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幼馴染
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「風呂は大浴場なんだ。朝と夕方は遊妓が優先だからな」
夕方は開店前の準備だからで、朝は、泊まって帰った客を送り出してからさっぱりするからだ。
「ご飯は手の空いた時にだから。聞いてるのか?」
関係のありそうな所を案内して回っていたが、カイもジンも、珍しそうにキョロキョロとしていた。
「でも、こっちが豪華だけど、基本的には大きい商店と似てるかなあ」
ジンが納得したように言ったが、カイは、
「うわっ。美人ばっかり!やべえ。フロとか一緒になったらどうしよう、オレ」
「心配しなくても、営業とそれ以外では違うから」
ユーリが言った時、何かがしゅっと蹴り出され、それをユーリがパッと掴んだ。
「こんな風にな」
カイとジンは呆然として、ユーリに蹴りかかってその片足を掴まれた女の子を見た。
「放しなさいよね!バカユーリ!」
同年代で、かわいい顔だし、スタイルもいい。だが、色気とか上品さとか、そういうものは皆無だった。
「蹴るなよ、じゃじゃ馬」
「じゃじゃ馬ぁ?あんた何言ってんの。私だって立派な遊妓ですぅ。馴染み客だってできてますぅ」
その後ろから、今度は同年代の男がくすくすと笑いながら近付いて来た。
「立派ねえ」
「おう、ジルラじゃないか」
「おう、ユーリ。久しぶり」
整った顔立ちで、間違いなくモテるタイプだ。
「ああ、紹介するよ。こいつがジルラで、こっちがフルイエ。どっちも幼馴染で、ここの遊妓だ。
こいつらは帝都の学校でできた友達で、カイとジン。チームを組んで探索者をやるから」
言いながらフルイエの掴んだままだった片足を放すと、4人は互いに「よろしく」と言い合う。
「ねえ、お土産とかないの?」
フルイエが言うのに、ユーリが口を尖らせる。
「こっちは帝都を追放されたんだぞ。そんな余裕があると思うか?」
それにジルラとフルイエが同時に頷く。
それでジンは吹き出した。
「やっぱりそう思うよね。マイペースだもん。
あ、乗合馬車で食べようと思って買って来て、余った干し芋ならあるよ」
ジンがごそごそと取り出し、それを5人で食べだした。
最初は緊張していたらしいカイだったが、次第に打ち解けてきたらしい。
「美人とカッコいい人ばっかりだろ?緊張してたんだけど、喋ったら普通だな。安心したぜ」
干し芋を齧る売れっ子遊妓だ。その辺のちょっと顔のいいやつくらいにしか見えない。
「ははは!ここにいるんだろ?だったら家族だ。こっちも営業スマイルなんてしてられないさ。
まあ、花代を持って来たら、客として遊ばせてやるぜ」
ジルラが冗談か本気かわからない流し目で言い、カイは干し芋をのどに詰まらせ、それに皆で笑い転げた。
「美味い魔物でも狩って来てくれ。あと、便利なもん、開発してくれよな」
ジルラが言うと、フルイエもモグモグとしながら言う。
「髪の毛を早く乾かせる何かがあると嬉しいわね」
「はいはい」
ユーリは気のない返事をした。
帝都の話やここに来る探索者の話などで盛り上がり、さてと立ち上がったところで、男が通りかかった。
「あ、マシス」
マシスはここの遊妓だが、元はそこそこ大きい商会の次男だった。ところが家が傾き、マシスは借金返済の為にここへ売られて来たのだ。
本人は納得できておらず、脱走を企てた事もある。
しかし逃げられず、いやいや遊妓見習いをしていた。
前回ユーリが長期休暇で戻った時に顔を合わせ、ここの子でありながら外へ出ているユーリを憎み、何かと突っかかって来た相手だ。
「戻って来たのか。ふん、いい気味だな」
「ちょっと!」
怒るフルイエだったが、ユーリに目で止められ、ジルラは冷笑を浮べてそれを見ている。カイとジンは、オロオロという感じでそれを見ていた。
「マシス、だったな。
そうだ。俺はここの子だからな。お前もそろそろ受け入れたか?」
「俺は――!」
「お前は銀花楼の遊妓だろう」
マシスはユーリを睨みつけ、クルリと踵を返すと、足音も高く歩いて行った。
ユーリは肩を竦めた。
「いいの、ユーリ?」
ジンが心配そうに言うが、ユーリもフルイエもジルラも、平然としている。
「いくら納得した人間しか買わないとは言え、時々ああいう奴はいるんだよな」
「嫌なら、自分で自分を買って出るしかないのにね」
「早く慣れるしかないんだよ、本人の為にも周囲の為にも」
ジンとカイは、ここは帝都とは違うのだと、この時しみじみと感じたのだった。
夕方は開店前の準備だからで、朝は、泊まって帰った客を送り出してからさっぱりするからだ。
「ご飯は手の空いた時にだから。聞いてるのか?」
関係のありそうな所を案内して回っていたが、カイもジンも、珍しそうにキョロキョロとしていた。
「でも、こっちが豪華だけど、基本的には大きい商店と似てるかなあ」
ジンが納得したように言ったが、カイは、
「うわっ。美人ばっかり!やべえ。フロとか一緒になったらどうしよう、オレ」
「心配しなくても、営業とそれ以外では違うから」
ユーリが言った時、何かがしゅっと蹴り出され、それをユーリがパッと掴んだ。
「こんな風にな」
カイとジンは呆然として、ユーリに蹴りかかってその片足を掴まれた女の子を見た。
「放しなさいよね!バカユーリ!」
同年代で、かわいい顔だし、スタイルもいい。だが、色気とか上品さとか、そういうものは皆無だった。
「蹴るなよ、じゃじゃ馬」
「じゃじゃ馬ぁ?あんた何言ってんの。私だって立派な遊妓ですぅ。馴染み客だってできてますぅ」
その後ろから、今度は同年代の男がくすくすと笑いながら近付いて来た。
「立派ねえ」
「おう、ジルラじゃないか」
「おう、ユーリ。久しぶり」
整った顔立ちで、間違いなくモテるタイプだ。
「ああ、紹介するよ。こいつがジルラで、こっちがフルイエ。どっちも幼馴染で、ここの遊妓だ。
こいつらは帝都の学校でできた友達で、カイとジン。チームを組んで探索者をやるから」
言いながらフルイエの掴んだままだった片足を放すと、4人は互いに「よろしく」と言い合う。
「ねえ、お土産とかないの?」
フルイエが言うのに、ユーリが口を尖らせる。
「こっちは帝都を追放されたんだぞ。そんな余裕があると思うか?」
それにジルラとフルイエが同時に頷く。
それでジンは吹き出した。
「やっぱりそう思うよね。マイペースだもん。
あ、乗合馬車で食べようと思って買って来て、余った干し芋ならあるよ」
ジンがごそごそと取り出し、それを5人で食べだした。
最初は緊張していたらしいカイだったが、次第に打ち解けてきたらしい。
「美人とカッコいい人ばっかりだろ?緊張してたんだけど、喋ったら普通だな。安心したぜ」
干し芋を齧る売れっ子遊妓だ。その辺のちょっと顔のいいやつくらいにしか見えない。
「ははは!ここにいるんだろ?だったら家族だ。こっちも営業スマイルなんてしてられないさ。
まあ、花代を持って来たら、客として遊ばせてやるぜ」
ジルラが冗談か本気かわからない流し目で言い、カイは干し芋をのどに詰まらせ、それに皆で笑い転げた。
「美味い魔物でも狩って来てくれ。あと、便利なもん、開発してくれよな」
ジルラが言うと、フルイエもモグモグとしながら言う。
「髪の毛を早く乾かせる何かがあると嬉しいわね」
「はいはい」
ユーリは気のない返事をした。
帝都の話やここに来る探索者の話などで盛り上がり、さてと立ち上がったところで、男が通りかかった。
「あ、マシス」
マシスはここの遊妓だが、元はそこそこ大きい商会の次男だった。ところが家が傾き、マシスは借金返済の為にここへ売られて来たのだ。
本人は納得できておらず、脱走を企てた事もある。
しかし逃げられず、いやいや遊妓見習いをしていた。
前回ユーリが長期休暇で戻った時に顔を合わせ、ここの子でありながら外へ出ているユーリを憎み、何かと突っかかって来た相手だ。
「戻って来たのか。ふん、いい気味だな」
「ちょっと!」
怒るフルイエだったが、ユーリに目で止められ、ジルラは冷笑を浮べてそれを見ている。カイとジンは、オロオロという感じでそれを見ていた。
「マシス、だったな。
そうだ。俺はここの子だからな。お前もそろそろ受け入れたか?」
「俺は――!」
「お前は銀花楼の遊妓だろう」
マシスはユーリを睨みつけ、クルリと踵を返すと、足音も高く歩いて行った。
ユーリは肩を竦めた。
「いいの、ユーリ?」
ジンが心配そうに言うが、ユーリもフルイエもジルラも、平然としている。
「いくら納得した人間しか買わないとは言え、時々ああいう奴はいるんだよな」
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