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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

-第七章八十八節 最後の状況整理と女王の腕輪と援軍召喚のテスト-

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さて全員がカレーを食べ終えて満足した所で各々休憩!…今日はもう終わりとし!…

一方でマサツグはそのカレー屋?の後片付けに追われており!…空になった寸胴を

前に置いて見詰めて居り!…今からこれを全部洗うのか?と言った軽い絶望を感じて

行くと、静かに溜息を吐きつつ…それらを一気に!…とまでは行かないのだが!…

それでも2つづつ運ぶ感じで厨房へ運ぼうとして居ると、ここで何か用が有るのか

ミサカとハンドレットが…その忙しそうにしているマサツグに声を掛ける!…


「…ちょっと良いかなぁ?…マサツグ君…」


「ッ!…何、如何した?…カレーか?」


何かちょっと不味い事になった!とばかりに真剣な表情でマサツグに声を掛けて

行くと、何も知らないマサツグは能天気に振り返りながら返事!…その際まだ

食い足りなかったのか?とばかりに言葉を零し!…その手にまだ空になった寸胴を

抱えて見せると、そんな様子にミサカも思わず苦笑い!…しかし次には違う事を

口にする!…と言うのも厄介な事になった様子で、他の誰にも聞かれないよう

ボソボソ!と…


「いや、そう言うつもりじゃないんだけど…

…ちょっと緊急を要する話が…」


「ッ!…え?…」


それは余計な混乱を招きたくないのか?…余程緊急なのか辺りを気にする

そんな反応を露わにすると、マサツグもそんなミサカの様子に戸惑い!…

それこそ一体何事なのか?と…疑問を持った様子でその妙に神妙な表情を

見せるミサカの事を見詰めて居ると、次にはハンドレットがその用件を口に!…

何かもう申し訳なさそうにもして見せる!…そしてそのハンドレットの

口から出て来た言葉と言うのは、魔王連合軍にとっては致命的な話で!…


「…実はあのお仕置き…とは結局ならなかったのだが…

それでもあの一件で離脱者が!…

正確にはリスポーン地点が[セルドール]となっていた者が居た様で…

リスポーンをしたらそこに…軽く見積もって三十人程が戦線から離れる事に…」


「ッ!?…えぇ!?…」


__ズルッ!…ッ!!…ハシッ!!……ふぅ~…


何でもハンドレットが言うには離脱者が出た!と…それは本人達の意志ではなく!…

システム的な事で直ぐには戻れない事が語られると、その人数も三十人と言い!…

結構な被害を口にする!…その際その離脱者は如何やら一個前の[セルドール]に

居るらしく、こっちに戻って来るまでまた二日を要する!と…となるとそんな話を

聞かされたマサツグは当然驚き戸惑い!…声を上げて思わず持っていた寸胴を

落としそうに!…だがそこにシルビィが慌ててフォロー入り!…何とか事無きを

得てある意味で大惨事を逃れて行くと、しかしそれでも戸惑ったまま!…

一体如何するか?と悩み始める!…と言うのもただでさえ相手は無尽蔵の兵力を

持って居ると言っても過言では無いデグレアントで、こちらとしても少しでも

兵力が欲しい所で!…


「…さ、三十人…」


「…申し訳ないです!…私が不用意な事をしたばかりに!…」


そのプレイヤー三十人が抜けた穴と言うのは相当なモノで!…勿論その者達の

実力にもよるのだが、その戦闘力は軽く見積もっただけでも7m級のワイバーンに

匹敵するもので!…そしてそのワイバーンが消えた!と言う事実にマサツグは

勿論呆然し!…と、次には思わず三十と言葉を零し…ハンドレットも自身の

仕出かした事に対して如何お詫びをすれば!とばかりに頭を下げて謝罪をすると、

次にはミサカが仕切り直す!…話を本題に移して行く!…


「…今は悔やんで居ても仕方がない!…とにかくこう言う状況なんだけど…

何とかそれを踏まえて最後の作戦を考えたくてね?…今声を掛けた訳なんだけど…」


本来の話と言うのはその抜けた三十人分の補填を如何するか?と言うもので、

さっきのはあくまでも状況説明に過ぎない!と…何ならミサカ自身も予期せぬ

アクシデントであった様子で戸惑って居り!…ハンドレットを責めはしない

のだが、それでもその補填に頭を悩ませる!…ハッキリと戸惑っている様子が

その表情から伺えると、マサツグからも意見を聞きたい事を口に!…

するとマサツグもハッと我に返って返事をする!…


「ッ!…わ、分かった!…

とりあえずここに在る寸胴に水を入れて来るから待っててくれ!…

…カレーは一旦こびり付くと後が大変だから!…」


「ッ!…わ、分かった…」


この時戸惑いながらも取り敢えず了承した事を口にすると、次にはやはり

後片付けが先なのか寸胴を手に!…とりあえず寸胴に水を入れる!と…

まるで主婦の様に放置したら大変な事になる事を口にすると、その話に

ミサカはえっ?とばかりに戸惑う!…状況よりそっち!?とツッコミを

入れたくなる!…それでもマサツグの意思を尊重しその言い分を飲んで

見せると、マサツグは足早に寸胴を厨房の奥へと運び!…何ならその他の

寸胴もシルビィと共に!…そして時間にして約数十分だろうか?…

計八つの寸胴に水を張り終え!…後で洗い易い様に洗剤らしき物を混ぜて

