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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

-第七章八十三節 兵士の遺品?と化け物の話と暴走する二人!-

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さて下水道も漸く後半戦と言った所か、ここから出て来るモンスターの容姿や

様子が途端にガラリと変わり!…更に攻撃性や凶暴性が増した様子が端々に

見られ!…だがそれでも歩みを決して止めない!…己が責務を果たす為!…

約束を守る為にハンドレットとフェルが更に奥へと目指し歩いて行くと、そこで

恐らくシロとハクが気にしていたであろう異音!…何か引き摺る音を耳にする!…


__…ッ…ズル…ズゴゴゴゴゴ……パキッ…パキパキッ…


「ッ!…この音は?…」


「…警戒を強めた方が良さそうですね!…」


その音はまるで何か大きな物を引き摺る様に!…更にはそれに交じって辺りに

散らばっている人骨らしきモノがまるで砕かれる様な音までもが響いて来ると、

当然そんな音が聞こえて来た事に二人も機敏に反応!…当然辺りを警戒する!…

そして互いに今聞こえた?とばかりにその異音について話をすると、同時に

嫌な予感を覚え!…と言うのもそれは不思議とその音の正体が分かった様な!…

二人も何故正体が分かったのか自分達でも分からない様子で!…それでも

進む事を一切止めず!…その音の主に見つからないよう…要救助者が居ないか

どうかを見回って行くと、更に奇怪なモノを見つける!…


__パキッ…パキッ…チカッ…ッ!…パキッ…パキッ…パキッ……カランッ…


それは散らばり落ちている人骨を踏み締めつつ、更に先にへと進んでいる道中で

偶々見つける!…この時二人の腰には火の点いたランタンがぶら下げられて有る

のだが、そのランタンの光に反射してか異物はキラッと光り!…となると何かが

光った事で二人も途端に興味を持ち!…次には一体何が光ったのか?と疑問を…

とにかくその光を反射する異物へ徐々に徐々に向かって行き!…そこで妙に

湾曲した鉄のプレート?を見つけて見せると、二人もその鉄のプレートの正体に

ついて悩み始める!…何故こんな物が?と疑問を持つ!…


「…これは?…」


「…ただ鉄の板?…いやそんなモノが落ちている訳が無いから…」


当然これと言って何かがある訳でも無いただの鉄のプレート、ハンドレットは

それを手に何度も裏表を確認し!…と、一緒になってフェルもマジマジと

それを観察して行き!…しかし幾ら見た所で得られた情報は鉄で出来て居ると

言うだけで、しかしそんなモノが何も無くここに落ちている訳が当然無く!…

何故ここに?とその原因からふと辺りを見回し推察する様なそんな反応を見せて

行くと、次にハッ!と…分かった様子で閃いて見せる!…


「…ッ!…これもしかして胸当て?…ほら、ここ!…

ここに謎の切れ目があるし、こっち側にはその切れ目は無い!…

無理矢理押し曲げた様に折れ曲がってる!…でも何で?…」


と言うのもフェルはまるでTRPG宜しく再度目星を振った様に、マジマジと

そのハンドレットが持っている鉄のプレートを観察し!…すると如何やら

これが折れ曲がったモノである!と言うのがふと分かり!…ハンドレットに

その事を伝えながら!…自身が見つけたその特徴についても指を差しながら

話して行くと、それらの点からこれが元々何だったのかを更に推測!…

しかし推理はそこで終わる!…何で鉄の胸当てがこんな所で落ちているのか?…

その理由に至っては全く見当が付かず!…しかし一方でハンドレットは

