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第一章
第39話 護衛
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「シッ!」
「わ~凄ーい」
「にゃにゃ~」
ルビアさんが空を飛んでいたトンビのような鳥を射かける。ニカとルキナちゃんが尊敬の眼差しをルビアさんに向けて声をあげてる。
「弓の才能だけはあるんだよね、私って~。ニカ君達もやってみる? すぐに作るよ~」
森にやってきてエナさんが言っていた通り、矢を作っていたルビアさん。矢だけじゃなくて弓まで手作りできるみたいでちゃっちゃと作っていく。
今さっき落とした鳥の羽根でやを作って、筋肉のすじを使って弦を作る。素早く作るものだから思わず感心しちゃうな。
「はい、二人の分とハヤトっちの分。アイラさんはもう一匹落としたらね~」
「「ありがと~」にゃ~」
「僕のも作ってたのか」
てきぱきと作っていくルビアさんが弓を手渡してくる。ニカとルキナちゃんは楽しそうに弦をひっぱって遊んでいる。
「矢はこれね~」
「……」
「はいはい、エナのも作るって。そんな怖い顔しない」
ルビアさんが矢も手渡してくれるとエナさんが彼女を睨みつけていた。仲間外れにされたと思ったのか。結構、無表情なエナさんだけど、気分は読みやすいな。
『弓術を習得しました』
「あら」
ルビアさんとエナさんの観察しているといつものシステム音声さんが聞こえてきた。弓矢を持っただけで習得って相変わらずチートだな。
ではでは早速試しに射ってみますか。
「こうかな? ってええ!?」
シュパ!
矢をつがえて弦を引き、木に向かって放つと矢が鋭い音を立てた。
矢は見事に木を貫いて二本目の木へと突き刺さった。恐ろしいほどの威力にみんな唖然としてる。
「は、ははは。ハヤトは~、またまぐれでそんな~」
「は、ははは、お兄ちゃんはも~」
「そ、そうなんだよ~。ははは」
アイラが重い空気の中、声をあげるとニカも追従して声をあげる。僕も誤魔化すように笑うとルビアさんとエナさんがコソコソと内緒話を始めた。
「はいは~い。じゃあさ~もっかい木に向かって矢を射ってくださいな~」
「……射って」
内緒話が終わるとルビアさんが元気に声をあげた。エナさんも顔を近づけてきて呟いてくる。更に重い空気になるのを感じた僕らは生唾を飲み込んで顔を見合う。
「マスタ~、ゴブリンにゃ~。倒すにゃ~」
「お、おおっと~。ゴブリンがいるんじゃしょうがない! 弓は置いておいて~、みんな行くぞ~」
「「お、おお~~」」
ルキナちゃんの機転でゴブリン討伐へと走り出す。ニカとアイラに目配せすると頷いて答えてくれた。
ルビアさんとエナさんを見るとヤレヤレといった様子で首を振るルビアさんに頷くエナさんが見えた。なんか色々無理があるのかもな。
「にゃ~!」
「終わり~。ルキナと僕最強~」
ゴブリンは5匹ほどでルキナちゃんとニカがすべて倒した。二人は本当に強くなったな~。ルキナちゃんなんて短剣の二刀流で竜巻みたいに回転して、倒しちゃうんだもんな。あんなかっこよく戦えるなら真似したいな。
「ルキナちゃんは遠方の忍者みたいな戦い方をするんだね」
「にゃ?」
ルキナちゃんの頭を撫でながら気になることを口にするルビアさん。この世界に忍者と言う言葉があるとは思わなかった僕は思わずルビアさんに詰め寄る。
「その話詳しく!」
「ちょ、ハヤトっち、近い!」
「おっとすみません。忍者なんて聞いたらいてもたってもいられなくて」
思わず顔を近づけて聞いてしまった。ルビアさんは焦って両手で僕の顔を突き放してきた。
