闇精霊に好かれた精霊術師(旧題:ダンジョン最下層でパーティに見捨てられた精霊術師の少年、闇精霊に気に入られ最強の精霊使いになる。)

お茶っ葉

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三章

60話 宴

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 夕焼け空に鐘の音が響いている。予選初日が終わり市街の方へと戻る。
 住人たちが僕たちの健闘を称え迎えてくれた。慌ただしく技師たちが防壁の調整を行っている。
 次の予選は二日後らしい。それまでに各自自由行動を許されている。

「なんだ、戦いは連日続くものだと思っていたけど。一回が短いし、まだまだ暴れ足りないわね」
「場所を貸している人たちにも生活があるからね。あとはできる限り長く続けて観光客を集めたいんだよ。準備にもお金がかかってるから」
「大人の事情だね。それにしても無事に終われて良かったよ。セレーネちゃんの怪我も後遺症もなく済んだし」
「だから平気だと言っているだろう。過保護な連中だな」

 僕の背中でそう強がる少女。
 今回の功労者であるセレーネは大人しく背負われている。
 力仕事なら他に適任者がいるけど。僕が《精霊会》唯一の男だしね。

「お前強かったぜ。また次も正々堂々喧嘩しようぜ!」
「……何でコイツはついてきているんだ」
「おっと。お互い過去の出来事は忘れよう。それが戦士ってもんだろ?」
「調子が良すぎるだろ……おい、ニノ。追い返さないのか?」
「おいかえせー! おいかえせー!」
「こら、ウィズちゃん! そういう事言っちゃ駄目だよ?」

 ライカさんはセレーネが心底気に入ったらしく、さっきからずっとくっついてくる。
 セレーネも鬱陶しそうに対応しているけど。龍人に認められたのが内心嬉しいのか言葉が弱い。

「ライカは頭が緩いから。多分、明日には暴走した事すら忘れていると思う」
「緩いのは……龍人全員……」
「ちょっとトル様! うちをあの馬鹿たちと一緒にしないでね!」
「雷の精霊は意外と毒舌だな。そういうのもオレは嫌いじゃないぜ!」
「先程から肯定しかしていませんね……。悪い方ではないのでしょうけど。あと人のいる所で精霊呼びはやめてください。騒ぎになりますので……」
「も、申し訳ございません。この子には戻ったら徹底的に愛の鞭で教育しておきますので……!」
 
 後ろではパオラさんたちも一緒になって語り合っている。
 実は彼女たちも同じ宿に泊まっているとか。今まで遭遇していなかったのが奇跡だ。
 と、思っていたら『夜な夜なこっそり覗いていました』と暴露されて。逆に安心してしまった。
 
 いや、覗かれて安心するって何だ。僕もちょっと毒されてきているな……。

「……お、お嬢様!!」

 パオラさんがエプロンドレスをつまみながら慌てて前に出る。
 そして日傘をさした人物の前で跪く。ライカさんもクムさんもそれに続いた。

「……旦那様」
「また会ったね」
 
 宿の前でセイリスが待ち構えていた。
 じっとこちらを見つめて何故か寝間着? だろうか。薄着のネグリジェ姿で。
 道行く人たちが驚いている。特に今は戦いを終えた冒険者たちで溢れかえっているので視線が濃い。

「姫さん、一人で起きられたんだな。偉いぞ!」
「……はい」
「こらっ、ライカだってお寝坊さんでしょ。姫様は一人でも頑張れるもんね?」
「……頑張りました」
「うるうる。お嬢様の頑張りにパオラ感激しました!」
「……そう。……よかった」

 セイリスはこくこくと何度も頷いている。
 とりあえず彼女の恰好に疑問に思う人はいないんだ。
 
「一人で起きられたくらいで大袈裟だな……」
「まぁ……龍人といえど元は龍だし。人とは感覚も感性も違うんだろうね」

 人の姿を持っているけど。
 ライカさんが途中、腕を巨大化させたように中身は別物だし。
 一回の休眠で数年は目覚めてこないのが普通だったりするのかも。
 
「うちの姫様はのんびり屋だから。パオラがいないと飢え死にしてしまうんよ。可愛いでしょ?」
 
 クムさんがそう教えてくれる。 
 それは生物としてどうなんだろう。いや、個人の問題だろうけど。
 今は光属性の魔力も抑えているのか守護龍としての威厳も隠れ、普通の少女にしか見えなかった。
 フィアーの後ろで怖がっていたフィリスも頭を出して様子を伺っている。
 
「……パオラ。お座り」
「ひぃ……!」

 セイリスが一言呟いただけで、獅子奮迅の活躍をしていた暗殺者が竦み上がる。
 パオラさんは瞬間で地面に頭を擦り付けていた。

「自分の欲を優先してお嬢様のお世話を後回しにしてしまいました。どうかお許しくださいませ!」
「……駄目。怒ってる」
「こ、こちらは……せめてものお詫びとしまして、お納めください」

 彼女が差し出したのはボタンだった。あれでどうやって機嫌を取り戻すのだろう。
 ハッとなって確認すると僕の服の一番下のボタンが無くなっていた。
 
 いつの間に……全然気づかなかった。抜け目がない。

「お嬢様がずっと欲しがっていた品でございます。あとでお嬢様のお気に入りの服に合わせますね!」
「――――だ、駄目!!」
「ニノ様! 御覧になられましたか!? いつもは反応が薄いお嬢様が珍しくうろたえていらっしゃいます! あぁ……可愛らしい」

 セイリスは両手を振ってあたふたしていた。パオラさん絶対にわかっててやっている。

「ボタン一つで喜ぶって、欲深いのか欲がないのかわからない……」
「というか、あの子にどんだけ惚れられているのよ……貴方一体守護龍に何をしたの?」
「さ、さぁ?」

 フィアーに問い詰められるも、それが僕にもまったく思い浮かばないのだから困る。

「ごめんなさい。パオラが……迷惑を掛けました」
 
 セイリスは僕の前で深々と頭を下げる。気品のある立ち振る舞いだ。
 人形のように見えていても、こうして向かいあっていると僅かでも感情の変化がわかる。
 彼女は悲しんでいた。僕に怒られると思っていて、嫌われる事を恐れている。
 
「わざわざありがとう。気にしないでいいよ。大会に参加するのは誰だって自由だし、それで問題が起こっても自分たちで解決できないようじゃ冒険者失格だから。パオラさんたちをあまり責めないであげてね」

 確かに驚きはしたけど。
 別に不正を働いた訳じゃないのに敵対しただけで糾弾するのはおかしい。
 僕も強くなったとはいえ、まだまだ世界は広い事を知れたし。いい経験になったと思う。

「こうして縁があって巡り合う事ができたんだ。これからもセイリスたちと仲良くできたらいいなと考えているよ。……はは、最初からこうやっていれば一緒にユニオンを組んで大会に挑めたのかもしれないね。もったいない事をしちゃったよ」
「……旦那様」
「これからもよろしくね」

 僕の方から手を差し出すと。
 セイリスは小さく口を開けて戸惑いつつも返事の代わりにその手を包み込んでくれた。



 ◇



「ではでは皆様の予選二日目のご健闘をお祈りしまして。ささやかながら宴の用意をさせていただきました。不肖パオラめが腕を振るい最高の食材を使った自信作でございます。どうぞお召し上がりください!」
「わ、私もしっかりとお手伝いさせていただきました。全てお任せするのも悪いですし。味の好みもありますから……!」
「ノート様も中々の強敵でございました。途中、かなり重圧を浴びせられましたが……こちらもお嬢様の従者として意地がありますから。いやいや気合が入りましたよ!」
「……はい、よい勝負でした。レシピも戴きましたし。参考になりました」
「しくしく……次元が高すぎて何もできなかった……!」

 フィリスが泣きながら料理を運んでくる。
 許可を貰って机を増設して、それでも足りずにベッドも机代わりにして。
 並べられる龍人族に伝わる伝統料理の数々。バランスも考えて野菜もふんだんに使われている。
 
「トルはお皿、運んだ!」
「はこんだ! はこんだー!」
「トルちゃんもウィズちゃんも偉いね~」

 借りている二部屋を使っての龍人たちとの交流会。
 パオラさんは従者の面目躍如とばかりにせっせと働いている。
 負けじとノート様も空いているグラスに飲み物を注いだりと慌ただしい。

 セイリスは僕の隣に座っていた。
 甘い果実のジュースを一口飲んでは休憩してをずっと繰り返している。
 食べるという行為に興味がないのか。勧めると勧めた分だけは食べてくれるけど。
 面倒を見ないと餓死するというのはあながち間違いではないのかもしれない。

