食うために軍人になりました。

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第二章

身近な問題

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 うーん、困ったなぁ。
 まさかこんな事になるとは思わなかった。
 ウォーレイク閣下は約束通り俺を大尉に昇進させてくれた。
 ヴォルドンのアホが妨害してくるかと思っていたけど、この前の総長の説教が聞いたのか、あれ以来何もしてきていない。
 今のところはだけどね。
 あの手の輩はしつこいからなぁ。
 それに比べてヘルフォード総長は虎龍の素材の買取金をちゃんと払ってくれたし、おまけに早期討伐功績とかって報酬を少し上乗せしてくれた。
 これだけ見れば総長ってかなり良い人みたいに思えるんだけど、ジェニングス中将曰く、そうでもないらしい。

『ヘルフォード家は帝国開闢以来の貴族でな。代々帝国の要職に付いてきた名家だ。帝国に対する忠誠心は三元帥の中でも抜きん出ている。帝国の害となる者には容赦しないし、だからこそこの前もヴォルドンの蛮行を諌めてくださったのだ』

『なら、ウォーレイク閣下とも良好な関係を築けるんじゃないですか? 互いに帝国のために動いてるんですから』

『それが違うのだ。総長はあくまでも現体制下の帝国を良くしようとしている。つまり、改革など画策する輩などもっての外と言うわけだ』

 今の帝国を良くしようとするヘルフォード総長と帝国を良くするために改革しようとするウォーレイク閣下。
 どちらも帝国のために動いているのに思想の違いで協力出来ないとは面倒な話だね。

「まぁ、こんな難しい問題は天に座します上の方々にお任せして、下々の俺は身近な問題を解決しないとな」

 そう。
 俺は今、他の問題に頭を使っている暇はないのだ。
 俺の問題。
 それは引越しだ!
 帝都に来てからダウスター子爵の屋敷や元帥府に泊めてもらっていたけど、さすがにずっと宿借りという訳にもいかないだろう。
 給料も貰っていて、更に今回の報酬金も結構入ってる事だし、そろそろ自分の住まいを見つけないとね。
 初めは軍の官舎も考えたんだけど、家賃が安い代わりに規律が厳しいんだよなぁ。
 おまけにヴォルドン派の軍人も住んでいるみたいだし、嫌がらせくらいしてきかねない。
 そんな心安らまない家は御免だ。
 だから別の家を探してるんだけど、帝都って物価が高い!
 アホかってくらい高いんだよなぁ。
 ワンルームの家賃がダウスターの3LDKより高いってどうなってんだよ。
 本当に洒落にならない。

「はぁ……どうしたもんかなぁ。今はお金があっても家賃は払い続けなきゃいけないし。かと言って元帥府から離れすぎると何かあった時にすぐに駆けつけれないし。困ったなぁ」

 
 



 

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