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九章
9-13
しおりを挟む「……そっか」
すべてに合点がいった。なにが、とは上手く説明できないが、とにかく私の中ですべての歯車が噛み合ったのだ。「お姉ちゃん?」話を聞いていた達也が、ベッドから起き上がって不思議そうに私を見ていた。
全ては私の人生で、全てが私の手で決まるのだ。思考停止してなすがままになっている現状では、生きているとは言えないのだ。
なんで戦わないの?
全くもってその通り。なぜ戦わないのだ。自分がそんなに可愛いのか。自分の身の安全のために、家族の腐りきった部分をいつまでも隠していくのか。これから先、就職したらどうなる、一人暮らしを始めたら?父の手が彼の望むときにすぐ届かない場所に、私が離れてしまったら?次には誰が餌食になるのだ?それとも、私は一生父のコントロール下に置かれるのだろうか。
なんで戦わないの?
「達也、朝ごはん食べようか」
「うん!」
私は決心した。
間違っているかどうかは、この際どうでもいい。
とにかく私は、全てをぶっ壊そうと思った。
戦って、そして、全てを終わらせるのだ。
達也はベッドから起き上がると、軽やかな動作で立ち上がり、部屋を出ていった。「お姉ちゃんも早く来て!」と、嬉しそうな声を残して。
ゆっくりと起き上がりながら、頬の上に乗った氷の袋を手にした。とはいっても、中の氷はすでに半分以上は溶けており、もはや水になりかけている。舌で口内を確認する。確かに、左の八重歯付近の歯が一本無くなっている。
右の手のひらを広げて、己の顔の前に持ってくる。“ねじ”を触ったときの、あの強く痺れるような感触が脳裏に蘇る。再び歯が折れた場所を舌で触る。そして考えて、確信を得た。
そして、私はニヤリと笑った。そういうことなら、私も好きなだけ、暴れてやろうじゃないか。
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