置くと、次にはミサカ達が待って居る方に!…食堂へと戻って行く!…


__コッ…コッ…コッ…コッ…ッ!…


マサツグが食堂に戻るとそこにはミサカとハンドレット、そして同じく

話を聞かされたのかモツの三人がそこに居り!…その他あとの面々の姿は

何処にもなく!…恐らく明日に備えて早めの就寝を取ったのだろうか?…

二階からは軋む音が所々聞こえ!…何をしているかは不明ではあるが…

とにかく二階に居るであろうと言う事が伺えると、マサツグも取り敢えず

三人が腰掛けているテーブルの方へ!…そして待たせた事について軽く謝る!…


「…スマン!…待たせたな!…っで?…」


__ガタタッ!…ッ!…スッ……ッ!…ッ…


マサツグが謝った所で席に座ろうとすると、この時まだ付いて来ていたのか

シルビィがマサツグの補佐に入り!…と言うのも椅子を引いてエスコートを

して見せ!…マサツグもそんなシルビィに対して手をパッと挙げ!…簡単に

お礼のジェスチャーをしてそのシルビィが引いてくれた椅子に座って行くと、

シルビィはスッとマサツグの斜め後ろにて控える!…まるで従者の様な

振る舞いを見せる!…するとそんなシルビィの様子にミサカとハンドレットも

思わず感心をしてしまう所では有るのだが、感心をしている場合ではなく

早速本題に入り!…


「…改めて状況を整理してみたけど…

こっちの兵力は多く見積もって千と三百ちょっと!…

そして戦車?…が十五台!…位!…

残りはバッファーだから戦闘への参加は難しいだろうから…

…正直厳しいって言うのが現実!って所だね…」


ミサカはマサツグが戻って来るまでに!…改めて自軍の計算をした様子で

まずはその計算結果について話して行くと、やはり三十人とは言えど

その抜けた穴は厳しいらしく!…正直に難しい!と話して見せる!…

と言うのも今居る全軍の内戦闘出来る者は約30%程度!…そして相手が

未知数である分!…今回の戦いは恐らくとても不安要素が多くなる戦いに

なるであろう事が予測されると、当然の如く難しい顔を浮かべ!…

更に悩む様子を露わにする!…その際簡単に解決策として人員の増加を

先程の話に盛り込んでマサツグに説明をしたのだが、次にハンドレットが

その[セルドール]に居る仲間から連絡を受けたのか?…ある気になる話を

口にし出し!…


「…せめて…

せめて相手の兵力がどれ位かだけでも分かれば別では有るんですが!…

こればかりは!…

それにその[セルドール]に戻ってしまった人達の連絡では…

そこに居た奴隷達はデグレアント!…

そして町の領主とで奪い合う事件が有ったとか!…

…その騒動で流れた奴隷もデグレアントに来たとなっては!…」


その際先程の話を聞いて切望をする様に、敵の戦力が分かれば!と…

だが言った所で無駄である!と自身で割り切り!…今度はその[セルドール]の

仲間達からの連絡を受けた事について話し出すと、[セルドール]での奴隷の

流れを口に!…何か一悶着有った事を更に続ける!…と言うのも奴隷が

デグレアントに流れたらしく、嫌な事に戦力が更に足された事を話し!…

となると更にミサカが頭を抱えて悩む事に!…更に如何したものか?と…

万策尽きた様なそんな反応を露わにすると、一方でハンドレットもまた反省を

する様にガクッ!と…落ち込む様子を共に見せる!…そして二人の話を聞いて

マサツグもえぇ~っ?と戸惑う反応を見せるのだが、ここでシルビィがハッと

何かを思い出した様子で!…


「…ッ!…そう言えば旦那様?…女王陛下より頂いた腕輪は?…」


「ッ!…え?…」


と言うのもそれはヒラメキに近く!…徐にマサツグを呼び出し!…グレイスから

受け取ったあの氷の腕輪について話をし始めると、シルビィからそんな話を急に

された事でマサツグは思わず戸惑いを露わに!…それこそ気の抜けた返事を口に!…

シルビィの方を振り向いて!…急に如何した?とばかりに不思議そうな表情を

浮かべて見せると、釣られて他の面々もピクッ!と反応…話に興味を持った様子で

視線を向ける!…するとシルビィはそんな面々の視線にも臆することなくある話を

口にすると、それがこの窮地を救うのでは!?と話しを続け…


「…何でも言い伝えによると…

その王家と繋がりを持った者には何でも[狼を操る力]が備わるとか…

この土地には数多くの狼達が居ります故…もしその伝承が本当なら…

その居なくなった分の兵を補う事位は!…」


何でもシルビィが言うには変わった伝承が有るらしく、その伝承とは狼を操れると

言うモノで!…それこそこの大陸には数多くの狼達が居る事をマサツグに話し!…

今まさにその力を発揮する事が出来るのでは!?と…こちらも[狼]と言う名の

兵力を取り入れ更に戦力を増強出来るのでは!?と話しを続けて行くと、その話を

聞いてマサツグは戸惑いを露わに!…そして次にはそのシルビィの考えに苦笑いを

する!…何故なら…


「ッ!?…い、いやいや!…それで呼べたとしても!…

…まぁ言い方は悪いんだが…[]だろ?…

ただの狼であの兵士達に対抗出来るとはさすがに思えないし…

何なら呼ぶったって一頭や二頭では勿論話にならんのだぞ?…

…それにこっちの都合でその狼が傷付く所を見るのも心苦しいし!…」


マサツグの考えはこうである!…例えシルビィの言う通りに狼を呼べたとしても、

それはただの狼で有り!…武装した人間の大群に向かわせるには役不足である!

