闇精霊に好かれた精霊術師(旧題:ダンジョン最下層でパーティに見捨てられた精霊術師の少年、闇精霊に気に入られ最強の精霊使いになる。)

お茶っ葉

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三章

50話 時空属性

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 一面に広がる広大な平野を二台の馬車が緩やか速度で進んでいく。
 発展した中央大陸であっても都市間は未開発の土地が多く、豊かな自然に囲まれ空気が美味しい。
 ガタゴトと心地の良い音を鳴らし、小さな丘を登って車輪が小石を巻き込むたびに車体が縦に揺れる。

「……うぅ」
「……トル? もしかして酔った? 気持ち悪いなら外の景色は見ない方がいいよ」
「ううん……大丈夫」
「そっか。ちょっと前にこの辺りで戦闘があったのかもね。所々道が荒れてる」

 舗装された道の周辺には、穿たれた地面に焼け焦げた跡が続いていて戦いの痕跡が見られた。
 都市を目指す旅人の安全確保の為に、大規模な魔物狩りが行われていたのかもしれない。
 また何かを踏み越えたのか強い揺れが起こった。トルは身体を丸めて顔を青くしている。

 雷の翼を取得してからは、移動に空を飛ぶ事も多いのでこの感覚には未だに慣れない。
 胃の中を直接かき混ぜられているみたいだ。まぁでも雷の翼も速度が出るので結構酔うけど。
 景色を眺めると、遥か先に見える森には魔物ではない野生動物の群れが木々の間を走っていた。
 
「中央鹿の肉は燻製にすると大変美味なんですよ。屋敷に戻る際は是非とも持ち帰りたいものです。保存も効きますからいい土産になりますよ」
「お腹……空いてない。想像したら……うぅ……」
「レックさん、今は食べ物の話はしない方がいいかもです」
「ハハハ、どうやらそのようですね」

 僕とトルが座る席の向かいにはレックさんとセレーネが。他のお客はいない。
 貸し切りの状態で悠々と快適な旅を楽しめている。もう十日目になるだろうか。
 途中何ヵ所か中継地点を通り、今は最後の村を出発したところ。しばらくすれば目的地に辿り着くはず。

「それにしてもアウバストですか、話でよく耳にしていましたが実際に訪れるのは初めてですね」
「レックさんのお知り合いの方でもいらっしゃるんですか?」
「いえ、過去に私の兄が潜伏していた都市ですよ。今も連中の仲間が潜んでいる可能性がありますね」
「……そういえばそうでしたね」

 中級試験で戦った盗賊団の出身地。そう聞くとあまり良い印象を持てないけど。
 どんな場所にだって悪人は巣食っているものだから。規模が大きい分目立つだけだろう。

「迷宮都市というのは地下に通じる穴が平然と道の真ん中に放置されていたりするものです。まだ誰も踏み込んでいない未知の領域も無数に存在すると聞きます。無法者の隠れ家には持ってこいですからね」
「ただでさえ大きな都市なのに、迷宮まであるとなると治安維持は大変そうだ」
「その為に冒険者に一般開放されているのでしょう。常に誰かに監視されているのだという意識を持たせる。そうでもしないと騎士団だけで全域をカバーするのは難しい。苦肉の策なんでしょうか」

 なるほど、本腰入れて迷宮に挑むとするなら相応の準備と覚悟が必要と。
 想像していたより穏やかじゃない。一番の敵は魔物ではなく人ってところが特に。
 
「この辺も徐々に人通りが多くなってきな。どいつもこいつも面構えだけは立派に見える」
「きっとここにいる全員が大会の参加者なんだろうね。みんな強そうだなぁ」

 アウバスト周辺の土地に入ると、同じ道を進む冒険者たちの姿を見かける。
 誰も彼も装備の質からして違う。堂々とした佇まいは己の力に確かな自信があるんだろう。
 流石に見比べると自分が貧相に見えてきた。最後に装備を一新したのっていつだったっけ。

