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第三章
苦悩
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はあぁぁぁ……なんでこんな事になったんだ?
ただでさえ高等士官学校に行くのが嫌だってのに、その前に陛下との謁見?
勘弁してくれよ。
しかも前はダウスター子爵が一緒だったから良かったけど、今度は1人であそこに行かなきゃ行けないなんて……
武勲を立てたはずなのに望まない事ばかりやってくるなんておかしくないか?
はぁぁ……もう溜息しか出ないよ。
とりあえず今は嫌な事は忘れて、家でのんびりするか。
ガチャ
「ふぅ、久しぶりの我が家だ。なんかホッとするなぁ」
「おかえり。やっと帰ってきたか。どうだ? 風呂の用意が出来てるぞ?」
「ほほぅ、風呂とは贅沢ですな。そういえば遠征中は身体を拭くぐらいしかしてなかったし、風呂でさっぱりさせてもらうとするか」
「そうするがいい。風呂上がりには私のとっておきのラガーを出してやる。キンキンに冷やしてるから、楽しみにしておけ」
「有難いですね。では、お風呂へ……って、何してるんですか?」
「ん? 見てわからんのか? ラガーに合う料理を作っているところだ」
「それは失礼しました……って、そうじゃない! いや、本当にそうじゃないですよ! 何してるんですかっ!? 陛下っ!?」
俺の家のキッチンにいたのは平服姿ではあるが、ヴァランタイン帝国の現皇帝アヌーク・フォン・ミリアルド・ヴァランタイン陛下その人に違いなかった。
あまりの驚きに普通に会話続けてたけど、マジで何してんの!?
「お前が大層な武勲を立てたと聞いてな。私自ら労ってやろうと帝城を抜け出してきたのだ。しかし、警備も近衛もなっとらんなぁ。私が抜け出すのに気がつかないとは……減俸くらいは覚悟してもらわんといかんな」
可哀想な警備さんと近衛さん!
陛下の気まぐれのオシノビのせいで減俸なんて!
「それよりさっさと風呂に行ってこい。安心しろ、戯れなどせんよ」
「戯れって……というより、ウチの家には風呂なんてありませんけど?」
「隣の家の住人が引っ越したから壁をぶち抜いて繋げて風呂を作った」
何してんねんっ!
それに隣の家の人はどうしたっ!?
急に引っ越すわけないでしょ!?
「心配するな。家主には許可をとってある。というより、この家と隣家を相場の10倍で買い取ったから、この家はもうお前の家だ。ほら、書類な」
うわぁ……この人、やる事が半端ないな。
マルグリットさんに迷惑かけてないといいんだけど。
後で謝りに行ってこよ。
「そういうわけだからさっさと風呂に行ってこい。その後は酒の肴に戦場の話でも聞かせてくれ」
「はぁ……陛下の御命令とあらば、喜んで行かせていただきます」
「うむ。そうそう、背中を流して欲しければ遠慮なく言うがいい。私が直々に……」
「行って参ります!」
俺は風呂場に向かって突撃を敢行した。
俺の安住の地は今、消えた……。
ただでさえ高等士官学校に行くのが嫌だってのに、その前に陛下との謁見?
勘弁してくれよ。
しかも前はダウスター子爵が一緒だったから良かったけど、今度は1人であそこに行かなきゃ行けないなんて……
武勲を立てたはずなのに望まない事ばかりやってくるなんておかしくないか?
はぁぁ……もう溜息しか出ないよ。
とりあえず今は嫌な事は忘れて、家でのんびりするか。
ガチャ
「ふぅ、久しぶりの我が家だ。なんかホッとするなぁ」
「おかえり。やっと帰ってきたか。どうだ? 風呂の用意が出来てるぞ?」
「ほほぅ、風呂とは贅沢ですな。そういえば遠征中は身体を拭くぐらいしかしてなかったし、風呂でさっぱりさせてもらうとするか」
「そうするがいい。風呂上がりには私のとっておきのラガーを出してやる。キンキンに冷やしてるから、楽しみにしておけ」
「有難いですね。では、お風呂へ……って、何してるんですか?」
「ん? 見てわからんのか? ラガーに合う料理を作っているところだ」
「それは失礼しました……って、そうじゃない! いや、本当にそうじゃないですよ! 何してるんですかっ!? 陛下っ!?」
俺の家のキッチンにいたのは平服姿ではあるが、ヴァランタイン帝国の現皇帝アヌーク・フォン・ミリアルド・ヴァランタイン陛下その人に違いなかった。
あまりの驚きに普通に会話続けてたけど、マジで何してんの!?
「お前が大層な武勲を立てたと聞いてな。私自ら労ってやろうと帝城を抜け出してきたのだ。しかし、警備も近衛もなっとらんなぁ。私が抜け出すのに気がつかないとは……減俸くらいは覚悟してもらわんといかんな」
可哀想な警備さんと近衛さん!
陛下の気まぐれのオシノビのせいで減俸なんて!
「それよりさっさと風呂に行ってこい。安心しろ、戯れなどせんよ」
「戯れって……というより、ウチの家には風呂なんてありませんけど?」
「隣の家の住人が引っ越したから壁をぶち抜いて繋げて風呂を作った」
何してんねんっ!
それに隣の家の人はどうしたっ!?
急に引っ越すわけないでしょ!?
「心配するな。家主には許可をとってある。というより、この家と隣家を相場の10倍で買い取ったから、この家はもうお前の家だ。ほら、書類な」
うわぁ……この人、やる事が半端ないな。
マルグリットさんに迷惑かけてないといいんだけど。
後で謝りに行ってこよ。
「そういうわけだからさっさと風呂に行ってこい。その後は酒の肴に戦場の話でも聞かせてくれ」
「はぁ……陛下の御命令とあらば、喜んで行かせていただきます」
「うむ。そうそう、背中を流して欲しければ遠慮なく言うがいい。私が直々に……」
「行って参ります!」
俺は風呂場に向かって突撃を敢行した。
俺の安住の地は今、消えた……。
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