とも感じられ!…何ならそれで傷付き倒れる姿も見たくない!と更に話し!…

物量で押すにしてもどれ位呼べるのか?…色々と不安定様子が有る!…さすがに

無理が有る!とばかりにマサツグが反対の意見を纏めてシルビィに話して行くと、

その話を聞いてシルビィはシュン!と…まるで自分の事の様に落ち込んで見せる!…


「ッ!…そ、うです…か…」


__へにゃん…ショボォ~ン…ッ!?…ッ!?!?…


それは勿論別にシルビィの事を馬鹿にした訳では無いのだが、目に見えて耳も

尻尾もしなっ項垂れ!…と、何ならその様子はシルビィにしては珍しく!…

いつもの凛々しい様子は何処へやら?…周りも思わずそんなシルビィの様子を

見てギョッ!とする反応を露わにすると、マサツグも当然思って居た反応と

違うモノが見れた事で思いっきり戸惑う!…すると次にはそんなシルビィの事を

慰め始める!…


「ッ!…あ、あぁ~!…わ、悪い!…折角意見くれたんだもんな?…

それに別にシルビィの事を馬鹿にした訳じゃないから!!…

…あぁ~そんなに落ち込むなって!…」


それこそ慌ててバッ!と席を立って見せると、アワアワと慌てた様子でシルビィに

謝り!…その際この時のマサツグの動きと言うのはまるで怪しい魔術師の様な!…

両手を上げては詠唱をするよう!…掌を見せつつクルクルと謎に円を描く動きを

すると、謎のうさん臭さを露わに!…とにかく他意が無かった事を口にする!…

そして意見をくれた事に対しても当然感謝の言葉を掛けると、改めてシルビィを

馬鹿にした訳では無い事を更に続け!…が、それでもシルビィはショボンとした

ままで!…別に怒っている様子では無いのだが…まるで怒られた犬の様に未だ

反省をする様なそんな様子を見せて居ると、マサツグも更に慌てて言葉を口に!…

一方でモツが気になる事を話し始める!…


「…ッ!…ッ…でもヤブ?…

呼べると言う話は事実だぞ?…」


「ッ!…え?…」


この時モツはそのグレイスから貰った自身の分の腕輪をジッと見ると、次には

シルビィの言っていた言葉の意味を理解した様子で!…と、今度はその事を

マサツグにも教えるよう言葉を掛け出し!…シルビィの言っていた事は本当!と…

まるで扱い様によっては化けそうである事が分かった様な!…そんな含みの

有る感じで更に言葉を続けて見せると、マサツグもそんな話をされた事でこれまた

戸惑う!…するとその視線は自然とモツの方へと向けられて行く!…その際

気の抜けた感じでモツに返事をすると、更にモツは続けてマサツグへ指示を口に!…


「…あの貰った腕輪のスキル…もっかい見てみ?…

そしたらシルビィの言っていた言葉の意味が分かるぞ?…」


「…ッ?…どれどれ?…」


その際モツは今自身が付けている事を見せる様にスッと腕を上げて見せると、

その腕輪を指差しながらトントンと突く様にしてマサツグへジェスチャーを!…

そしてもう一度スキルを見る様に言葉を続け!…やはり意味深にシルビィは

間違っていない様なそんな事を口にすると、マサツグも次には自身が付けている

腕輪に視線を!…そしてもう一度スキル内容を確認をする!…するとそこには

確かにシルビィの言うスキルが存在しているのが分かるのだが!…

        ----------------------------------------------------------------------

                  [狼の援軍]

