S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
358 / 369
第27章    All for you

14

しおりを挟む
 夢を……
 とても幸せな夢を見ていた……


 夢の中で俺は、スターさながらに、全身が焼け付くくらいに熱くて、眩しいスポットライトを無数に浴びて踊っていた。

 凄く輝いていた。

 そしてそんな俺を、ステージの袖から見守っていたのは……


 あれはそうだ……、翔真だ。


 翔真が見てくれている、それだけで幸せだった。

 それだけで俺は輝いていられた。

 ずっと……、ずっとそうしていたかった。


 でももう翔真はいない。


 そのことが悲しくて、寂しくて……





 「智樹、起きて?」

 軽く肩を揺さぶられ、眠りから覚めた俺は、濡れた頬を手の甲で乱暴に拭った。

 微かにぼやけた視界を車窓に向けると、そこには見たこともない、でも確かにそれと分かる建物がそびえ立っていて……

 「ここ……は?」

 何故こんな場所に連れて来られたのか分からない俺は、戸惑いの視線で隣の和人を見た。

 「降りよっか」

 和人は俺の問いに答えることなくシートベルトを外すと、先に車を降りて俺の手を引いた。

 そして佐藤も、「会わせたい人がいると言ったろ?」と、中々車から降りようとしない俺を、特別急かすわけでもなく覗き込んだ。

 佐藤の言う会わせたい人ってのが誰のことだかは知らない。


 でもここまで来て帰ることも出来ず……


 「分かった」

 俺は諦め半分で車を降りて、慣れた足取りで先を歩く佐藤の後を、和人と並んで着いて行った。
 勿論、俺達の手は繋がれたままだ。

 「こっちだ」

 入口で受け付けを済ませ、建物の奥へと進むと、ある種独特な匂いが鼻をついた。

 三人でエレベーターに乗り込むと、それは更に強くなり、わけもなく動悸が激しさを増す。


 一体こんな所に誰が……


 俺の不安をよそに、エレベーターは最上階で止まり、それまで閉ざされていた小さな世界から、突然開けた世界へと続く扉を開いた。

 「着いて来い」
 「こっちだよ」

 俺は二人に促されるまま、重苦しい気持ちと、鉛のような足を引き摺り、全面を硝子に覆われた通路の奥へと足を進めた。

 そうして進んで行くうち、いくつかある中の、一つのドアの前で佐藤の足がピタリと止まった。

 「ここだ。開けてみろ」

 振り返った佐藤が、戸惑う俺の背中を押した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...