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第二章 死がふたりを分かつとも
第9話 もしも今
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「宴席の支度はどこまで進んだ?」
二階から一階に下りて厨房へ顔を出す。
アルベルトがいる饗宴の間に、早く料理を提供するよう、促す声まで尖っていた。
厨房では、大勢の奴隷が湯気の上がる大釜で煮込み料理を作ったり、レンガ造りの炉に次々と薪をくべ、鳥獣を網焼きにするなどしながら、酒宴を進める各部屋からの、注文や催促に追われている。
「わかっています。今すぐに」
料理番の奴隷達が一斉に顔を上げて返事をした。
今夜も饗宴の間は、全て客で埋まっている。
しかし、他の客の注文が入っていようとも、皇帝に供する料理の支度が優先だ。
サリオンの掛け声に反応し、皇室の紋章入りの陶器の皿を並べ出す者。網焼きしていた鳥獣を乗せる者。その器に彩りを添える、レタスやラディッシュを飾る者など、にわかに厨房が慌ただしくなる。
それを監視していたサリオンは、途中ではっとしたように眉を上げ、再び声を張り上げた。
「いや、待ってくれ。もう少し後の方がいいかもしれない。とりあえず、仕上げの段階まで準備して待機だ」
最後の仕上げをしようとしていた料理番は一様に、サリオンの指示に怪訝そうな顔をした。
公娼の営業中は、訪問客のもてなしと、男娼達の雑用の双方を兼ねて働く何十人もの下男達に、指示を与える『廻し』の役目のサリオンは、料理番の奴隷達より立場は上だ。
調理を中断させられた彼等は一瞬、不服そうにしたものの、誰も口答えなどしなかった。
変更の指示に従って、窯にかけた鍋を火から下ろしたり、網焼きの火力を弱めるなどして対応をし始める。
サリオンはそれを見届けて、足早に厨房を立ち去った。
もし今、二人が情を交わしているのなら、その真っ最中に料理を運んでしまいかねない。
追加のワインや主菜を運び入れるのは、遅らせた方がいいからだ。
二階から一階に下りて厨房へ顔を出す。
アルベルトがいる饗宴の間に、早く料理を提供するよう、促す声まで尖っていた。
厨房では、大勢の奴隷が湯気の上がる大釜で煮込み料理を作ったり、レンガ造りの炉に次々と薪をくべ、鳥獣を網焼きにするなどしながら、酒宴を進める各部屋からの、注文や催促に追われている。
「わかっています。今すぐに」
料理番の奴隷達が一斉に顔を上げて返事をした。
今夜も饗宴の間は、全て客で埋まっている。
しかし、他の客の注文が入っていようとも、皇帝に供する料理の支度が優先だ。
サリオンの掛け声に反応し、皇室の紋章入りの陶器の皿を並べ出す者。網焼きしていた鳥獣を乗せる者。その器に彩りを添える、レタスやラディッシュを飾る者など、にわかに厨房が慌ただしくなる。
それを監視していたサリオンは、途中ではっとしたように眉を上げ、再び声を張り上げた。
「いや、待ってくれ。もう少し後の方がいいかもしれない。とりあえず、仕上げの段階まで準備して待機だ」
最後の仕上げをしようとしていた料理番は一様に、サリオンの指示に怪訝そうな顔をした。
公娼の営業中は、訪問客のもてなしと、男娼達の雑用の双方を兼ねて働く何十人もの下男達に、指示を与える『廻し』の役目のサリオンは、料理番の奴隷達より立場は上だ。
調理を中断させられた彼等は一瞬、不服そうにしたものの、誰も口答えなどしなかった。
変更の指示に従って、窯にかけた鍋を火から下ろしたり、網焼きの火力を弱めるなどして対応をし始める。
サリオンはそれを見届けて、足早に厨房を立ち去った。
もし今、二人が情を交わしているのなら、その真っ最中に料理を運んでしまいかねない。
追加のワインや主菜を運び入れるのは、遅らせた方がいいからだ。
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