5 / 306
第一章 必ず勝てる賭け
第5話 一縷の望み
しおりを挟む
ところが、テオクウィントス国の男達が性交しても、唯一発病しなかったのが、オメガの男だけだった。
この奇病は、テオクウィントス帝国の男達全階級の生殖に、何らかの影響を及ぼしたことは確かではあるものの、性交しても他国のオメガ男性も発症しない。
十代前半から二十代前半までの若いオメガの男達は、健康体で生きのびて、月に一度、交尾相手を求めるフェロモンも発している。
アルファ、ベータの男達は、本来ならば同じ階層の女性を求めるのだが、オメガのフェロモンに接すれば欲情し、オメガの少年達とも性交する。
その際、受胎したオメガの男が出産するのは、劣性遺伝のオメガの子供だ。
劣性遺伝のオメガしか生まれなくても、オメガとならば子供ができるかもしれない。
そんな一縷《いちる》の望みにすがるように、テオクウィントス国の上流階級の男達は、血眼になって性交している。
オメガの中でも、選りすぐりの美少年や美青年ばかりを収監した、王宮近くの真新しい公娼《こうしょう》で。
「そこまで言うなら賭けてもいいぞ。じゃあ、俺もダビデ提督に銅貨一枚賭けてやる」
「俺は、どっちにも賭けねぇな。アルファ連中がオメガを相手に性交しても、子供ができたって話はひとつも聞かない。子供ができれば国だって、号外ぐらいは出すだろう。結局、性交できても受胎しないか、受胎はしても流産するか死産するかの、どっちかに決まっている」
賭けるという者、賭けないという者。
賭けるとするなら、やはりアルベルト皇帝だと言う者や、サリオンのように確率の低いダビデ提督を、あえて選んで儲けると意気込む者とで円卓が大いに沸いた。その時だ。
「それなら俺もダビデ提督に金貨十枚、賭けてもいい」
この奇病は、テオクウィントス帝国の男達全階級の生殖に、何らかの影響を及ぼしたことは確かではあるものの、性交しても他国のオメガ男性も発症しない。
十代前半から二十代前半までの若いオメガの男達は、健康体で生きのびて、月に一度、交尾相手を求めるフェロモンも発している。
アルファ、ベータの男達は、本来ならば同じ階層の女性を求めるのだが、オメガのフェロモンに接すれば欲情し、オメガの少年達とも性交する。
その際、受胎したオメガの男が出産するのは、劣性遺伝のオメガの子供だ。
劣性遺伝のオメガしか生まれなくても、オメガとならば子供ができるかもしれない。
そんな一縷《いちる》の望みにすがるように、テオクウィントス国の上流階級の男達は、血眼になって性交している。
オメガの中でも、選りすぐりの美少年や美青年ばかりを収監した、王宮近くの真新しい公娼《こうしょう》で。
「そこまで言うなら賭けてもいいぞ。じゃあ、俺もダビデ提督に銅貨一枚賭けてやる」
「俺は、どっちにも賭けねぇな。アルファ連中がオメガを相手に性交しても、子供ができたって話はひとつも聞かない。子供ができれば国だって、号外ぐらいは出すだろう。結局、性交できても受胎しないか、受胎はしても流産するか死産するかの、どっちかに決まっている」
賭けるという者、賭けないという者。
賭けるとするなら、やはりアルベルト皇帝だと言う者や、サリオンのように確率の低いダビデ提督を、あえて選んで儲けると意気込む者とで円卓が大いに沸いた。その時だ。
「それなら俺もダビデ提督に金貨十枚、賭けてもいい」
22
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
36.8℃
月波結
BL
高校2年生、音寧は繊細なΩ。幼馴染の秀一郎は文武両道のα。
ふたりは「番候補」として婚約を控えながら、音寧のフェロモンの影響で距離を保たなければならない。
近づけば香りが溢れ、ふたりの感情が揺れる。音寧のフェロモンは、バニラビーンズの甘い香りに例えられ、『運命の番』と言われる秀一郎の身体はそれに強く反応してしまう。
制度、家族、将来——すべてがふたりを結びつけようとする一方で、薬で抑えた想いは、触れられない手の間をすり抜けていく。
転校生の肇くんとの友情、婚約者候補としての葛藤、そして「待ってる」の一言が、ふたりの未来を静かに照らす。
36.8℃の微熱が続く日々の中で、ふたりは“運命”を選び取ることができるのか。
香りと距離、運命、そして選択の物語。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる