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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

-第七章八十七節 シルビィの存在理由と気になる匂いと行列のできる?…-

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まるで暴走して居た時の反動により!…今は頭が働かない様なそんな反応を

見せるフェルをさておいて行くと、面々の視線はシルビィへ向けられ!…

その汚れていない容姿に驚きつつ!…何故その従魔が今ここに居るのか?と

言ったこれまた疑問を感じてしまうと、その内の一人が戸惑いながらも

シルビィへ質問!…その理由をまんま尋ねて行く!…と言うのもシルビィの事を

ついさっき知ったばかりで、当然その意図を知らず!…


「…あ、あのぉ?…な、何でここに?…

別にここに来る理由が無い様に見られるんですが?…」


「…ッ?…はい?…」


シルビィに声を掛ける際、その者は挙動不審に!…それは怯える様な戸惑う様な…

何方とも言えない様子でとにかくここに居る理由について尋ねて行くと、シルビィも

その質問を受けてピクッと反応!…次にはチラッとその声を掛けて来た者へと

視線を向ける!…その際別にシルビィとしては怒ったり何か不機嫌な反応を見せた

訳では無いのだが、そんなシルビィの反応に対して声を掛けた者は緊張からか

おっかなびっくりの様子を露わに!…


「ッ!?…い、いえいえ!!…別に文句があるとかそう言う訳では無く!…

ただ単純に理由が気になったと言いますか!…」


「…ちょっと落ち着きなさいよ!!…

まるで不審者みたいになってるじゃないの!!…」


宛ら機嫌を損ねたか!?と慌てる様に!…これ以上何か怒らせないようシルビィに

言い訳をする感じで更に言葉を続けて行くと、先程の質問は興味本位である!と

補足の説明を口に!…となるとそんな一人勝手に慌てる様子にシルビィも思わず

キョトンとする!…それは別に音もなくスッと首を傾げてジッと見ると、次には

その慌てる者の隣に居た者が呆れてその者に声を掛け出し!…と言うのも逆に

怪しい!とツッコミを入れ、もっと普通に出来ないのか!?と…シルビィに

対してこちらは全くの警戒心0の様子を見せて行くと、その慌てる者はビクッと

反応するなり反論を口に!…何故ここまでオドオドしているのか?を話し始める!…


「ッ!…そ、そんな事言ったって!!…おま!!…相手はあの幻影狼ファントムウルフ様だぞ!?…

過去の時代に置いて[夜の絶対的支配者]なんて異名を付けられたあの!!…

…オマケにめちゃめちゃ美人だし!!!…」


「…はあぁ~…何と言うか…もう情けなく見て居られないですね?…」


と言うのもその慌てる者曰くシルビィが幻影狼ファントムウルフである事から委縮している様子で

有り、更には美人に対しても耐性が無い様子で慌てに慌て!…宛らそれは憧れの

人を前にした様な反応にとても似ており!…そしてその言い訳を聞いた者は更に

呆れ!…その近くに居たもう一人の仲間も溜息を吐いて呆れる様子をこれまた

見せると、ツッコミを口に!…情けない!と頭を落とす!…さてそうして色々と

シルビィの前でワチャワチャすると、肝心のシルビィは付いて行けない様子で

思わず戸惑い!…


「…あ、あのぅ…わ、私がここに来た理由は旦那様のご意向によるもので…」


「ッ!…え?…」


とにかく仲裁をする的な意味でも質問に返事を!…その際釣られて戸惑う様な!…

しかしそれでもその理由の発端がマサツグからのお願いである事を口にすると、

マサツグの事を旦那様!と…やはり慕っている感じを露わにする!…するとそんな