その話を聞いて!…次には察しがついた様子でこれまたハッとすると、

今度はハンドレットが推理を口に!…


「…ッ!…もしフェルさんの推察通りだとすると…

ここに散らばっている人骨達は…」


「ッ!…え?……ッ!…あっ…」


ハンドレットの推理はこうである!…まず鉄の胸当てを付ける者と言うのは

冒険者か兵士達位しか考えられず、冒険者に関してもここに立ち入る様な

事はまず無いであろう!と…何なら今の現状と言うか今までと言うか!…

デグレアントが自身の領地にそうそう簡単に冒険者達を引き込むとは到底

思えず!…ましてや下水道など!…意味もなく侵入を許す筈が無い事を改めて

更に考えを纏めて答えを想像すると、もう答えは一つしかなく!…となると

今まで見て来た人骨の道と言うのもそう言う事で!…それらを踏まえて

言葉を口に…フェルの推測が恐らく当たって居るであろう事から入って行くと、

フェルもその話を聞いて察する!…そしてデグレアントの闇をここで垣間見る!…


「…一体どれ位の人の犠牲で成り立って居るんでしょうね?…この国は…」


「…分かりません…

ですがこれに終止符を打てるのも我々だけなのかもしれません!…

…とにかく今は!…先に行ったかもしれない仲間の救助に向かわなければ!…」


改めてデグレアントの非道さを目の当たりにした様な光景に!…もう怒りを

通り越して何か憐みの様なモノを感じて行くと、フェルは悲しげな表情で

言葉をポツリ…ここまでする必要性があったかどうか?について疑問を持つ!…

そしてそのフェルの言葉に対してハンドレットも素直に分からない事を口に

すると、それでもやらないといけない様な事を漏らし!…この負の連鎖を

止めれるのは自分達だけ!と…何か使命感を燃やす様に!…今はその一緒に

戦ってくれる仲間達を助ける事だけに専念をするようフェルに言葉を掛けて

行くと、フェルも無言ながらに従う様子!…ハンドレットの後ろを付いて歩く!…

さてそうしてデグレアントの闇を垣間見て何かおセンチになって居ると、

更に何かを引き摺る様な音が大きく聞こえ!…


__ズゴゴゴゴゴゴ!!……ッ…


「…段々近付いて来ましたねぇ…

と言っても近付いて行ってるのは我々の方なんですが…」


まるで地響きの様に振動も小さく伝わって来て!…いやでも何か不吉な気配の様な

モノを感じて行くと、思わず怯みそうな!…だがそれでも二人は果敢に前へと進み

続ける!…そしてその振動を頼りに鉢合わせになっても大丈夫なよう警戒もすると、

終わりが見えて来た様なそんな事を口に!…その際自ら近付いて行っている事に

自身でツッコミを入れつつ!…と、そんなハンドレットの言葉にフェルも何かを

思い出すよう!…ふとある事を思い出す様に話し出すと、現状と似ている様な事を

語り!…


「…こんな下水道にそんな大型の化け物を…

…いや、前にもこんな感じで似た様なのありましたね?…

…確かあの時は古城で巨人族の騎士二人を相手にしましたが…」


「ッ!…あぁ~…ありましたねぇ…

…ホント…オン○モか!!って思いましたけど…」


何でもフェル曰くこの後に待ち受けているかもしれないBOSS戦に!…過去似た様な

シチュエーションが有った事を口にすると、まるで感傷に浸る様な感じでその事を

語り始め!…と言っても狭い空間でデカ物と戦うと言う意味で有り!…と、そんな

フェルの話を聞いてハンドレットもハッと思い出したらしく!…次には某・心を折る

ダークファンタジー宜しく!…その通称名をまんま口にしてツッコミの言葉として

行くと、そんな談笑をしている場合では無い!とばかりにある光景が目に映る!…

その進んだ先で倒れている面々の姿を見つけてしまう!…


「…ッ!?…み、皆さん!!…」


