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第4章 あかねの応援
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静かな部屋。窓を少し開けると、夜風がそっと吹き込んできた。真一の机の上にはペンと白い便箋、そして、あの折り鶴が一羽──変わらず静かに置かれていた。
高校二年の冬。文化祭のあと、あかねの言葉に背中を押されて書いた短編は、遥との別れから始まり、再会への祈りで終わる彼にとって“最初の物語”だった。
あかねは泣きながら何度も言った。「読めてよかった」と。
けれど、真一にとってそれはまだ終わりではなかった。
──これは、あの人に届いていない。
その思いが、夜ごと彼の胸を締めつけた。
ペン先が紙をなぞる。音もなく言葉がこぼれていく。
遥へ
君がいなくなってから、たくさんの季節が過ぎた。
でも教室の影の形や、チョークのにおい、あの夕焼けの色は、今も僕の中で変わっていない。
あの折り鶴、今も持ってるよ。ランドセルじゃなく、机の奥のいちばん大事な場所にしまってある。
取り出すたびに思い出すんだ。
「またねの鶴だよ」って、君の言葉を。
ずっと、その“またね”を信じてる。
あのときは何も伝えられなかったけど、今なら言える。
君がいたから、僕はここまで来られた。
「またね」と言ってくれたから、今日も歩けた。
寂しい夜も、折り鶴を見て自分に言い聞かせたんだ。
「また会える」って。
もし、これを読んでくれたなら──
お願いだから、僕に会いに来て。
君の笑顔を、声を、もう一度見せて。
「またね」を、今度はちゃんと聞かせて。
これは、僕から君へのラブレター。
そして、僕の人生でいちばん本気のお願い。
──また、いつか。じゃなくて、
「今度こそ、またね」を言わせてください。
大川真一
高校二年の冬。文化祭のあと、あかねの言葉に背中を押されて書いた短編は、遥との別れから始まり、再会への祈りで終わる彼にとって“最初の物語”だった。
あかねは泣きながら何度も言った。「読めてよかった」と。
けれど、真一にとってそれはまだ終わりではなかった。
──これは、あの人に届いていない。
その思いが、夜ごと彼の胸を締めつけた。
ペン先が紙をなぞる。音もなく言葉がこぼれていく。
遥へ
君がいなくなってから、たくさんの季節が過ぎた。
でも教室の影の形や、チョークのにおい、あの夕焼けの色は、今も僕の中で変わっていない。
あの折り鶴、今も持ってるよ。ランドセルじゃなく、机の奥のいちばん大事な場所にしまってある。
取り出すたびに思い出すんだ。
「またねの鶴だよ」って、君の言葉を。
ずっと、その“またね”を信じてる。
あのときは何も伝えられなかったけど、今なら言える。
君がいたから、僕はここまで来られた。
「またね」と言ってくれたから、今日も歩けた。
寂しい夜も、折り鶴を見て自分に言い聞かせたんだ。
「また会える」って。
もし、これを読んでくれたなら──
お願いだから、僕に会いに来て。
君の笑顔を、声を、もう一度見せて。
「またね」を、今度はちゃんと聞かせて。
これは、僕から君へのラブレター。
そして、僕の人生でいちばん本気のお願い。
──また、いつか。じゃなくて、
「今度こそ、またね」を言わせてください。
大川真一
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