返事が飛び出して来た事で周りの面々もピクッと反応をして見せると、次には

チラッと視線を!…と、続けて戸惑いの言葉も漏らし!…まるで詳しく更に

話しを聞きたい様なそんな様子を見せて行くと、シルビィも察した様子で言葉を

続ける!…その訳を話し始める!…


「…この地下が如何なっているのか?を調査し…

そしてシロ様達が気にしていた異音の正体を突き止め…

その対処をする為にこうして今ここに立って居る…

…と言うのが先程の質問に対する答えで御座いましょうか?…

…そしてその元凶もちゃんと対処出来た事ですので…

その対処に当たって居た時からずっと聞こえていた

それが今私がここに居る理由に御座います…」


この時シルビィはその場が落ち着いた事で冷静に、そしていつもの様子で淡々と

面々に話しをし!…それは自身がやって来た事をそのまま説明する様に!…

何ならその騒音問題も何とか出来た!と…その騒音問題を解決する際こっちから

物々しい音が漏れていた事を更に話すと、そのシルビィの説明を聞いて思わず

面々は戸惑う感じで返事を!…だが次には途端に疑問を持つ!…と言うのも!…


「ハ、ハァ……ッ!…え?…?…」


「ッ!?…ちょ、ちょっと待って!?…え?…騒音の原因ってコイツじゃ?…」


疑問を持った点と言うのは[別の音]と言う表現で!…さもシロの言う音の原因が

この姦姦蛇螺は無い様に聞こえると、途端に周りの面々は動揺を隠せず!…

となると次にはシルビィに向かい音の正体について改めて確認!…今足元に居る

その殻だけの姦姦蛇螺を指差し!…コイツがその騒音の原因では無いのか?と

尋ねて行くと、シルビィはその問い掛けに対して首を左右に振る!…それこそ

さも不思議そうに振舞って見せる!…


「…ッ?…いいえ、違います…

原因はこの下水道の通路内をまるで駆け巡る様に転がる奇妙な骨の塊でした…

…シロ様ハク様と一緒にあの宿屋で同じ音を聞きましたので…間違いはないかと…」


「ッ!?…じゃ、じゃあ私達が倒したコイツは!?…」


シルビィは否定の言葉を口にすると、その騒音の正体について別のモンスターで

ある事を告げ!…その際その特徴についても話して行き!…そいつが音の原因だと

言う根拠についても!…同じ音をその奇妙なモンスターから聞いた事を更に話すと、

徐々に周りの面々の表情が青褪める!…それこそ軽い絶望を覚えた様子で崩れそう

になる!…そして自分達が倒したこの化け物についてコイツは何!?と意味を

求めるよう尋ねて行くと、シルビィは若干俯き伝え辛そうにしながらも感じた事を

口に!…


「…ッ…恐れながら…無駄骨かと…

ですが強いて言うなら町の平穏を取り戻した…

と言った所でしょうか?…」


__ッ!?…ズシャアアァァァ!!!…ッ…


そのシルビィの口から出て来た言葉はある意味無慈悲な一言で、無駄骨と…

まるで意味が無かった事を面々に伝え…それを聞いた面々もまるで落雷を

受けた様にビクッ!とショックを受けて見せると、次には各々耐え切れずに

崩れ去る!…さもドッと疲労感を感じた様にへたり込む!…そしてしばしの間

何も物音の聞こえない静かな時間が過ぎて行くと、その様子にハンドレットも

如何したのか?と…


「…う、うぅ~ん…な、何と言いますかぁ…」


「…とりあえず戻ります?…こんな所でしょげてても仕方がないですし…

明日の事もある事ですし…」


さすがにこの結果には同情を隠せず、改めて行き当たりばったりで事を決めては

いけない!と学習をし!…すると次にはどう慰めたモノか?と唸って悩み!…

その項垂れる面々の姿に目を向けて対応に困った様子を見せて居ると、フェルが

ここで提案を!…とにかく地上に戻る事を口にする!…それはずっとここに居ても

