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021 不審者…?
しおりを挟むーーーーー「そこまでだ!!!」
誰じゃい!!邪魔しよったのわ!!!
今、すごくすごくいい所だった!!
見えなかったけど、いい所だったはずなのに!!
そのものすごーーーーーく良い所で野太い男の声が聞こえたような……?
オルセイン様がその時、バッと離れてしまったのでしぶしぶそちらに向いてみます。すごーく面倒ですが。興味はありませんが。
後ろを振り向くと、少し身なりの良い男の方が肩で息をしながらこちらを……っと言うかオルセイン様を睨んでいます…?
オルセイン様の知り合いの方かしら?
チラッとオルセイン様を見ると、何故か困った顔をしているわ…
知り合いではないのかしら?
「ご令嬢!!もう大丈夫ですよ!!
今街の警邏隊を呼びました!すぐにその不届き者を捕まえてくれますぞ!!!」
この人…大きな声でしか喋れないのかしら?
耳が痛いわ。しかも、何故さぁ!って感じで手を私に伸ばしているのかしら?腕を掴もうとしないでくださいまし。全力でオルセイン様の方へ逃げますわ!!
ところで、少しスルーしちゃいましたが…
今、あの名前の分からない方はなんと仰っていたかしら?
私の愛するオルセイン様を"不届き者"と仰ったのかしら………?
「貴方、今どなたに向かって何を仰いましたか?
名前の分からない声の大きい方、貴方ですわ」
声の大きい見知らぬ方は一瞬びっくりしたみたいですが、気にしませんわ。
「私、貴方の声が大きすぎて少し聞き間違いをしたのかしら?
申し訳ありませんが、私の愛するオルセイン様に向かって、何を仰ったか、もう一度よろしいですか?」
にっこりと笑顔で確認しましょう。人に物事を尋ねる時は笑顔は大事ですからね。うふふ。
あら?聞こえていないのかしら?目の前の方はお返事をしてくれないわ。
もしかして耳が遠いから声が大きいのかしら?
面倒な方ですのね。
しばらく返事を待っていると、警邏隊の方々も来たようですわ。……わざわざ4人も。ご苦労様ですわ。
「失礼します。こちらで不審な男性がいると聞きましたが、大丈夫でしょうか!」
「ありがとうございます。それでは目の前のあの方をお連れください。名前も名乗らず、私の腕を摑みかかろうとしてとても怖かったですわ。」
「「ええっ?!」」
警邏隊と目の前の不審者がびっくりしたようにこちらを見てきます。気持ち悪いのでやめてほしいですね。
私はとても怒ってますが、怖がる振りをして……少しオルセイン様にくっついても良いですかね、そうしましょう。
そっと近くのオルセイン様の腕を組み、オルセイン様にくっつきます♪
勿論、私の胸をオルセイン様の腕にくっつけるのも忘れませんわ♪うふふ♪
オルセイン様はずっと固まっていましたが、
腕を組んだら体をビクッとさせ、
「エッ、エレーヌ?」
「オルセイン様、私怖いですわ……」
ちょっと伏し目がちに言うと、オルセイン様はハッとして、私の肩を抱いてくださいました。
オルセイン様の匂いが…とても素敵……
腕の筋肉もやはり鍛えていらっしゃるのね……良いわ………
「あの、失礼ですが……そちらの方に無理矢理脅されていませんか……?」
「まぁ!なんて事を仰るのかしら?!
この方に向かって失礼な事を仰らないでください!
私は、自分の、意志で、ここにいますの!!」
聞きづてならない事を言われたので、きっぱりと言いましたわ!
まるでオルセイン様が悪者のように言うなんて…!
「そんな……馬鹿な……
貴女のような美しい方が、そんな不細工に………嘘だ………!!」
不審者が信じられないように叫びますが、こちらの方が信じられないわ………
私の中でプチンっと何が切れた音がした……
ゆっくりと立ち上がって、少し目線が上の不審者に向き合います。
「あなた、今、何を仰いました?
オルセイン様に向かって、まさか、不細工と仰いましたか?
ふざけないでください!!
オルセイン様の何処が不細工ですか!!
逞しい鍛えている体も!黒く艶やかな髪も!キリッとした眉毛も!綺麗な紅い瞳も!!
全部がカッコいいんです!!!美しいんです!!!
あなたが不細工なんて言っていい方ではありませんわ!!!」
ハッ!!
思わず大きな声を出してしまいました…!!
オルセイン様にはしたない女だと思われたかしら……どうしましょう……。
チラッとオルセイン様の方へ振り返ると、
真っ赤な顔をしたオルセイン様がこちらを見ています……
あら?嫌悪な顔ではなくてホッとしましたわ。
でも無言でそんなに見られると……ちょっと恥ずかしいですわ………
「オルセイン様、大きな声を出して申し訳ありませんわ。
………はしたないですよね。私のこと、嫌いになりましたか……?」
あっ、自分で言って悲しくなってきました。
泣いちゃ駄目よ……頑張って私の眼球!!
ーーーーーガバッ!
眼球と戦っていて、油断した私は気づいたらオルセイン様の腕の中みたいです。おや?
あれ?えっ?あっ!めっちゃいい匂い……!ご褒美ですかね!ありがとうございます!!
思わずオルセイン様の背中にしがみついて、オルセイン様の胸筋を堪能させて頂きます。
「エレーヌ、ありがとう…!!」
「いえ、こちらこそ…?」
良く分かりませんが…何かのお礼のハグでしょうか。
しばらく2人きりの世界を満喫していると
「あの……お取り込みの所申し訳ありません…。
……とりあえず、私達はこの男性を連れて下がります……。すみませんでした……。」
警邏隊の方々と不審者の方はまだいたんですね。
深々と頭を下げて、不審者の肩を掴んで帰って行きます……不審者の方はとてもふらついてますが…大丈夫でしょうか?
まぁ……関係ないのでいっか!
「先程の方は一体なんだったのでしょうか?
…あっ!大変ですわ!!
先程の不審者の方、オルセイン様への暴言について謝罪をしていませんわ!!」
オルセイン様の胸筋と背筋を堪能している場合ではありませんでしたわ!!
謝罪したのは警邏隊の方だけで、不審者の方は謝罪していません!!
「ははっ!
いや、それは必要ないから大丈夫だ。
そんなことよりももっと嬉しいことがあったから…
さっきの不審者はもういい。」
「あんなに酷い事を言われたのに……
オルセイン様は優しすぎますわ!」
「俺が怒るよりも、もっと怒ってくれた人がいるから……怒りよりも嬉しいんだ。」
オルセイン様は私の頭を撫でながら、優しい笑顔で私のことを見ています。
そんな笑顔で頭なでなでは反則です…!!
大きな木の下で、私達はしばらく抱き合いながら幸せな時間をゆっくりと過ごしましたーーーーー
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