26 / 90
迷宮探索
しおりを挟む
ユーリ達も、迷宮に潜る事はしている。迷宮産の食物は美味しいので、銀花楼としてもありがたいのだ。
装備を整えて迷宮に向かうと、どこから聞いたのか、もうナジムの噂が漏れ、ユーリを見て囁き合う探索者達がいた。
「あ」
エマたち虹の鳥もいたが、流石にカイも構う余裕がなく、エマも固い表情をしている。
「行こうぜ。まずは急いで地底湖まで行かないと、話にもならねえ」
それでユーリ達は、迷宮に入った。
雑魚は無視し、いつもなら美味しいからと採取する洞窟キノコにも目をくれないで、ひたすら進む。
そうして、これという敵にあった時だけ倒し、最速で地底湖を目指した。
「着いたぞ」
地底湖のあるこのフロアは、他とは違い、フロアがまるごとひとつのエリアで、壁や通路がない。湖があり、上からの階段と下への階段が付いている。それだけだ。
しかしどこからともなく、ワニの魔物の群れや大カエルが現れては、襲って来る。
透明アンコウに挑むという事は、この邪魔をする魔物達の排除も含まれるのだ。
「ワニやカエルは、魔術や剣の方が相性がいい。そっちは頼むぞ、ジン」
魔銃剣をにじり寄って来るワニに向けて言うユーリに、ジンはボディバッグから竿とルアーを取り出して、
「わかった。頑張るよ!」
と請け負った。
「まずは沈めてみようかな」
シンカータイプを付けて投げ、少し待ってはリールを巻くのを繰り返す。
「ようし、片付いたぜ」
カイとユーリもワニの魔物を片付け、いそいそと竿を取り出して釣り始めた。
「根がかりに注意しないとな。底は岩礁だからな」
「あ、何か来た」
カイの竿にあたりがあり、ピクピクと軽く引かれた――と、グイッと強く引かれ、竿が曲がる。
「乗ったぜ!」
「ばらすなよ!」
糸は丈夫な大クモの糸だ。そうそう切れる事はないはずだが、油断はできないし、針が口から外れる事はある。
「緩めるなよ、抜けるよ」
「もうちょい、もうちょい」
ハラハラしながら、カイの竿の先にかかった魚が上がって来るのを待つ。
と、ぼんやりと見えて来た。
「あ、上がってきた!」
ユーリが言い、
「おお、でっかいガシラだぜ!」
「これは立派だね!刺身もいいけど、お勧めは断然煮付けだよ!」
喜んでタモですくって上げ、針から外したところでハッとした。
「そうだった。透明だから、上がって来た時に姿が見える時点でダメなんだよ」
カイが肩を落とす。
が、ジンが声を張り上げた。
「まだまだ始めたばかりだよ!これはこれで美味しいんだから、ドンマイ、ドンマイ!」
「そ、そうだよな。よし!次こそは!」
「ようし、気を取り直していくぞ!」
3人は再びルアーを投げ、何かが襲って来た時は置き竿をして対処し、ひたすら釣りを続けた。
誘い方を変えたり、ルアーの種類や色や重さを変えたり、匂いを付けてみたり、色々、手を変え品を変え、透明アンコウを狙う。
ここにいるのは確認されているのだ。
「どこにいるんだよぉ」
「湖の中に潜って確認したいぜ」
「潜ったところで、透明アンコウは見えないだろうと思うよ、カイ」
「そうだった、チクショウ!」
カイとジンが言い合うのを、カニの魔物を倒したユーリが聞いていた。
「そうだよなあ。どこにいるのかわかればなあ」
湖は直径300メートルほどある。浅い所も深い所もあるし、どこにいるのかわかったらありがたい。透明アンコウは、いるとはいえ、ゴロゴロいるわけではない。捕り方が難しくて幻の魚と言われるだけでなく、個体数も多くはないので、幻なのだ。
カニやほかの魚はなかなかの釣果と言えるが、肝心の透明アンコウが釣れなければ意味がない。
「場所か。場所ねえ」
ユーリはフムと考えこんだ。
「たぶん、魔力は大きいよな」
「うん?うん、たぶんね」
「じゃあ、探ってみるか」
湖の中を、探査する。
小さい魔力がわらわらと群れていたり、そこそこの魔力のものが移動していたりする。その中で魔力の大きいものに絞ってみる。
「カイの正面から右へ15度、距離12メートルあたりの所の水深21メートルのところに大きい魔力反応がひとつ。あと、そこの岩の真下、底付近にもひとつ。それから中央あたりの水深25メートル付近にもひとつ。それが大きい魔力反応かな」
それでカイとジンはすぐにそのポイントを狙ってルアーを投げ、ユーリも残った中央の反応目指して投げた。
あと4日。帰るのにかかる時間を考えると、2日半。