仕方がない事を話して行くと、そろそろ時間的に休まないと明日に支える事を

続けて話し!…


「……ま、まぁ…そう…です、ね…」


するとその話を聞いてハンドレットもハッ!と…納得するよう返事をする一方!…

本当にこれで良いのか?と悩みつつ…それでも自身のアイテムポートから脱出用

アイテムを取り出して行くと、次には全員に範囲に入るよう使用!…その場に居る

面々全員を回収する!…そして全員光の球の中にスッと吸い込まれる様に姿を

消すと、そのまま下水道・最奥を後にし!…そうして結果的に下水道ダンジョンを

見事に攻略!…ハンドレット達を包んだ光の球は下水道の入口に到達し!…

パン!と弾けて各々の姿を露わにすると、面々も若干驚いた様子で次にはハッ!と…

戸惑った様子を見せて行く!…


__ヒュウゥゥン!!…パアァン!!…ッ!!…ッ!?…!?!?!…ッ…


「…ふぅ!…これで何とか全員救出出来ましたかな?…

はあぁ~…やれやれ……ッ!…ッ…」


面々が降り立った場所はあの日の光が当たる開けた場所で、一瞬何処に

降り立ったか分からない様子で反応を露わに!…だがそれが間違いなく

下水道の外である事が分かるととりあえず各々は安堵して行き!…

その際一段落!とばかりにハンドレットが息を…そして全員連れて

帰って来れた事に安堵して見せ!…やっと落ち着ける!と言った具合に

スッと脱力をしようとするが、次にはまたハッ!と疑問を…

途端にシルビィへ質問をし始める!…


「…時にシルビィさん?…貴方がその騒音の対処をして居た時に…

他の冒険者達の姿は?…」


と言うのもあくまで自分達が見て来た道中だけの話であり、他にも当然色々と

分岐路が在った訳で!…もしかするとそちらの方に仲間を置いて来てしまった

のではないのだろうか!?と…その際下水道全体とは行かずとも!…

せめてシルビィの視点からそう言った者が居なかったかどうか?について

質問をすると、シルビィもその問い掛けに対して耳をピクッと反応!…

そしてハンドレットへ向き直り返事をする!…


「ッ!…いえ……ッ!…あっ、そう言えば一人だけ…

ですが何か目的を達した様子で汗を拭い!…

私の目の前で先程の光に包まれ帰られたかと…」


「ッ!…そう、ですか……ッ…」


その際最初は見掛けなかった事を口にするが、次にはハッと誰かを思い出した

様子であっ!と言葉を漏らし…そして今度は訂正をするよう一人見掛けた事を

話し始め!…だがその者は無事である!と…その者は何か不思議であった様に…

特に印象に残っている様子で最後は脱出用アイテムを使ってその場を去った事を

更に話すと、その話を聞いてハンドレットは安堵!…恐らく大丈夫であろう!と

落ち着き始める!…さてそうして何とか生還した時点で辺りは暗く日は陰り、

時間として夕方の6時位の日の入り様が見られ…と、同時に何処からともなく

いい匂いが!…


「…ッ!…スンスンッ……この匂いは?…」


「ッ!…え?…匂い?……駄目だ…全然分からん!…」


「…こういう時匂いでも分別の設定が欲しいですよねぇ…

悪臭とそうでないのとで…」


その匂いに反応したのはシルビィで有り、この時鼻を一度ヒクッ!として見せ…

と、何かに気が付いた様子で今度は何度も匂いを嗅ぎ!…それはまるで今まで

嗅いだ事のない未知なるモノの匂いを嗅ぐ様な!…何とも名状し難いそんな反応を

露わにすると、シルビィのそんな反応にハンドレット達も!…次には気になった

様子で匂いを嗅ぐ!…しかしここで邪魔をするのはシステムで、そのシルビィの

言う匂いが全く分からず!…となると各々分からない!と言って断念し出し!…

この匂いのシステムについて!…早く細かな設定が出来る様にアプデアップデートが欲しい様な

そんな事を口にすると、一方でシルビィが何とか!…その匂いを言葉に起こそうと

頑張って見せる!…


「…スンスンッ…何と言いますか…とても香ばしい?…

いや独特の匂いがしますと言うか?…ッ…難しいですねぇ…

匂いの元は旦那様が居る宿屋の方から…」


「…とても香ばしい?…それに独特って!…」


それはまるで何かを焼いた様に香ばしい匂いがする!と語ると、同時にその匂いを

邪魔する様に!…何とも言えない独特の香りが混じっている事を更に話し!…

と、その独特の匂いが如何にもシルビィを悩ませる様で!…シルビィは眉間に

しわを寄せ!…暗礁に乗り上げた様に難しい!とばかりにスッと首を傾げて

見せると、自身の語彙力では難しい!と漏らす!…だが匂いの発生源は特定出来た

様子で場所を話す!…するとそんなシルビィの言葉に思わず反射的に面々の一人が

ツッコミを入れると、更にその者に対してツッコミを入れるよう言葉が飛び!…


「…まぁモノが分からなければそんな例えにもなるわよ!…」


__ッ!…あぁん?…ジィ~~~~……


宛らお前は言えるのか?とばかりに…そのツッコんだ者に対して呆れる様な

仕方が無い様なそんなツッコミを口にすると、そのツッコんだ者もツッコんで

来た者に対してチラッと…文句有り気な様子で視線を向ける!…しかしそれは

別に不仲と言う訳でも無くただいつもの殴り合いの様な感じで話して居ると、

一方でハンドレットがその匂いの元を気にしている様子で!…その二人の間の

事には干渉せず!…


「…とにかく行ってみましょうか…」


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


何ならいつもの事!とばかりにサッと流して歩き出し、するとその他の面々も

途端にハッ!と我に返るよう慌てて見せ…となると慌ててハンドレットの後を

追い出し!…夕日を背に浴びながら街を歩く!…その夕日に照らされている

様子に何かノスタルジーな気分になって行ってしまうと、町の人が居ない事から

更に寂しく感じられる!…日が暮れたから家に帰る子供の様な気分に更なる!…

さてそうして物悲しさを感じながらもそのシルビィの言う匂いの元…宿屋に

向かい歩いて居ると、徐々にその宿屋の方から何やら賑やかな声が聞こえ始め!…


__…ッ~~~!!!…ッ~~~!!!…


「ッ!…ん、賑やかですねぇ?…一体何が?…」


「…襲われている様な感じでは無いですね?…

寧ろ楽し気と言いますか?…」


遠くからでも分かる位に盛り上がっており、微かながら笑っている様な

そんな感じで声も聞こえ!…となると何をそんなに騒ぐ事が有るのか?と…

当然騒ぐ事に問題は無いが…その騒ぐ理由に何も皆目見当が付かない様子で

言葉を漏らすと、その隣ではフェルも疑問を持った感じた具合で言葉を

漏らす!…何なら改めて争っている様には聞こえない事を口にする!…

そしてその他の面々もその騒がしい声を聞いて同じく何事?と言った様子で

戸惑って居ると、次には宿屋の前まで戻って来て!…


「…ッ!…こ、これは!?…」


__ワイワイ!!…ガヤガヤ!!…ワイワイ!!…ガヤガヤ!!…


その宿屋で見た光景にハンドレット達は更に戸惑う!…別に何か一悶着有った

と言う訳では無いのだが、宿屋前には謎の行列が出来て居り!…そして宿屋を

後にする者達もチラホラ見られ!…そして出て来た者達は皆満足げな様子!…

誰もが腹が膨れた様なそんな感じで腹を摩る!…となるとそんな光景を見て

一体何事?と更に戸惑って見せて居ると、宿屋の方からはこんな言葉が聞こえて

来て!…


「…さぁさぁ!!…明日に備えて腹いっぱい食っとけぇ?…