「……表面だけを取り繕った中身のない連中に負けるものか。ニノ、お前は強いんだ、自信を持て」
「おやおや、珍しい。セレーネもついにご主人様の事を認めましたか?」
「フンッ、私は最初からコイツの能力は認めているんだ。……能力だけだぞ?」

 茶化されるとセレーネはすぐにわかりやすい反応をくれる。
 前々から僕に対しては棘があるというか、基本喧嘩腰の癖して妙に打たれ弱い。
 僕がフィアーの所有物であると思い込んでいる節があるから。その影響もあるんだろう。

「確かに今のは最大級の褒め言葉だね、ありがとう。自信が付いたよ」
「……うるさい! 調子に乗るな!!」
「自滅してこんなにも必死になって。どうです、可愛い娘でしょう?」
「そうですね」
「お前もパパも意地悪だ! もう知らないっ」

 意地悪な笑みを浮かべるレックさんに便乗すると。セレーネは背中を向けてしまった。
 照れているのを隠そうとしても、その綺麗な褐色肌の変化でわかりやすいのが何とも気の毒に思う。

「ニノ……!!」

 隣でトルが身体を強く揺さぶってくる。
 話題に入れなくて拗ねてしまったらしい。この子はこの子で反応がわかりやすい。 
 望み通り構ってあげていると更に大きく車体が動いた。大きな穴に引っ掛かったらしい。
 馬を操る御者のおじさんが謝ってくれた。少しの待機時間の後にまた動き出す。

「……それにしても随分と派手にやってますね。周辺の魔物は一掃されているんじゃないかな?」 
「そろそろ魔ノ月ブラッドムーンが始まりますからね。たとえ普段は害がない魔物だとしても残しておけば命取りになります。特にこの辺りは人通りも多い」
「もうそんな時期なんですね。前回から確か五年ぐらい経っているのかな?」

 世界のどこかに存在するとされている魔界へと通じる転移門。
 そこから瘴気が流れ込み、一定の濃度を越えると魔ノ月と呼ばれる現象が起こる。
 闇属性が活性化し大陸中の魔物が狂暴性を増す。また上級魔族の出没頻度も急増する。

 瘴気が自然浄化されるまでの間は、魔物の襲撃が頻発して国が荒れてしまう。
 よって各地では魔ノ月に備えて様々な対策が取られる。この大規模討伐もその一つなんだろう。
 もしかしたら同時期に闘技大会が開催されるのも偶然ではないのかもしれない。
 
「見て! 大きい!! 塔が、たくさん建ってる!」

 トルが馬車から身を乗り出し声を上げながら髪を抑える。酔いが醒めるほど興奮していた。
 前方に都市を囲う石の防壁が見える。そこから無数の尖塔が伸びていた。見張りの衛兵の姿も。
 巨大な正門の前には入場を待つ長蛇の列。荷物を載せた馬車が何台も並んでいた。
 
 上空に昼間にも関わらず色鮮やかな花火が打ち上がっている。火属性魔法の一種だろうか。

「どうやら馬車での長旅もここで終着点のようですね」

 レックさんが腕捲りをして気合を入れていた。セレーネも落ち着いて降りる準備を始めている。
 熱気に満ち溢れた迷宮都市は、僕たちに新たな冒険の予感をさせてくれた。



 ◇



「この機会にお主たちに話しておきたい事がある」

 後方の馬車にはフィリスと、トルを除いた精霊たちが乗っていた。
 目的地に近付いてきたところで、ウィズリィは全員の顔を見渡し言葉を紡ぐ。
 道中は何度も座席を入れ替えていたので、最終日になってやっとこのメンバーが揃ったのだ。

「ウィズリィ様? それって私が聞いても大丈夫な話かな?」

 その声色から重要な話なのだと理解したフィリスは、不安気に確認を取る。
 いつものふざけた様子はなく、真面目な空気を壊さないように背筋を伸ばしていた。
 
「この際お主も知っておいた方が良いじゃろう。ニノニノの新しい力についてなのじゃ」
「それは前回の私たちの戦いであの子が一度だけ見せた原始の力……創生の剣の話ですか?」
「グランゴーレムを真っ二つにした剣だよね? 暴走していてハッキリとは見えてなかったけど凄かった……」

