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019 被害者視点(Part3)…?
しおりを挟むオルセイン・シュレヴィッツ、28歳。
人生で初めて告白をされた……。
しかもあの白薔薇姫と言われる、女神こと、エレーヌ・ジュグラリス嬢から………。
俺の妄想から出た話ではない……はずだ。
告白されて、正直かなり嬉しい。もうこんな奇跡は二度とない、と断言出来るくらいにあり得ない事が起きている自覚もある。
ただ、あり得なさ過ぎて信じられない気持ちが大きいのも、事実だ。
女神(とてもじゃないが、呼び捨ては恐れ多い…!)からの告白なんて飛びついてしまいたかったが、結局捨てられた時を考えてしまうと身が竦んでしまっている、ただの臆病なだけの小さい男なんだな……。
こんな情け無い男で女神も、さぞ幻滅しただろうと思っていたが、なんと女神はこれから頑張ると。手紙を書いたり、休みの日は出掛けたいと……。
正直休みなんて今まで暇なだけだからあまりとっていなかった。団長に体が資本なんだから、最低月に5日は休め!っと厳命されているから、まぁ月に4日…か3日は休むようにしているが……。
それでも鍛錬をするぐらいなので、女神に逢えるなら喜んで予定を空けよう。休みももう少し取るようにしよう。
休日の事を伝えると、女神は殊の外嬉しかったようで、傍目からも分かるくらい上機嫌に色とりどりのお弁当を広げてくれている。
今日のも凄いな……。前回頂いたお弁当もとても美味しかった。特に唐揚げと呼ばれる、鳥を揚げたやつ……。あまり手作りのお弁当を食べた事がないので感動した。
「オルセイン様、どちらから食べたいですか?」
「えっ?」
「今日は私がやります!オルセイン様は手出しちゃ駄目ですよ!」
くっ……!凄く……可愛い………!!
「わ、わかった…。ではその卵のオムレツみたいなのを食べたい。」
「はい!では……はい、あーん…」
上目遣いで、少し頬を赤らめて俺の方へオムレツを差し出す。
少し照れくさいが、一口で頂く。女神から頂くと、いつもより美味しい気がする…。
「うん、美味い。」
「良かったですわ!次はどうしますか?」
女神が、とても、可愛い。この前は一口もらっただけで真っ赤になっていたが、今日は料理の説明をしながら色々食べさせてくれている。
少し小さい子にするみたいで恥ずかしかったが、もう自分で食べるよりも美味しいのを知ってしまった。
時々自分で食べながら、楽しいお弁当の時間はあっという間だ。
……昨日は緊張してあまり寝られなかったから、少し眠たくなってきたな………。欠伸を噛み締めていると、
「オルセイン様、眠かったら是非、こちらにどうぞ!」
そう言いながら、膝を叩きながら促してくる。
女神の膝の上……?いやいや!それは駄目だろう!!
「いや、大丈夫だ。眠くは、ない。」
少しどもってしまい恥ずかしいな…。
眠気も吹っ飛んだが……。
女神は俺をどうしたいのだろう……。今も断ったらとてもしょんぼりと言った効果音がつきそうな顔をしていて、とても可愛らしい。
本当に表情がコロコロ変わり可愛いな…。
白薔薇姫と言われている彼女は、遠目からしか知らなかったが、良く団員からの噂は聞いていた……。
彼女はとても思慮深く、平民にも優しい天使の様な方だと言われていた。俺の中では女神だが…。
ただ、いつも落ち着いていて、常に上品な笑顔を崩さないから、あの顔が羞恥に歪む時はどうなるのか…とも噂されていたな……。
しかし、今目の前にいる女神は嬉しそうに笑ったり、少し恥ずかしそうにして頬を赤らめていたり、しょんぼりとした表情をしたり……
「今の方が良いな………」
「えっ?」
しまった!声に出てしまっていたか………。
……女神は不思議そうな顔をして、俺の目を見ている。俺の目をそらさないで見てくれることが………女神は多分分かっていない。
「いや………。エレーヌは、いつも落ち着いていて、あまり表情を崩さないと聞いていたのだが……
今の表情が豊かな方が、その、可愛らしい……と思うなと……。
まぁ、こんなこと俺に言われても嬉しくないかもしれないが」
結局、恥ずかしくなって俺の方が目を逸らしてしまった……。美しい蒼い瞳を見ると、嘘や偽りなど、誤魔化しが出来なくなってしまう……。
心を落ち着かせてから、先程から黙っている女神の方へ視線を戻すと、
女神の大きな瞳から、大粒の涙が溢れていた。
「えっ?!」
「もっ、申し訳、ありません…。」
どうしたのだろう……俺は何か間違ったことを言ってしまったのだろうか……固まって女神のことをただ見つめることしか出来なかった。
「オルセイン様、申し訳ありません……。私、とても嬉しいんですの……」
ポロポロと涙を零しながら、女神はとても美しい笑顔をしてくださった。
俺は吸い寄せられるように、女神の目元に口を付けて……
ーーーーーーーチュッ
「えっ?オルセイン様…??」
良かった、女神の涙をが止まった。大きな蒼い瞳はやはり綺麗だ………。
近くに瞳が………って近いな!!
あれ?俺は今、何を、した………?
ーーーーーーーーーヒュッ!!
肝が冷えた。そしてこれでもかと、冷や汗が止まらない………
俺は何て無礼なセクハラを………
女神はさぞ恐怖で青ざめて…………いなかった。
それどころか、少し頬を赤らめてこちらをじっと見ている…?えっ?
ちょっと待ってくれ、その表情はやばい。
期待したような顔をしないでくれ。
そして顔がさらに近い………!!
「オルセイン様…」
女神、いや、エレーヌはさらに顔を近づけて俺のベストを掴む。
そして、ゆっくりと瞳が閉じて………
俺の頭中はとっくに真っ白になっている。
俺は、引き寄せられるように、エレーヌの唇へーーーーーーー
ーーーーーー「そこまでだ!!!」
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