172 / 480
第三章
驚愕
しおりを挟む
あの野郎共め、ふざけた真似しやがって!
俺に出撃命令を出しておきながら自分達は敵前逃亡?
兵士達の覚悟を愚弄しやがってっ!
上官だろうが、構うもんか。
絶対に落とし前つけさせてやる!
「やめておけ」
「えっ? な、なんの事ですか? 閣下」
「そんな顔をしていれば誰にでも、何をしようとしているかわかる。それに貴官が手を下すまでもない。奴らは軍法会議にかかる事になるだろう」
軍法会議?
軍人の犯罪に対する制裁機関だっけ?
でも、奴らは貴族だろ?
どうせ奴らの権力で罪を軽くするんじゃ……
「心配するな。軍法会議には貴族の力は及ばない。なんせ最終的な沙汰を下すのは皇帝陛下だからな」
っ!?
な、なんでこの方は俺が思ってる事がわかるんだ?
俺ってそんなに顔に出やすいのか?
「別に全てわかるわけではない。会話の流れや相手の表情、性格などを考慮すれば当たらずとも遠からずな言葉ぐらいは話せるものだ。まぁ、貴官は少し感情が表に出やすいようだから気をつけたまえ」
マジで? よくわからんが、とりあえず気をつける事にしよう。
「御忠告感謝致します。それより閣下、我々はこの後はどうするのですか?」
「貴官の容体を見て決めるつもりだったが、問題ないようだな。明朝より全軍に撤退準備をさせ、準備が整い次第帝都に帰還する」
「了解。では、小官も準備に……」
「おいっ! シュナイデンはいるかっ!?」
な、なんだ?
えらい剣幕で入ってきたな。
将校か? しかし、見た事がないな。
「レッドウッド閣下。いつ此方においでなさったのですか?」
レッドウッド閣下?
って事はこの人が北方方面軍司令官のレッドウッド辺境伯か。
「卿がリーゼンフェルト少将か? ここにシュナイデンとか言う大尉がいると聞いた。どこにいるか?」
「閣下、どこも何も此処におりますのが、リクト・フォン・シュナイデン大尉です」
閣下が俺を辺境伯の前に出るよう促してきた。
紹介されたからには挨拶しないわけにはいかないよな。
「小官がリクト・フォン・シュナイデン大尉であります」
「卿が? 思ってたより随分と若いようだが、まぁいい! 卿に聞きたい事がある。あのクソッタレの共和国の英雄であるルーストレームを撃退したとは本当か?」
これは疑われてるんだろうな。
普通に考えれば、俺みたいな若造がどうこうできる相手じゃないからね。
でも、本当の事を疑われるのは嫌だし、ここはアレを出すか。
「閣下、その通りです。こちらが証拠のルーストレームの愛剣《永遠の揺籠》です」
あいつが最後に寄越した剣を見せると、閣下の表情が一気に変わった。
なんかゾクゾクしてますって感じだけど、大丈夫か?
「本物だ……こいつは本物だぜ……おいっ! お前、俺の部下になれっ!」
へっ?
俺に出撃命令を出しておきながら自分達は敵前逃亡?
兵士達の覚悟を愚弄しやがってっ!
上官だろうが、構うもんか。
絶対に落とし前つけさせてやる!
「やめておけ」
「えっ? な、なんの事ですか? 閣下」
「そんな顔をしていれば誰にでも、何をしようとしているかわかる。それに貴官が手を下すまでもない。奴らは軍法会議にかかる事になるだろう」
軍法会議?
軍人の犯罪に対する制裁機関だっけ?
でも、奴らは貴族だろ?
どうせ奴らの権力で罪を軽くするんじゃ……
「心配するな。軍法会議には貴族の力は及ばない。なんせ最終的な沙汰を下すのは皇帝陛下だからな」
っ!?
な、なんでこの方は俺が思ってる事がわかるんだ?
俺ってそんなに顔に出やすいのか?
「別に全てわかるわけではない。会話の流れや相手の表情、性格などを考慮すれば当たらずとも遠からずな言葉ぐらいは話せるものだ。まぁ、貴官は少し感情が表に出やすいようだから気をつけたまえ」
マジで? よくわからんが、とりあえず気をつける事にしよう。
「御忠告感謝致します。それより閣下、我々はこの後はどうするのですか?」
「貴官の容体を見て決めるつもりだったが、問題ないようだな。明朝より全軍に撤退準備をさせ、準備が整い次第帝都に帰還する」
「了解。では、小官も準備に……」
「おいっ! シュナイデンはいるかっ!?」
な、なんだ?
えらい剣幕で入ってきたな。
将校か? しかし、見た事がないな。
「レッドウッド閣下。いつ此方においでなさったのですか?」
レッドウッド閣下?
って事はこの人が北方方面軍司令官のレッドウッド辺境伯か。
「卿がリーゼンフェルト少将か? ここにシュナイデンとか言う大尉がいると聞いた。どこにいるか?」
「閣下、どこも何も此処におりますのが、リクト・フォン・シュナイデン大尉です」
閣下が俺を辺境伯の前に出るよう促してきた。
紹介されたからには挨拶しないわけにはいかないよな。
「小官がリクト・フォン・シュナイデン大尉であります」
「卿が? 思ってたより随分と若いようだが、まぁいい! 卿に聞きたい事がある。あのクソッタレの共和国の英雄であるルーストレームを撃退したとは本当か?」
これは疑われてるんだろうな。
普通に考えれば、俺みたいな若造がどうこうできる相手じゃないからね。
でも、本当の事を疑われるのは嫌だし、ここはアレを出すか。
「閣下、その通りです。こちらが証拠のルーストレームの愛剣《永遠の揺籠》です」
あいつが最後に寄越した剣を見せると、閣下の表情が一気に変わった。
なんかゾクゾクしてますって感じだけど、大丈夫か?
「本物だ……こいつは本物だぜ……おいっ! お前、俺の部下になれっ!」
へっ?
4
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる