食うために軍人になりました【一人称版】

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第四章

謝罪

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「本当にすまん!」

「ごめんなさぁい!」

 ゴーレム馬車から降りるといきなり2人に頭を下げられた。
 理由はわかってるけど、急に謝られても困るな。

「お2人とも頭を上げてください」

 そう言っても2人は頭を上げようとしない。
 参ったなぁ。
 2日間の馬車の旅で疲れてるんだ。
 この後には決闘もあるし、余計な体力使いたくないんだよなぁ。

「お2人とも、もう一度言いますよ。頭を上げてください。困ります」

「うっ……だが、本当に申し訳なくて……」

「仮にも貴族家の当主に決闘だなんてぇ……無礼にも程があるよぉ……」

 渋々ながら頭を上げた2人の顔色は悪い。
 どうやら結構思い詰めていたようだ。
 俺としては決闘には驚いたけど、戦う事自体はそこまで気にしていない。
 貴族である前に俺は軍人だからね。
 戦う覚悟ならいつでも出来ている。

「それよりいいんですか? 俺はお2人の姉妹と戦うんですよ? 怪我のないように気をつけますけど……」

「待て、それはダメだ。イリアのやつは遠慮なく完膚なきまで叩き潰してやってくれ」

「ウチも同じぃ。クリスティーヌお姉様の高慢な鼻をバッキバキにへし折ってきてぇ!」

 おいおい……仮にも身内だろ?
 ちょっとは庇ってあげなよ。

「これはあいつが仕掛けた決闘なんだ。どんな結末になろうと、それはあいつが望んだ事だ。たとえ死んだとしても私はお前を恨んだりはしない」

「私もだよぉ。正直、お姉様のやった事ってリンテール家にとっても迷惑なんだよぉ? 本来なら貴族同士の決闘って神聖なものなんだからぁ、それを事前に連絡もなしに一方的な理由で送りつけたんだもん……本当なら私が消し炭にしてあげたいくらいだよぉ」

 おおお……
 少佐と中尉の顔がなんとも恐ろしい事に……
 しかし名誉を重んじる貴族にとっては家名を汚されるような事は許し難い事なんだろうなぁ。
 
「じゃあ、ぶちのめす方向でいいとして武器は何でもありなんですか?」

「ああ。イリアは腐ってるとはいえ、あれでもヴォルガング流剣術の免許皆伝だ。腕は確かだし、炎の魔剣《純真なる炎イノセンスフレイム》を持っている。私の雷の魔剣《雷の涙サンダーティア》と同じく我が家の家宝だ」

 魔剣使いかよ。
 面倒だなぁ。

「クリスティーヌお姉様は私と同じ古代魔法使いで風の魔法が得意なのぉ。リクト少佐が使ってた竜巻みたいな魔法も使えるんだよぉ」

 狂飆の事か?
 自分で言うのもなんだけど、竜巻トルネード系の魔法って鬱陶しいんだよなぁ。

「最後にお聞きしたいんですが、姉妹はお2人よりも強いんですか?」

「「……はぁ?」」

 その後、恐ろしい顔に変貌した2人に詰め寄られ、今度は俺が頭を下げる事になった。
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