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第5章 遙との再会
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遙がずっと療養所の生活をしてきたことを思うと、真一は言葉を失い立っていた。
遥とあかね──ふたりは目の前で笑い合って自分を応援していてくれた。
そして、自分はそのどちらの心にも触れて頼っていた。
真一の心は、新たな迷いの中に沈んでいった。
その帰り道。
療養所の坂道を、真一とあかねは並んで歩いていた。初夏の夕陽が、ふたりの影を長く伸ばしていた。
「……やっぱり、良くならないって、分かってたんだね」
真一は隣に並んで歩くあかねに尋ねた。
「うん……あの子、自分のこと、ちゃんと分かってた。慢性の病気で余命10年って診断されたらしい……」
小学生の遥は最後の教室で真一に未来を語らなかった。希望も、夢も。それでも、真一の話に耳を傾け、ノートをめくりながら笑ってくれた。
「ねぇ、真一くん。ひとつ、話してもいい?」
夕陽に照らされながら、あかねが立ち止まった。
「最初、私があなたに近づいたの……遥に頼まれたからだったの。わたしが中学3年生の時、あの子にね……」
“真一のそばにいて。あの子、ひとりで突っ走るから。言葉を書く人なのに、言葉で助けを求められないから……お願い、あかね”
あかねは遙から聞いた真一との出会いを聞かせてくれた。
遥とあかね──ふたりは目の前で笑い合って自分を応援していてくれた。
そして、自分はそのどちらの心にも触れて頼っていた。
真一の心は、新たな迷いの中に沈んでいった。
その帰り道。
療養所の坂道を、真一とあかねは並んで歩いていた。初夏の夕陽が、ふたりの影を長く伸ばしていた。
「……やっぱり、良くならないって、分かってたんだね」
真一は隣に並んで歩くあかねに尋ねた。
「うん……あの子、自分のこと、ちゃんと分かってた。慢性の病気で余命10年って診断されたらしい……」
小学生の遥は最後の教室で真一に未来を語らなかった。希望も、夢も。それでも、真一の話に耳を傾け、ノートをめくりながら笑ってくれた。
「ねぇ、真一くん。ひとつ、話してもいい?」
夕陽に照らされながら、あかねが立ち止まった。
「最初、私があなたに近づいたの……遥に頼まれたからだったの。わたしが中学3年生の時、あの子にね……」
“真一のそばにいて。あの子、ひとりで突っ走るから。言葉を書く人なのに、言葉で助けを求められないから……お願い、あかね”
あかねは遙から聞いた真一との出会いを聞かせてくれた。
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