     通常戦闘時、任意で[狼系のモンスター]をランダムにその場で

     召喚をする事が出来る。

        ----------------------------------------------------------------------

「…もしかしてこれの事か?…って、ンン?…」


「…如何やら呼べるのはただの狼だけ!…って訳でも無さそうだぞ?…」


そこにはマサツグの考えを否定するようスキルの説明文が記載してあり、

如何やら呼べるのは[ただの狼]だけとは限らない様子で!…その際そこには

[狼系のモンスター]と曖昧な表現がしてあり!…その説明の仕方だとまるで

人狼も呼べそうな!…そんなスキル内容にも見えてしまい!…マサツグも

それに気が付きンン?と途端に疑問を持つと、モツもその事を指摘したかった

様子で言葉を!…すると次にはマサツグにある提案を口にする!…


「…じゃあちょっと試して見ないか?…」


「ッ!…え?…た、試すって?…」


まるで試したい!とばかりに若干好奇心に満ちた様子で!…マサツグに今からでも

外に出るよう言葉を掛けると、何度目となるか分からない戸惑い様をマサツグは

露わに!…そしてその言葉の意味を分かって居ない様子で質問を口に!…勿論本当に

分かってはいない訳では無いのだが…確認をする的な意味でも言葉が如何にもそんな

感じになってしまうと、モツは勿論!とばかりに返事!…このスキルの内容について

触れようとする!…


「当然このスキルをさ!…適当に戦闘をして!…その時に召喚を試みる!!…

これで上手く行けば御の字!…シルビィの言う事は正しかった!って事で!…」


「ッ!…ま、まぁ…やるのは構わないが?…

今から町の外に出るのか?…幾ら何でも危険じゃ?…」


モツは表の方をチラッと見ると、今考えて居る事を口に!…それはまるで

子供の様に目を輝かせ!…この結果次第では運用も視野に!…何ならシルビィを

立てる様にも更に話すと、マサツグもそんな珍しいモツを見て思わず圧され!…

その場で同意をしてしまう!…だが同時にもう日が暮れて居る為町の外は危険と

化しており!…モツも分かって居るであろう!とばかりに話しをすると、モツは

そのマサツグの言葉に対して徐に首を傾げて見せ!…


「…ッ?…何言ってんだよ?…別に町の外に出なくてもいいだろ?」


「…え?…」


と言うのもモツは別にそんな危険を冒さなくても良い!とマサツグに漏らすと、

さも町の中で事足りるよう更に続け!…となるとそんなモツの言葉でマサツグは

更に戸惑う事となって行き!…キョトンとしては一言言葉を…本当に理解して

いない様子でジッとモツを見詰めて見せると、一方でモツは不敵に笑みを浮かべ

続ける!…そしてマサツグにそのもっといい方法がある事を話し始める!…


「…お互いに都合がいい相手が居るだろ?…

攻撃もしなければ敵意も無い!…

寧ろこの実験に友好的に協力をしてくれるヤツが!…

それこそ!…」


それはまるで鈍感が過ぎる!とばかりに話し出すと、その好条件の相手について

話をし!…と言うのもモツが言うにはその者は攻撃をして来ないらしく…何なら

その者は中立モブなのか?…敵意も感じられない事を更に話し…寧ろこの話に

対して意欲的な姿勢を見せる者が居る事を更に続けると、最後にその者は目の前に

居る事を口に!…モツは更にニヤッと笑う!…するとマサツグもそんな話を聞いて

一体誰?と言った様子で考え出すと、次には漸く理解した様子でハッ!と…


「……ッ…ッ!!…お、おい?…まさか?…」


「…そのまさかだよ!…やるぞ?…」


この時モツの視線は一点に向けられ、ジッとマサツグを見詰め!…となるとそんな

視線を感じた事でマサツグも察し!…すると今度はモツに対して確認を取るよう!…

思わずたじろぐ様なそんな反応を露わにすると、モツはそのマサツグの言葉を

肯定!…次には外に出ようとする!…その際モツが言う都合がいい相手と言うのは

マサツグの事で、マサツグからすればモツで有り!…そして互いに相手に対して

