい!と言葉を

零す始末になる!…そしてシロとハティもそんなグレイスの本当の姿を見たのは

初めてなのか、驚き戸惑いながらもその姿に息を呑み!…ただ自身の母親である事を

口にしつつ、ジッとその顔を見詰め!…一方でグレイスは何故この姿になったのか?

を徐に念話を使ってマサツグ達へ伝え出すと、自身の誠意を見せて行く!…


{……古来より我々フェンリル一族は誰かに心から感謝をする時…

お願いをする時…本当の姿を見せる事により、いかに自分が感謝をして居るか…

真に願って居るかを相手に伝える意思表示とします…

…ですのでこれは私のお願いの気持ちでもあり、感謝の気持ちでもあります…

…と、やって見たのは良いのですが…久しぶりに元の大きさに戻るとお尻が…}


何でもこれがフェンリル一族に伝わる自分達の誠意の見せ方らしいのだが、

グレイス自身もやるのはこれが初めてらしく!…その際自身でもこれで

合っているか?どうかが分からない様子で戸惑って居り!…と、同時にこの時

ずっとお尻をモジモジ!…別にトイレを我慢しているとかでは無い様で!…

ただ如何にも玉座が丁度お尻に当たるのか?…それが気になる様子でずぅっと

恥ずかしそうにモジモジモジモジ動き続けると、一方でそんなこと気にならない

位に戸惑い続ける!…マサツグが思った事を口にする!…


「…俺こんな物理的にデカいお願いをされたの!…生涯で初めてだぞ?…」


「…いや、この場の全員がそうだと思うぞ?」


その巨大な狼の姿となったグレイスを見詰めながら戸惑いの表情を浮かべ、今まで

こんなお願いをされた事は無い!と…そしてやはりシロ達と通じる何か惹かれる

モノを感じるのか?…マサツグは臆する事無くグレイスを見詰め!…何かウズウズ

とする様な好奇心の様なモノを感じて行くと、一方でその隣ではツッコミが飛び!…

と、そのツッコミを入れたのもモツで有って!…冷静にツッコミを口にしつつ!…

摩擦の様子が可笑しい事にも気が付いて行くと、牽制に入る!…未然に事故を防ごう

と前に立つ!…そしてシロとハティもそんなグレイスの姿を目にして自分達も

いずれは!と考える一方!…ハッと思い出した様子でシロがハティに言葉を!…


__ッ~~……ッ!!…ギュウゥ!!…ッ!…


「ハティちゃんにごしゅじんさまは渡さないのです!!…」


「ッ!…え?…」


__ブンブンブンブン!!…ジトォ~~!!……ッ?…


それこそ改めてマサツグの頭にしがみ付き!…ハティに対して警戒の色を露わに

すると、またもやあの夢の内容を引っ張っている様子で!…と、そんなシロの

言葉にハティも反応!…当然何の事か全く分からず!…ただ戸惑い一体何の事?

とばかりに首を傾げると、若干ムッとする!…やはりハティもマサツグの事が

好きな様子を薄っすら見せる!…その際互いに尻尾を振ってジッと凝視をし合う

と、件の中心人物は何も分かっていない様子でその二人の様子を疑問を持ち!…

そうして結局マサツグ達はハティを連れて行く事に!…もはや文句すら言う事を

忘れてしまい!…すんなり?と受け入れてしまった自分にマサツグが戸惑いを

感じて居ると、そこから三日!…遂に旅立ちの日を迎える!…因みに三日間追加で

城に泊まった理由は、シロの足の治療にあり!…


「……ん?…あぁ…朝か…」


「おはようございます!!」


「うおぉ!?…シロ!?……っと、ハティ?…」


マサツグが朝いつも通りに目を覚まし眠い目を擦って起きると、この日は珍しく

シロが先にマサツグより起きて居たのか挨拶が飛び!…何ならもう着替えも

済ませた様子でマサツグの腹の上に跨っており!…ドUPで顔を近づけて来ては

満面の笑み!…と、朝からそんなサービスを受けて!…マサツグも思わず驚いた

様子で返事をすると、更にそのシロの後ろにもう一人白いふわふわを!…

ハティも跨っている様子を目にして行く!…そしてマサツグもそれを目視して

更に確認をするよう声を掛けると、ハティも耳をピクッとさせては挨拶を返し!…


「ッ!…お、おはようございます!…ごしゅじんさま!…」


「ッ!?…え?…」


「え、えぇ~っと…

お、お姉様が先生の事をごしゅじんさまと呼んでいたから…

ハティもそうした方が良いのかな?と…」


その際もうあの悪夢の件でシロから警戒をされる事もなくなったのか、三日で元の

仲の良い姉妹に戻り!…そしてシロにやはり触発された様子でマサツグの事を

[ご主人様]と!…それは若干恥ずかしそうに、耳を伏せっとして尻尾をブンブンと

小刻みに振るそんな様子でマサツグを呼ぶと、マサツグもご主人様と呼ばれた事で

思わず戸惑う!…するとハティも釣られて戸惑いながらも訳を話す!…この時

正直にシロの影響を受けた事を話して行くと、マサツグもそれを聞いて思わず顔に

手を当て!…


「…ッ…ッ~~~…ハティ?…今まで通り先生で良いから…

普通に…普通に呼びやすい方で良いからな?…」


「ッ!…ッ?…は、はいです…先生?…」


それは呆れたと言うか困ったと言うか?…とにかく色々と不味いとばかりに普通で

良い!と…今まで通り先生呼びで良い事をハティに言い聞かせ!…自身の世間体を

気にする!と言うか…やはり懐かれるとご主人様呼びなのか?と今だ慣れない様子

で戸惑ってしまうと、ハティもそんなマサツグの様子に戸惑って見せる!…そして

同意をすると今まで通りマサツグの事を先生と呼ぶと、シロは良いのか?とハティは

疑問を持つのだが!…


__……ッ?…ッ?……ふぅ~…


一方のシロは全く気にしていない様子で!…と言うのも過去に呼び方を

強制した事が有るのが、結果このご主人様呼びに落ち着き!…

以降マサツグも諦めてしまっている訳で!…せめてハティだけでも!と…

なんとか行けそうである事に静かにホッと安堵するそんな反応を見せて

行くと、マサツグもベッドから起きて見せる!…そして手早く自身の

身支度をすると、二人を連れてもう集合場所となった謁見の間へと

向かい!…


__…ガチャ!!…キイイイィィィィィィ!!…


「ッ!…お?…マサツグ達も来たみたいだな…」


「…ふあぁ~……あぁ!…おはよう~…全員準備出来たかぁ?…」


扉を開けるとそこにはもう全員が準備を整えた様子で揃っており!…その際

その扉が開く音にも各々が反応!…そしてマサツグが起きて来た事にも当然

気が付き!…モツが笑いながら起きて来た事で声を掛け!…マサツグもその

モツの言葉に対して大欠伸をしながら挨拶で返事をして行くと、続けて重役

出勤の様な言葉を口にする!…と、そんなマサツグの態度に対してオリハが

ツッコむ!…それこそ不貞腐れて呆れた具合に腕を組むと、これまた不機嫌

そうに言葉を漏らし!…


「欠伸しながら言われても締まらないんですが?…」


「ッ!…うっせぇバァロイ!…」


__ッ~~~……ッ!…ジィ~~……ッ?…


と、その言葉を受けてマサツグもツッコむ!…それはさも某・少年探偵の様な

感じで文句有り気にオリハへ返事をして行くと、次にはオリハの興味は別の方に!…

と言うのもマサツグと一緒にシロとハティも一緒に来た訳で!…その同じ格好に

同じ背丈!…パッと見では見分けが着かない!…まるでシロが二人居る様なそんな

光景を目にすると、ただジッと見詰め!…そしてオリハから熱視線を向けられて

いる事で二人も不思議そうに首を傾げる!…さてそうして朝から軽く仲間内での

コミュニケーションを取って居ると、グレイスがマサツグ達の居る方へと歩いて

来て!…


__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!…


「…皆様、おはようございます!…

今日は珍しく吹雪は起きて居ない所か…

快晴と言うと絶好の出発日和です!…ッ………。」


この時勿論グレイスは人の姿でマサツグ達と合流!…その際その格好もちゃんと

正装?となっており!…恐らく人型の時のデフォルト姿で笑顔を浮かべながら

マサツグ達に声を掛けると、まずは天気の話を!…まるで祝福を受けて居る!と

ばかりに晴れている事を口にする!…そして出発日和である事も続けて話すと、

スッと視線を落としてシロとハティにも笑みを浮かべ!…と、そんなグレイスの

視線に二人も当然気が付き!…ジッと見詰めて若干心配をする様なそんな表情を

浮かべると、一言[母]と言葉を零し!…


「ッ!…おかあさん(おかあさま)……」


「ッ!…大丈夫!…私はずっとここで!…

ティナとハティの帰りを待って居ますからね?…」


__スッ…ふわぁ…


と、二人からそんな言葉を受けてグレイスもハッ!と…恐らく若干暗い印象を

受けたから心配をしたのであろうか?…となるとグレイスはグッと気を引き締め!…

その暗い印象を払拭するよう二人に大丈夫!と言って見せると、徐に二人と同じ

目線になるようしゃがんで行く!…そして両腕を広げてその身を晒す!…まるで

二人に飛び込んできて欲しい!とばかりに振舞って見せると、その様子にシロと

ハティもハッ!と…


__ッ!!…ッ…っ~~~!!!…ガバァ!!!…


「…元気に!…マサツグ様の言う事をちゃんと!…

きちんと守るのですよ?……私はいつでも…

いつまでもティナとハティの事を!…愛していますからね?…」


「ッ!…ッ…ッ~~~!!!……はいです!!」×2


次にはマサツグから手を放し!…二人揃ってそのグレイスの胸の中へと飛び込んで

行くと、グレイスもそんな二人を優しく抱き抱える!…そして続けて二人の帰りを

待って居る事も口にし出す!…更には自分もこの地を守り続ける事を話して行き!…

それはシロ達にはちゃんと帰る場所がある事を伝えるモノで、自分もシロ達を

愛して居るからこそ頑張れる!と…何なら直接シロとハティに愛している事を伝えて

行き!…そのグレイスの言葉を受けてシロとハティも更にハッ!と…目を潤ませ

泣くまでは行かないものの!…歓喜に震えるそんな表情を浮かべて見せると、

二人揃って元気良く返事!…互いに気丈に振舞って見せる!…さてそうして別れを

惜しむ様にして残り僅かながら家族の時間を感じて居ると、ここでパルシィが

何か焦りを感じている様子でマサツグ達にある案を!…


「…少し帰りを急ぎたい故、魔法で飛んでも良いか?」


「ッ!…え?…」


「転移魔法でスノーピースに戻ろうと思うのだが良いだろうか?…

場合によっては魔法酔いをする者も居るだろうから確認を取って居るのだが?…」


と言うのも魔法で直ぐに転移!と考えたらしく、その了承をパルシィがマサツグに

尋ね!…と、突如そんな事を問われたのでマサツグは戸惑い!…内容が分かって

いない様子で同時に戸惑いの言葉も漏らして行くと、パルシィが更に事情を説明!…

改めて魔法で飛びたい事を訴えて行く!…その際やはり転移酔い的な物が有るのか

誰か不味い者が居るか?を聞いて居た様子で、それを聞かされマサツグも漸く納得

して見せ!…


「あっあぁ!!…それならぁ?…

…多分大丈夫だと思うぞ?…

転移魔法って…あの[]って奴だろ?…」


「ッ!…え?…」


徐に辺りを見回して各々を確認!…そこで別にコレと言った苦手は無かった筈!と…

各々の耐性を思い出して大丈夫である筈!と答えて行く一方…恐らくこれから使うで

あろう魔法の名前を口にすると、次の瞬間そのマサツグの言葉にパルシィがピクッ!