__ザッザッザッザッザッザッ!!…ガバァ!!…


「……ッ~~…こ、この声は…」


それはモンスターに襲われた様子で満身創痍、通路にうつ伏せの状態でピクリとも

せず!…となると当然そんな様子を見つけてハンドレット達が慌て出し!…次には

声を掛けながら駆け寄り!…急ぎ抱き起してまだ息が有るかどうか?を確認すると、

辛うじて残っている様子で反応が!…ハンドレットの声に返事をする!…その際

気力を振り絞りハンドレットの顔を見ようとその倒れて居た者が動きを見せると、

ハンドレットはその倒れていた者を気遣い!…


「ッ!…あぁ~無理して動かないでください!!…

今すぐ治療を!!…」


と言うのもただでさえ体力は危険域!…下手すれば何がきっかけでお陀仏かも

全く分からず仕舞いで!…そして死んだ場合のリスポーン位置についても

これまた不明の状態!…そうなるとここで死なせる訳には勿論行かず!…

ハンドレットが下手に動かないよう声を掛けながら自身のアイテムポーチを

開いて行くと、とにかく回復のポーションを数本取り出す!…そこから慣れた

様子で口で封を切って行く!…すると今度はその封を切ったポーションを

少しづつその倒れていた者の口に含ませようとするのだが、その倒れて居た者は

何やら言葉を口に!…


「ッ~~…ッ…き、気を付けてくれクラマス…

この先にヤバい奴が居る!…」


「喋らなくて結構です!!…今はとにかく休んで!!…」


それはとにかくこの先について忠告をしたい様子で、我が命よりも危険を聞け!と…

その手当をしてくれているハンドレットに化け物が居る事を口にするが、その肝心の

ハンドレットは話しを聞かず!…と言うのも助ける事でテンパってしまって居り!…

何が何でも助ける事を口に!…今は黙っててくれ!とばかりに焦りまくっている

様子を見せるが、手当をされている方も話しを聞かない!…更に構わず言葉を

続ける!…


「…蛇が…あり得ない位に巨大な蛇が…」


「ッ!…蛇?…」


その倒れて居た者が言うには化け物は蛇!と、それもトンデモナク大きかった様子で

苦痛に表情を歪ませながら必死に訴え!…何ならその言葉を口にする際まるで仇を

討って欲しい様な!…恐らくそんな意図は無いのであろうがそう感じられるモノで、

ハンドレットも分かった!とばかりにとにかく頷き!…早く話しを終わらせよう!と

必死の様子を見せて居ると、一方でその蛇と言う言葉にフェルがピクッと反応!…

何か疑問を持ち始める!…しかし!…


「フェルさんも治療を手伝って!!…他の人達の救護を!!…」


「ッ!!…あっ!…ス、スイマセン!!……とりあえず!!…」


それ所では無い!とばかりにハンドレットが吠える!…それは焦りから来るせいか

怒気を帯び!…そのつもりが無くとも如何にも圧を放つ様に指示を出す事になって

しまうと、思わずフェルもビクッと反応!…次には謝りながら他の面々の状態を

確認して行く!…するとまずは一旦倒れて居る者達を片っ端から仰向けに戻して

しまうと、一人一人の呼吸を確認!…が、残念な事に何人かは間に合わずに

そのまま光となって消えてしまい!…


__……ぱあああぁぁぁ……ッ!?…ッ…ッ~~!!…ガッ!!…


となるとその様子を見てハンドレットが更に焦り!…今度はアイテムポーチから

小瓶を一つ!…何やら緑色の靄の入った怪しい物を取り出すと、何の迷いもなく

封を切る!…するとその小瓶から緑色の靄がモクモクと立ち昇り始める!…

それは自分達の頭上に広がるよう伸びて行くと、次には下水道の中だと言うのに

その緑の靄から突如雨が降り出し!…と言うのもアレは緑色の雲であった様で!…


__モクモクモクモク!……ッ…ポッ…ザアアアァァァァァ!!!…


「ッ!?…え?…え??…」


