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第四章
唖然
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闘技場内はシーンと静まり返っている。
誰も彼もが何が起きたかわからないって顔で呆然としているようだ。
そんなに大した事はしてないんだけどね。
「はぁはぁはぁ……」
「うっ……」
イリアとクリスティーヌ。
2人は俺の眼前に転がっている。
息遣いは荒く、苦悶の表情がありありと見えている。
ちょっとやり過ぎたかな?
でも、俺としては真剣勝負と聞かされていたから、開始の合図とともに技を放っただけだ。
まさか2人ともそれをモロに喰らうとは思わなかった。
これからどうするんだろ。
「立会人、これはどうなるんだ? まだやるのか?」
観客と同じように呆然としていた立会人のおっさんに声をかけてみた。
さすがに倒れている人に追い討ちをかけるのは偲びないからね。
「…………あっ! いや、その……イ、イリア・フォン・ヴォルガング並びにクリスティーヌ・フォン・リンテールの戦闘不能により、リクト・フォン……」
「ま、待ってくれ……」
立会人のおっさんが状況を把握してやっと動いたと思ったら、イリアが声を上げた。
それはか細く、周りが静まり返ってなければ聞こえない程、小さな声だった。
「ま、まだやれる……まだやれるんだ」
「そ……うよ、まだ……よ……」
イリアに続いて、クリスティーヌも声を上げた。
でも、這いつくばったまま言われても困るんだよなぁ。
「それは認められない。立ち上げれないのであれば、この決闘はシュナイデン男爵の勝利となる。異議があるなら立ち上がってから聞こう」
「くっ! くそ……」
「んんん……」
2人が立ち上がるのは無理だと思う。
なんせ根こそぎ奪ってしまったからね。
魔刃一刀流の四文字《掠剣・血気劫掠》
相手の精神を攻撃する技だから一見無傷に見えるけれど、実際はかなりの重傷だ。
剣の達人の気合、魔法使いの魔力、精霊使いの霊力なんでも奪い尽くす。
三文字《没義道》と同じ外道技なんだけど、今回はお仕置きも兼ねて使った。
なんせ貴重な休みを台無しにしてくれたんだからね!
「力が……入らない……」
「精神汚染よ……け、剣術でこんなの、あり得……ない」
「そういう固定概念は身を滅ばすよ? 油断して棒立ちしてた君達が悪い」
本当に棒立ちだった。
俺が間合いを詰めて斬った後に反応してたからね。
気づくの遅過ぎだよ。
「そこまで! これ以上の問答は神聖なる決闘に相応しくない。この決闘はリクト・フォン・シュナイデン男爵の勝ちとする!」
おおおおおおおおおおおおおっ!!
闘技場内を凄まじい声が埋め尽くした。
平民からは歓声が、貴族からはブーイングが飛んでいる。
面白くないって言われても困る。
俺はさっさと帰りたいんだ。
続きがしたいなら自分達で勝手にすればいい。
俺は歓声に応えるように手を振ってから、その場を立ち去った。
誰も彼もが何が起きたかわからないって顔で呆然としているようだ。
そんなに大した事はしてないんだけどね。
「はぁはぁはぁ……」
「うっ……」
イリアとクリスティーヌ。
2人は俺の眼前に転がっている。
息遣いは荒く、苦悶の表情がありありと見えている。
ちょっとやり過ぎたかな?
でも、俺としては真剣勝負と聞かされていたから、開始の合図とともに技を放っただけだ。
まさか2人ともそれをモロに喰らうとは思わなかった。
これからどうするんだろ。
「立会人、これはどうなるんだ? まだやるのか?」
観客と同じように呆然としていた立会人のおっさんに声をかけてみた。
さすがに倒れている人に追い討ちをかけるのは偲びないからね。
「…………あっ! いや、その……イ、イリア・フォン・ヴォルガング並びにクリスティーヌ・フォン・リンテールの戦闘不能により、リクト・フォン……」
「ま、待ってくれ……」
立会人のおっさんが状況を把握してやっと動いたと思ったら、イリアが声を上げた。
それはか細く、周りが静まり返ってなければ聞こえない程、小さな声だった。
「ま、まだやれる……まだやれるんだ」
「そ……うよ、まだ……よ……」
イリアに続いて、クリスティーヌも声を上げた。
でも、這いつくばったまま言われても困るんだよなぁ。
「それは認められない。立ち上げれないのであれば、この決闘はシュナイデン男爵の勝利となる。異議があるなら立ち上がってから聞こう」
「くっ! くそ……」
「んんん……」
2人が立ち上がるのは無理だと思う。
なんせ根こそぎ奪ってしまったからね。
魔刃一刀流の四文字《掠剣・血気劫掠》
相手の精神を攻撃する技だから一見無傷に見えるけれど、実際はかなりの重傷だ。
剣の達人の気合、魔法使いの魔力、精霊使いの霊力なんでも奪い尽くす。
三文字《没義道》と同じ外道技なんだけど、今回はお仕置きも兼ねて使った。
なんせ貴重な休みを台無しにしてくれたんだからね!
「力が……入らない……」
「精神汚染よ……け、剣術でこんなの、あり得……ない」
「そういう固定概念は身を滅ばすよ? 油断して棒立ちしてた君達が悪い」
本当に棒立ちだった。
俺が間合いを詰めて斬った後に反応してたからね。
気づくの遅過ぎだよ。
「そこまで! これ以上の問答は神聖なる決闘に相応しくない。この決闘はリクト・フォン・シュナイデン男爵の勝ちとする!」
おおおおおおおおおおおおおっ!!
闘技場内を凄まじい声が埋め尽くした。
平民からは歓声が、貴族からはブーイングが飛んでいる。
面白くないって言われても困る。
俺はさっさと帰りたいんだ。
続きがしたいなら自分達で勝手にすればいい。
俺は歓声に応えるように手を振ってから、その場を立ち去った。
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