できそこないの幸せ

さくら怜音

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第九章 VS相羽修行

16 *R

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「これじゃ光の恋人失格だ。お前を護るどころか、傷つけてしまう……」
「……恋人って、相手を護ることが絶対条件なのか?」

勝行の愚痴に違和感を覚えた。
光は勝行の腕を無理やり引いてベッドに押し倒した。それから痛む腰をよいしょと引き上げ、ドスっと太腿の上で馬乗りになる。突然のことに驚いたのか、勝行は無抵抗だった。

「俺はお前の後ろに隠れてる、か弱いお姫様なんかじゃないぜ」
「……それは、わかってる」

思えば勝行はいつでも「してあげる」「守る」という言葉を自分に投げかけてきた。それをなんの違和感もなく受け止めていたけれど、今の光は違う。

「確かに病気のこととか、バンドのことも……俺弱っちいし、助けられてばっかだけどさ。俺もお前の役に立ちてえんだよ。前にも言っただろ」
「光……」
「それに、嫉妬して俺にエロいことしてくる分には別に構わねえよ。俺がそうしろって言ったんだから。相手を殺そうとしなかっただけ、お前も成長してんじゃん。最初は銃持って大暴れしてたんだぜ、あれを止められたのは俺しかいないって」

去年の勝行は暴力団をひとつ潰してまで光を助けに来た。芸能界の重鎮や桐吾を、あまつさえ自分すらも殺しかねない危うさがあった。そんな彼の暴走を止められるのは、桐吾に鍛えられた自分しかいないはず。そう思った途端、あれほど嫌だと思っていた自分の性癖すらも、武器になると閃いた。皮肉なもので、その発想はケイ相手に提案したことと何も違わない。

「言いたくなかったけど……聞いて怒んなよ」
「な、何……?」
「俺さ。セックス依存症なんだ」
「……依存症?」
「もう一人のお前と寝てたって知ってんだろ。ムカつくことがあったら、お互いセックスでストレス発散してたんだぜ。こうやって、俺から無理やり誘ってな」

そう言いながら勝行の股間を撫でさすり、シャツのボタンをひとつ外し、ひくひくと反応する腹筋に指を這わす。不能のノンケ、と散々保に言われていたが、ちゃんと光の一挙一動に反応してくる。積極的に攻撃するのも楽しそう。光は唇をひと舐めした。

「こんな身体にした親を恨んだ時もあったけど、もう隠したり誰かのせいにする気ねえ。お前にドン引きされるのが嫌で黙ってたけど、ほんとは毎日したい。だからもっとやって」
「もっとやってってお前……今、痛いんだろ?」
「ああ。だってお前の意地悪、ねちっこいし長い。疲れる」
「うっ……」
「潤滑剤もロクにつけてくれねえし、俺はこっちが欲しいって言ってんのにさ。親父を引き合いにして文句言うんなら、俺も言ってやる。お前、親父より下手くそ」
「……なんだと」
「でも……親父のより、デカいし、すんげー気持ちいい。俺、コレが好き。キスとおんなじくらい」

光の愛撫で勝行の一物はズボン越しでも分かるほど、硬く盛り上がってくる。はち切れそうな形に膨れ上がったそれが見たくて、文句を言う勝行を無視してベルトもファスナーも取っ払うと、立派な武器が勢いよくそそり立った。思わず生唾をごくりと呑み込む。

「凶悪なサイズにサディスティックな性格。これが相羽家の遺伝子か……確かにひ弱な女は逃げるわ」
「う……う、うるさい……っ」
「でも俺は、逃げない。いくらでも付き合うから……セックスもいっぱい練習しようぜ」
「れ、練習って」
「だってお前、いつも努力の積み重ねが大事とかいうじゃん。歌も、ギターも」
「まさか……セッションと同じ感覚でセックスしようって言ってんのかお前」
「ああそうだよ。悪いか? だって俺たち、まだ恋人同士のセックスはやったことないんだぜ。最初っからうまくいくわけないじゃん」
「……っ」

そう、これからしたいと思っていることはお互い未経験のゾーンなのだ。経験豊富な光でさえ、知らない世界。

「で、でも……俺は、お前を抱くのは高校卒業してからって決めてるんだっ」
「へえ、なんで」
「道徳的な問題!」
「変なの、人のケツ弄って散々虐めてくるくせに」

光は馬乗りになったままぬちぬちと勝行の一物を触って可愛がる。まだ昨夜の負い目があるのか、勝行は文句を言いつつも顔を覆うだけで抵抗はしない。代わりに手の甲を噛んで喘ぎ声を必死に我慢しているようだ。珍しい勝行の涙目にぐっとそそられる。

(やべえなこの姿勢……コイツいっつもこんな顔してる俺を見てんのか)

我慢できず自分の分身も下着から引き抜いて扱き出した。それから耳まで真っ赤な勝行に顔を近づけ、「今ココでする?」と囁く。
さっきまで痛いと思っていた後孔も、この巨大な武器で最奥を突かれた妄想に耽った途端、じんじん疼き出した。

「……こ……擦り合い、だけなら……」

視線を泳がせながら、勝行が妥協案を出してきた。光は思わず「おっマジで?」と笑顔を零す。

「……あれだったらお前の負担にならないはずだし。……その……俺も、気持ちいい、し」
「それでいい、それやろう。俺、お前のちんこでイキたい」
「ダイレクトに言うなっ」

どうやら真面目モードの時の勝行は、そういう行為が嫌いなのではなく、恥ずかしいことだと思っているだけのようだ。そのうちブチ切れて鬼畜なブラックモードになるかもしれないが、それはそれで自分が手綱を握ってしまえばいい。
向かい合って座り直し、何度もキスを繰り返しながら、光と勝行は互いの滾る劣情を擦り合った。

「んっ……気持ちい……ん、んぁっ」
「光……ひかる……かわいい……光……っ」

いざ開き直るとスイッチの入った勝行が、うわ言のように光の名を呼び続ける。止まらない自分の腰とサイズ感が違う己の武器を何度もゴリゴリと押し付けながら。

「キスして……もっと、もっと……っ」

最初は遠慮がちに。だんだんと激しく、吸いつきながら。最後は立派な歯形をつけて。勝行は光の首に何度もマーキングを施し、きつく抱きしめながら勢いよく精を解き放った。先に絶頂を迎えたせいで力尽き、俯き加減だった光の顔にも大量の白濁液が飛び散る。

「はあ……はあっ……」
「はは……やるじゃん……顔射かよ……」
「あっ、ご、ごめん……って舐めるなよ、汚いのに」

口の近くに飛んだそれをぺろりと舐めとり、光は「勝行の味、好き」と妖艶に微笑んだ。

「なんか楽しくなってきた。卒業するまでの間に、俺が毎日調教してやる」
「そういう言い方すんなよ。……なんか、セフレみたいで嫌だ。俺はもっと普通の恋人っぽくなりたいのに……」
「普通ってどんな?」
「……わからない。だって俺、お前以外好きになったりしたことない」
「じゃああのエロい玩具とか知識、どこで手に入れたんだよ」
「ネット」
「現代っ子かよ!」

ドS優等生の意外な情報源を知り、笑い転げすぎた光は再び腰を痛めた。

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