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「ルークさん、どうぞそちらにおかけ下さい。何か洋菓子があれば…」
「い、いえ!だっ、大丈夫です」
「すみません。あ、紅茶は飲めますか?」
「は、はい!ありがとうございます」
「いえいえ」
目の前に出された紅茶は少し特殊な匂いを放っていた。はじめは苦そうな匂い、でも手に取り近くでは甘い匂いに変わり、飲むとミルクのように甘かった。それも徐々に味が変わって奥深く傷む目の傷が安らいでいく。
「美味しい……!でも、不思議な紅茶ですね」
「陛下がよく飲まれている紅茶です。飲みやすくはしていますが、人によっては苦手な方もいらっしゃって…口にあって良かったです。」
「いえ!」
「ルークさん、もうお体は大丈夫ですか?特に目の方の治療は最善を尽くしたつもりではありますが、何年もの前の傷痕のようですが、痛みは…」
「ぜ、全然大丈夫です!も、もしかしてツェルさんが俺をみてくれたんですか?」
「はい。はじめに処置をしたのは私です。その後は私が出向こうとしたのですが、急用が入りまして…」
ツェルは目線を少し陛下に向ける。俺自身も驚いた。王専属の医者が俺に処置してくれたんだ。その後の医者も俺のことをよく分かっていてくれていた。あんな時とは違い、痛みに苦しむことも断然少なくなった。
「ほ、本当にありがとうございます!!目も身体もずっと痛くて…いっそ死んでしまった方が…楽なんて思う時も多々ありました。すみません、生意気ですよね。でも、ここに来てからびっくりして…右目がない事なんて忘れてしまいますよ」
「それは良かったです…。背や腹の傷痕は痛くありませんか?」
「はい。大丈夫ですよ。貰った薬が本当によく効きました!」
「あの…もし宜しければ、その薬の中でどれが合うと思いましたか?あ、いや、本当はどれも効果的な薬なんですけど、特殊な魔法、呪いのようなものがかけられています。それにより、回復が極端に遅くなり、薬の効きも悪く、治すのが本来は難しいものなんです。その薬でもあくまで痛みを緩和出来たらいい方だったのですが…どの薬で治ったのか、その呪いのかけられ方も少し知りたくて…」
ツェルさんは頭を下げた。俺はびっくりして慌てることしか無かった。ここに来てからこんな事が多く感じる。俺に頭を下げられる事なんて、まだ俺自身耐性が1個もついていなかった。確かにはじめは薬が多くて、身に合う塗って下さいと言った後、戸惑っていると気をきかせて下がってくれたメイドさんにさらに戸惑ったものの、塗れば何故か合うか合わないかすぐに感じ取れた。そのある人もすぐに感じるはずなのに、どうしてツェルが必死なのかは分からないが余程大切な人なんだろう。いや、感じれないほど傷が深いのかもしれない…。そして、過去のことを言わないのかも。
みんな俺の過去を聞く時に、俺の顔をみて様子を見る。俺はもうなんとも思わないのに、いや、少しだけなのに少し気まずい。でも、こんな俺に必死にしてくれたなんて感謝しきれない。
「俺は…俺は、男に金属のようなもので焼かれました。腕は直接火の魔法の部分もあります。台に乗せられて、男の人が長い呪文を唱えていて…でもなんの呪いはよく分からなくて」
「そうですか…。ルークさんにはあの陛下でも解けなかった特殊な呪いの魔法なのです。単なる火の魔法のやけどでは普通の処置でいいんですが、特殊な術式の上に魔法で傷付けられると、治すのにはそれにあった薬が必要になります。厄介なのが、呪いがかかっているとそれ以外の薬が効きません。さらに解呪する薬、いえ、呪文かもしれませんが、それが分からないんです。でも、ルークさんの担当医者に効きましたが、もうほぼ完治したと…」
「はい、あ、これです」
俺は服をそっと捲りあげて、腕を見せた。自分でも嬉しかった。ここまで消えたのは。あとは背が少しだけ。