その雨は倒れて居る者達やフェルの体に降り掛かり!…勿論ハンドレットの

抱えて居る冒険者にも!…まるで傷を洗い流す様に少しの間降り続けると、

暫くしてその緑色の雲は霧散!…倒れて居る者達の傷を癒す!…すると一方で

その様なアイテムを見た事が無いのか、フェルはただ雨に降られた事で

戸惑い続け!…が、そんな事を気にしている場合では勿論無く!…ある程度

怪我が治った事で意識を取り戻し!…各々が途端に苦痛から悲鳴を上げる

事態になってしまうと、その声でまたモンスター達が寄って来る!…

不幸?の連鎖が繋がり始める!…


__…ウッ!…ウグアアァァ!!!……ヴァアアァァァ……ズルズル…ズルズル…


「ッ!?…ちょ!?…」


この時その面々の悲鳴は下水道内で反響するよう響いて行くと、ずっと奥まで

響き続け!…と、それに呼応するよう今度はアンデットの唸り声が聞こえ始め!…

それは辺りに響かなくとも!…まるで地を這う様に聞こえて来ていやで悪寒の様な

モノを感じさせると、今度はそれに続くよう粘性の引き摺る音までもが聞こえて

来る!…言わずもがなその場にスライムが姿を現す!…となるとモンスター達の

ダブルブッキングにこれまたフェルが驚き戸惑いを露わにすると、一方で面々の

命を一旦は助けられた事でハンドレットも動きを見せ!…


__…スッ…ジャコンッ!!…ガッ!!…ッ!!…


「…まとめて相手してやらぁ!!…一体残らず駆逐してやる!!!…」


ハンドレットは抱えて居たその者をゆっくりと下ろし、そしてその手に武器を!…

それは明らかに真っ向から対抗するようスッと武器を構えて行き!…モンスター達に

対して鬼の形相!…全身で殺気を放ち始め!…その様子にフェルも機敏にビクッ!と

殺気を感じ取った具合で慌てる反応を露わにすると、一方でそんなフェルの事など

御構い無し!…ハンドレットは怒りの様相を見せて行く!…まるで全部コイツ等が

悪い!とばかりに言葉を漏らすと、更にこれまたフェルも慌てる事態となり!…


「ッ!?…ちょ!?…ムツさん!?…」


「オオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!!!」


が、それでもフェルは戸惑いながらもハンドレットを呼んで落ち着かせようと!…

しかし当然それで止まる様な状態ではなく!…次には武器を手にそのスライムの

群れに向かい一人突貫する様を見せて行くと、また水の滴る戦鎚で一掃する!…

まるで心が荒んだ様子を露わにする!…その際勇ましく吠えて戦鎚を振り上げて

行く様はまるで某・ベル○ルクの様で!…フェルもそんなハンドレットの様子を

見て声を掛けても無駄だ!と悟り…


{…駄目だ!!…全然声が届いていない!!!…

こうなると本当に駆逐し切るとまでは行かなくとも!!…

一帯を根絶やしにするまでこの人は止まらない!!…

…それにこっちもそんな悠長な事を言っている場合じゃない!!…}


__ヴァアアァァァ……ヴァアアァァァ…


こうなってしまっては本当にハンドレットを止められない!と、そして体力を

消耗する事を覚悟して行き!…すると続けて自分にも徐々にアンデットの大群が

迫って来ている事を認識し出し!…次には一旦暴走するハンドレットを保留!…

唸り声を上げるアンデット達に視線を向け!…静かに剣を構えるそんな素振りを

見せて行くが、アンデット達は御構い無しに行進!…フェルに襲い掛かろうと

唸り続ける!…そしてアンデット達がそのフェルの間合いに入って行くと、

次にはフェルも仲間を守る為に剣を振るい!…


「…ッ…ハアアアアァァァァァ!!!」


__ズバシュッ!!…ザシュンッ!!…ドシュンッ!!…ブワシュンッ!!!…


まず先頭を歩いて来たアンデットに向かい袈裟斬りを一つ!…その際こちらも