忍者、侍は大好物だからな。出来ればこの剣も刀にしたかったが目立つからやめたくらいだ。
「苦無って言われる小刀を投げて使ったり、忍術って言う魔法を使ったりする人たちのことだよ。そんなに興味しんしんってことはハヤトっちは知ってるの?」
「忍者って言うのを聞いたことがある程度です。憧れみたいなものですよ」
ルビアさんが説明して聞いてきたから素直に答えた。忍者って言うのがあるなら差し支えない答えだろう。
「ふ~ん。忍者って結構知らない人ばかりなのに、ハヤトっちは情報通だね」
「ははは、そうですか?」
ルビアさんが肘で小突いてきて褒めてくる。思わず照れてしまう。
そんな雑談をしながら魔石やドロップアイテムを回収していると不意に気配を感じた。アイラも気が付いてエリュシオンに跨る。
「おいおい。高く売れそうな女や子供ばかりだな」
そんな声と共に盗賊のような恰好をした男達が僕らを取り囲んできた。
「誰? あなた達。雇い主は?」
「はぁ? 俺達はただの盗賊だぜ姉ちゃん」
ルビアさんの声に首を振って答える盗賊。自分で盗賊と言うやつも珍しい。
「……oneMagic FireStorm」
「な!? ぎゃ~」
エナさんが小さく呟いて炎の竜巻の魔法を唱えた。何が起こったのかわからずに盗賊達は燃えかすになっていく。生き残った一人にルビアさんが詰めよると矢を突きつけて笑顔を作った。
「もう一度言うわよ。雇い主は?」
「あ、アキムとかいう奴隷商です。あの人たちについて来いって言われただけで、それしか知りません」
「そっ! じゃあ衛兵に突き出すわね」
ルビアさんの質問に素直に答えた生き残りの男。答えを聞いたルビアさんは満面の笑みで男を縛っていく。木の蔓で作った縄だけど、結構丈夫だな。
「やっぱり外にこれてよかった~」
「……守りやすい」
「そうそう、守りやすい」
ルビアさんが万歳して叫ぶとエナさんが呟く。守りやすいってもしかして僕らのことだったのか?
ルビアさん達に訳を聞いたらカタリナ様が雇ってくれていたのが分かった。アキムのことはカタリナ様も知っているみたいで今話をしてるらしい。
あんなのと話しをしても憤りを覚えるだけだと思うけどな。
でも、なんで僕らに内緒にしてたんだろう?
守る対象が知らない方が敵を騙しやすいってやつかな。敵を欺くならまず味方からってやつか。
「わ~凄ーい」
「にゃにゃ~」
ルビアさんが空を飛んでいたトンビのような鳥を射かける。ニカとルキナちゃんが尊敬の眼差しをルビアさんに向けて声をあげてる。
「弓の才能だけはあるんだよね、私って~。ニカ君達もやってみる? すぐに作るよ~」
森にやってきてエナさんが言っていた通り、矢を作っていたルビアさん。矢だけじゃなくて弓まで手作りできるみたいでちゃっちゃと作っていく。
今さっき落とした鳥の羽根でやを作って、筋肉のすじを使って弦を作る。素早く作るものだから思わず感心しちゃうな。
「はい、二人の分とハヤトっちの分。アイラさんはもう一匹落としたらね~」
「「ありがと~」にゃ~」
「僕のも作ってたのか」
てきぱきと作っていくルビアさんが弓を手渡してくる。ニカとルキナちゃんは楽しそうに弦をひっぱって遊んでいる。
「矢はこれね~」
「……」
「はいはい、エナのも作るって。そんな怖い顔しない」
ルビアさんが矢も手渡してくれるとエナさんが彼女を睨みつけていた。仲間外れにされたと思ったのか。結構、無表情なエナさんだけど、気分は読みやすいな。
『弓術を習得しました』
「あら」
ルビアさんとエナさんの観察しているといつものシステム音声さんが聞こえてきた。弓矢を持っただけで習得って相変わらずチートだな。
ではでは早速試しに射ってみますか。
「こうかな? ってええ!?」
シュパ!