 カーマイル泉での決戦において、勝敗の決め手となった神器。
 人族が生み出した最大最凶の兵器を一撃の元に粉砕した神の一閃。
 既にあの戦いからそれなりの月日が経っているが、今日まで誰も話題にすら出していなかった。
 
 屋敷での新しい共同生活に始まり、冒険者として忙しく走り回る日々。
 謹慎などの事情が重なり、ニノが戦いの場に出る機会を失っていたのも大きい。
 他に至急を要する問題が山積みだったので、これまで後回しにされてきたのだ。

「我々精霊の生みの親にしてこの世界を創造した天上神、女神セレスティア。あの剣はまさしく母上が所持していた神器で間違いない。この器に宿る魂が、刻まれた記憶がそう訴えかけておる」
「小さい頃に名前だけは聞いた事があるかも。えっと子供に読み聞かせるおとぎ話の類だよね?」

 今も各種族間で神話として語り継がれる創造神。  
 あまりにも遠い昔の出来事なので、存在そのものが眉唾ものであったが。
 精霊は女神から生み出されたとされている。ウィズリィたちの存在が女神の実在証明になる。

「セレスティア様は魔界の神々との戦いにおいてその力の大半を失い。最期に私たちに全てを託して消滅したとされています。気の遠くなるほどの過去の話ですので、当事者としてもあまり実感はありませんが……」
「要は体良く仕事を押し付けられたって話よね。いい迷惑よ」

 フィアーの場合誕生の経緯がそもそも特殊である為、女神の存在に対しては懐疑的だ。
 かくいう他の精霊たちも、それから何度も転生を繰り返してきたので当時の記憶は殆ど残されていない。
 生まれながらに与えられた使命をただこなしているだけ。それが正しいのかどうかも定かでない。
 
「この際、何故ニノニノが創生の剣を受け継いでしまったのかという疑問は置いておこう。母上の考えはワシらには想像もつかん。それにあの力は元を辿ればワシらと同じ性質であるからして、負担が大きいという点を除けば直ちに危険性があるものではない。……問題があるとすれば残るもう一方。フィアー、お主なら理解しておろう?」

 ウィズリィの視線がフィアーに向けられる。
 あらかじめ振られると予測していたのだろう。
 フィアーは特に言いよどむ事なく言葉を風に乗せた。

「――――時空属性」
「……時空属性? あれ、そんな属性ってあったかな? それとも私の勉強不足?」
「フィリスが知らなくても当然じゃ。本来この世界には存在してはならない異質の力であるからのう」
「上級魔族や魔王、そして魔界の神々が扱う時と次元を操る無属性と対を成す最強の属性よ」

 それは魔界という異世界から出現した侵略者、魔族が支配者足らしめる最大の要因でもあった。

「私が偶に使う空間転移も闇属性ではなく時空属性。ちなみに貴方たち冒険者が普段何気なく使っている転移石にも、実は時空属性が込められている。魔族が残した遺産の一つね」
「し、知らなかった……! でもどうして闇精霊のフィアーちゃんが?」
「私はノートたちと違って魔族の信仰によって生み出されたから、連中の性質まで引き継いでいるのよ。それでも転移止まりだけど。時空属性に関しては所詮上級魔族と同列でしかない」
 
 フィアーはつまらなそうに語る。
 闇属性であれば敵なしの彼女でも時空属性は門外漢なのだ。
 空間転移も使い方によっては恐ろしい力なのだが、それすらも初歩的なものだという。
 
「待ってください! それではあの子には魔族の血が流れているとでも!?」
「これはあくまでワシの推測ではあるが。ニノニノが特別なのではなく、勇者の血筋そのものに魔神が深く関わっている可能性がある」
「それって、もしかして私の鬼の力と同じ……?」

 人の身体というのはそもそも魔族の力を受け継ぐには不向きな器である。
 亜人という例外も存在するが、彼らは長い年月を経て別の生物として形成されている。
 ただ人であってもごく稀に、隔世遺伝で能力に目覚める場合がある。フィリスがその最たる例だ。
  
「考えても見れば、ただの人族が光の精霊の力を借りただけで、魔王を打ち滅ぼせるはずがないのじゃ。同一の、もしくはそれ以上の特別な能力でも宿していない限りな」
「では、侵略者であるはずの魔界の神が人に味方をしたと? にわかに信じられませんが……」
「おかしな話ではないじゃろう。フィアーもある意味魔神と似たような存在じゃぞ?」
「……別に私は人を好きになったんじゃないから。偶々好きになったのが人族だっただけよ」
「……と、まぁこういう実例がある訳じゃ。魔神が気に入った人族との間に子孫を残したとしても、何も不思議ではない」

 時間の概念すら歪める最強の力に対抗できる勇者が同じ能力を所持していた。
 単身で魔族を滅ぼす事ができ、闇精霊と対を成す兵器にも近い存在。その裏には魔神が深く関わっている。
 突拍子のない話にも感じられるが、それを否定する材料もない。寧ろ歴史がそれを肯定している。
 
「仮に勇者の血筋に魔神が関与していたとしても、あの子にはレムの血が流れています。精霊の力と干渉すれば人の器との相性が悪い魔族の力は抑制され表には出て来られないはずです。それなのにどうしてあの子が……!」

 勇者の子孫は今や世界中に点在している。
 中でもニノは特に魔族の力に目覚める可能性が低かった。
 隔世遺伝がそう簡単に頻発するものであれば、今頃世界はより混沌に満ちているはず。

「力というものはより強い力に惹きつけられるもの。ワシとの戦いにおいてニノニノはその内に秘めたる女神の力を発現させた。……同時にそれと紐付けられていた魔神の力までも解き放ってしまったのじゃろう」
「って事は――――全部お前のせいじゃない!?」
「……すまぬ。……本当に深く反省しておる」

 ウィズリィは俯きながら声を震わせて謝罪する。
 普段は飄々としている彼女にしては珍しく、本気で落ち込んでいるようだった。
 自身の目的を果たす為に少年と戦い、結果封印されていた破滅の力までも目覚めさせてしまったのだ。
 
「フィアーちゃん落ち着いて。それじゃニノ君はそのうち転移も使えるようになるんだね?」
「それだけで済めば良いのじゃが……仮にも神の血筋じゃからな」
「未来視も転移もあくまで通過点よ。いずれは時間そのものに干渉するようになるわ」
「まだ……これ以上先があるという事ですか……?」
「創造主である母上を死の淵にまで追い込んだ属性じゃ。完全に目覚めてしまえば、我々精霊の力を持ってしても止めようがない。やがて肉体から魂にまで浸食していき魔神化……人に仇なす存在になるじゃろう」

 そうなれば女神に世界を託された者として、全てを賭してでも少年を滅ぼさなければならない。
 ウィズリィも流石にそこまでは語らなかったが、この場の全員がそれを自然と認識していた。
 フィリスは努めて冷静さを保とうとし、フィアーとノートは拳を握り震わせていた。
 
「できる事なら冒険者なんぞ今すぐにでも辞めさせて、戦いから遠ざけるべきなのじゃろうが。止めたところで素直に従うような子ではないからのう。それに魔力は精神に深く結びついておる。下手にストレスを与えれば浸食を早めてしまう恐れがある」
「今のニノ君は、本当に自分のやりたい事をやっているもんね」
「しばらくは現状維持という事ですか。精霊といえど無力なものですね……」

 一度は死に場所を求めていた少年が、やっと自らの進むべき道を見つけ出したのだ。
 それを邪魔しようと考える者はここにはいない。寧ろ全力で応援したいと考えている。
 彼が心から精霊を愛するのと同じで、彼女たちもそれに応えたいのだ。

