食うために軍人になりました【一人称版】

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第三章

大改造

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「うぉおおおっ! すげぇええええ!」

 家の奥の壁だった場所に通路が出来ていて、その先には真新しい空間が広がっていた。
 隣家だった家は内装が一新されていて、少し傷んだ外側に比して中はかなり綺麗になっている。
 元の間取りは知らないけど、家の中は部屋が一つと風呂場が一つしかない造りになっていた。
 これは多分キッチンだった場所を風呂にしたようだな。
 確かにここなら排水も出来るだろうし、設置場所としては問題ない。
 しかし、代わりに凄いことになってる。
 キッチンだった部屋一つを丸ごと風呂場にしているから風呂自体もかなりの広さがある。
 軍施設の風呂よりは小さいけど、個人宅にある物としては十分だ。
 というか立派過ぎる。
 そもそも家に風呂があるなんて貴族か大商人だけだからな。
 おまけにお湯は魔石を使って溜める最新式。
 普通のは湯船に水を汲んで、それを薪で火を起こして沸かすんだけど、結構手間と時間がかかる。
 だから奴隷とか下男がいる家じゃないと準備だけでも大変なのだ。
 だけど、この最新式の風呂なら魔石にちょいと魔力を込めるだけでいいから俺一人でも十分に使える。
 
「うーん、勝手に改造されて少しムッとなったけど、これはこれで良かったのかもなぁ」

 勝手に改造されたけど、風呂は最新式だし、内装も綺麗になっている。
 怒っていいのか悪いのか……うーん、よしっ! 今はグタグタと考えるのはやめよう!
 
「今はただ風呂を堪能させてもらおうじゃないかっ!」

 パパッと服を脱いで、風呂場に入り、湯船の湯加減を確認。
 素晴らしい湯加減であります!
 とりあえず湯船からお湯を掬って頭から被る!
 
「ぷはぁ! 気持ちいいっ!」

 ほどよい温度の湯が頭のてっぺんから足の先まで流れ、さっきまでの疲労までも流してくれたようだ。
 軍だと他の人に気を遣って身体を洗ってから入るんだけど、ここは我が家だ。
 誰に気兼ねする必要があろうか?
 
「いざ、入湯なり!」

 ザブンと湯の表面を波立たせ、浴槽から湯が溢れ出るのも気にせず入る。
 あぁぁ……こ、これはいかん……
 これはいかんぞ!
 なんと素晴らしく心地よいのだ。
 このじんわりとした温かみが全身を包み込む感じ。
 今の俺には至福としか言い表せない。
 広々としていて、足を伸ばしても阻む物がないのも開放的でいい。
 軍の風呂は上官も一緒だったり、規則正しく使用する様に言われてるから気が抜けないところもあるんだよなぁ。
 でも、やっぱり風呂はこうでないと駄目だよ。
 リラックスしてこそ風呂でしょ。
 はぁぁぁ……気持ちいい……
 寝てしまいそうだ……けど、そういうわけにもいかない。
 なんせ母屋というか家には陛下がいるのだ。
 あまり待たせるのは良くない。
 ここはさっさと洗って出る方がいい。
 ……そう、わかっていても抗い難い心地良さだ。
 うーん、恐るべし風呂。
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