「ちょ、ちょっと! この料理なに!? 縁起が悪いよぉ!!」

 フィリスが何やら中央で騒いでいた。
 机の上には鬼の角を生やした――明らかに鬼を模した肉にナイフが突き刺さっている。 

「鬼人族との戦の前に決まって出される伝統の一品です。今回、生き残りの鬼人がいらっしゃるとの事なので。久しぶりに用意しました。確実に敵を抹殺できるようにとの願掛けでございますね!」
「あわわわわわわ。そんな料理を私に食べさせるの!? やっぱり龍人族は鬼畜だよぉ~!」
「いひひひ。うち鬼人族と殺し合い以外でまともに話すの初めて。意外と面白い顔をする」
「……それはフィリスが特別愉快だからだと思うけど。というか、ちょっと人の密度が凄いんだけど。一体誰がこれだけの数を呼んできたのよ!?」
「せっかくの機会ですし。近辺で活動している同朋たちにも伝えさせていただきました」
「お前が原因か!!」

 パオラさんの号令の下、外にいた龍人たちが集まってきたらしい。
 合計で一四人。全員がもれなく女性だ。男の龍人族はいないのだろうか。
 目的は龍人族を束ねる女王セイリスへの挨拶と。その隣に座る僕だった。

「これからも末永く仲良くしましょうね」
「お願い、一度だけ耳を噛ませて!! 後生だから!!」
「さっきからあの鬼に睨まれているんだけど。何か悪い事したのかなぁ……?」

「ぐぬぬぬぬ……」

 元々人族の味方である彼女たちはとても友好的だった。
 後ろでフィリスが血の涙を流している。鬼の肩身が狭いのは仕方がない。

 聞いてみると龍人が相手の耳を噛むのは親が子に対する愛情表現なのだとか。
 長らく子供が生まれていない為か、いつしか気に入った異性に対するものにすり替わったらしい。
 
 ちなみに現状、最後に生まれたのがライカさんだそうで。
 暴走してやらかした割にみんなが優しいのは、彼女が可愛い子供だから。
 見た目は周りとさほど変わらないように見えるけど、角が短いほど歳が若いのだと教えてもらった。

 今は隣の部屋でセレーネと仲良く喧嘩している。
 時々叫び声が聞こえてくるも、トルとウィズちゃんが仲裁してくれるので大事には至らない。
 子供にはそれ以上の子供をぶつけるのが一番効果があるらしい。

「殿方の気を引くには胃袋を掴むのが早いと聞きました。どうです? 効果はありますかね?」
「残念だけど、ニノにはフィリスがいるから。今のところは入り込む余地は無いわよ?」

 パオラさんをフィアーがけん制する。

「くっ、わかってはいましたが。鬼人族に先を越されるとは……! 何たる屈辱……!」
「……それは同感だけど。彼の気持ちを無視して強引に迫るのであれば、私が許さないから」
「言われなくてもそのような事をすればお嬢様に嫌われてしまいます。ですが、伴侶の方にお願いするのは問題ありませんよね?」
「まぁ……それならいいんじゃない? 知らないけど」
「えっちょっと、フィアーちゃん? 何でそこは投げやりに!?」
「おー! 全員でお願いして譲ってもらおー! クムも早く子供欲しいし」

