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第三章 争奪戦
第32話 王宮のアルベルト
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帝国の領土内で最も高い丘の上に、荘厳な宮殿がそびえ建っている。
広大な敷地は小窓ひとつない城壁で堅牢に囲われ、丘の麓から見上げても、全容を窺い知ることは庶民には不可能だ。
伝え聞いたところによると、敷地内には列柱廊で繋がれた後宮以外に、数か所離宮があるらしい。
それらの離宮は、皇帝が休日や余暇を楽しみ、くつろぐ場として華美な装飾は控えられ、代わりに列柱回廊が縦長に形作る広々とした中庭が、日当たりの良い東や南に、設えらているそうだ。
庭といっても、森のように豊かな木立が遊歩道に葉陰を落とし、日中の鋭い日差しを程よく緩和するのだろう。
散策者の目を楽しませるため、道なりには花々や香草が植えられた花壇が連なり、水飛沫を上げる大理石の噴水。
木陰には大理石の肘掛け椅子が、周到に用意されている。
庭を愛でるというよりも、森林浴といった方が正しいようなそぞろ歩きを満喫した皇帝は、大理石の椅子に腰をかける。
目の前の噴水は木漏れ日を浴びて、水面も水飛沫も煌めきを放ち、心地良い水音が、日々の激務で凝った心身を休ませる。
そして皇帝に寄り添うことを許されて、そっと隣に腰かけるのは、寵愛される美しいオメガの少年だ。
広大な敷地は小窓ひとつない城壁で堅牢に囲われ、丘の麓から見上げても、全容を窺い知ることは庶民には不可能だ。
伝え聞いたところによると、敷地内には列柱廊で繋がれた後宮以外に、数か所離宮があるらしい。
それらの離宮は、皇帝が休日や余暇を楽しみ、くつろぐ場として華美な装飾は控えられ、代わりに列柱回廊が縦長に形作る広々とした中庭が、日当たりの良い東や南に、設えらているそうだ。
庭といっても、森のように豊かな木立が遊歩道に葉陰を落とし、日中の鋭い日差しを程よく緩和するのだろう。
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庭を愛でるというよりも、森林浴といった方が正しいようなそぞろ歩きを満喫した皇帝は、大理石の椅子に腰をかける。
目の前の噴水は木漏れ日を浴びて、水面も水飛沫も煌めきを放ち、心地良い水音が、日々の激務で凝った心身を休ませる。
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