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-第七章-ウィンタースノー連邦-霊峰ウルフハウリング・後編~デグレアント帝国・前編-

‐第七章九十四節閑話 大喧嘩と和解?と衝撃の事実!…-

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さてこの話は今より一週間以上前まで時間を遡り、あの霊峰にて闘技大会に

参加した後の話であり!…その際闘技大会・トーナメント第四試合で共に

戦ったリーナとグラトニアは同室にて療養を取っており、大人しくして居ると

思われた矢先!…実際の所はそうは問屋が卸さない様子で目を覚ますなり

共に文句を!…あの戦いの結果に対し互いに不服を申し立てるそんな様子を

見せて居た!…しかも騒がしい事に…


__…何度も言わせるな何度も言わせないでヨ!!!…ビクッ!!…ッ!?…


それこそここが病院の様な施設であると言う事も忘れた様子で!…自分達の居る

病室の外に居ても聞こえる位に激しい怒鳴り合いをして居り!…近くを通って

いた者達もその怒鳴り声を聞いてビクッ!とする…それこそ驚き一体何事?と

言った様子で戸惑う反応を露わにすると、次にはその怒鳴り声の聞こえる病室の

方をチラリ…恐る恐る視線だけを向けて行く!…すると次には治まる事を知らない

様子でまた更にその部屋から声が!…恐らくリーナのモノと思われる怒鳴り声が

聞こえて来て!…


「あれは貴様の勝ちだった!と私が言っているんだ!!!…

何故それを聞き入れようとしない!!!…何度言っても私の負け!!…

…私が未熟であったが為!!…それを貴様はぁ~!!!」


それはまだあのトーナメントでの出来事を引っ張っている様子で、同室に居る

グラトニアに対して吠えまくり!…しかも奇妙な事に未だ自身の負けに拘り続け!…

自身が未熟であったが故に負けた!と…まるでアレが決闘であったかの様に過去を

振り返りながら語って見せると、また沸々と怒りを滾らす!…そしてグラトニアに

噛み付き始める!…と言うのもこの時同じくグラトニアも自身の負け方に拘る姿勢を

見せて行くと、そのリーナの言い分に対して真っ向から反発をし!…


「そっちこそ何で私の言う事を聞かないのヨ!!!…

私は最後のあの奇妙な剣技で戦闘不能になったのヨ!!!…

…いつまでも女々しくウジウジウジウジ!!…

うっとおしいったらありゃしない!!!…

何度でも言ってアゲル!!…あれは騎士様の勝ち!!!」


コッチもコッチで一歩も退く姿勢を一切見せず!…何なら互いにベッドの上に

立って見せ!…今からでももう一度やるか!?と言った身構える様子を見せて

行くと、それでも手を出しはしない!…いや、出したくても出せない!と言った

歯の食い縛り様を露わにする!…と言うのも片や満身創痍で、もう片方は脱臼!…

故に互いに歯がゆい思いを感じて居り!…そしてリーナに対して真正面から

女々しい!と文句を口にすると、リーナは女性である事から女々しいは

当然なのだが!…それでもカチンッ!と来た様子でリーナがグラトニアを睨んで

行く!…そうして互いにいがみ合う事に関しては周りも理解は出来るのだが、

論点が如何にも普通とは違う事でやはり戸惑いを感じ!…


「…なぁ?…アレいつまで続くんだ?…」


「…ここに運ばれて来てからずっとだもんな?……はあぁ~…」


仕舞には周りからも呆れられる事になり!…思わずもう退院してくれ!とばかりに…

看護に当たっている衛生兵同士で堪らない!と言った会話がされると、一方で更に

ヒートアップ!…やはり互いに譲らない様子を見せて行く!…尚、ここに運ばれて

来てからずっと!と言うが、勿論絶え間なく続いている訳ではさすがに無く!…

事のきっかけは更に数時間前!…各々が別々に治療を受け!…その時この部屋に

運ばれて来た所から話が始まる!…と言うのもまず最初にちょっかいを出したのは

グラトニアで、目を覚ますなり辺りを見回し!…


__闘技大会・トーナメント第四試合から数時間後…


「……ッ…ん、んん~…ハァ……ここは?……って、そうか…詰所ね…

…ハァ…それにしても本当に酷い目に遭ったわ!!…

あんの堅物騎士様!!…とっとと勝ちを認めれば良いのに!!…

