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第一章
魔刃
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俺と対峙する大尉と少尉。
少尉は大尉の後ろで魔法の詠唱を続けていて、俺と直接対峙しているのは大尉だ。
大尉は《雷の涙》とか言う魔剣を構え、剣身から雷を迸らせていた。
「魔刃一刀流……やはり、そうだったか。貴官が何者で誰が継いでいたかは知らないが、そんな古流剣術が今も通じると思うな! 我がヴォルガング流剣術の前に平伏すがいい!」
裂帛の気合とともに突っ込んでくる。
あの魔剣の強さは身をもって知っているからな。
このまま打ち合うわけにはいかない。
雷属性に有効なのはこれだ!
俺は刀に魔力を込めて抜刀し、大尉の剣を迎え打つ。
「愚かなっ! 先と同じ結末になるだけだぞ!」
互いが間合いに入った刹那の瞬間、大尉の魔剣と俺の刀が交錯し、キィンという甲高い金属音が響き渡る。
《雷の涙》は俺の身体を蝕もうと、尚も雷を発していたが俺の身体には通じなかった。
「っ! ば、ばかなっ! 何故、雷が効かないのだっ!」
剣身から迸る雷が交錯する俺の刀身に伝わってない事に大尉は驚愕の声を上げた。
「同じ手に何度もかかると思ってるのかっ!」
俺は戸惑う大尉の剣を力任せに押し切って、体勢を崩したところに刀を撃ち下ろす。
しかし、そこは帝国軍の大尉、流石に素直には斬られてくれない。
片膝を地面につきながらも、俺の刀を受け止めた。
でも……。
「ガラ空きですよ、大尉!」
「くっ!」
俺はガラ空きの大尉の胴体に思いっきり回し蹴りを食らわせた。
大尉もすぐに反応したようだが、刀を受け止めていたからか腕でガードするのが精一杯だったようで、蹴りの威力を殺しきれず地面を転がっていった。
これはもらった!
「火炎円陣!」
「チッ!」
俺の周囲を炎の壁が取り囲んだ。
あぶねぇ、危うく突っ込むところだった。
少尉の魔法か、実に良いタイミングで魔法を放ってくる。
これは放っておくと厄介だな。
目標を変えて、先に少尉を潰す!
この炎の壁は……面倒だ、押し通る!
俺は刀を鞘に納めて魔力を込める。
「穿剣・裏掻!」
抜き放たれた刀の切先より不規則な螺旋状の渦が巻き起こり、徐々に刀身を包んでいく。
俺はその渦を纏った刀を水平に構えて、突きを放った姿勢で火炎円陣の炎の壁に突っ込む。
螺旋の渦は火炎円陣を捻じ切るように侵食し、食い散らかされたように炎の壁の一部に穴が開いた。
その穴の先には何事かと目を見張る少尉の姿が見える。
このまま突撃だぁ!
「うぉおおおおお!」
炎を巻き込んで炎渦を纏った刀を構えて、少尉の元へ全力で走る。
「えぇええええ! ちょ、ちょっと! な、なんで出てこれるのぉ! 氷散弾!」
無数の氷礫が俺に向かって飛んでくる。
驚きながらも魔法を撃ってくるとは、容姿に違わず、少尉も意外と戦い慣れてるな。
しかも詠唱破棄だ。
詠唱破棄はかなりの高等技術のはずなのに難なくやってくるとはビックリだ。
でも、詠唱破棄の魔法って普通のに比べたら威力が落ちるはず。
このまま突っ込む!
俺は左腕で顔を覆って、右手の刀で氷礫を払い討ちながら進んでいった。
全身に細かな一筋の傷が刻まれていくが、こんなものは致命傷にはならない。
尚も近づく俺に少尉は呆然とし始めていた。
よしっ! あと一足で間合いに入るぞ!
あと一歩で!
「きゃあああああっ! 来ないでぇえええ! ……なぁんてねぇ。甘いよぉ、軍曹!」
頭を抱えるようにしてしゃがみ込んでいた少尉が急に不敵な笑いを浮かべる。
やっぱり演技だったか。
「よく頑張ったけどぉ、やっぱりここまでだよぉ! アリシアちゃんを蹴った罰としてぇ、黒焦げになって再起不能になっちゃええええ!」
杖を掲げながら立ち上がる少尉の頭上にあの炎の塊がまた現れた。
こんな距離で撃ったら少尉だってタダでは済まない筈だぞ!
「こんな距離で撃てば貴女だって黒焦げだぞ!」
「ふーんだぁ! ご心配なくぅ! 私には魔法盾があるもんねぇ!」
少尉はそう言いながら、余裕の表情を見せていた。
自分の身の安全は計算の内ってことか。
抜け目のないことだ。
「……行くよぉ! 真紅流星爆発!」
少尉の頭上にあった炎の塊は少尉の頭を掠るようにしながら俺めがけて飛んでくる。
至近距離の俺の髪や皮膚がチリチリと音を立てるほどの熱さが襲ってきていた。
このまま直撃はまずい。
横から少尉の背後に回り込んでさっきの大尉みたいに魔法盾に潜り込ませてもら……えっ!
視界を覆うように迫りくる炎の塊の端で、それは俺の目に微かに映った。
「そんなっ! まさかっ! くっ! 仕方ない!」
俺は炎渦を纏ったままの刀を無理矢理鞘に押し込んで、再び魔力を込める。
この技はあんまり得意じゃないけど、やるしかない!
確かこの技は納刀したままの状態で柄頭を下げて、鞘の鐺を上げるように前傾姿勢をとるんだったよな。
そして……一気に天に向かって刀を抜き放つ!