ツェルもそれをみて驚くような表情を浮かべる。そもそもだが、火傷は一生傷なのにこんなに治る薬なんてどれほど高価な品ですか?とは聞くタイミングを完全にのがした。というか、聞けばどうなる事やら…。
ツェルは腕を見ると驚いた表情を浮かべる。俺はゆっくり話しはじめた。
「ほとんどは金属で焼かれた後です。動いたの時の罰として…。でも、薬を使った時に直感…で自分に合うのが分かりました。あのピンク色で花の香りがする薬です。その人も分かると思いますよ…?」
「……残念ながら、その人はそれが感じられないんです。長年傷痕を治す為に最善を尽くしていますが、まだまだです。ルークさんとの呪いはある方と似ていることが分かったのです。詳しくはまだ調査中なので、確定した時にお話されると思います」
「は、はい」
ツェルさんが言う言葉に俺は徐々に何かを察してきた。もしやこれは陛下のことではないか、と。陛下も傷を負っていて、精神薬などの大量の薬も飲まないといけないと聞いたことがある。断言はできないけど。
「ですが、ルークさんの話をしていただきたいてありがとうございます。一度薬を試してみます」
「はい、傷痕治るといいですね…」
「そうですね…」
ツェルさんはそれから思い込むように顔を暗くした。ここで暗い顔を見ることはすごく胸に突き刺さるなにかがある。普段、幸せな場所だと感じているから俺自身も不安心が大きくなる。
しかし、その後は他愛のない話をしばらくしていた。この国の出来事とか、城下町のこととか。また時間が出来たら行ってみたい。
そして、何十分程かすぎた時にツェルさんは一度レイディオ様を見に行った。するとレイディオ様はどうやら疲れていたらしく、陛下と一緒に寝てしまったらしい。だから、一人で帰ろうとしたのだが、ツェルさんはたまたま通りかかったノルサさんと言う人に会い、ノルサさんは送るといい、ツェルさんは頭を下げた。
「い、いえ!だっ、大丈夫です」
「すみません。あ、紅茶は飲めますか?」
「は、はい!ありがとうございます」
「いえいえ」
目の前に出された紅茶は少し特殊な匂いを放っていた。はじめは苦そうな匂い、でも手に取り近くでは甘い匂いに変わり、飲むとミルクのように甘かった。それも徐々に味が変わって奥深く傷む目の傷が安らいでいく。
「美味しい……!でも、不思議な紅茶ですね」
「陛下がよく飲まれている紅茶です。飲みやすくはしていますが、人によっては苦手な方もいらっしゃって…口にあって良かったです。」
「いえ!」
「ルークさん、もうお体は大丈夫ですか?特に目の方の治療は最善を尽くしたつもりではありますが、何年もの前の傷痕のようですが、痛みは…」
「ぜ、全然大丈夫です!も、もしかしてツェルさんが俺をみてくれたんですか?」
「はい。はじめに処置をしたのは私です。その後は私が出向こうとしたのですが、急用が入りまして…」
ツェルは目線を少し陛下に向ける。俺自身も驚いた。王専属の医者が俺に処置してくれたんだ。その後の医者も俺のことをよく分かっていてくれていた。あんな時とは違い、痛みに苦しむことも断然少なくなった。
「ほ、本当にありがとうございます!!目も身体もずっと痛くて…いっそ死んでしまった方が…楽なんて思う時も多々ありました。すみません、生意気ですよね。でも、ここに来てからびっくりして…右目がない事なんて忘れてしまいますよ」
「それは良かったです…。背や腹の傷痕は痛くありませんか?」
「はい。大丈夫ですよ。貰った薬が本当によく効きました!」
「あの…もし宜しければ、その薬の中でどれが合うと思いましたか?あ、いや、本当はどれも効果的な薬なんですけど、特殊な魔法、呪いのようなものがかけられています。それにより、回復が極端に遅くなり、薬の効きも悪く、治すのが本来は難しいものなんです。その薬でもあくまで痛みを緩和出来たらいい方だったのですが…どの薬で治ったのか、その呪いのかけられ方も少し知りたくて…」
