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第二十話 裸の付き合い
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マニュとの散歩から帰ると、玄関でサキちゃんとルーラと顔を合わせた。
「おかえりなさい、パパ! しゃせーしますかっ?」
「ただいま、サキちゃん。しゃせーはしません。それより、どこか行くの?」
「うん! えっとね、ば、にゃにゃ? ばにゃにゃ!」
「ばにゃにゃ……」
言葉足らずすぎてよく分からなかったけど、とりあえず満面の笑顔はかわいかった。
補足はルーラに頼むことにしよう。
「どういうこと?」
「サキ様が『バナナ』を食べたいと言っておりますので、今から採りに行くところです」
ああ、なるほど。『ばにゃにゃ』は『バナナ』という意味か。
森の中にはいろんな植物が自生しているので、バナナもきっとあるのだろう。
「ばにゃにゃ、おいしーんだよ! パパにもたべさせてあげるねっ」
「うん、楽しみにしてる」
「……おやつははバナナを使ってクレープでも作りましょうか。たくさん採れれば良いのですが」
ルーラの言葉に、俺の隣にいたマニュが声を弾ませる。
「クレープ!? わーい、わたしクレープ好きっ。村娘ちゃん、一緒に行ってあげよっか? バナナがあったところに案内してあげる!」
邪神のくせに甘い物が大好きらしい。
目もキラキラと輝いていた。
「案内していただけるのなら嬉しいです。ご主人様は、エレオノーラ様とお留守番しておいてくださいませ」
「いっぱいとってくる!」
「じゃあ、また後でねっ。おにーちゃんっ」
「うん、楽しみに待ってる」
意気揚々と出て行く三人を見送って、俺もお家の中に入った。
「おかえりなさい、下僕。二人きりね」
部屋ではエレオノーラが本を読んでいた。
座布団の上で女の子座りして、くつろいでいるように見える。
「みんなはバナナ採ってくるみたい。おやつはクレープって、ルーラが言ってたよ?」
「あら、楽しみね……この家に来て良かったことは、あの子が料理上手なところよね。毎日美味しいごはんが食べられて幸せだわ」
「俺も、心からそう思う」
同意である。特に数日前まではひもじい生活をしていたので、反動なのか未だにごはんは食べすぎてしまうくらいだ。
「このままだと順調に太りそうだなぁ」
「ふふっ。いっぱい食べて太るのは悪いことじゃないわよ? 幸せな証拠じゃない」
そうなのだろうか。
まぁ、確かに結婚したりすると『幸せ太り』みたいな現象が起きるようだし、あながち間違ってはないのかもしれない。
「まぁ、少しずつダメになっていきなさい? 最終的には、私たちなしでは生きられない体にしてあげるから」
「い、いや、それは遠慮しとく」
さすがにそこまでダメ人間になるつもりはなかった。
幼女にお世話されるだけのヒモニートになるのは、なかなか才能が必要だと思う。
俺は適度に家計に貢献するような立ち位置を手に入れたい。
そうなれるように意識しておかないとっ。
――と、将来について考えていたところで、エレオノーラがこんなことを言った。
「下僕、今のうちにお風呂に入ってきたら? 少し、臭うわよ?」
「え? 嘘っ……ごめんね、不快な気分にさせて」
そういえば、朝はサキちゃんといっぱい遊んだし、昼はマニュと散歩をして少し汗をかいたかもしれない。
子供とはいえ、女の子と暮らしているのだ。
衛生面は特に気を付けないといけないだろう。
「いえ、別に不快ではないけれど。おやつの前にサッパリした方がいいんじゃないかしら?」
彼女の提案に、俺は迷いなく頷いた。
「分かった。ちょっと入ってくる」
「えぇ……どうぞ、ごゆっくり」
…………?
なんとなくエレオノーラの微笑から怪しい気配を感じた。
悪い予感がする。
まぁ、微かな違和感でしかなかったのでこの時はあまり気にしていなかったのだが、その悪い予感はすぐに的中することになる。
衣服を持って、俺はお風呂場へと移動した。
裸になって体を洗っていたところで――
「ふぅ……私も臭うから、一緒にお風呂入るわね?」
――エレオノーラが、乱入したきた。
裸で。
「え!? いやいや、冗談きついよっ」
「……そうね。正直に白状すると、別に私は臭わないし、下僕も無臭だったわ。冗談にしても『臭う』なんて言ってごめんなさい」
「違うっ。そこじゃなくて! なんで、一緒に入るの!?」
「私がただ下僕とお風呂に入りたいだけよ。そのために、あなたをお風呂場に誘導したのだから」
どうやら俺は、見事に彼女の策略にかかっていたようだ。
さすがは魔王の娘である。抜け目なかった。
「せっかく二人きりなのだし、裸のお付き合いといこうじゃない。お互いに何も着ていない方が、腹を割って話もできるってものよ」
「……腹を割ってする話、ある?」
「ないわ。とにかく一緒に入りたいから、適当な理由作ってるだけね」
正直なのはいいことである。
しかし、あれだった……女の子より男である俺が恥ずかしがるのは、ちょっとおかしいのだろうか。
エレオノーラは平然としている。
だから俺も、あんまり意識する必要はないのかもしれない。
……そういうことで、俺と彼女は裸のお付き合いをすることになったのだ――
「おかえりなさい、パパ! しゃせーしますかっ?」
「ただいま、サキちゃん。しゃせーはしません。それより、どこか行くの?」
「うん! えっとね、ば、にゃにゃ? ばにゃにゃ!」
「ばにゃにゃ……」
言葉足らずすぎてよく分からなかったけど、とりあえず満面の笑顔はかわいかった。
補足はルーラに頼むことにしよう。
「どういうこと?」
「サキ様が『バナナ』を食べたいと言っておりますので、今から採りに行くところです」
ああ、なるほど。『ばにゃにゃ』は『バナナ』という意味か。
森の中にはいろんな植物が自生しているので、バナナもきっとあるのだろう。
「ばにゃにゃ、おいしーんだよ! パパにもたべさせてあげるねっ」
「うん、楽しみにしてる」
「……おやつははバナナを使ってクレープでも作りましょうか。たくさん採れれば良いのですが」
ルーラの言葉に、俺の隣にいたマニュが声を弾ませる。
「クレープ!? わーい、わたしクレープ好きっ。村娘ちゃん、一緒に行ってあげよっか? バナナがあったところに案内してあげる!」
邪神のくせに甘い物が大好きらしい。
目もキラキラと輝いていた。
「案内していただけるのなら嬉しいです。ご主人様は、エレオノーラ様とお留守番しておいてくださいませ」
「いっぱいとってくる!」
「じゃあ、また後でねっ。おにーちゃんっ」
「うん、楽しみに待ってる」
意気揚々と出て行く三人を見送って、俺もお家の中に入った。
「おかえりなさい、下僕。二人きりね」
部屋ではエレオノーラが本を読んでいた。
座布団の上で女の子座りして、くつろいでいるように見える。
「みんなはバナナ採ってくるみたい。おやつはクレープって、ルーラが言ってたよ?」
「あら、楽しみね……この家に来て良かったことは、あの子が料理上手なところよね。毎日美味しいごはんが食べられて幸せだわ」
「俺も、心からそう思う」
同意である。特に数日前まではひもじい生活をしていたので、反動なのか未だにごはんは食べすぎてしまうくらいだ。
「このままだと順調に太りそうだなぁ」
「ふふっ。いっぱい食べて太るのは悪いことじゃないわよ? 幸せな証拠じゃない」
そうなのだろうか。
まぁ、確かに結婚したりすると『幸せ太り』みたいな現象が起きるようだし、あながち間違ってはないのかもしれない。
「まぁ、少しずつダメになっていきなさい? 最終的には、私たちなしでは生きられない体にしてあげるから」
「い、いや、それは遠慮しとく」
さすがにそこまでダメ人間になるつもりはなかった。
幼女にお世話されるだけのヒモニートになるのは、なかなか才能が必要だと思う。
俺は適度に家計に貢献するような立ち位置を手に入れたい。
そうなれるように意識しておかないとっ。
――と、将来について考えていたところで、エレオノーラがこんなことを言った。
「下僕、今のうちにお風呂に入ってきたら? 少し、臭うわよ?」
「え? 嘘っ……ごめんね、不快な気分にさせて」
そういえば、朝はサキちゃんといっぱい遊んだし、昼はマニュと散歩をして少し汗をかいたかもしれない。
子供とはいえ、女の子と暮らしているのだ。
衛生面は特に気を付けないといけないだろう。
「いえ、別に不快ではないけれど。おやつの前にサッパリした方がいいんじゃないかしら?」
彼女の提案に、俺は迷いなく頷いた。
「分かった。ちょっと入ってくる」
「えぇ……どうぞ、ごゆっくり」
…………?
なんとなくエレオノーラの微笑から怪しい気配を感じた。
悪い予感がする。
まぁ、微かな違和感でしかなかったのでこの時はあまり気にしていなかったのだが、その悪い予感はすぐに的中することになる。
衣服を持って、俺はお風呂場へと移動した。
裸になって体を洗っていたところで――
「ふぅ……私も臭うから、一緒にお風呂入るわね?」
――エレオノーラが、乱入したきた。
裸で。
「え!? いやいや、冗談きついよっ」
「……そうね。正直に白状すると、別に私は臭わないし、下僕も無臭だったわ。冗談にしても『臭う』なんて言ってごめんなさい」
「違うっ。そこじゃなくて! なんで、一緒に入るの!?」
「私がただ下僕とお風呂に入りたいだけよ。そのために、あなたをお風呂場に誘導したのだから」
どうやら俺は、見事に彼女の策略にかかっていたようだ。
さすがは魔王の娘である。抜け目なかった。
「せっかく二人きりなのだし、裸のお付き合いといこうじゃない。お互いに何も着ていない方が、腹を割って話もできるってものよ」
「……腹を割ってする話、ある?」
「ないわ。とにかく一緒に入りたいから、適当な理由作ってるだけね」
正直なのはいいことである。
しかし、あれだった……女の子より男である俺が恥ずかしがるのは、ちょっとおかしいのだろうか。
エレオノーラは平然としている。
だから俺も、あんまり意識する必要はないのかもしれない。
……そういうことで、俺と彼女は裸のお付き合いをすることになったのだ――
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