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襲撃
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探索者協会はこのナカシャにもあったが、ここの依頼の多くは、商人の護衛依頼だった。あまり魔獣が出たというものはない。せいぜい、「何々を入手して来てくれ」という依頼だ。
「あんまり魔獣の被害はないんだね」
ジンが言う。
「迷宮もないし、魔の森からも遠いしな」
カイが詰まらなさそうに言った。
そのせいか、探索者協会にいる探索者の雰囲気は、礼儀正しく大人しい感じだ。商人の護衛をするには、あまり自由な態度は向かないという事だろう。
ユーリ、カイ、ジン、キリーは受付の係員に付近の噂などを訊いたが、アトラ原理主義者に対して警戒するようにと呼びかけはしているらしいが、目撃例などはなかった。
祠について訊いてみても、ナカシャでは観光客が訪れるパワースポットという扱いで、出入りは自由、これまで警備もなかったらしい。
不用心だと思いながらも、その国によって考え方が違うのも仕方がないのかと思いながら協会を出たユーリ達は、祠の周囲を適当に散歩し始めた。
祠の前には地元警察官が2人立っているが、暇そうだ。そしてその祠のある広場には、散歩に来ている老人や子供、カップルなどがおり、どこから見ても、平和そのものの風景だ。
「邪神の話、国民には知られてないのか?」
キリーが眉を寄せる。
「うちの支店の者に訊いてみたんだけど、危機感の無い人がほとんどらしいね」
ジンが屋台で買った串焼きをぱくつきながら言う。
「え、何で?邪神を信じてないのか?」
カイが訊くのに、
「そういう人も多いみたいだね。後は、国が何とか対策するだろうっていうのが大きいみたいだよ」
とジンは答え、
「うん。この貝の串焼き美味しいな」
と目を輝かせた。
それにユーリが頷いた。
「まあ、魔獣が増えるとかしてるのを目の当たりにする事が少ないから、どうしても実感がわかないのもあるのかな」
「放っておくわけにもいかないしねえ」
ジンが言って、皆で唸った。
流石に議会も、各国からの声を無視はできず、祠の警備だけはする事になった。
だがリアン達連合軍が入国すると、デモ隊が取り巻く騒ぎになった。
しかしこの騒ぎのせいで祠が襲われている事件の事が知られ、議会の雇った探索者と警官、国民の有志らが祠の警備をする事となり、広場はかなり混雑する羽目になった。
「警備以外の人間を排除できないのかよ」
カイがお祭り騒ぎに呆れた目を向けた。
「そういう法律がないんだ」
キリーが苦々しい顔で答え、嘆息する。
「殿下。このありさまでは警護もままなりません。ここを離れて、宿へ入ってはいただけないでしょうか」
側近に言われ、リアンは宿へ引き上げる事になった。
それに、側近と警護官も着いて行く。
そして残った者で、祠に近付く者を警戒することにした。
すっかり辺りが暗くなってから、数時間は経っていた。
「交代致します。テントで休憩とお食事をなさってください」
トゥヤルザの兵が来て、銀月との交代時間になった事を告げた。
「わかった。あとはよろしく」
そう答えてテントへ行くと、キリーやトゥヤルザ軍の大佐が地図を広げていた。
「ああ、お疲れ様」
キリーが言うと、カイが溜め息をつく。
「魔物と睨み合う方がいいぜ。軍は出て行けーとか言われて監視されてるのって、ストレスだ」
「それに反応すれば、またうるさいしねえ」
ジンも苦笑する。
「ユーリは平気なのか?」
カイが訊くと、ユーリは笑った。
「無視するしかないだろ。
まあ、ここに1発雷でも落としてやれば静かになるかなあ、とは思うけど」
「やるなよ、絶対にやるなよ。わかってるな、おい」
キリーが詰め寄って真剣な顔で言うのに、大佐が笑い声を上げた。
「ははは!学生時代もそのように仲がよろしかったんですな。
ええ、流石になさいませんよね」
それに、キリーが低い声で反論した。
「そう思うでしょう?でも、そんなやつなら、演習の時に笑顔で極大魔術をぶっ放したりしませんよ。
あの時こいつ、『手が滑りました』って笑って済ませたんですよ」
「え」
「……大丈夫。そんな事しないよ」
「何だよ、その不安になる間は」
「葛藤?」
「国際問題になるだろ」
「自然現象だろ」
「バレるに決まってるだろ!」
「なるほど。バレないように、もっと練習――」
「するな!」
それでとうとう大佐と副官は吹き出し、カイ、ジンはニヤニヤとし、キリーは項垂れた。
