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第四章
懐古
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ロンドベルゲン2日目。
俺は相変わらず業務に追われていた。
特に面倒なのがさっきみたいな面会だ。
街の有力者や近隣の村の長はともかく、さっきみたいな商人達が厄介だ。
帝都にほど近い領地に新領主として元平民の若造がやって来た。
新しく商売を始めたい商人にとっては良いチャンスなんだろう。
朝からひっきりなしに面会がやって来やがる。
商人が増えればそれだけ物流が増えて街も経済的に潤うが、だからといって誰かれ構わずに商売を認める訳にはいかない。
領民の商売敵を作るようなもんだからな。
それこそ悪影響が出ない様な小規模で真っ当な者達でないと認められない。
それなのに、さっきみたいな姑息な手を使おうとする者、賄賂を渡そうとする者、強面の男を連れて脅そうした奴までいた。
浅はか過ぎて頭痛がしたよ。
ダウスターではこんな話は聞いたこともなかったんだけどなぁ。
「旦那様、失礼します」
「テラーズ……また厄介事か?」
執務室に入ってきた執事に悪態を吐く。
別にテラーズが悪い訳じゃないんだけど、立て込んでる時に別の仕事を持ってくる者に陰性感情を持つのは仕方ない。
「疑う眼を露にするものではありませんよ。領主たる者、常に冷静でいなくてはなりません」
「俺は軍人だからな。粗野な部分は否めないんだよ」
「荒んでおりますな。まぁ、致し方ないでしょう。ここは一つ、懐かしい顔でご覧になって癒されてはいかがですかな?」
「懐かしい顔?」
「入ってください」
ドアが開いて1人の軍人が入ってくる。
なんだか懐かしい匂いが漂ってきた。
「失礼します! ロンドベルゲン領主、リクト・フォン・シュナイデン男爵に御目通りが叶いまして光栄であります!」
「ロ、ロースター軍曹!? ロースター軍曹じゃないですか!? な、なんで此処に!?」
ホウキン・ロースター軍曹。
前ライエル領軍の軍人で俺が初陣で捕虜にした人だが、戦後はダウスター領軍に転属し、俺に軍務を教えてくれた上官でもあり、友人でもある。
「男爵様におかれましては……」
「その話し方はやめてくださいよ、ロースター軍曹。ここは公の場ではありませんから」
軍曹はチラッとテラーズを見て、頷くのを確認すると一息ついた。
「なら少し言葉を崩させてもらおう。久しぶりだな、リクト。貴官は栄達するとは思っていたが、まさか1年で帝国軍少佐となり、男爵となるとはな」
「ロースター軍曹も息災のようで何よりですよ。久しぶりに会えて嬉しいです。今日はこちらに泊まりですか? でしたら夜に一杯どうですか?」
エミリーハウスでよく2人で飲んでいた事を思い出すな。
そういえばエミリーも元気にしているだろうか?
「有難い申し出なんだが、その前に報告したい事があってな。いいか?」
「あっ、そうでしたね。軍務もあるでしょうから先に報告をどうぞ」
すると、ロースター軍曹は襟を正し、最敬礼の姿勢をとった。
「本日をもってロンドベルゲン領領軍の配属となりましたホウキン・ロースター曹長です! よろしくお願い致します!」
なにぃいいいいいいい!?
俺は相変わらず業務に追われていた。
特に面倒なのがさっきみたいな面会だ。
街の有力者や近隣の村の長はともかく、さっきみたいな商人達が厄介だ。
帝都にほど近い領地に新領主として元平民の若造がやって来た。
新しく商売を始めたい商人にとっては良いチャンスなんだろう。
朝からひっきりなしに面会がやって来やがる。
商人が増えればそれだけ物流が増えて街も経済的に潤うが、だからといって誰かれ構わずに商売を認める訳にはいかない。
領民の商売敵を作るようなもんだからな。
それこそ悪影響が出ない様な小規模で真っ当な者達でないと認められない。
それなのに、さっきみたいな姑息な手を使おうとする者、賄賂を渡そうとする者、強面の男を連れて脅そうした奴までいた。
浅はか過ぎて頭痛がしたよ。
ダウスターではこんな話は聞いたこともなかったんだけどなぁ。
「旦那様、失礼します」
「テラーズ……また厄介事か?」
執務室に入ってきた執事に悪態を吐く。
別にテラーズが悪い訳じゃないんだけど、立て込んでる時に別の仕事を持ってくる者に陰性感情を持つのは仕方ない。
「疑う眼を露にするものではありませんよ。領主たる者、常に冷静でいなくてはなりません」
「俺は軍人だからな。粗野な部分は否めないんだよ」
「荒んでおりますな。まぁ、致し方ないでしょう。ここは一つ、懐かしい顔でご覧になって癒されてはいかがですかな?」
「懐かしい顔?」
「入ってください」
ドアが開いて1人の軍人が入ってくる。
なんだか懐かしい匂いが漂ってきた。
「失礼します! ロンドベルゲン領主、リクト・フォン・シュナイデン男爵に御目通りが叶いまして光栄であります!」
「ロ、ロースター軍曹!? ロースター軍曹じゃないですか!? な、なんで此処に!?」
ホウキン・ロースター軍曹。
前ライエル領軍の軍人で俺が初陣で捕虜にした人だが、戦後はダウスター領軍に転属し、俺に軍務を教えてくれた上官でもあり、友人でもある。
「男爵様におかれましては……」
「その話し方はやめてくださいよ、ロースター軍曹。ここは公の場ではありませんから」
軍曹はチラッとテラーズを見て、頷くのを確認すると一息ついた。
「なら少し言葉を崩させてもらおう。久しぶりだな、リクト。貴官は栄達するとは思っていたが、まさか1年で帝国軍少佐となり、男爵となるとはな」
「ロースター軍曹も息災のようで何よりですよ。久しぶりに会えて嬉しいです。今日はこちらに泊まりですか? でしたら夜に一杯どうですか?」
エミリーハウスでよく2人で飲んでいた事を思い出すな。
そういえばエミリーも元気にしているだろうか?
「有難い申し出なんだが、その前に報告したい事があってな。いいか?」
「あっ、そうでしたね。軍務もあるでしょうから先に報告をどうぞ」
すると、ロースター軍曹は襟を正し、最敬礼の姿勢をとった。
「本日をもってロンドベルゲン領領軍の配属となりましたホウキン・ロースター曹長です! よろしくお願い致します!」
なにぃいいいいいいい!?
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