ツェルさんは頭を下げた。俺はびっくりして慌てることしか無かった。ここに来てからこんな事が多く感じる。俺に頭を下げられる事なんて、まだ俺自身耐性が1個もついていなかった。確かにはじめは薬が多くて、身に合う塗って下さいと言った後、戸惑っていると気をきかせて下がってくれたメイドさんにさらに戸惑ったものの、塗れば何故か合うか合わないかすぐに感じ取れた。そのある人もすぐに感じるはずなのに、どうしてツェルが必死なのかは分からないが余程大切な人なんだろう。いや、感じれないほど傷が深いのかもしれない…。そして、過去のことを言わないのかも。
みんな俺の過去を聞く時に、俺の顔をみて様子を見る。俺はもうなんとも思わないのに、いや、少しだけなのに少し気まずい。でも、こんな俺に必死にしてくれたなんて感謝しきれない。
「俺は…俺は、男に金属のようなもので焼かれました。腕は直接火の魔法の部分もあります。台に乗せられて、男の人が長い呪文を唱えていて…でもなんの呪いはよく分からなくて」
「そうですか…。ルークさんにはあの陛下でも解けなかった特殊な呪いの魔法なのです。単なる火の魔法のやけどでは普通の処置でいいんですが、特殊な術式の上に魔法で傷付けられると、治すのにはそれにあった薬が必要になります。厄介なのが、呪いがかかっているとそれ以外の薬が効きません。さらに解呪する薬、いえ、呪文かもしれませんが、それが分からないんです。でも、ルークさんの担当医者に効きましたが、もうほぼ完治したと…」
「はい、あ、これです」
俺は服をそっと捲りあげて、腕を見せた。自分でも嬉しかった。ここまで消えたのは。あとは背が少しだけ。
ツェルもそれをみて驚くような表情を浮かべる。そもそもだが、火傷は一生傷なのにこんなに治る薬なんてどれほど高価な品ですか?とは聞くタイミングを完全にのがした。というか、聞けばどうなる事やら…。
ツェルは腕を見ると驚いた表情を浮かべる。俺はゆっくり話しはじめた。
「ほとんどは金属で焼かれた後です。動いたの時の罰として…。でも、薬を使った時に直感…で自分に合うのが分かりました。あのピンク色で花の香りがする薬です。その人も分かると思いますよ…?」
「……残念ながら、その人はそれが感じられないんです。長年傷痕を治す為に最善を尽くしていますが、まだまだです。ルークさんとの呪いはある方と似ていることが分かったのです。詳しくはまだ調査中なので、確定した時にお話されると思います」
「は、はい」
ツェルさんが言う言葉に俺は徐々に何かを察してきた。もしやこれは陛下のことではないか、と。陛下も傷を負っていて、精神薬などの大量の薬も飲まないといけないと聞いたことがある。断言はできないけど。
「ですが、ルークさんの話をしていただきたいてありがとうございます。一度薬を試してみます」
「はい、傷痕治るといいですね…」
「そうですね…」
ツェルさんはそれから思い込むように顔を暗くした。ここで暗い顔を見ることはすごく胸に突き刺さるなにかがある。普段、幸せな場所だと感じているから俺自身も不安心が大きくなる。
しかし、その後は他愛のない話をしばらくしていた。この国の出来事とか、城下町のこととか。また時間が出来たら行ってみたい。
そして、何十分程かすぎた時にツェルさんは一度レイディオ様を見に行った。するとレイディオ様はどうやら疲れていたらしく、陛下と一緒に寝てしまったらしい。だから、一人で帰ろうとしたのだが、ツェルさんはたまたま通りかかったノルサさんと言う人に会い、ノルサさんは送るといい、ツェルさんは頭を下げた。
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