「氷剣・大氷筍!」
少尉は大尉の後ろで魔法の詠唱を続けていて、俺と直接対峙しているのは大尉だ。
大尉は《雷の涙》とか言う魔剣を構え、剣身から雷を迸らせていた。
「魔刃一刀流……やはり、そうだったか。貴官が何者で誰が継いでいたかは知らないが、そんな古流剣術が今も通じると思うな! 我がヴォルガング流剣術の前に平伏すがいい!」
裂帛の気合とともに突っ込んでくる。
あの魔剣の強さは身をもって知っているからな。
このまま打ち合うわけにはいかない。
雷属性に有効なのはこれだ!
俺は刀に魔力を込めて抜刀し、大尉の剣を迎え打つ。
「愚かなっ! 先と同じ結末になるだけだぞ!」
互いが間合いに入った刹那の瞬間、大尉の魔剣と俺の刀が交錯し、キィンという甲高い金属音が響き渡る。
《雷の涙》は俺の身体を蝕もうと、尚も雷を発していたが俺の身体には通じなかった。
「っ! ば、ばかなっ! 何故、雷が効かないのだっ!」
剣身から迸る雷が交錯する俺の刀身に伝わってない事に大尉は驚愕の声を上げた。
「同じ手に何度もかかると思ってるのかっ!」
俺は戸惑う大尉の剣を力任せに押し切って、体勢を崩したところに刀を撃ち下ろす。
しかし、そこは帝国軍の大尉、流石に素直には斬られてくれない。
片膝を地面につきながらも、俺の刀を受け止めた。
でも……。
「ガラ空きですよ、大尉!」
「くっ!」
俺はガラ空きの大尉の胴体に思いっきり回し蹴りを食らわせた。
大尉もすぐに反応したようだが、刀を受け止めていたからか腕でガードするのが精一杯だったようで、蹴りの威力を殺しきれず地面を転がっていった。
これはもらった!
「火炎円陣!」
「チッ!」
俺の周囲を炎の壁が取り囲んだ。
あぶねぇ、危うく突っ込むところだった。
少尉の魔法か、実に良いタイミングで魔法を放ってくる。
これは放っておくと厄介だな。
目標を変えて、先に少尉を潰す!
この炎の壁は……面倒だ、押し通る!
俺は刀を鞘に納めて魔力を込める。
「穿剣・裏掻!」
抜き放たれた刀の切先より不規則な螺旋状の渦が巻き起こり、徐々に刀身を包んでいく。
俺はその渦を纏った刀を水平に構えて、突きを放った姿勢で火炎円陣の炎の壁に突っ込む。
螺旋の渦は火炎円陣を捻じ切るように侵食し、食い散らかされたように炎の壁の一部に穴が開いた。
その穴の先には何事かと目を見張る少尉の姿が見える。
このまま突撃だぁ!
「うぉおおおおお!」
炎を巻き込んで炎渦を纏った刀を構えて、少尉の元へ全力で走る。
「えぇええええ! ちょ、ちょっと! な、なんで出てこれるのぉ! 氷散弾!」
無数の氷礫が俺に向かって飛んでくる。
驚きながらも魔法を撃ってくるとは、容姿に違わず、少尉も意外と戦い慣れてるな。
しかも詠唱破棄だ。
詠唱破棄はかなりの高等技術のはずなのに難なくやってくるとはビックリだ。
でも、詠唱破棄の魔法って普通のに比べたら威力が落ちるはず。
このまま突っ込む!
俺は左腕で顔を覆って、右手の刀で氷礫を払い討ちながら進んでいった。
全身に細かな一筋の傷が刻まれていくが、こんなものは致命傷にはならない。
尚も近づく俺に少尉は呆然とし始めていた。
よしっ! あと一足で間合いに入るぞ!
あと一歩で!
「きゃあああああっ! 来ないでぇえええ! ……なぁんてねぇ。甘いよぉ、軍曹!」
頭を抱えるようにしてしゃがみ込んでいた少尉が急に不敵な笑いを浮かべる。
やっぱり演技だったか。
「よく頑張ったけどぉ、やっぱりここまでだよぉ! アリシアちゃんを蹴った罰としてぇ、黒焦げになって再起不能になっちゃええええ!」
杖を掲げながら立ち上がる少尉の頭上にあの炎の塊がまた現れた。
こんな距離で撃ったら少尉だってタダでは済まない筈だぞ!
「こんな距離で撃てば貴女だって黒焦げだぞ!」
「ふーんだぁ! ご心配なくぅ! 私には魔法盾があるもんねぇ!」
少尉はそう言いながら、余裕の表情を見せていた。
自分の身の安全は計算の内ってことか。
抜け目のないことだ。
「……行くよぉ! 真紅流星爆発!」
少尉の頭上にあった炎の塊は少尉の頭を掠るようにしながら俺めがけて飛んでくる。
至近距離の俺の髪や皮膚がチリチリと音を立てるほどの熱さが襲ってきていた。
このまま直撃はまずい。
横から少尉の背後に回り込んでさっきの大尉みたいに魔法盾に潜り込ませてもら……えっ!
視界を覆うように迫りくる炎の塊の端で、それは俺の目に微かに映った。
「そんなっ! まさかっ! くっ! 仕方ない!」
俺は炎渦を纏ったままの刀を無理矢理鞘に押し込んで、再び魔力を込める。
この技はあんまり得意じゃないけど、やるしかない!
確かこの技は納刀したままの状態で柄頭を下げて、鞘の鐺を上げるように前傾姿勢をとるんだったよな。
そして……一気に天に向かって刀を抜き放つ!
「氷剣・大氷筍!」
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