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第三節 友だちのエチュード
#25 友だち作戦練り直し
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自宅マンションに帰り、部屋でギターをありったけかき鳴らしながら、勝行は改めて作戦を練り直すことにした。
財布をちらつかせたものの、簡単に金だけでは解決しなさそうだ。まだ彼の本音はよくわからない。
それにうっかり本性を出しすぎたかもしれない。
(ちょっと虐めがいがあるというか……アイツ意外と可愛いよな)
近寄ればビクッとして離れるくせに、離れた途端何度も勝行の存在を確認する。目が合うとすごい勢いで顔を逸らすし、その耳は真っ赤だ。警戒しつつもこちらが気になってしょうがないらしい。からかい過ぎて蹴られたが、全然本気の暴力じゃなかった。
――やっぱり友だち、欲しいんじゃないか。
そう思って歩み寄ってみたつもりだったのだが、取引交渉に入った途端逃げられた。
(んー……なんかしくじったかな)
ハウスキーパーや庭師、調理人。相羽家ではたくさんの人間を「賃金」で雇い、生活を支えてもらっている。人を買うという感覚に違和感がなかった勝行は、光に「さてはお前ヤバイ奴だな⁉」と怖がられた理由がよくわからなかった。まあ、彼は曲がりなりにも意思を持った生き物――楽器のように簡単に買えるはずがない。この話はいったん保留だ。
逃げた光の自宅は別れた路地からすぐ近くだったので、追いかけなくてもしっかり見えた。とりあえず、修学旅行当日はあの家に迎えに行こうと決意する。
どんなに嫌われても、この二人で行動することはもう覆せないのだ。だったら自分がしつこく付きまとって、アレを捕まえるより他に手はない。
(……お金で割り切るのはお互い打算的でいい案だと思ったんだけどな)
連続で鳴らし続ける弦から伝わるビリビリの緊張感は、まるで二人の関係そのもの。ジャインッとピックを跳ね上げ、勝行はふうと息をつく。気づけばもう夜になっていた。
とりあえず修学旅行が終わるまでの3日間だけは『友だち』でいよう。そう決意しながら窓を閉めた。
自宅マンションに帰り、部屋でギターをありったけかき鳴らしながら、勝行は改めて作戦を練り直すことにした。
財布をちらつかせたものの、簡単に金だけでは解決しなさそうだ。まだ彼の本音はよくわからない。
それにうっかり本性を出しすぎたかもしれない。
(ちょっと虐めがいがあるというか……アイツ意外と可愛いよな)
近寄ればビクッとして離れるくせに、離れた途端何度も勝行の存在を確認する。目が合うとすごい勢いで顔を逸らすし、その耳は真っ赤だ。警戒しつつもこちらが気になってしょうがないらしい。からかい過ぎて蹴られたが、全然本気の暴力じゃなかった。
――やっぱり友だち、欲しいんじゃないか。
そう思って歩み寄ってみたつもりだったのだが、取引交渉に入った途端逃げられた。
(んー……なんかしくじったかな)
ハウスキーパーや庭師、調理人。相羽家ではたくさんの人間を「賃金」で雇い、生活を支えてもらっている。人を買うという感覚に違和感がなかった勝行は、光に「さてはお前ヤバイ奴だな⁉」と怖がられた理由がよくわからなかった。まあ、彼は曲がりなりにも意思を持った生き物――楽器のように簡単に買えるはずがない。この話はいったん保留だ。
逃げた光の自宅は別れた路地からすぐ近くだったので、追いかけなくてもしっかり見えた。とりあえず、修学旅行当日はあの家に迎えに行こうと決意する。
どんなに嫌われても、この二人で行動することはもう覆せないのだ。だったら自分がしつこく付きまとって、アレを捕まえるより他に手はない。
(……お金で割り切るのはお互い打算的でいい案だと思ったんだけどな)
連続で鳴らし続ける弦から伝わるビリビリの緊張感は、まるで二人の関係そのもの。ジャインッとピックを跳ね上げ、勝行はふうと息をつく。気づけばもう夜になっていた。
とりあえず修学旅行が終わるまでの3日間だけは『友だち』でいよう。そう決意しながら窓を閉めた。
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