何をあそこまで意固地になっちゃっているのかしら!?…

…でもいいわ!…今はあの地下牢のジメジメでガッチガチのベッドじゃなくて!…

ちゃんとしたベッドで眠れるんだから!…ッ~~♪…

…普通のベッドなんて何年ぶりかしら?…」


まず最初に目にしたのは見覚えがある様な天井で、そこから辺りを見回すとそこには

自身と同じく毛布に包まり眠りに就く者が一人見られ!…となると起きる前の記憶と

照らし合わせて今居る場所を把握して行き!…そして更にふと思い出した様な!…

途端にムスッとした表情でぼやき始め!…リーナに対して文句の言葉を漏らして

行くと、次にはフッとそんな事も如何でも良くなる!…と言うのも久々の温かい

寝床に歓喜する!…その際今まで自身が寝ていた場所と比べて安眠が出来そうな事を

思わず漏らすと、静かに眠りに就こうとして行くのだが…


__…ゴソゴソッ…んっ……ッ!…


「…そう言えばお隣さんは誰かしら?…

まぁさすがに女の私の隣に男を寝かせる様な…

デリカシーの無い事はしないと思うけど?……ッ!?…」


この時先に運ばれて来たであろう誰かがチラッと動きを!…となると別に様子と

しては大した事では無いのだが、何故かその動きがグラトニアは気になり!…

眠る前に隣が男であるかどうかを確認すると、そこに寝ていたのはちゃんと女性

ではあるのだが!…それがリーナである事を確認する!…その際つい先程まで

しかめっ面で怒鳴っていた面影と言うのは何処にもなく、そこに居たのは可憐な

女性の寝顔で!…


__スゥ~……スゥ~……ッ…ッ~~~…んん~?…ッ!!…ッ~~!!…


しかしやはりそのグラトニアの気配と言うのには気が付いた様子で!…次に瞼を

痙攣させると徐々に目を…そこから眠い目を擦りながらゆっくり!と…まだ痛みを

感じる体を無理に徐々に起こして見せると、その様子にグラトニアも慌てて思わず

後退り!…そしてアワアワとし始める!…しかし幾らアワアワとした所で如何にも

出来ず!…一方そんなグラトニアの事など知らないリーナも徐々に目を覚ますと、

次には辺りを見回し!…


「…タタタタッ!…ッ~~!!!…

…な、なんだ?…ここは?……ッ!…ッ~~~…」


「ッ!…な、何ヨ!…」


「ッ!……ッ!!!…」


痛みで声を漏らしつつも!…当然見覚えのない場所に寝かされていた事で!…

リーナが一人困惑をし出すと、自身は何故今ここに寝ていたのか?で悩み始め!…

と、そこで辺りを見回した際に見覚えのある人物を見つけた事で今度はさも

ハシビロコウの様に!…ジッと誰なのか?を確認するよう無言で見詰め!…

そのリーナからの視線に堪えかねてグラトニアが文句有り気に声を漏らすと、

次にはその声を聞けた事でまたピクッと反応!…そして遂には覚醒するようカッと

目を見開いて行く!…するとそのリーナの第一声と言うのは!…


__ああああぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!!!…ビクッ!!…ッ!?…


「き、貴様何故ここに!?…それにここは!?…

…ッ!!!…ッ~~~!!!…」


その際飛び起きる様にしてリーナは覚醒!…そしてオロオロとしているグラトニアを

見詰め!…思いっきり指を差しながら突如大声を上げて見せると、当然病室内に!…

と言うよりフロア内に大声が響いた事で衛生兵達もハッ!と驚く!…そして突然の

大声の対してグラトニアもバッ!と耳を抑えて五月蠅い!とばかりに身を守って

行くと、衛生兵達も声の聞こえた部屋へ向かうか援軍を呼ぶか?で戸惑い始め!…

一方でリーナは戸惑いの様子を露わにし続け!…それこそ同室は可笑しい!と

ばかりに!…何なら闇討ちに来たのか!?と誤解もし出し!…しかし次には痛みを

思い出した様子で苦痛の表情を浮かべて見せると、グッと体を丸めて痛みに堪える

様子を露わに!…だがそんなリーナの言い様にグラトニアもピクッ!と反応を

し出す!……


「ッ!?…そ、それはこっちの台詞ヨォ!!!…

な、何で騎士様がここに!?…て言うかそんなはしたなく大声まで上げて!!!…

見っとも無いったらありゃしない!!…」


それは勿論!とばかりにリーナに対して文句を漏らすと、さも自分の方が驚いた事を

口にして行き!…何なら突如大声を上げ出した事に対してはしたない!と…まるで

女性として慎みも足りない様な!…いつもの馬鹿にする様な感じでリーナに文句を

放って行くと、またリーナもその言葉を受けてピクッ!と反応…文句を言い返そうと

して見せる!…だが突如大声を挙げた事実に関しては自分に非がある事を理解して

おり、次にはリーナがグヌヌ!と…


「ッ!?…な、何ぃ~!!!…み、みっとも!!…

…と、言われても当然か…クッ!!…」


「ッ!?…あら?…意外と冷静なのネ?…」


途中まで文句を言うのだが!…一旦落ち着いた様子でスッと…言われた言葉を

再度確認する様なそんな反応を露わにすると、今度は自身に非があった事を

認める!…そして苦虫を噛んだ様な表情を見せる!…それこそまるでギャグ

マンガの様な一連の反応をグラトニアに見せると、グラトニアも文句が帰って

来ると思っていた矢先!…返って来なかった事に意外!と…何なら若干感心した

様子をリーナを見詰め!…だがその言葉で馬鹿にしていたと言う事がリーナに

伝わり!…リーナもまたムッと怒りの表情を露わにすると、次には話しを

ぶり返し!…


「ッ!!…ッ~~~!!!…

…だがこれだけはハッキリと言わせて貰うぞ!?…

あの勝負はだ!!…」


「ッ!?…ハァ!?…」


そのぶり返した内容と言うのは言わずもがな、何方が負けたか?と言う話であり!…

となるとやはりまだあの内容を認めていない様子を露わに!…毅然とした態度で

グラトニアに向き直り!…再度自身の負けである事を主張すると、さもまるで同じ

相手に二度負けた様な!…そんな口振りを叩いて見せる!…するとそのリーナの

口振りに対してグラトニアの火が点いた様子で反応をすると、これまた不服顔を

浮かべ!…だがリーナの主張はまだ続き!…自身が納得出来ない理由を話して

行くと、更に火に油を注ぐ!…


「あの戦いだけは納得出来ない!!…最後の一撃をあの様な未完全なままで!!…

これで勝ちを誇る等!!…到底出来るモノではない!!!…」


「ッ!?…ちょ!?…じゃあ何!?…

私はその生半可な力のせいで肩を外されてここに連れて来られたって訳!?…」


この時リーナとしては他意はなく!…ただ単に自身の騎士道精神的な決まりに

則り、アレは勝った!ととてもでは無いが言えない事を口にするのだが!…

しかしそれを言われて納得出来ないのがグラトニアであって!…逆に返せば

中途半端!…自分はそんな中途半端な奴に負けたのか!?と…そんな弱い奴に

自分は負けたのか!?と言ったプライドを持ち出すと、無理やりにでもリーナを

強者に!…当然納得が行かない言葉を口にする!…その際リーナの事を生半可!と

馬鹿にするよう戸惑って見せると、リーナも生半可!と言われた事でショックを

受け!…


「ッ!?…な、生半可!?…」


「それこそ冗談じゃないワ!!!…

それじゃあ私が弱かったみたいじゃナイ!!!…

私はちゃんとあの技を受けて戦闘不能!!!…

…この結末に変わりはないワ!!!」


リーナはグラトニアの言葉を復唱して見せ!…一方でグラトニアは文句を続け!…

ちゃんと自身が強かった事を!…あの最後の技を含めてリーナが強者であったかの

様に話して行くと、自身の負けを同じく主張!…自身の負け方に拘って見せる!…

そしてこれが覆る様な事もない様に言うのだが!…しかしこれまた当然その話を

聞いてリーナが納得出来る筈も無い訳で!…次には機敏に反応を示し!…体の痛みも

興奮の余り忘れた様なそんな飛び起きよう見せて行くと、そのままグラトニアに

突っ掛かり!…


「ふざけるな!!!…あの様な勝ち方など認めるものか!!!…

あれは私の負けなんだ!!!…貴様にとやかく言われる筋合いはない!!!」


「ッ?!…それはコッチの台詞なのヨ!!!…

やっとゆっくり出来ると思ったのに!!…

まさかまたこの頑固騎士様に遭遇するなんて!?…それも同室!?…」


もはや子供の喧嘩の様にとにかく認めない意思を露わに!…何が何でも自身の

勝ちを一切認めず!…逆にグラトニアに対して発言権が無い様なそんな事を

口にすると、一方でグラトニアもそんなリーナの言い様にもう一つカチン!と…

勿論噛み付きに掛かって行く!…そしてゆっくり出来ない事に対しても不服!

