あなたナニサマ!?聖女サマ!

JUN

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聖女様への苦情も担当する

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 午前の授業が終わり、昼食の為にユリウスとセルジュは食堂でテーブルについていた。
 学生は皆食堂で食べるのだが、メニューは安いセットもあれば高いランチセットもある。ユリウスは侯爵家の子ではあるが、平民と同じで、あっさりパスタとお勧めサラダという名の、素パスタと残り物野菜のサラダという安いメニューである。
 そこに三男のロナウドが通りかかった。トレイに乗っているのは、ローストビーフの入った高い本日のセットメニューだ。
 フンとユリウスとセルジュの前に並んだパスタとサラダを見て笑うと、
「貧乏臭いな。お前の顔を見たら余計にまずくなりそうだが、田舎貴族と次元貴族にはお似合いだな」
と言って、立ち去る。
「だったらここを通らずに別の通路に行けばいいのに。
 悪いな、セルジュ」
 コソッと言い、気を取り直して、ユリウスとセルジュはカトラリーに手を伸ばした。
「いただきま――」
「よろしくて」
 まだ食べる事はできなかった。
 硬い顔付きの女子生徒達が、腕組をして、テーブルの横に立っていた。中の1人は、皇太子の婚約者だ。
「えっと、何でしょう」
「あなたの家が、聖女様関連の責任者ですわよね」
 ユリウスは首を傾げた。
「いえ……お預かりはしておりますが……」
 何と言えばいいのだろうと悩むユリウスだが、元々答えに期待など彼女達はしていない。
「わたくしは殿下の婚約者です。それは御存知よね」
「はい」
「殿下は毎日聖女様のところに入り浸っていらっしゃいますの。しかも聖女様は、殿下と聖女が結婚するのが当然だと仰ったとか。どういうことですの?」
「え、いえ、僕に言われても……初耳ですし……その……」
 ユリウスの背中を汗が伝い落ちた。
「わたくしの婚約者も、婚約を白紙に戻したいと言い出しておりますの」
「わたくしもですわ」
 側近連中の婚約者たちが次々と言う。
 セルジュもポカンと口を開けていた。
「あの、そういうことは、僕には――」
「さっさと儀式でも何でもさせてくださらないかしら。もしくは、殿下達と聖女様を会わせないようにしていただきたいわ」
「む、無理です!僕にそんな権限はありません!せめて兄か、弟に言って下さい!」
 ユリウスがロナウドを指さすと、彼女達は、
「あなたが聖女関係の窓口だと言われましたのよ」
と言った。
 ユリウスは顎が外れそうになった。
 彼女達は溜め息をつき、
「まあ、あなたが殿下に何か言えるとも思えませんわね」
「それはそうですわ。だって、ねえ」
と意味深に目配せし合う。
「まあ、多少は気を付けていただきたいということですわ。では」
 言いたい事を言って、立ち去って行った。
 それをセルジュとユリウスは呆然と見送り、ユリウスはがっくりと項垂れた。
「無茶を言うなあ。それに、失礼だ。
 ユリウス、気にするな。さあ、食べよう」
 セルジュが明るく言うが、すっかり食欲がうせてしまったユリウスだった。
 しかし、食べておかないと午後からの授業に差し支える。どうにかこうにか、ユリウスは最安ランチを食べ始めた。

 

 
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