と…それこそ何故か驚いた反応を露わにする!…それは何故知って居る!?と言った

戸惑いの表情を浮かべて見せると、マサツグもそんな表情を向けられた事で釣られて

戸惑い!…


「ッ!…へ?…

…え?…何か不味かった?…」


「ッ!…あっ…あぁ!…いや!…そうなんだが…

まさか魔法を言い当てて来た事につい驚いてしまってな?…」


「…驚く?…え?…いや転移魔法って…[ワープル]の他に何が…」


当然戸惑われる理由が分からず、もしかして何か不味い事を言ったのか!?と

心配をし!…が、一方でパルシィもそんなマサツグの反応に気が付いた様子で

我に返り!…次には何でも無い!と…ただ使う魔法を言い当てられた事に

驚いた事を口にすると、苦笑いを一つ!…するとマサツグもその言葉に対して

また戸惑う!…それこそ他に何かまだ有るのか?について尋ねて行くと、その

質問にヒョコッと顔を覗かせるよう!…パルシィの代りにフィロが質問に答え

始める!…


「…[フライマル]と言う物が有るのじゃマサツグ……」


「ッ!…[フライマル]?…って、フィロ?…」


恐らくその移動系魔法の一つだろうか?…フィロはマサツグの隣に移動して来ると、

仁王立ちでその名前を口にし!…その際フィロもマサツグの口から先程の魔法の

名前が出て来るとは思っても居なかった様子で!…思わず神妙な表情を!…やはり

不可思議とばかりにジッとマサツグの事を見上げて見せると、マサツグもそう答え

られた事で視線を下に!…フィロを見ながら更に疑問を漏らして行く!…そして

フィロの表情を見てまたもや如何した?とばかりに戸惑って見せると、フィロは

続けて何故この表情をしているのかを答え!…


「…と言うのもなマサツグや…

今マサツグが言った[ワープル]と言う魔法は言わば…

遠距離瞬間移動の魔法で[旧文明の魔法]なのじゃ!……それも…

名前も残って居ない失われた便利魔法の一つで…

もう真面にこの魔法を唱えられるのはほぼ居らん!…」


「ッ?!…え!?…」


それはまるで自身より小さな子供に昔何があったのか?を教えるババ様の様に!…

先程マサツグが言った魔法の名前は古代魔法!と、そしてもう失われたモノで

ある事も同時に話し!…何ならこの魔法を唱えられる者はもう居ない!と言う

位に古いモノである事も更に語り!…一方でそれを聞かされたマサツグは当然

戸惑う!…何故ならこれを唱えて居た者を知って居る訳で!…まさかこれが古代の

魔法であったとは知らなかった様子で反応をすると、更にフィロは話を続ける!…

それは例外も居る様子で話をする!…


「わっち達の様に昔から生きておる長寿の者!…

魔法を代々継承して来た者にしか扱えん代物の筈なのじゃ!…

…そして今言った[フライマル]と言う魔法は空を飛ぶ魔法!…

簡単に言うと目的地まで空を飛んで移動する魔法がこの魔法で!…

今となっては移動魔法と言えばこの[フライマル]!…

先に[ワープル]と言う名前は出て来ん筈なのじゃ!!…

…故に少しばかり気になってな?…

…あの人間離れした力と技の数々!…よもやと思ってしまってな?…」


「ッ!?…え?…で、でも確かぁ?…」


と言うのもフィロは自らを長寿の者と言ってまずは前提を立てると、古くから

生きている者ならワンチャンあり得る!と…何なら自分も唱えられる様子で

語って見せ!…更には先程言った[フライマル]と言う魔法との違いについても

話し出し!…改めてマサツグの口からその魔法の名前が出て来た事に驚いた!と

話して行くと、更には何かと関連付ける様な!…思わず何故かニヤッと笑って

見せる!…するとその話を聞かされ更にマサツグも戸惑った様子で反応をすると、

思わずその唱えていた者の事を話そうとするのだが!…


「…よし!…いつでも転移出来るぞ!!」


「ッ!?…早!?…」


フィロと話し込んで居る内にパルシィが魔法を展開し終え!…いつでも行ける!と

ばかりに言葉を口に!…となるとそんなパルシィの言葉を聞いてマサツグも驚いた

