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第四章
英雄殺し
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「ど、どういう事ですかっ!? こ、ここの領軍に転属って……」
あまりにも唐突な報告に俺の理解は追いついていなかった。
軍曹の冗談か? あっ、曹長になったんだっけ?
「何を驚く? そのまんまの意味だよ。俺は転属願いを出してダウスター領軍からロンドベルゲン領軍に異動となったのだ」
し、信じられない。
いくら田舎とはいえダウスターは広大な領地を持っている地方都市だ。
少ないが街や村もある。
それに比べて俺の領地はここロンドベルゲンの街しかない。
一応周囲の土地も俺の領地にはなっているけど、狭いし、そこに住む人はいない。
つまりダウスターとロンドベルゲンでは街の財源に大きな差がある。
軍から支給される給金は変わらないけど、設備が違ってくる。
この街には古い兵舎しかないし、娯楽施設だってない。
街の発展具合で言えばダウスターの領都の方が良いんだ。
そして何よりウチみたいな小領では兵の数も少ないから休みもそんなにとれない。
そんな待遇の悪いところに来るなんて考えられないよ。
帝都が近いからってすごい都会だって勘違いしてるんじゃないか?
「本気ですか? この街にはまともな施設もないんですよ? 今なら領主権限で原隊復帰もできますけど?」
「俺は貴官……いや、私はロンドベルゲン領主シュナイデン卿の元で働きたいのだ。だから頼む。ここに置いてくれ」
「あ、頭を上げてください! そりゃ俺だってロースターぐん、じゃなくて曹長に来ていただけるのは嬉しいですけど、この街じゃ……」
まともな設備もない街に配属になるなんて、他の兵士達からすれば左遷だって思うかもしれない。
曹長の経歴にキズがつく事にならないだろうか。
「大丈夫だ。この街は卿の街だからな。必ず発展していくだろう。その手伝いを俺にもさせて欲しい。それに断られたらあの勝負が無駄になってしまう」
「あの勝負?」
「卿が領主になったと聞いてダウスターは大騒ぎになってな。皆が祝福し、卿の事をダウスターの出世頭だ、ダウスターの誇りだとお祭り状態だったのだ。領都は朝までドンチャン騒ぎだったぞ」
う、羨ましい……
何故、俺はそこにいなかったのだ?
絶対楽しかっただろうな。
「そして領軍の兵士を募集していると聞いてな。誰が行くか揉めたんだよ」
「えっ? 揉めた?」
「俺やサイモン上級曹長、それに主だった兵士達が次々に志願してな。ダウスター子爵様が『ウチの領軍が崩壊する!』と止めに入った程だ」
みんな、勘違いしてるな……
帝都の近くってだけで、ここはそんなに良い所じゃないぞ?
「結果として志願者全員で勝負をして、見事私が転属を勝ち取ったのだ。いやぁ、サイモン上級曹長のあの悔し顔は未だに忘れられんなぁ」
「そんな大袈裟にしなくても…。此処には何もないですよ?」
「土地や設備など関係ないさ。皆、卿の下で働きたかったのさ。《英雄殺し》の下でな」
はい? 《英雄殺し》って何?
あまりにも唐突な報告に俺の理解は追いついていなかった。
軍曹の冗談か? あっ、曹長になったんだっけ?
「何を驚く? そのまんまの意味だよ。俺は転属願いを出してダウスター領軍からロンドベルゲン領軍に異動となったのだ」
し、信じられない。
いくら田舎とはいえダウスターは広大な領地を持っている地方都市だ。
少ないが街や村もある。
それに比べて俺の領地はここロンドベルゲンの街しかない。
一応周囲の土地も俺の領地にはなっているけど、狭いし、そこに住む人はいない。
つまりダウスターとロンドベルゲンでは街の財源に大きな差がある。
軍から支給される給金は変わらないけど、設備が違ってくる。
この街には古い兵舎しかないし、娯楽施設だってない。
街の発展具合で言えばダウスターの領都の方が良いんだ。
そして何よりウチみたいな小領では兵の数も少ないから休みもそんなにとれない。
そんな待遇の悪いところに来るなんて考えられないよ。
帝都が近いからってすごい都会だって勘違いしてるんじゃないか?
「本気ですか? この街にはまともな施設もないんですよ? 今なら領主権限で原隊復帰もできますけど?」
「俺は貴官……いや、私はロンドベルゲン領主シュナイデン卿の元で働きたいのだ。だから頼む。ここに置いてくれ」
「あ、頭を上げてください! そりゃ俺だってロースターぐん、じゃなくて曹長に来ていただけるのは嬉しいですけど、この街じゃ……」
まともな設備もない街に配属になるなんて、他の兵士達からすれば左遷だって思うかもしれない。
曹長の経歴にキズがつく事にならないだろうか。
「大丈夫だ。この街は卿の街だからな。必ず発展していくだろう。その手伝いを俺にもさせて欲しい。それに断られたらあの勝負が無駄になってしまう」
「あの勝負?」
「卿が領主になったと聞いてダウスターは大騒ぎになってな。皆が祝福し、卿の事をダウスターの出世頭だ、ダウスターの誇りだとお祭り状態だったのだ。領都は朝までドンチャン騒ぎだったぞ」
う、羨ましい……
何故、俺はそこにいなかったのだ?
絶対楽しかっただろうな。
「そして領軍の兵士を募集していると聞いてな。誰が行くか揉めたんだよ」
「えっ? 揉めた?」
「俺やサイモン上級曹長、それに主だった兵士達が次々に志願してな。ダウスター子爵様が『ウチの領軍が崩壊する!』と止めに入った程だ」
みんな、勘違いしてるな……
帝都の近くってだけで、ここはそんなに良い所じゃないぞ?
「結果として志願者全員で勝負をして、見事私が転属を勝ち取ったのだ。いやぁ、サイモン上級曹長のあの悔し顔は未だに忘れられんなぁ」
「そんな大袈裟にしなくても…。此処には何もないですよ?」
「土地や設備など関係ないさ。皆、卿の下で働きたかったのさ。《英雄殺し》の下でな」
はい? 《英雄殺し》って何?
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