勇ましく声上げて斬り掛かり、その先頭のアンデットを一太刀で切り捨て!…

するとそのまま止まる事無く次の行動へ移って行き!…ステップを踏んで次の

アンデットに斬り掛かり!…掬い上げるよう斬り上げてそのアンデットも

一太刀で葬ってしまうと、更に続けてその場でクルッと回転ステップを踏む!…これまた

更に後ろのアンデット達へと続いて行く!…そうしてその勢いが留まる事を

知らずに更に加速する事になってしまうと、そのまま続けて水平斬りで一気に

2~3体を巻き込んでアンデットを始末!…結果計五体位のアンデットをものの

1~2分位で片付けて見せる訳なのだが!…


「……クフフフ!!…フフフフ!!!…ッ!…

あぁ~駄目だ駄目だ!…私がしっかりしないと!!…

…でも…フフフフフフ!!!…」


「ッ!!…ッ~~~!!……ッ!…

ク、クラマス!?…そ、それにサブマスも!!……ッ!?…」


当然また敵を倒したと言う事で快感に震え!…それはまるで生を実感する様に!…

自然と笑いが込み上げて来て体も高揚する様な徐々に震えが止まらない状態に

なってしまうと、いつもの発作状態に!…しかしフェルは抑え込もうと必死に

なる!…と言うのもここで発作を起こせば何をするか自分でも分からず、

何ならブレーキ役であるハンドレットが既に暴走状態で!…となると何が何でも

押さえよう!と…だがそれとは裏腹にクスクスと笑い!…一方でその倒れて

居た者達も徐々に落ち着き!…ハッと目を開いてそこで自分達のクランマスターと

サブマスターが居る事に気付いて行くと、当然驚きの言葉を口に!…と、同時に

ヤバい状態である事も認識する!…


「お、おいこれって!?…」


「…ッ!?…ム、ムツさんも何か様子が可笑しいぞ!?…

こ、これは早く逃げないと!!…」


「ッ!?…に、逃げるったって何処に!?…

逃げようがないじゃない!!…」


勿論慌てる理由はフェルがクスクスと笑って居るから!…何ならその最後の

結末も知っている様子で青褪めて見せ!…全員に早く起きるよう慌てて

声を掛けて行くと、同時にハンドレットの様子が可笑しい事にも気が付く!…

バーサーカーと化している様子を目にして行く!…となると普段温厚な

ハンドレットがこの荒振り様!と言う事で更に戸惑いを感じてしまうと、

一人が逃げる事を提案し!…だが逃げると言ってもここは閉鎖空間の様なモノで!…

言うなれば前門の狂人、後門の化け物と言った状態!…当然逃げられない!と

パニックになり!…あぁ~でも無いこぉ~でも無い!ととにかく慌てながら

話して居ると、一方でまた理性の飛んでいないフェルが!…その起きた者達に

アイテムを投げる!…


__ッ!…ッ~~…ッ~~~!!!…ブンッ!!…


「…あたッ!!……え?…」


それはハンドレットが今まで救助に使って来た光の球で、投げたアイテムは

その慌てている面々の内の一人の頭に直撃し!…と、一方でそんな物が

飛んで来た事で思わずビクッと反応を露わに!…別にはダメージ等は無い

のだが、思わず反射条件で声を!…そして次には何が投げられて来たのか?と

その飛んで来た物を確認すると、それが脱出用アイテムだと言う事に気が付き!…

となるとそんな物が飛んで来た事で面々は更に悩んでしまい!…それこそ何で

こんな物が?と…自分達に都合がいいアイテムが飛んで来た事でまた混乱し出す

そんな反応を露わにすると、今度は悩んでいる暇も無い様子でフェルの声が

聞こえて来て!…


「…これを使って脱出してください!!…このお仕置きはもう!…

ッ!!…ッ~~!!…不問にするので!!…

私達が何とかして居る内に!!…早く!!…」