召喚を行使!…その後どうなるか?と共に確かめようと言うのがモツの魂胆である!

と言う事が分かって行くと、マサツグは更に慌てる!…そして一旦待つ様に声を

掛けようとするのだが!…


「ッ!?…お、おいおい!!…幾ら何でも!!…」


「…大丈夫だよ、保険もちゃんと考えて有る!!……シルビィ!!」


「ッ!?…は、はい!…」


慌てるマサツグに対してモツは話しを聞かない様子でとにかく返事!…いつもなら

逆の立場であるのだが…この時だけは嬉々とした様子で無策でない事も話し出すと、

途端にクルッと振り向き!…そしてマサツグの隣に立っているシルビィに声を

掛ける!…すると突如モツに声を掛けられた事でシルビィも思わずピクッ!と

戸惑って見せると、次には慌てて返事をし!…それこそ何故自分が呼ばれたのか?が

分からない様子で!…しかしそれでも平静さを装い!…モツに用件は何か?と…

その態度から改めいつもの様に澄まそうとすると、モツはこう質問を口に!…


「…大体の狼は何とか出来るよな?…」


「ッ!…え、えぇ…か、可能かと思いますが…」


何でもモツが聞きたい事と言うのはその召喚した際の狼についてで、最悪その狼を

指揮!…或いは操る事は出来ないか?と言ったモノで!…と、その事を簡単に短く

質問して行き!…シルビィもそれで分かったのか!…そのモツの質問に対して依然

戸惑いながらも出来るであろう事を返事すると、モツもそれを聞いて安堵!…

余計に乗り気になって行く!…そして改めて宿屋の外に出ようとすると、もう一度

マサツグに声を掛け!…


「よし!…なら話は大丈夫だな?……やるぞ?…

これを確かめない事には色々と他の話も進まない!…

とりあえずお試し感覚でやって見よう!…」


「…な、何かキャラを取られた感覚がするが?…」


どの道この話自体は確認をしなければいけない!と…兵力不足の話をする上で!…

必須事項の様にモツがマサツグへ話をすると、早く!と急かす!…それこそ軽い

ノリを見せて行く!…するとそんなモツの様子にマサツグも何かキャラが逆転して

いる様な事に気が付き出すと、同時に何か盗られた様な気分になり!…

しかしそんな話しをする一方でマサツグも渋々付き合う様に外へと出て行き!…

となるとミサカとハンドレットもそんな二人に興味を持ち!…釣られて宿屋の

外へと向かい!…更にシルビィも慌てて四人の後を追って行くと、その宿屋前で

さも決闘を始める様に!…マサツグとモツが向かい合う!…


__…ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ッ…


その際お互いに距離を取るよう離れ合い、そしてあくまでも本気の決闘を始める

訳では無いのでまた互いに武器を握らず!…何ならそれを見守る様に宿屋前では

ミサカとハンドレットが見届け人の位置に!…シルビィももしもの時に備えて

構えて居り!…咄嗟に武器が手元に無かったのか?…宿屋から柄の長いデッキ

ブラシを持って来ると、それを手にマサツグとモツを注視!…その成り行きを

見守って行く!…一方でマサツグがこの事について一応条例?違反である様な事を

口にすると、最後にモツへ確認を!…


「…本来これって御法度だって事分かってるよな?…

…本当にやるのか?…」


「勿論!…それとも珍しくビビッてるのか?…

らしくない!…いつもの感じは何処に行った?…」


と、マサツグの問い掛けに対してモツは乗り気!…何なら[らしくない!]と

話し始め!…まるで煽るよう嬉々とした様子で更に言葉を続けて行くと、

その一方で徐にパッとメニュー画面を開く!…そこからマサツグを選択して

何やら色々と設定を弄る様なそんな様子を見せて行く!…そして次にはタン!と

楽し気に最後に出てきた画面をタップして見せると、今度はマサツグの目の前に

パッ!とある画面が出て来て!…


__ピピピッ!…ッ!…ヴウン!…

 ---------------------------------------------------------------------


 【警告!】:冒険者 モツ に決闘を挑まれました!