「だから!! 集まらないで、怖いよおおおおおおおお!!」

 フィリスが龍人たちに囲まれていた。
 お酒を飲み過ぎて酔っぱらっているのか。一部を除いて楽しそうだった。
 
「……こうしてご一緒できて。同じ時間を共有できて……夢のようです」

 セイリスがボソッと呟いた。
 場が温まり話しやすい雰囲気だった。彼女も心なしか言葉数が多い。
 
「僕たちってもしかして昔どこかで出会ったことがあった?」
「…………」
 
 流れのままに一番気になっていた事を尋ねる。
 セイリスは少し悩む仕草を見せて、そのままジュースに口をつける。
 気にせずに続ける。

「僕にとっては初対面のはずなんだけど、セイリスを見ているとどうも前から交流があったように思うんだ」

 フィリスとの約束を忘れていた事もあったし、自分の記憶はあてにならない。
 本人に確かめるのが一番だと思ったんだけど、そんなに答えにくいものなんだろうか。

「……どう説明すればいいのでしょうか。とある事情がございまして、どこまで話していいのやらこちらとしても判断が難しく」

 聞こえていたのか、傍に寄ってきて困ったように苦笑するパオラさん。
 冗談とかではなく本当に話せない何らかの制約があるらしい。

「ですが少なからず接点はございます。ニノ様のご父母様ともお会いした事がありますから」
「父さんと母さんですか?」

 また妙な接点だ。
 両親はあまり過去の事を語りたがらなかったから。初耳だ。
 仮にも父さんは冒険者をやっていた訳だし、龍人族と関わりがあっても不思議ではない。

「はい、訳あって一度だけ。我々の里に来ないかとお誘いした事がございまして……」
「…………」
「ニノ様。そのような怖い顔をされないでください。……これには深い意味などございませんし、決して寝取ろうなどとは考えていませんでしたから!」
「あの人、少し……悩んでいた……。でも、あとで怒られた。怖かった……」
「あの女性だけは敵にしてはならないと本能が囁いていましたね……」

 守護龍に恐れられる母さんって一体。
 父さんは結構美人に弱かったから、情景が簡単に思い浮かぶ。
 うーん。微妙な気持にさせられてしまった。というかそれで今度は息子の方を誘うんだ。

「そもそもあの一件はただの誤解でしたし。我々の目的は最初からずっと貴方様ですから」
「……ずっと、ですか」

 一族の為に僕の血が必要なのは理解できる。だけど未だに腑に落ちない点がある。

 幾ら身体の相性が良いと言われても。そこにはその人物の中身、人格は考慮されていない訳で。
 セイリスが旦那様と呼ぶのもそうだけど、最初からこれだけの信頼を得られている事に違和感がある。
 話を聞く限りではまともに会話をするのも今日が初めてみたいだし。
 
 まるで昔から交流があったかのように。
 もしかしてまだ思い出していない何かがあるのか。それとも別の要因が……。
 
「――――さあさあ。細かい事は忘れてお互い種族の垣根を超えて騒ぎましょう!」
「そういえば今思い出したけど。私たち二日目からも敵同士じゃない! どうして慣れ合ってるのよ!」
「はいはい。そこの闇精――ごほん。フィアー様は細かいですね。それでは男性に嫌われますよ?」
「えっ……そ、そうなの!?」

 フィアーが怯えた子犬のように振り返った。

「僕はそのままのフィアーが好きだよ」

 本心で答える。
 
「えへ……す、好きだって……。残念だったわね。細かい女でも気にしないみたいよ!」
「うわっ……デレデレになってやがりますね。過去こんなのに苦しめられてきたかと思うと泣けてきますね……」
「それはお互い様でしょ!?」
 
 かつての悪魔殺しと人族殺しがじゃれ合い、周りの酔っ払いたちが囃し立てる。
 
「ニノ、こ、こちらをどうぞ。その、自信作ですから」

 ノート様が小皿を持って隣に座る。
 取り分けられたお肉を勧められて一ついただく。彼女は期待に満ちた瞳をしていた。

「……美味しい。パオラさんの料理も良かったけど。やっぱり慣れ親しんだ味が一番かな」
「そ、そうですか。安心できる味ですか。そう言って貰えるのは嬉しいですね。……家庭の味が一番」

 ノート様は一人納得して別の場所に移動してしまった。

「……旦那様、人気者」
「そうだね。気を持たせ過ぎているのはわかってるよ」

 褒められた事ではないのは自覚しているけど。
 《精霊会》は女所帯だから穏便に済まそうとするとどうしても八方美人になってしまう。
 フィアーたちの気持ちは痛いほど理解しているし。だけどフィリスの事も大事にしたいし。

 こんなんで悩んでいるようじゃ、将来は確実に地獄行きだろうな……。

「……旦那様が皆を……幸せにすればいい」
「そんな王族じゃあるまいし。全員を選ぶだなんて許されないよ。いつか誰かを泣かせないといけない」
「私――――王族」
「ごめん、聞かなかった事にして」
「王族だけど……?」

 セイリスが耳元で積極的に甘い言葉を囁いてくる。
 そんな場当たり的に王になって、それで龍人族の皆は納得するのだろうか?

 ……満場一致で納得しそうだ。
 
 いや、だからこそ簡単に決めたら駄目だろう。
 自分の事ですら精一杯なのに。一族の命運まで背負う余裕は今のところ無い。
 セイリスも断られるとわかっていたのか、元の調子に戻っていた。

「……いつでも。待っています」

 最後にその一言を添えて。
 大人しい女王様の隣で頭の熱を冷ませながら。ジュースを飲み騒ぎを見つめる。
 龍人たちとの宴は朝方まで続いた。
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