とばかりに言葉を零すと、リーナの事を頑固者!と言って大いに呆れ!…

何ならこうして同室である事にも文句を漏らし!…この部屋割りをしたであろう

衛生兵の神経を疑って見せると、その話を聞いてリーナもまたもや反応!…

更に喧嘩を続けて行く!…


「ッ!?…頑固者はどっちだ!!!…

まるで私が一方的に悪い様な言い方をして!!…

お前が素直に勝ち認めれば!!…」


「ッ!?…まだ言うのそれ!?…さっきまでも言ったけど!!…

あれは騎士様の!!!…」


それこそ頑固者!と言う言葉に反応をすると、逆に言い返す素振りを当然露わに!…

何ならまるで自分は被害者である様な事を更に吐き捨て!…やはりグラトニアに

対していい加減勝ちを認めるよう!…天邪鬼!とばかりに文句の言葉にすると、

これまたその言葉にグラトニアもピクッと反応を!…しつこい!とばかりに言葉を

漏らす!…そしてリーナに対してこちらも絶対に認めない姿勢を露わにすると、

何が何でもリーナに徹底抗戦する構えを見せ!…と、そのままズルズルと時間が

過ぎて行く事になって行き!…話はずっと平行線!…いつまでも決着が付かないまま

ずぅ~っと口論を続けて居ると、徐々に疲労が溜まり!…遂には二人揃って息を

切らす!…


「はぁ!…はぁ!…

も…もう!…何で!…そんなに!…強情なのよ!?…

意味が!…分から!…ない!!…」


「はぁ!…はぁ!…

そ、それは!…こっちの!…セリフだ!…」


それはもうあのトーナメント・第四試合の延長戦を今ここでやっているかの様な!…

白熱した口論を続けた結果、やはり決着は何方付かずとなり!…それも互いに

似た者同士であるせいなのか?…互いにその頑固振りに呆れて見せ!…もう言葉を

口にするのも互いに億劫な様子を露わにすると、徐々に二人の間である結論が

出て来る!…そして悪態を吐く様な言葉も更に出て来る!…と言うのも億劫では

あるが言わねばまだ続きそうな様子は感じられ!…牽制する様にグラトニアが

先に動きを見せ!…


「と…とにかく!この話は!…もう!…おしまい!…

た、互いに!…色々と!…面倒だから!…ね?……はぁ…」


「そ、そうだな?…はぁ…では互いに…これで…終わり…」


この時リーナに手を突き出し!…もう草臥れた!とばかりに息を切らしながら

休戦協定の言葉を口にすると、リーナも同じく草臥れた様子を露わに!…

そのグラトニアの休戦協定に応じて見せる!…さてそうしてこの長き戦い?にも

漸く終止符が打たれる事になって行くと、次には互いにこの話を持ち出さない!と

誓い合っては崩れる様に自分達のベッドへ座り込み!…となるとそこから更に

二人揃ってそれぞれベッドへ横になり…


__…ズルッ…トシャッ…ッ…ッ~~…ポスッ………


今までの疲労感がここ来て…眠気となって二人に襲い掛かって来る事になって

行くと、遂には沈黙!…漸く静かな時間が訪れ始める!…それこそボロボロに

なるまで死闘を続け!…更にここに来るまでの間に二度の大喧嘩を繰り広げ!…

それ故に互いが本当に体力の限界だったのか電池が切れた玩具の様に!…

ただ何もこれ以上話す事も勿論無く…先程までの激しさは何処に行ったのか?と…

衛生兵達も不安を感じる程に急な静けさを覚えて行くと、辺り一帯が平穏に…

そしてここに来てグラトニアがリーナにふと何を思ったのか話し掛け始める!…


「……ねぇ…まだ起きてる?…」


「……何だ?…」


互いに背中を向け合う中、グラトニアが如何にも気になった事が有る様子で

起きているか?を確認し出し!…するとその問い掛けに対してリーナも間を

開けてから返事をして行き!…その際互いに相手の距離感に戸惑いを感じ!…

ある意味で青春漫画の様なそんな雰囲気を見せて居ると、次にはグラトニアが

続けて言葉を!…その自身が感じている疑問について質問をし出す!…

と言うのも改めて何でここに来たのか?が気に立った様子で、目的は何?と…


「騎士様って?…如何してこんな所に来たの?…

ここって寒い以外何もない場所なのに…これと言っておいしい物とか…

綺麗な場所とか…本当に何も無いのに…何が目的でここに来たの?…」


「…私はただ仲間と一緒に行動して居たらいつの間にかここに来ていたんだ…

闘技場でマサツグと言う奴が居ただろう?…あれが私の仲間で…」


その際グラトニアとしても本当は別に興味は無いが、今まで固いベッドで寝ていた

せいか?…久々のフカフカのベッドに妙に慣れず一人悶々としてしまい!…

と、ここで考えたのが眠気が来るまで話し相手!と…それこそその相手にリーナを

選び!…ここに来た理由について尋ねて行くと、リーナもそれを知ってか知らずか…

律義にグラトニアに返事をする!…この時ここに来た理由についてもマサツグ達に

付いて来ただけである事を話して行くと、グラトニアはリーナにツッコミを

入れるよう否定をしては再度質問をし直し!…


「…はぁ…違う違う!…

…ここに来たじゃなくて、を聞いてるのよ!…」


「ッ!…え?…」


と言うのもグラトニアが言うには捉え方が違うらしく!…ここに来た理由ではなく

ここに訪れた理由を尋ね!…となるとそんな質問をされた事でリーナは戸惑い!…

一体如何言う意味なのか?を尋ねる様に…寝返りを打ってグラトニアの方へと

向き直ると、そこには同じくリーナの方へ向き直るグラトニアの姿が…普通の

女性がそこに居た!…それこそつい先程まであの闘技場で見せて居た狂気の笑みは

何処にもなく、更にはこれまた先程まで言い合いをしていた時のムスッと顔も

無く!…ただジッと若干ながら興味を持った様子の顔が有り!…リーナもそんな

素の反応に思わず戸惑う様なそんな反応を露わにすると、更にグラトニアは言葉を…

もう一つある事を口にする!…


「……騎士様…貴方…春野原スプリングフィールドの人間よね?」


「ッ!?…な、何故!?…」


それはリーナの出身地を言い当てると言うモノで、その際さすがに王女で

ある事までは分かって居ない様子でポロッと漏らし!…となるとリーナも

突如出身地を言い当てられた事で思わず戸惑い!…何故囚人が外の事を!?と…

何なら外と断絶している人狼族が何故人の顔を識別出来るのか?と言った

疑問を持つと、驚きの表情でジッとグラトニアを見詰め続ける!…すると

グラトニアもそんな視線を向けられた事で返事をする!…


「…大体分かるわよぉ……私も投獄される前は一応冒険者だったし?…」


「ッ!!…冒険者!?…だとしたら何故!?…」


宛らドヤ顔をする様にニヤッと笑うと、見たら分かる!とばかりにリーナへ話し!…

何なら更に自身の過去について少し触れ!…そこで冒険者であった事を…何か訳が

あってここに投獄される事になった事をそれと無く臭わせると、その話を聞いて

リーナは更に戸惑う!…するとグラトニアに興味を持った様子で質問をする!…

するとグラトニアもそんなリーナの質問に対してピクッと耳を反応させると、次には

何かを思い出す様にしてスッと目を閉じ!…


__……ッ…


{ッ!?…止めて!!…ニア!!!…如何して!?…何でこんな事に!?…

(…おねえちゃん……ごめんね!……でも!…もう止められないの!!)

ッ!?…そ、そんな!!…ニア!!…や、やめ!!…ああぁぁ!!!…

……ッ……ッ!!!…ニア、ニア!?…ちょっと、ニア!?……

ッ~~~~!!!…ニアアアアアァァァァァァァァ!!!!…}


「……まぁ…色々とあったのよ?…色々と…」


何やら今でもしっかり鮮明に覚えている様子!…グラトニアの頭の中では自身が

投獄されるきっかけとなった記憶が脳内再生!…本人にとって当然とても悲痛な

思い出で有り!…最後はグラトニアがその殺めてしまった者を抱えて叫ぶ場面で

終わって行くと、それを思い出したグラトニアの表情は如何にも気分が悪そうな…

そしてリーナの質問に対してはぐらかす言葉を口にする!…それはもう話したく

ない!と言った様子を露わにすると、リーナもそんなグラトニアの様子に理解が

出来ず戸惑い続け!…


「……ッ?」


「……ッ!!…じゃなくて!!…貴方の事よ!!…

で?…何でここに居るの?…明らかに観光ってレベルでも無さそうだし…

仲間と一緒に冒険をしていたにしてもまずこんな所には来る筈がない!!…

どうしてここに?…」


ジッとグラトニアを見詰めては硬直するよう!…他に何かないのか?とばかりに

視線で訴え!…グラトニアもそんなリーナの視線を感じ取って途端にハッと

我に返る様なそんな反応を露わにすると、次にはまるで文句を言う様に言葉を

口に!…話しを無理やり元に戻す!…そして改めてリーナが春野原出身で

ある事に触れて行くと、再度訳を尋ね!…と、その質問を受けて今度はリーナが

ハッとし出し!…その際グラトニアみたいに隠し事をしている訳では無く!…

自身の中で別に話してもいいか!と言った結論に至って行くと、リーナは

グラトニアに改めて向き直る!…そして自身の正体を明かして行く!…


「ッ!……すぅ~…ふぅ……私の名前は[リーナ]!…

…[リーナ・ハイデルグ・スプリングフィールド]…」


「ッ!…スプリングフィールドって……ッ!?…

い、いやいや!!…そんなまさかぁ~!!…

じゃあ騎士様があの賢王で有名なスティング王の一人娘って事ぉ!?…

…あり得ないあり得ない!!…嘘を吐くにしてももう少しマシな!…」


それこそ自身の事を話して貰った礼に!とばかりに自己紹介を!…その際軽く

呼吸を整え!…真っ直ぐグラトニアの目を見詰めながら自身の名前を明かして

行くと、やはりグラトニアもその名前に聞き覚えがある様子!…途端にピクッと

反応をする!…そして若干間を空けながらも次にはその名前が意味するモノが

何なのか?を理解すると、今度は驚きを露わにして見せ!…が、しかし続け様に

そこからあり得ない!と言葉を口に…さすがに嘘を吐くにしても無理がある!と…

そんな笑い飛ばす様な口振りをリーナに零して行くと、リーナもそんな反応を

予期していたのか?…怒る事無くフッと笑う!…


「ッ!…プッ!…フフフフフ!……そうだな!…信じれる筈も無いな!…

何せ今まで隠して来た事であったからな?…

…ではハイドリヒと言う名に聞き覚えは?…」


この時宛らもうグラトニアの事を理解した様子で笑って許すと、自分でも言われたら

