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その1 影武者令嬢はわがまま王女に婚約破棄された公爵令息に求婚される
第10話 わがまま王女と銀髪の王子様
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現在に戻って、晩餐会の夜。
婚約破棄騒動を起こした『わがまま』王女は、大臣達に囲まれて大騒ぎの中心に君臨していた。
騒ぎが落ち着くまでに、まだ少し時間がかかりそうだ。
一方、騒ぎを抜け出したウィリアムとジリアンは王宮の回廊を歩いている。
ミッドナイトブルーの礼装に身を固めたウィリアムは、マントを翻し、かちゃかちゃと剣の音を立てながら小走りで歩くジリアンの腕を、まだ掴んだままだった。
「ウィル! 早まるなよ? アネット殿下は、とても聡いお方だ。きっと何かがあったんだ。落ち着けばーーきっと、お前の話も聞いてくださる……」
「ジリアン、いいんだ。もう、そのことは考えないでいい」
「そうはいくか。殿下も、お前も、私にとっては大切な友人なんだ。こんな形で、2人が別れてしまうなんてーー」
悲しげな顔をして、必死で言葉にしようとしているジリアンの姿に、ウィリアムの心が痛んだ。
「ジリアン、落ち着け」
ウィリアムは、何とかジリアンの気持ちを軽くしようと試みる。
しかし、ジリアンは必死なあまり、ウィリアムの言葉はあまり聞いていないようだった。
「私ももう一度、殿下に話してみよう。それにーー国王陛下も力を貸してくださるかもーー」
「~~~~~~っ」
ウィリアムはがっくりと肩を落とすと、立ち止まって、ジリアンの両腕を掴んだ。
「ジリアン、なぜそんなに一生懸命になるんだ? 婚約破棄されたのは、お前じゃなくて、私だろう。そして私は大丈夫だ、と言っている」
「大丈夫なわけないだろう……!! 私だってーーお前がこんな目に遭ってーー大丈夫ではないーーお前のことが大切だからっ……!」
「ジリアン……………」
ウィリアムが再び、大きなため息をついた瞬間。
前方から、輝くような銀色の髪をした、際立った美貌の青年が歩いてきた。
麗しい貴族の紳士淑女が行き交う華やかな王宮とはいえ、ここまで美しい人物はそうはいない。
「ジークフリート?」
呆然として声をかけたジリアンに、ジークフリートはにこやかに微笑んだ。
「久しぶりだね、ジル」
まるで昨日も会ったね、とでも言うような、自然な調子だった。
女性達がうっとりする、エキゾチックな外国訛りのあるアクセント。
妹にでもするように、ジリアンの頭をぽんぽん、と撫でて、ウィリアムをイラッとさせるのも忘れない。
どこか神秘的な雰囲気を漂わせる美貌は、今でも密かに魔法が伝えられている、と言われるノール王国の出身だからかもしれない。
そのままジークフリートはジリアンを捕まえているウィリアムを一瞥することすらせず、優雅に回廊を歩いていくと、晩餐会が行われているバンケットホールに消えた。
「ノール王国第2王子、ジークフリート、ローデール王国第1王女、アネット殿下に結婚を申し込みます!」
ジークフリートの涼やかな声が宣言し、部屋は急に静まり返った。
次の瞬間、間髪を入れず、アネットの負けず嫌いな声が響き渡った。
「違いますわ! ジーク、結婚を申し込むのは、わたくしよ! あなただけをずっと愛しています。わたくしを妻にしてくださいませ!」
そのアネットの言葉に、会場は再び蜂の巣をつついたような大騒ぎになったのだった。
婚約破棄騒動を起こした『わがまま』王女は、大臣達に囲まれて大騒ぎの中心に君臨していた。
騒ぎが落ち着くまでに、まだ少し時間がかかりそうだ。
一方、騒ぎを抜け出したウィリアムとジリアンは王宮の回廊を歩いている。
ミッドナイトブルーの礼装に身を固めたウィリアムは、マントを翻し、かちゃかちゃと剣の音を立てながら小走りで歩くジリアンの腕を、まだ掴んだままだった。
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「そうはいくか。殿下も、お前も、私にとっては大切な友人なんだ。こんな形で、2人が別れてしまうなんてーー」
悲しげな顔をして、必死で言葉にしようとしているジリアンの姿に、ウィリアムの心が痛んだ。
「ジリアン、落ち着け」
ウィリアムは、何とかジリアンの気持ちを軽くしようと試みる。
しかし、ジリアンは必死なあまり、ウィリアムの言葉はあまり聞いていないようだった。
「私ももう一度、殿下に話してみよう。それにーー国王陛下も力を貸してくださるかもーー」
「~~~~~~っ」
ウィリアムはがっくりと肩を落とすと、立ち止まって、ジリアンの両腕を掴んだ。
「ジリアン、なぜそんなに一生懸命になるんだ? 婚約破棄されたのは、お前じゃなくて、私だろう。そして私は大丈夫だ、と言っている」
「大丈夫なわけないだろう……!! 私だってーーお前がこんな目に遭ってーー大丈夫ではないーーお前のことが大切だからっ……!」
「ジリアン……………」
ウィリアムが再び、大きなため息をついた瞬間。
前方から、輝くような銀色の髪をした、際立った美貌の青年が歩いてきた。
麗しい貴族の紳士淑女が行き交う華やかな王宮とはいえ、ここまで美しい人物はそうはいない。
「ジークフリート?」
呆然として声をかけたジリアンに、ジークフリートはにこやかに微笑んだ。
「久しぶりだね、ジル」
まるで昨日も会ったね、とでも言うような、自然な調子だった。
女性達がうっとりする、エキゾチックな外国訛りのあるアクセント。
妹にでもするように、ジリアンの頭をぽんぽん、と撫でて、ウィリアムをイラッとさせるのも忘れない。
どこか神秘的な雰囲気を漂わせる美貌は、今でも密かに魔法が伝えられている、と言われるノール王国の出身だからかもしれない。
そのままジークフリートはジリアンを捕まえているウィリアムを一瞥することすらせず、優雅に回廊を歩いていくと、晩餐会が行われているバンケットホールに消えた。
「ノール王国第2王子、ジークフリート、ローデール王国第1王女、アネット殿下に結婚を申し込みます!」
ジークフリートの涼やかな声が宣言し、部屋は急に静まり返った。
次の瞬間、間髪を入れず、アネットの負けず嫌いな声が響き渡った。
「違いますわ! ジーク、結婚を申し込むのは、わたくしよ! あなただけをずっと愛しています。わたくしを妻にしてくださいませ!」
そのアネットの言葉に、会場は再び蜂の巣をつついたような大騒ぎになったのだった。
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