「ウィズリィの言いたい事は理解した。この先ニノに時空属性を使わせないようにすればいいのでしょ?」
「いささか回りくどかったかもしれんが、まさしくその通りじゃ。ニノニノだけでなくひいてはそれが世界の為でもある。……ワシの尻拭いをさせてしまう形となってしまったな……すまん」
「もういいわよ。どうせニノの事だから、あの戦いで目覚めなくてもいずれは時空属性を手にしたでしょうね。そういう運命を背負った子なの。――私との出会いだってそう。だから気にしない方がいい。一々キリがないわよ?」
「そうじゃな……今必要なのは反省ではなかったな」

 それはウィズリィを励ます為というよりは、自身に言い聞かせているようでもあった。
 日頃からいがみ合う事の多い二人だが、本気で相手を嫌っている訳ではない。
 フィアーの言葉に多少は救われたのか、ウィズリィは元の調子を取り戻す。

「ところで、未来視なんてどうやって止めたらいいのかな? まさか目潰しだなんて言わないよね……?」
「一度発動してしまえば止めるのは不可能に近い。大前提として未来視を使わざるを得ない状況を生み出さないのが重要じゃ。本人もある程度は危険な能力だと把握しておる事じゃし多用はせんじゃろう。それに、もしもの時はあの子も協力してくれよう」
「……あの子って誰よ? 他に協力者なんていたかしら?」
「お主のよく知ったる人物じゃよ。それが誰かは……あえて言わないでおこう」
「意味がわからないわよ!?」

 ウィズリィは懐かしむように目を細めた。その隣でノートも『そうですね』と呟く。
 
「話はそれだけじゃ。やる事も以前と変わらぬ。あとでワシの方からトルにも伝えておこう。ニノニノには……大会が終わるまでは保留にしておくべきじゃな。変に意識させるのも悪い影響を与えかねん」
「ウィズリィはそれもあって大会への参加を渋っていたのですね」
「いや、コイツの場合働きたくないっていうのが本音でしょ」
「八割方な。先程の話は残りの二割じゃ」
「それほぼ本音だよ!? ウィズリィ様冷たい!」

 フィリスは膝の上に座るウィズリィの小さな身体を揺らす。

「ワシはノートほど過保護になれんからのう。相手から嫌われるくらいがちょうど良い」
「そうは言っても、心配になって最期まで面倒を見るのがウィズリィですものね?」
「……さて、どうだか」
「あ、もしかして恥ずかしがってる?」
「ええいっ、あんまりベタベタ触れるでない!」

 容易に感情を高ぶらせるウィズリィに、張り詰めていた空気が和らぐ。
 打ち明ける事で気持ちが楽になったのだろう。彼女もまた罪悪感で苦しんでいたのだ。

「……それはそうと、フィアーは早くトルと和解しろ。いつまで仲違いを続けるつもりじゃ」
「うっ、飛び火した。……わかってるけど、でも難しいんだから。あの子も私に似て意地っ張りだし」
「トルちゃん、すっかりフィアーちゃんに影響されちゃたもんね」

 フィアーは今まで気に入らない相手をただ拒絶するばかりでいた。
 自分から誰かと関わろうとした経験など殆どない。だからこそ悩んでいた。
 嫌われた相手にどう接すればいいのか。全てが初めての経験であり、弱気になってしまう。

「あとでもっと早く仲直りすべきだったって後悔しないようにね? 人生何があるかわからないんだし」
「人と違って精霊にそういう心配はいらないわよ。あの子の場合次の転生は当分先の話だろうから」
「数百年後もこの流れを続けるつもりですか? もう、フィアーは変に臆病なのですから……!」
「それをノートに言われるのは何か納得いかないわね……」

 どちらも大差はないのだが、この場合自分に原因があると自覚するフィアーの方が押されていた。
 全員の視線が集中する。早く行動を起こせと責められる。馬車という狭い空間では逃げる事も叶わない。
 
「……よし、覚悟を決めたわ。大会が終わるまでには決着をつけるわよ!」
「フィアーちゃん。大会の期間は予選も含めて一ヵ月もあるんだけど」
「何じゃその微妙に後ろ向きな宣言は……」
「まあ本人がやる気を出しているのですから。ここは応援しましょう?」
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