「ッ!?…は、はい!!!…」


フェルは興奮を抑えつつアンデットの相手を!…そして倒して行く毎にまた狂気に

飲まれて行き!…今も意識を保つのにやっと!と言った具合で話しをすると、早く

逃げるようとにかく指示!…すると面々もハッとした様子で指示に従う!…その際

助けられた者達でまたパーティを組み直すと、一人がその光の球を徐に掲げ!…

するとその光の球は辺りを照らす様に眩しく発光!…次にはその面々達を飲み込み

始め!…今まで助けて来た面々同様光の球となってその出口に向かい飛んで行くと、

その場に残ったのはハンドレットとフェルのみ!…となるとフェルも抑えていた

感情を爆発させる!…


「…行きましたね……ッ!?…あぁ…あああぁ!…あああああぁぁぁ!!…」


__…プツンッ…クフッ!…クフフフフッ!!…クハハハハハハ!!!…


その際ちゃんと面々が脱出したのを見送ってから感情を爆発!…それはホッと

安堵した際に気が緩み!…そこからさもダムが決壊したよう一気に自身の中に

破壊衝動や血を渇望する様な!…とにかく色んな負の感情で一杯になって行く

のが感じられると、次には発狂!…頭を抱えて蹲ってしまう!…しかしそれも

本当に少しの間の話であり、次にはアンデットに襲われる事無く直ぐに復帰!…

それはバッ!と突如急に立ち上がって天井を見詰め!…何処か目の焦点も合って

いない様な不気味な反応を露わにすると、今度は辺り一帯に響く勢いで大笑い!…

まさに気が狂ったかの様なそんな様子となってしまう!…


__…クルゥリ?…ニンマアァァ!!!…


「…アァ…獲物…見ィ~ツケタァ~♥…」


感じで言うとまるで某・ヒグラシが鳴いて居そうな!…とにかく気配の感じる方へ

ゆっくり首を傾けて行き!…そしてそこで先程まで自身が相手をしていた残りの

アンデット達の姿を見つけてしまうと、まるで玩具を見つけた様にニンマリ!と

笑みを!…そしてそのアンデット達の居る方へと向き直して行く!…言わずもがな

その手にはしっかと剣が握られてあると、次には大喜びでそのアンデットに

斬り掛かり!…


「クハハハハハハ!!!…アァ~ッハッハッハッハッハ!!!…

アァ~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!…

ヒャアァ~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!…」


その様子はもう飢えた獣が如く!…本能の赴くままに次々と奥の道から現れる

アンデット達を斬り捨てると、更に歓喜に震え!…そして大声で響き渡らせるよう

笑い続け!…口からは涎が溢れ出て!…しかしそれを拭う事はなくただひたすらに

狩りに興じる様子を!…今が最高に楽しい様なそんな姿を見せて居ると、一方で

ハンドレットの方でも戦闘が落ち着く!…スライムの掃討に成功する!…

その際軽く疲れた様子で息を切らし汗を垂らすと、次にはその背後から聞こえて

来る狂気の笑い声にハッ!とし…


__ハァ!…ハァ!…アァ~ッハッハッハッハッハ!!!…ッ!?…


「…あぁ今度はコッチですか!!…えぇえぇ覚悟して居ましたとも!!…」


「モット!!…モット!!!…私ニ苦痛ヲ与エテミナサイ!!!…

私ニ貴方達ヲ壊サセテ頂戴!!!…サァ!!…サァサァサァサァ!!!…」


この時スライムを粗方殲滅した事で漸く落ち着きを取り戻した様子!…

しかし発狂しているフェルの声を聞いて!…次はコッチか!?とばかりに

慌てて振り返りそのフェルの姿を確認すると、途端に休んでいる暇もない!と…

その暴れているフェルに対して武器を構える!…勿論出来る事なら敵対は

何が何でも避けたいのだが、それも全てはフェルの行動次第で決まる訳で!…

一方でフェルは未だ目の前のアンデットに集中しており!…自身の渇望は

満たされないのか?…まだまだ壊したりない!と言った言葉を口にすると、

更に剣を無我夢中で振るう!…ドンドン深みに嵌って行く!…


__ズバシュッ!!…ザシュンッ!!…ドシュンッ!!…ブワシュンッ!!!…


「サァサァ抵抗シナイト死ンジャイマスヨォ~?…

…ッテ、元カラ死ンデルカラ言ッテモ無駄カァ…

ナンセモウ考エルダケノ頭モ残ッテ無イヨウデスカラネェ~?…」


更に狂気に染まったフェルからはもう人間味がほとんど感じられず、剣の構えも

めちゃくちゃでただ勢い任せに振り回して居る様にしか見えない!…だがそれでも

アンデット達はガードも避けると言った事をしないまま!…ただ一太刀浴びて

その場に崩れ!…光となって消えてしまうと、その様にフェルもご満悦なのか

何なのか?…煽る言葉を口にする!…それはまるで脳無し!と馬鹿にするよう

言葉を吐くと、ケラケラと笑い続け!…


__アァ~ッハッハッハッハッハ!!!……ッ…ジャコンッ!!……ッ…


一方でハンドレットは今か今か!と…と言うのも急にターゲットが切り替わる事も

ある様で、フェルから一切目を離さず!…しかしそれでも一応辺りに対して警戒も

続けて張り巡らせて居り!…それはまたスライムが寄って来るかもしれないからで、

直ぐに対応出来る様に同じく身構え!…ダブルで警戒をする事により、更にTPも

地味にしぃうひが激しくなってしまって居ると、次にはそのフェルの様子が可笑しく

なる!…途端に動きがピタッと止まる!…


__ザシュンッ!!……ッ…ピタッ!!…ッ!……


「…オンヤァ~?…

何ヤラ楽シゲナ音ガ向コウノ方カラ聞コエテ来マスネェ?…」


__ッ!!…ッ…


それは目の前のアンデットをまた斬り捨てた所で突如ピタッ!と、まるで何かに

気が付いた様子で動きを止め!…と、次には何故か明後日の方向を振り向き始め!…

更には意味深な言葉を口に!…まるでその何かを更に注意深く探る様な!…

何も無い虚空をジッと見詰めるそんな反応を露わにすると、そのフェルの様子に

ハンドレットも嫌な予感を!…ハッ!とした表情で警戒をする!…と言うのも

一番危惧すべきはまだ生存者がいた場合で、フェルがその者に襲い掛かるのでは

ないのか!?と…すると案の定その物音に導かれるようフェルは動きをまた見せ

始め!…


「…コッチカラカナァ~?…クハハハハハハ!!!…

…ッ……私モ!!…混ゼテエエェェ~~~!?!?!?…

アァ~ッハッハッハッハッハ!!!…」


「ッ!?…クッ!!…

よりにもよってこっちではなくまさかの別の方向に!!…

こんな事なら私が早くに止めに入っていれば!!…

…とにかく直ぐに追わなくては!!…」


思いっきり興味を持った様子でフェルはニンマリ笑みを浮かべ!…そしてやはり

その方向から聞こえて来るのか!…何も無い下水道の壁を一点に見詰めた後!…

来た道を引き返す様にバッ!と走り出してしまうと、ハンドレットもそれを見て

当然更に慌てる!…次にはフェルを追い駆け始める!…その際今のフェルに

声を掛けた所で絶対にその声が耳に入らない事を理解すると、これなら自分に

向かって来てくれた方が良かった!とぼやきを漏らし…が、幾らぼやいた所で

話は全く好転せず!…そのままフェルを追い駆ける事に!…結果更に奥へと

入って行き!…あの何か重そうなモノが引き摺られる音が更に大きく!…

同時に何か戦っているのか!…激しい剣戟音の様なモノが遠くから徐々に聞こえて

来ると、ハンドレットは余計に嫌な予感を!…とにかく現場へ急ぐのであった!…

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