信じられない!とばかりに更に漏らし!…だが嘘ではない事もまた事実であって!…

諦めずに信じて貰うよう言葉を続け!…更にグラトニアへ尋ねるようもう一つの

自身の名前を口にすると、やはり知って居るか?を尋ねる…するとグラトニアも更に

ピクッと反応をする!…その際心成しかその話が出た瞬間に機嫌が変わった様な

声色をすると、リーナに返事を口に!…


「ッ!!…ハイドリヒ!?…って言えば確か…

あのイケメン騎士様の事よね?…今度は何ぃ?…

それと如何言う関係が…」


まるでハイドリヒに恋している様な若干の上擦り声を!…だが次には平静さを

取り戻し!…思い出す様なそんな感じで返事をすると、人狼達の目から見ても

イイ男なのか?…イケメンである事を口にする!…そしてその事を問われた事に

対してまた不敵な態度で更に返事をして行くと、その質問の関係性について

質問をし!…するとリーナはその質問に関してフフフ!と笑い…次には爆弾を

投下!…グラトニアにトンデモナイカミングアウトをして見せる!…


「あれは私だ。」


__ッ!…ッ……


と言うのもリーナは自身がハイドリヒである事をグラトニアに暴露、すると

その瞬間時が止まったかの様に空気が固まり!…となるとグラトニアも

ジッとリーナを見詰めたままへ?っと言った表情を露わに!…まるで理解が

出来ない!と…とにかく反応に困る様なそんな状態を見せて居ると、次には

魔法が解ける様に!…ハッとグラトニアが我に返る!…その間時間にして

約数十秒!…そして我に返るなり当然またあり得ない!と言葉を口に!…


「……ッ!?…ちょ!?…はぁ!?…

い、いやいやいやいやいやいやいやいや!!…

い、幾ら信じて貰う為ってアンタ!!…

これでも私一度ハイドリヒ様と握手を!…」


当然動揺を隠せない様子で目に見えて狼狽え様を露わに!…そして無理がある!と

そのまま言い出し!…何なら自身もそのハイドリヒと面識が有る様な感じで、

リーナを更に否定をしようとするのだが!…リーナはそんなグラトニアの困惑を

更に悪化させるよう!…男装時の声を目の前で聞かせる!…それこそ一度咳払いを

して喉の調子を改めると、そのグラトニアが愛して止まない男?の声を生で披露!…


「ンンッ!!…え?…そうなのか?…いやぁ申し訳ない!…

でも…現にこうして今声を変えて話し掛けて居るが…どうかな?…」


__ピシャアアアァァァァンン!!!…


その際リーナはグラトニアが話したその内容を覚えていない様子で有り、素直に

覚えていない事を謝罪!…しかし現にこうして本物である事を更にアピールして

見せ!…一方でその声に聞き覚えが有るのかグラトニアは更にショックを受けた

様子で硬直!…宛ら雷に打たれた様な眼のかっ開き様を露わにすると、そのまま

沈黙!…とにかく困惑の表情を浮かべ続ける!…そして次にグラトニアが動きを

見せたのは数分後の事で!…この時小刻みにプルプル!と…まるで受け入れ難い

事実を直視した様なそんな反応を露わにすると、徐に涙を流すのであった!…

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