矢をつがえて弦を引き、木に向かって放つと矢が鋭い音を立てた。
矢は見事に木を貫いて二本目の木へと突き刺さった。恐ろしいほどの威力にみんな唖然としてる。
「は、ははは。ハヤトは~、またまぐれでそんな~」
「は、ははは、お兄ちゃんはも~」
「そ、そうなんだよ~。ははは」
アイラが重い空気の中、声をあげるとニカも追従して声をあげる。僕も誤魔化すように笑うとルビアさんとエナさんがコソコソと内緒話を始めた。
「はいは~い。じゃあさ~もっかい木に向かって矢を射ってくださいな~」
「……射って」
内緒話が終わるとルビアさんが元気に声をあげた。エナさんも顔を近づけてきて呟いてくる。更に重い空気になるのを感じた僕らは生唾を飲み込んで顔を見合う。
「マスタ~、ゴブリンにゃ~。倒すにゃ~」
「お、おおっと~。ゴブリンがいるんじゃしょうがない! 弓は置いておいて~、みんな行くぞ~」
「「お、おお~~」」
ルキナちゃんの機転でゴブリン討伐へと走り出す。ニカとアイラに目配せすると頷いて答えてくれた。
ルビアさんとエナさんを見るとヤレヤレといった様子で首を振るルビアさんに頷くエナさんが見えた。なんか色々無理があるのかもな。
「にゃ~!」
「終わり~。ルキナと僕最強~」
ゴブリンは5匹ほどでルキナちゃんとニカがすべて倒した。二人は本当に強くなったな~。ルキナちゃんなんて短剣の二刀流で竜巻みたいに回転して、倒しちゃうんだもんな。あんなかっこよく戦えるなら真似したいな。
「ルキナちゃんは遠方の忍者みたいな戦い方をするんだね」
「にゃ?」
ルキナちゃんの頭を撫でながら気になることを口にするルビアさん。この世界に忍者と言う言葉があるとは思わなかった僕は思わずルビアさんに詰め寄る。
「その話詳しく!」
「ちょ、ハヤトっち、近い!」
「おっとすみません。忍者なんて聞いたらいてもたってもいられなくて」
思わず顔を近づけて聞いてしまった。ルビアさんは焦って両手で僕の顔を突き放してきた。
忍者、侍は大好物だからな。出来ればこの剣も刀にしたかったが目立つからやめたくらいだ。
「苦無って言われる小刀を投げて使ったり、忍術って言う魔法を使ったりする人たちのことだよ。そんなに興味しんしんってことはハヤトっちは知ってるの?」
「忍者って言うのを聞いたことがある程度です。憧れみたいなものですよ」
ルビアさんが説明して聞いてきたから素直に答えた。忍者って言うのがあるなら差し支えない答えだろう。
「ふ~ん。忍者って結構知らない人ばかりなのに、ハヤトっちは情報通だね」
「ははは、そうですか?」
ルビアさんが肘で小突いてきて褒めてくる。思わず照れてしまう。
そんな雑談をしながら魔石やドロップアイテムを回収していると不意に気配を感じた。アイラも気が付いてエリュシオンに跨る。
「おいおい。高く売れそうな女や子供ばかりだな」
そんな声と共に盗賊のような恰好をした男達が僕らを取り囲んできた。
「誰? あなた達。雇い主は?」
「はぁ? 俺達はただの盗賊だぜ姉ちゃん」
ルビアさんの声に首を振って答える盗賊。自分で盗賊と言うやつも珍しい。
「……oneMagic FireStorm」
「な!? ぎゃ~」
エナさんが小さく呟いて炎の竜巻の魔法を唱えた。何が起こったのかわからずに盗賊達は燃えかすになっていく。生き残った一人にルビアさんが詰めよると矢を突きつけて笑顔を作った。
「もう一度言うわよ。雇い主は?」
「あ、アキムとかいう奴隷商です。あの人たちについて来いって言われただけで、それしか知りません」
「そっ! じゃあ衛兵に突き出すわね」
ルビアさんの質問に素直に答えた生き残りの男。答えを聞いたルビアさんは満面の笑みで男を縛っていく。木の蔓で作った縄だけど、結構丈夫だな。
「やっぱり外にこれてよかった~」
「……守りやすい」
「そうそう、守りやすい」
ルビアさんが万歳して叫ぶとエナさんが呟く。守りやすいってもしかして僕らのことだったのか?
ルビアさん達に訳を聞いたらカタリナ様が雇ってくれていたのが分かった。アキムのことはカタリナ様も知っているみたいで今話をしてるらしい。
あんなのと話しをしても憤りを覚えるだけだと思うけどな。
でも、なんで僕らに内緒にしてたんだろう?
守る対象が知らない方が敵を騙しやすいってやつかな。敵を欺くならまず味方からってやつか。
応援ありがとうございます!
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