今日はシロとハクも手伝ってくれたカレーだぁ!!…

今度いつ食えるか分かんねぇぞぉ~!?」


__ッ!?…な、なにぃ~!?…ッ!!…


恐らく声の感じからマサツグだろうか?…それは宿屋に来た者達を煽る様に!…

これまた恐らく料理を振舞っている様子で明日に備えるようそんな言葉が聞こえて

来ると、シロとハクも手伝ってくれた事を誇張!…早く集まれ!とばかりに言葉を

続ける!…するとそんなマサツグの言葉を聞いてフェル達も途端にハッと目の色を

変えていくと、次には慌てた様子でその列の伸びている方へ視線を向け!…

と、そこにはシロとハク関係無く腹が減った様子で並んでいる面々達の様子が

有り!…もっと言うと[可愛いもの愛護協会]だけでなく[nightmare]!…更には

一旦作業の手を止めて来たであろうドワーフ達の姿もチラホラ列に見られると、

フェル達は更に慌て始める!…それこそもう無くなるのでは!?と危惧して

見せる!…


「ッ!?…こ、こうしては居られない!!!…

早く私達もこのビッグウェーブに乗らなくては!!!」


__ッ!!…応!!!…


「ッ!?…え!?…あぁ、ちょっとぉ!?…」


ぼやぼやして居ると直ぐに無くなる!…そう感じたフェルはバッ!と後ろを

振り向き出すと、次には同士!とばかりに声を掛け!…と、言わずもがな

これは並ぶべき!と言った具合に参加を募り!…そのフェルの言葉に賛同

するよう!…各々も揃ってやる気に満ちた感じでフェルに参加を表明!…

声を揃えて返事をすると、次には慌てて駆けて行く!…ちゃんと順番を守る

様子で最後尾を目指す!…となると一人置いて行かれたハンドレットとしても

戸惑って見せ、次には慌ててそんなフェル達を追い駆け!…一方で宿屋からは

またマサツグの煽る声が!…


「さぁしっかり食え!!…おかわりもいいぞぉ!!…」


「ッ!?…おい馬鹿止めろ!!!…余計に食欲無くすわ!!!」


それは何処かで聞いた事のある台詞で有り、マサツグとしては裏表なしに遠慮は

要らない!と言う意味で言ったのだろうが!…しかしその台詞の元ネタを知って

いるモツが慌ててツッコミ!…その言葉は不味い!と…何なら出している物から

して尚更ヤバい!と言った様子で不適切である事を口にすると、一方で宿屋からは

分かって居るのか居ないのか…そんな二人のやりとりに対して笑いが聞こえる!…

そしてキャッキャと言いながら宿屋からそんな楽し気な声が聞こえてくる一方!…

その並んでいる列の方ではまるで宝くじが当たる事を願う様に祈りを必死に

捧げる者達がそこに居り!…


「シロちゃんとハクちゃんのカレー!!…シロちゃんとハクちゃんのカレー!!…」


「…もはやここまで来るとストーカーの域なので止めてくれませんか?…」


お目当てはもはやどっちなのか?…譫言の様に何度も同じ言葉を復唱し続け!…

何なら神に祈るよう手を合わせ!…目を瞑り必死に自分の番までカレーが

残っている事を祈り続けると、そんなフェルの様子とまでは行かないのだが!…

他面々も祈る様なそんな様子を露わに!…となるとそんな面々の様子に

ハンドレットも呆れてしまう!…その際自身の仲間ながらに何か行き過ぎて

いる様なそんな気が感じられると、祈っている面々に苦言を漏らし!…

と、そんな事をやって居る内に列は進み!…時間にして約三十分位だろうか?…

やっとフェル達の番まで何事も無くその順番が巡って来ると、次にはその祈りが

天に通じたのか!…


__…席がまた空いたから次入って来てくれぇ~!!…


「ッ!!…来た!!!……ン、ンン!!…

お、お邪魔しまぁ~…ッ!?!?!?…」


宿屋の中からマサツグの声が!…それは席が空いたから入って来るよう!…

まだカレーが残っている事がこの一言から察せられると、次にはフェル達が

やった!とばかりにハッ!と目を…そして何故か緊張をした様子で改まり

始める!…そして何故か身嗜みを気にする様なそんな素振りを見せて行くと、

恐る恐る宿屋の中へ入り!…と、そこにはシロとハクが給仕をする姿が有り!…

しかしいつもの格好とは違い!…シロはミニスカフレンチのメイド服!…

ハクはシルビィを見習ってかクラシカルな方のメイド姿になって居ると、

その二人の格好にフェルは面食らったよう突如硬直!…その場から一歩も

動けなくなる!…


「ッ!…あっ!…黒いお姉さん!!…

おかえりなさぁ~…ッ?…あれ?…」


「…ッ?…何で固まってるです?…」


その際シロもフェルが戻って来た事に気が付き笑顔で挨拶をして見せるのだが、

肝心のフェルはまるでメデューサに睨まれたようピクリとも動かず!…となると

そんなフェルの様子にシロも戸惑い!…次にはフェルへ近付き手をパタパタ!…

意識が有るかどうか?を思わず確認し始めると、一方でハクも異変に気が付いた

様子!…これまた何事?と問い掛け始める!…この時既に会話を聞いて居たのか

固まって居る事を認識すると、ジッとフェルを不思議そうに見詰め!…

だがそれでもフェルは一切動かず!…本当に石化した様な!…眉一つ動かさない

石化振りを発揮すると、後方から後が支えている様子でグイグイ押される!…

そして同じ光景を目にして行く!…


「…ちょっと!!…フェルさん!!…

こんな所で固まってないで中に!!……ッ!?…ダハァ!!!…」


この時固まるフェルに文句を言いつつ何とか押し退けて宿屋の中に入って行くと、

そこで同じ様に給仕姿になっている二人を見つけ!…と、次にはまるで心臓が

止まった様な反応を露わに!…自身の胸を押さえて呼吸を止め!…まるで目の前に

化け物が居る様な驚きと戸惑い様を露わにすると、思わず一方後ろに下がる!…

そしてシロ達を凝視する!…すると一方でそんな面々の様子など知らないシロが

笑顔で面々に声を掛けると、まるでお店の様に振舞い!…


「ッ!…あっ!…いらっしゃいませですぅ~!!…お席は此方に~♪」


__ッ!?……ッ……フゥ~…バタンッ!!…ッ!?…


完璧な笑顔でお客さんを空いている席にへとエスコート!…隙の無い可愛さを

存分に発揮し!…と、そんなシロ達のレア?姿を拝めた事でまた面々は戸惑い

始め!…仕舞いには胸に手を当てながらスッと後ろに倒れて行き!…

受け身を取る事無くドシン!と…体重の掛かった倒れ方をして見せると、

そのまま絶命!…いい笑顔で天に召される!…それはまるで良いモノ見た!と

ばかりに心晴れやかなそんな表情を浮かべて見せると、その倒れた者に

ハッ!となってはコントをし始め!…


「おい!!…おい!!!…」


「…あぁ…ここは天国かぁ?…よもやこんな形で来ちまうとは…

…全く…想像も…出来やしなか…た…ぜ……ッ…」


一人がその倒れた者を抱えに動く!…その場でしゃがみ!…まるで負傷した

兵士に寝るな!と呼び掛けるよう必死な様子を見せて行くと、その倒れた者は

息も絶え絶え!…そして感じた事を口にする!…それは志に半ばで死ぬとは

思っても居なかった感じで漏らして行くと、やはり生涯に悔いはない!と言った

良い笑顔を浮かべ!…そしてそのままガクッと力尽きた様に脱力をして見せ!…

すると抱えて居た者も慌て出し!…


「ッ!?!?…だ、誰か!?…誰かメディーック!!!」


「…良いから早く席に座ってくれ!…」


周りに衛生兵は居ないか!?と…とにかく救援を求める様にメディックと辺りに

響く勢いで叫び出すと、その一連の様子を見てマサツグが一言!…忙しい!と

ばかりに文句を漏らす!…因みにこのカレーは全てマサツグ達が手分けして

作ったと言う訳では当然無く、さすがに人手が足りなかった所で[nightmare]からも

人手を借り!…何ならその借りた手の中には有名店の料理人が数名混じっており!…

となると出来たカレーも一級品に!…ある意味でお金も取れるトンデモナイレベルの

カレーとして出来上がると、それを食した者達は漏れなく色々と付与バフが付く!…

何なら今からでも戦争を始められそうな位に元気になる!…さてそうしてそんな

珍事を見せて居ると、今度はハンドレットがその珍事の収拾に当たり!…


「…はあぁ~…馬鹿やって迷惑を掛けていないで!!…早く席に着きますよ?…

…ほらフェルさんも!…いつまでそこでそうして固まって居るつもりですか!…

シロちゃん達が困ってますよ!?…」


勿論後から入って来たハンドレットはその様子に呆れてしまい!…まずはその

コントをしている面々の二人を簡単に回収して見せると、先程から空いている

席にて待機してくれているハクの元へと歩いて行き!…と、その際まだ固まって

居るフェルにも声を掛け出し!…他の者の迷惑になる!と…何ならシロ達の

迷惑にも今現在進行形でなって居る事を更に続けて注意をすると、次には

その注意でハッ!とフェルが我に返る!…そして今度はその声を掛けられた

ハンドレットの方へと歩いて行く!…


「ッ!!…ハッ!!…わ、私は一体何を!?…

…あれ?…何か…何か此の世ならざるトンデモナク可愛い生物を見た様な?…」


それこそ記憶を失った様なそんな反応を見せて居ると、次には自身の用意された

席へと座り!…と、何があったのか思い出せないまま悩み続け!…仕舞いには

もうカレーの事など如何でも良く!…何か大切な事を忘れた様なそんな気分に

なって居ると、そこへサービングカートを押して来たシルビィが!…しれっと

マサツグ達の手伝いをする様にフェル達の分のカレーを乗せて運んで来る!…

その際そのお手伝いをするようシロとハクも付いて来ると、一生懸命に給仕の

仕事を頑張り!…


__カラカラッ…カラカラッ……カチャッ!…カチャカチャッ!…


「ハイどうぞぉ~♪」


「ッ!…え?…あ、あぁ!…ありが…とう!?…」


ハンドレットや面々の前にそのカレーをよそった皿を置き、そして付け添えの

サラダ等も用意し!…更にはスプーンとナイフとフォークもこのお手伝いで

慣れたのか?…迷う事無くスッとスムーズに用意をすると、次には悩み続ける

フェルの元に!…シロが同じ様に用意をする!…その際カレーを目の前に置いて

軽く声を掛けて行くと、フェルもハッと声を掛けられた事で反応!…それこそ

用意をしてくれた事に感謝をしつつ!…何も考えないでチラッとシロの方に

視線を向けると、そこでまたメイド服姿を目撃する!…するとまた驚いた様子で

反応を示す!…そして一気に記憶も戻った様子でまたビタッと固まってしまうと、

シロも突如驚かれた事で釣られて驚き!…


「ッ!?…ふぇ!?…」


「…はあぁ~…やれやれ…ッ…ッ!?!?…こ、これは!!!…」


何ならその際尻尾をバッ!と…毛を逆立てながらピンと伸ばし!…シロ自身も

えっ?と若干警戒をする様なそんな反応を露わにすると、一方でフェルも

またもやハッ!と…二人揃って何とも気不味い雰囲気になってしまう!…

そしてそんな様子を見てまたハンドレットが呆れて見せると、次には構わず

目の前のカレーを一口!…と、今度はハンドレットの方で戸惑いを隠せず!…

今まで食べた事が無い!と…余りの旨さにこの後一人で十皿も完食すると、

全身に力が漲る!…今まで感じた事のない感覚を覚えるのであった!…

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