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第七話「思い出の中の二人」5
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翌日も樋坂君は生徒会室にやってきて手伝ってくれている。
(そういえば今日のお昼、食堂で樋坂君を見かけたんだった、せっかくだからその時のことでも聞いてみるか)
私はそう思い至って、樋坂君に話しかけた。
「お昼、食堂に行ってたでしょ?」
「ああ、行ってたけど、それがどうかした?」
「その時に思いだしたの。実は樋坂君のことはよく聞いてたし、見かけたこともあったって。
あなた、唯花さんと仲良いでしょ? 今日もお昼一緒してたみたいだし、それに、あなたって本当よく食べるのね。昼間からあんなにたくさん食べる人、珍しいわよ」
話す話題が浮かび、自然と一緒にいれるのが嬉しくなって、声が弾んでしまっていた。
孤独なやり方をしながら、孤独を望んでいるわけではない、そんな自分の姿を表しているかのようだった。
「まぁ、唯花はお隣さんだからな、親世代からの縁だよ。
それにちゃんと食べないと元気出ないだろ……、女子が少食すぎるんだよ」
彼は軽く言うが、500グラムはありそうな山盛りのカレーライスを食べるのは行き過ぎだと私は思っている。うちの食堂にそんなサイズの注文ができたのかと驚くほどだ。
「実は、唯花さんとはよく話すのよ。唯花さん図書委員してるでしょ? それでよく図書準備室でこっそりお茶したりして、このことは内緒だけど、そういうこともあって、よく話すのだけど、唯花さんとの話しにあなたのこともよく出てくるから」
さすがに唯花さんと話してるとき、樋坂君の話しをされても、まるで興味を持ってなかったということは言えなかった。
樋坂君のことは、こうして一緒に過ごすようになって、思い出したように意識するようになったのだ。
「唯花と仲良かったのか、それ自体は気が合いそうだから不思議に思わないが、あいつそんなに人の事ベラベラ話してるのか……」
樋坂君の方からも唯花さんのことを聞くと、余計に二人の親密さを実感することになった。
「いいじゃない、それだけ愛されてるってことでしょ?」
うっかりしてしまい、思わず私は思い切ったことを言ってしまった。
でも、周りからもそう見えていることを私は知っているので、特段私が特別視しているというわけではないだろう。
「唯花とはそういうんじゃないっての」
樋坂君は軽い調子で否定した。
「そうなの? もったいない、唯花さんは私から見ても素敵な人なのに」
頭の中に唯花さんの姿が浮かぶ。
いつも身だしなみもちゃんとしていて大学生のような上品な洋服を着て、魅力的なスタイルでパッチリとした目元も含めて顔立ちも良く、性格もいい、歌も上手でどこも申し分ないほどで、文句の付けどころがないほどだ。
「もう家族みたいなもんだよ、ずっと家族ぐるみで付き合ってきたんだから」
「へぇ、そういう人がいるっていいわね。私はもう、家を出て長いから。家族みたいに、本当に信じあえる相手なんていないから」
二人に比べて私なんて……、そんな気持ちが思わす口をついて出ていた。
それを聞いた樋坂君は、いつもより少し表情を曇らせて私のことを見ていた。
同情を誘っているような私の心の内が、この時、一番発露してしまっていたと思う。
それからも樋坂君はどういうわけか、頻繁に生徒会室を訪れ私の仕事を手伝ってくれた。
それ自体は感謝していて拒絶することではなかったけど、樋坂君には唯花さんという幼馴染もいるのにと思ってしまい、私の胸の内にある心情は複雑だった。
(そういえば今日のお昼、食堂で樋坂君を見かけたんだった、せっかくだからその時のことでも聞いてみるか)
私はそう思い至って、樋坂君に話しかけた。
「お昼、食堂に行ってたでしょ?」
「ああ、行ってたけど、それがどうかした?」
「その時に思いだしたの。実は樋坂君のことはよく聞いてたし、見かけたこともあったって。
あなた、唯花さんと仲良いでしょ? 今日もお昼一緒してたみたいだし、それに、あなたって本当よく食べるのね。昼間からあんなにたくさん食べる人、珍しいわよ」
話す話題が浮かび、自然と一緒にいれるのが嬉しくなって、声が弾んでしまっていた。
孤独なやり方をしながら、孤独を望んでいるわけではない、そんな自分の姿を表しているかのようだった。
「まぁ、唯花はお隣さんだからな、親世代からの縁だよ。
それにちゃんと食べないと元気出ないだろ……、女子が少食すぎるんだよ」
彼は軽く言うが、500グラムはありそうな山盛りのカレーライスを食べるのは行き過ぎだと私は思っている。うちの食堂にそんなサイズの注文ができたのかと驚くほどだ。
「実は、唯花さんとはよく話すのよ。唯花さん図書委員してるでしょ? それでよく図書準備室でこっそりお茶したりして、このことは内緒だけど、そういうこともあって、よく話すのだけど、唯花さんとの話しにあなたのこともよく出てくるから」
さすがに唯花さんと話してるとき、樋坂君の話しをされても、まるで興味を持ってなかったということは言えなかった。
樋坂君のことは、こうして一緒に過ごすようになって、思い出したように意識するようになったのだ。
「唯花と仲良かったのか、それ自体は気が合いそうだから不思議に思わないが、あいつそんなに人の事ベラベラ話してるのか……」
樋坂君の方からも唯花さんのことを聞くと、余計に二人の親密さを実感することになった。
「いいじゃない、それだけ愛されてるってことでしょ?」
うっかりしてしまい、思わず私は思い切ったことを言ってしまった。
でも、周りからもそう見えていることを私は知っているので、特段私が特別視しているというわけではないだろう。
「唯花とはそういうんじゃないっての」
樋坂君は軽い調子で否定した。
「そうなの? もったいない、唯花さんは私から見ても素敵な人なのに」
頭の中に唯花さんの姿が浮かぶ。
いつも身だしなみもちゃんとしていて大学生のような上品な洋服を着て、魅力的なスタイルでパッチリとした目元も含めて顔立ちも良く、性格もいい、歌も上手でどこも申し分ないほどで、文句の付けどころがないほどだ。
「もう家族みたいなもんだよ、ずっと家族ぐるみで付き合ってきたんだから」
「へぇ、そういう人がいるっていいわね。私はもう、家を出て長いから。家族みたいに、本当に信じあえる相手なんていないから」
二人に比べて私なんて……、そんな気持ちが思わす口をついて出ていた。
それを聞いた樋坂君は、いつもより少し表情を曇らせて私のことを見ていた。
同情を誘っているような私の心の内が、この時、一番発露してしまっていたと思う。
それからも樋坂君はどういうわけか、頻繁に生徒会室を訪れ私の仕事を手伝ってくれた。
それ自体は感謝していて拒絶することではなかったけど、樋坂君には唯花さんという幼馴染もいるのにと思ってしまい、私の胸の内にある心情は複雑だった。
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