       尚、この冒険者は貴方がフレンド登録されている方で、

       同じクランに所属する仲間でもあります!

       [戦闘不能]及び[ギブアップの選択]以外にエリア外への

       脱出方法は御座いません!


        それでも尚この者との決闘を承諾しますか?



             「はい」/いいえ


 ---------------------------------------------------------------------

そこにはモツから決闘を挑まれた警告文が!…その際細心の注意を払う様に!…

相手がフレンドであるか?…或いは同じクランチームに属する者であるかどうか等が

書かれて有ると、更には決着が付くまで逃げられない!と…そして最後に受けるか

どうかの有無についての選択肢がそこにあった!…そしてマサツグもそれを初めて

見て思わず戸惑った反応を露わにすると、次には冷静に選択肢を[はい]に選んで

言葉を口に!…


「…それはコッチの台詞なんだが?…」


__ピッ!…ヴウン!!…シュウウウゥゥゥン!!!…


それはモツに対してツッコミを入れる言葉で有り!…マサツグがそれを口にしながら

選択肢の[はい]を押して行くと、次にはその警告画面が消え!…今度は見慣れた

バトルフェンスがモツ達の周りに形成される!…そして警告文通りにマサツグ達が

逃げられない状態になって行くと、ミサカとハンドレットもやる事は分かって居る

のだがその様子を若干ながら不安げに見詰め!…と、その一方ではシルビィがとても

心配した表情を見せて居り!…当然その様子に気が気でもない反応を!…

何なら今すぐにでも乱入したい様なそんな様子を見せて居ると、モツがマサツグに

同意を求める!…するとマサツグも返事をする!…


「…よし!…始めるぞ?…」


「…OK!…」


__スッ…バッ!…パアアアアアアアァァァァァァァ!!!!…


別に何の問題も無い筈!…しかし何故か胸騒ぎを感じ!…と、マサツグと

モツが互いに同意した事で動き始め!…その腕輪をしている腕を徐に掲げて

見せると、次にはその二人の腕輪がパァッ!と輝く!…一瞬だが辺りに

眩しい光を放って行く!…その際この決闘と言うのはそのスキル説明欄に

書いてある通常戦闘なのか?と言った疑問も沸いて来るが、その光が治まった

瞬間!…二人の目の前には何やら見覚えのある人物が立って居り!…


__バシュンッ!!!…ッ~~~!!!…ッ……ッ?…ッ!?…


その光景は宛ら本当に召喚魔法を唱えた様で!…それぞれマサツグとモツの

目の前に突如光の柱が立ち昇り始めると、その突然の光に全員が怯む様な形で

一歩も動けない状態に!…一方でその光の中では何者かが立っているのが

影ながらにチラッ!と伺えて見える!…何ならその者も光の中で怯む様子を

露わにすると、徐々に光の柱は収束し始め!…と、次にはその召喚された者の

姿が露わに!…その際モツの目の前には人狼の男性!…そしてやはり聞き覚えの

ある声が聞こえて来る!…


「ッ~~~!!!…な、何だ?…

きゅ、急に辺りが光りに包まれたと思えば…って、えぇ!?…」


その者は上半身裸に見える衣装を身に纏い、そして毛並み?たてがみは遊んでいるのか

三つ編みをしているのが見られ!…と、次には突如自身がここに呼ばれた事に

対して戸惑って見せ!…すると今度はハッ!と…目を見開いてその自身の

目の前にマサツグの怯む姿がある事で驚いて見せると、更にふとある事にも

驚き!…そのまま口を開けて絶句する!…と言うのもその呼ばれた人狼の

目の前にはまるでシロかハクをそのまま大きくした様な!…綺麗な獣人?の

女性が立っているのがその人狼の目に映り!…となるとその人物が居る事に

酷く驚き!…余計にこの状況は何なのか!?と…もうこの一場面だけで

キャパオーバー!と言わんばかりの表情を露わにすると、これまた一方でも

疑問の声が!…更にその場は騒然とする事になるのであった!…

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