装備を整えて迷宮に向かうと、どこから聞いたのか、もうナジムの噂が漏れ、ユーリを見て囁き合う探索者達がいた。
「あ」
エマたち虹の鳥もいたが、流石にカイも構う余裕がなく、エマも固い表情をしている。
「行こうぜ。まずは急いで地底湖まで行かないと、話にもならねえ」
それでユーリ達は、迷宮に入った。
雑魚は無視し、いつもなら美味しいからと採取する洞窟キノコにも目をくれないで、ひたすら進む。
そうして、これという敵にあった時だけ倒し、最速で地底湖を目指した。
「着いたぞ」
地底湖のあるこのフロアは、他とは違い、フロアがまるごとひとつのエリアで、壁や通路がない。湖があり、上からの階段と下への階段が付いている。それだけだ。
しかしどこからともなく、ワニの魔物の群れや大カエルが現れては、襲って来る。
透明アンコウに挑むという事は、この邪魔をする魔物達の排除も含まれるのだ。
「ワニやカエルは、魔術や剣の方が相性がいい。そっちは頼むぞ、ジン」
魔銃剣をにじり寄って来るワニに向けて言うユーリに、ジンはボディバッグから竿とルアーを取り出して、
「わかった。頑張るよ!」
と請け負った。
「まずは沈めてみようかな」
シンカータイプを付けて投げ、少し待ってはリールを巻くのを繰り返す。
「ようし、片付いたぜ」
カイとユーリもワニの魔物を片付け、いそいそと竿を取り出して釣り始めた。
「根がかりに注意しないとな。底は岩礁だからな」
「あ、何か来た」
カイの竿にあたりがあり、ピクピクと軽く引かれた――と、グイッと強く引かれ、竿が曲がる。
「乗ったぜ!」
「ばらすなよ!」
糸は丈夫な大クモの糸だ。そうそう切れる事はないはずだが、油断はできないし、針が口から外れる事はある。
「緩めるなよ、抜けるよ」
「もうちょい、もうちょい」
ハラハラしながら、カイの竿の先にかかった魚が上がって来るのを待つ。
と、ぼんやりと見えて来た。
「あ、上がってきた!」
ユーリが言い、
「おお、でっかいガシラだぜ!」
「これは立派だね!刺身もいいけど、お勧めは断然煮付けだよ!」
喜んでタモですくって上げ、針から外したところでハッとした。
「そうだった。透明だから、上がって来た時に姿が見える時点でダメなんだよ」
カイが肩を落とす。
が、ジンが声を張り上げた。
「まだまだ始めたばかりだよ!これはこれで美味しいんだから、ドンマイ、ドンマイ!」
「そ、そうだよな。よし!次こそは!」
「ようし、気を取り直していくぞ!」
3人は再びルアーを投げ、何かが襲って来た時は置き竿をして対処し、ひたすら釣りを続けた。
誘い方を変えたり、ルアーの種類や色や重さを変えたり、匂いを付けてみたり、色々、手を変え品を変え、透明アンコウを狙う。
ここにいるのは確認されているのだ。
「どこにいるんだよぉ」
「湖の中に潜って確認したいぜ」
「潜ったところで、透明アンコウは見えないだろうと思うよ、カイ」
「そうだった、チクショウ!」
カイとジンが言い合うのを、カニの魔物を倒したユーリが聞いていた。
「そうだよなあ。どこにいるのかわかればなあ」
湖は直径300メートルほどある。浅い所も深い所もあるし、どこにいるのかわかったらありがたい。透明アンコウは、いるとはいえ、ゴロゴロいるわけではない。捕り方が難しくて幻の魚と言われるだけでなく、個体数も多くはないので、幻なのだ。
カニやほかの魚はなかなかの釣果と言えるが、肝心の透明アンコウが釣れなければ意味がない。
「場所か。場所ねえ」
ユーリはフムと考えこんだ。
「たぶん、魔力は大きいよな」
「うん?うん、たぶんね」
「じゃあ、探ってみるか」
湖の中を、探査する。
小さい魔力がわらわらと群れていたり、そこそこの魔力のものが移動していたりする。その中で魔力の大きいものに絞ってみる。
「カイの正面から右へ15度、距離12メートルあたりの所の水深21メートルのところに大きい魔力反応がひとつ。あと、そこの岩の真下、底付近にもひとつ。それから中央あたりの水深25メートル付近にもひとつ。それが大きい魔力反応かな」
それでカイとジンはすぐにそのポイントを狙ってルアーを投げ、ユーリも残った中央の反応目指して投げた。
あと4日。帰るのにかかる時間を考えると、2日半。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる