食うために軍人になりました【一人称版】

KBT

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第二章

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「……これは予想以上ですね」

「俄かに信じられん話だが……お前ならやれない事もない……か」

 帝都に戻った俺達は元帥府に報告にやってきていた。
 俺の虎龍単騎討伐の報告にウォーレイク元帥閣下もジェニングス中将閣下も唖然とし、モノを見せろと言われたの元帥府の広場で討伐した虎龍を出して検分しているのだ。

「閣下。これは間違いなく報告のあった虎龍です。特徴が一致していますし、北方方面軍からも討伐完了の報告が上がってきていますから」

 アンダーソン大佐が虎龍を一通り調べた後に書類を持ってやって来た。
 しかし、大佐って色んな仕事やってるんだな。
 
「確かにこれは北方方面軍大佐のサインですね。このサインなら信用出来ます」

 む? 彼のサインなら信用できるって、俺ほ報告だけじゃ信用出来ないって意味か?
 そう言われるのはちょっとショックだぞ。

「少尉……貴官は顔に出過ぎる。別に貴官の報告を疑っているわけではない」

「えっ? あっ……し、失礼しました!」

 中将から注意されてしまった。
 俺ってそんなに顔に出る方だっけ?
 気をつけなきゃな。

「いえ、こちらこそ失礼でしたね。中将が言われたように貴方の報告を疑っているわけではありません。私が疑ったのは報告書の方なんです」

「報告書……ですか? しかし、ちゃんと討伐後に北方方面軍の方に確認していただいて報告書を作成してもらいましたが……」

「ええ。ですが、報告書は2枚作成されるのです。1枚は当事者用で、もう1枚は直接軍令部に送られるのです」

「何故ですか?」

「戦功の虚偽報告を防ぐためだ。今回のように特進がかかっている任務では、戦功を過大に報告する恥知らずな者達がいるのだ。それを防ぐために当事者に渡す用と軍令部へ直送する用と報告書は2枚存在するのだ」

 めんどくさっ!
 っていうか、誇張するのは軍令部側だけじゃなくて軍人側もなのかよ。
 なんて情けない……。

「その2つの内容が合致していないと戦功としては認められないのだ。しかし、現在の帝国では更に問題がある。それは過小報告だ」

「過小報告?」

「要は敵対派閥の者に戦功を上げさせたくない者が、実際の戦功より過小に軍令部に報告する事だ。本人にはちゃんとした物を渡しておいてな。そうすると、内容が違うので、戦功として認められず、良くて調査、悪ければ内容不一致で戦功自体が無かった事にされるのだ」

「ですから、報告者が信用に足る人物かを確認していたのです。これは北方方面軍のリーカネン大佐のサインです。レッドウッド辺境伯の懐刀と呼ばれる彼は信用できます」

 なんて腐った軍なんだ。
 上から下まで腐り果ててるな。
 確かに早急な改革が必要だわ。


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