様子で反応を露わに!…すると次には振り返って状態を確認して行き!…そこで

パルシィを中心に魔法陣が展開されている様子を目にしてしまうと、更に驚きの

表情を!…そしてやはり考えて居たモノと同じ物が展開されている事に戸惑って

見せる!…それはゆっくりと青白い光を放ってはクルクルと魔法陣自体も回転する

と、幾何学模様な絵図を浮かび上がらせ!…と、その光景を見てマサツグが更に

戸惑う一方!…他の面々は既にやる気で居るのか、パルシィの準備の声に反応して

何の疑いも無くスッと魔法陣の中に入って行くと、マサツグを急かす!…謎の

順応振りを発揮する!…


__ゾロゾロ!!…ゾロゾロ!!……


「…ッ!…ほらほら早くしないか!…

こうしている間にも町が!!…」


「ッ!?…わ、分かった!!…分かったから!!…

てか何でそんな疑うって事をしないのかねぇ?…

…まぁ仲間だからって言ったらそれで終いだが…」


そうしてマサツグやフィロを除く他の面々が魔法陣の中に!…そしてそれを確認した

所でパルシィが更に二人を急かし!…それこそ松の危機が迫っている事を上げて

行き!…マサツグもその急かす言葉を聞いてハッと我に返って見せると、次には

慌てて返事!…そしてスッと魔法陣を受け入れている面々に戸惑って見せる!…

さてそうして色々と疑問やらツッコミ所を感じつつ!…最後にマサツグとフィロも

魔法陣の中に入って行くと、マサツグが最後に溜息を吐きながら言葉を口に!…


「…はあぁ~…さて?…

最後にちゃんと女王様に挨拶しないと駄目だな?…

…お世話になりました!!」


__お世話になりました!!!…ッ!…ペコッ!!…


登頂してこの城で過ごした期間として約一カ月!…その間お世話になった事を

当然感謝し!…見送ってくれているグレイスや近衛兵達!…更にはその従者達に

対して頭を下げてお礼を言うと、他の面々も真似をする様に会釈!…そして

感謝の念を伝えて行く!…するとその言葉を受けてグレイス達もハッと笑顔で

マサツグ達に会釈をして行き!…それらを確認して最後にパルシィが魔法を

発動し始め!…


「ワープル!!!…」


「おかあさん(おかあさま)!!!…行ってきます!!!!…」


__パアアァァァァァァァ!!!!…シュパアアァァァァン!!!!…


パルシィが魔法を発動すると光の柱が伸びて行き、そして徐々にマサツグ達の

姿も隠し始め!…その際シロとハティは最後までグレイスに向かって手を振り

続け!…帰って来る事を誓う様に!…行ってきます!と言ってマサツグ達と

一緒にその姿を光の柱に隠して行くと、次には一際パアァッと明るい光を柱が

放つ!…そしてその姿を完全に消す!…するとその光景にグレイスを除く面々が

驚いた反応を露わにする一方!…そのグレイスはと言うと!…


「…いってらっしゃい!…私の可愛い娘達!…

…ッ…ッ~~~……」


__…ツゥ~~……スッ…スッ…


「…さぁ!…私達も!!…あの子達が笑顔で戻って来れるよう!!…

この場所をより良い場所にしなくては!!!…早速公務に入ります!!!…」


__ッ!?…ハ、ハハァ!!!…


最後まで見送った所で言葉を口に!…だが徐々に寂しさや不安が勝って来た様子で

涙を流し!…目と閉じて二人の姿を瞼の裏で思い浮かべると、その二人の無事を

願う!…そしていっそ付いて行けたのなら!と考えてしまう!…だがシロ達と約束を

した以上ここを守る!とふと思い出した様に決意を改め!…時間にして数分の涙

だけに留め!…そこから自分が居なかった間の公務を済ませる!とやる気に!…

決意の表情を浮かべてすぐさま仕事に掛かって行くのだが、この時まだ知らない!…

これが案外短い別れになる事を!…意外な形でまた再会する事になるとは、この時

マサツグもグレイスも知る由が無いのであった!…


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