が、彼らの表情が瞬時に引き締まった。
爆音がとどろき、悲鳴が広場に響き渡ったのである。
「あんまり魔獣の被害はないんだね」
ジンが言う。
「迷宮もないし、魔の森からも遠いしな」
カイが詰まらなさそうに言った。
そのせいか、探索者協会にいる探索者の雰囲気は、礼儀正しく大人しい感じだ。商人の護衛をするには、あまり自由な態度は向かないという事だろう。
ユーリ、カイ、ジン、キリーは受付の係員に付近の噂などを訊いたが、アトラ原理主義者に対して警戒するようにと呼びかけはしているらしいが、目撃例などはなかった。
祠について訊いてみても、ナカシャでは観光客が訪れるパワースポットという扱いで、出入りは自由、これまで警備もなかったらしい。
不用心だと思いながらも、その国によって考え方が違うのも仕方がないのかと思いながら協会を出たユーリ達は、祠の周囲を適当に散歩し始めた。
祠の前には地元警察官が2人立っているが、暇そうだ。そしてその祠のある広場には、散歩に来ている老人や子供、カップルなどがおり、どこから見ても、平和そのものの風景だ。
「邪神の話、国民には知られてないのか?」
キリーが眉を寄せる。
「うちの支店の者に訊いてみたんだけど、危機感の無い人がほとんどらしいね」
ジンが屋台で買った串焼きをぱくつきながら言う。
「え、何で?邪神を信じてないのか?」
カイが訊くのに、
「そういう人も多いみたいだね。後は、国が何とか対策するだろうっていうのが大きいみたいだよ」
とジンは答え、
「うん。この貝の串焼き美味しいな」
と目を輝かせた。
それにユーリが頷いた。
「まあ、魔獣が増えるとかしてるのを目の当たりにする事が少ないから、どうしても実感がわかないのもあるのかな」
「放っておくわけにもいかないしねえ」
ジンが言って、皆で唸った。
流石に議会も、各国からの声を無視はできず、祠の警備だけはする事になった。
だがリアン達連合軍が入国すると、デモ隊が取り巻く騒ぎになった。
しかしこの騒ぎのせいで祠が襲われている事件の事が知られ、議会の雇った探索者と警官、国民の有志らが祠の警備をする事となり、広場はかなり混雑する羽目になった。
「警備以外の人間を排除できないのかよ」
カイがお祭り騒ぎに呆れた目を向けた。
「そういう法律がないんだ」
キリーが苦々しい顔で答え、嘆息する。
「殿下。このありさまでは警護もままなりません。ここを離れて、宿へ入ってはいただけないでしょうか」
側近に言われ、リアンは宿へ引き上げる事になった。
それに、側近と警護官も着いて行く。
そして残った者で、祠に近付く者を警戒することにした。
すっかり辺りが暗くなってから、数時間は経っていた。
「交代致します。テントで休憩とお食事をなさってください」
トゥヤルザの兵が来て、銀月との交代時間になった事を告げた。
「わかった。あとはよろしく」
そう答えてテントへ行くと、キリーやトゥヤルザ軍の大佐が地図を広げていた。
「ああ、お疲れ様」
キリーが言うと、カイが溜め息をつく。
「魔物と睨み合う方がいいぜ。軍は出て行けーとか言われて監視されてるのって、ストレスだ」
「それに反応すれば、またうるさいしねえ」
ジンも苦笑する。
「ユーリは平気なのか?」
カイが訊くと、ユーリは笑った。
「無視するしかないだろ。
まあ、ここに1発雷でも落としてやれば静かになるかなあ、とは思うけど」
「やるなよ、絶対にやるなよ。わかってるな、おい」
キリーが詰め寄って真剣な顔で言うのに、大佐が笑い声を上げた。
「ははは!学生時代もそのように仲がよろしかったんですな。
ええ、流石になさいませんよね」
それに、キリーが低い声で反論した。
「そう思うでしょう?でも、そんなやつなら、演習の時に笑顔で極大魔術をぶっ放したりしませんよ。
あの時こいつ、『手が滑りました』って笑って済ませたんですよ」
「え」
「……大丈夫。そんな事しないよ」
「何だよ、その不安になる間は」
「葛藤?」
「国際問題になるだろ」
「自然現象だろ」
「バレるに決まってるだろ!」
「なるほど。バレないように、もっと練習――」
「するな!」
それでとうとう大佐と副官は吹き出し、カイ、ジンはニヤニヤとし、キリーは項垂れた。
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爆音がとどろき、悲鳴が広場に響き渡ったのである。
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